「盗賊退治の使い魔」(2008/03/31 (月) 10:50:35) の最新版変更点
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メイドを召喚したと馬鹿にされた。
そのメイドが、メイドらしい仕事と言える仕事が全くできず馬鹿にされ。
そのメイドがどうやら人ならざるもの……ゴーレムらしき存在であることを彼女の口から伝えられた時は、
それはそれは喜んだものだが、よくよく考えてみるとメイドのゴーレムなどあまり褒められたものでは
ないのではなかろうか。
いくら精巧に人間に似せて作られたところで、このゴーレムは所詮召使いをするためだけに作られた物。
それも、召使いとしての性能は皆無と言える。
これではなんの価値も無い、とまでは言えないが、実益は全くありはしないではないか。
それに気付いた私は、酷く落胆した。
授業中、他の生徒達に馬鹿にされた私は、とうとう頭にきてしまった。
そして、使い魔のメイドに言ってしまったのだ。
私は後悔した。
彼女に言った台詞を、私はとても後悔した。
「もう! アンタ、あいつらをなんとか黙らせなさいよ! なんかないの? こう、特技とか……」
「命令をご確認します。目標の沈黙。命令に間違いは無いでしょうか?」
「えッ。あ、アンタ、なんかできるのッ?」
「命令に間違いはないでしょうか?」
「え、ええ。やっちゃってちょうだいッ。下手な芸だったら許さな――――」
「了解しました。命令を実行します」
惨劇。
メイドが両腕を水平に掲げたと思ったら、間も無くけたたましい銃声。
原理は全くわからない。
ただ、とてつもなく高速、そして連続に発砲されているのはわかった。辛うじて。
机を、壁を、窓を、そして生徒を。
全て銃弾は打ち抜いた。
やっとこ紡ぎ出した、私の制止を求める声を聞いて、彼女は攻撃を中止してくれた。
銃撃の止んだ教室は、呻き声と泣き声と悲鳴で埋め尽くされていた。
死人が出なかったのは、本当に奇跡だと思う。
あれで謹慎で済んだのだから、それこそ本当に奇跡だと思う。
ああ、本当に思い出したく無い出来事だ。
しかしその後の彼女の活躍は目覚しいものだった。
盗賊の繰り出した巨大なゴーレムを、掌から放つ光線でバラバラにしたり、
傭兵達からの容赦ない攻撃から、身を挺して私を庇ってくれたり、
スクウェアクラスのメイジと対峙し、なんと勝利をもぎ取ってしまったのだ。
今、私はコルベール先生と共に、技術者をしている。
先の戦乱で、私のことを守るために奮起した彼女は、遂に破壊されてしまった。
そして彼女の左手に刻まれたルーンは、跡形も無く消滅してしまった。
しかし、彼女は私にとって永遠に唯一の使い魔である。
彼女をこの手で再び目覚めさせること。
このことに、私の残りの人生の全て捧げようと思う。
彼女は私にその身全てを捧げて、私を守ってくれたのだから。
そして、できることならば。
できることなら、蘇った彼女が再び戦場へ向かうことが無いように、
彼女の持つ姿に相応しい、本来の仕事を与えてやりたい。
メイドとしての仕事を、きっちり教え込んでやりたい。
茶汲みの一つもできなかった彼女に、徹底的に教え込んでやりたい。
ルイズがレイドバスターを召喚したようですッ
おわりッ
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