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「ゼロのトランスフォーマー1」(2007/07/18 (水) 17:30:04) の最新版変更点
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アメリカ合衆国空軍でF-15を継ぐ機体として開発されたステルス搭載型多用途戦闘機、F-22。
愛称ラプターと呼ばれるソレを、所謂軍事オタクが語ろうものなら凡そ2時間は口を閉じないであろう。
が、今しがたここに戦闘機の魅力を語れる者は、誰一人として存在しない。
何故ならここは鉄の塊が、科学と技術の力により空を飛ぶような世界では無いからだ。
が、F-22はこの世界に姿を現した。どういうわけか、全長18mから約5m程に縮小されてはいるが。
そして、このF-22は、意思を持っていた。彼の正確なプロフィールは後に判るが、今はそれどころではない。
ゼロのトランスフォーマー ―星の叫び―
「おい、またゼロのルイズが失敗…じゃないのか、これは?」
かの召喚儀式失敗魔で有名なゼロのルイズが5mのモノを召喚したのだから失敗では無いのだが、
なにせ出てきたモノがなんなのかが見当も付かない故に、どう評価すればいいか皆解らないでいた。
何より一番困惑していたのはルイズ本人で、そもそもコレが生きてるのかどうかも不明で、
『契約』できるのか否か。気の強い性格の彼女ではあるが、さすがに焦りを隠しきれてない。
その時、誰かが叫んだ。銀色のグリフォンだぁ!! と。
「―そうか、これはグリフォン!? やったわ、私が召喚したかった使い魔ベスト5じゃない!!」
とまぁ勝手に解釈して
「そんな…グリフォンですって…!?」
「サモン・サーヴァント成功、おめでとう、ミス・ヴァリエール。しかし珍しい姿のグリフォンですなぁ。」
キュルケが嫉妬しコルベールが褒め
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。」
儀式を始め
「この者に祝福を与え、我の使い魔と―」
『ちょっと待て貴様等ぁぁぁ!!』
何者かが叫んだ。
声の主が銀グリフォンである事は明らかだが、その発言内容が神話に登場する神々しさからかけ離れている。
ルイズ含むその場にいた一同はポカンとしつつも、気を取り直しグリフォンの言葉に耳を傾けた。
『なんだ此処は! なんなんだコレは!! 俺をこんな所に引っ張り出してなんのつもりだ!!!
おい其処のやたら名乗りが長いピンク女!!!!』
ギャラリーが口々に言った。
あーあ、さすがゼロのルイズ、グリフォンにまで馬鹿にされてるよ、と。
「な、名乗り長いって、こーゆう名前なんだから仕方ないでしょ! いくらグリフォンだからって―」
『そのさっきから言ってるグリフォングリフォンってなんなんだ? 何かと勘違いしていないか!?』
「グリフォンじゃない? じゃ、あんたは…名前は?」
『スタースクリーム。ハッ、こうなりゃ貴様をなんなりと利用して今こそデストロンを―』
「何語で喋ってんのよ!?」
その後、様々な食い違いはありつつも、この世界がスタースクリームが思っている場所とはまるで違うと
理解させる事はできた。ここに、彼の目の敵にする存在は無い、と。
『すると…俺がここにいる理由は無いワケだ。ならば戻るまでだ!!』
「何処へ行くつもり? あんたが何処から来たかなんて知らないけど、元の世界に戻す事はできないわ。」
「その通り。」
コルベールが話に加わる。
「1度召喚した使い魔は規則により変更は出来ない。第一、スタースクリームと言ったかな?
君の言う元の世界とは我々には想像も付かない世界のようだ。戻す事はあらゆる意味で不可能なんだ。」
その的確な言葉に、スタースクリームは一時黙り込んだ。
『―止む得ん、元の世界に戻る方法が見つかるまで、この世界のルールに従う事にしよう。』
ついぞさっきまでの態度から打って変って妙に丁寧な態度で、ルイズ達に接する。
急変した姿勢にコルベールやキュルケは若干の疑惑を感じたが、兎に角今は儀式に専念する事にした。
「ふぅ、じゃ、ようやく儀式を始めれるのね? なんかアレな気もするけど。まぁいいわ。」
ルイズは改めて心を落ち着かせ、スタースクリームに近づくが…
「…どこが頭なの?」
『ああ、じゃあ、少し離れてくれないか?』
ルイズや観覧者達が数m程後ろへ後退る。そして…
『トランスフォーーッム!!!』
ガギゴガガガッ
戦闘機が、立ち上がった。飛び去ったでなく、立ち上がった。
それまで生物らしさを感じ得なかった姿だったのに対し変形する事で人の形に姿を変えた。
「すっげぇ、翼の生えたゴーレムだ!」
「一瞬で変身するゴーレムとか見たこと無いぞ!?」
歓声が上がる。それまで平行の目線で見てたのに、立ち上がった事で目線が自然と上を向き、
より巨大さが増しスタースクリームが神々しく見えた。
変形に思わず見とれてたルイズに、人型スタースクリームが肩膝を下ろし肩膝立ての体制で話しかける。
『ぬぅ、やはり体がかなり小さくなっているようだな。さて、これでどうだ?』
確かに、顔の様なモノがあるが、どうも優しい顔付きではない。どちらかと言うと蜘蛛の頭にも見える。
が、文句は無い。グリフォンでこそは無いが、かなり強そうな使い魔と契約できる事にルイズはうれしかった。
そして、杖を握り…
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
五つの力を司るペンタゴン この者に祝福を与え 我の使い魔と為せ」
ちゅっ
やはりどこが唇なのかはよくわからなかったが、取り合えず口元であろう部分に唇をつける。
スタースクリームのクローやらガトリング砲やらでゴチャゴチャした左手に、
顔のようにも見える刺青(この場合はマーキングか)が出現した。
「契約完了! やったぁ!!」
「今度こそおめでとう、ミス・ヴァリエール。これで彼は正式に君の使い魔だ。
スタースクリーム、君もこれか…」
スタースクリームは、硬直していた。この女のやった行為が理解できない。
そしてその行為に対して何故これ程まで動揺してるのかが自分でも理解できない。
『な、ななななななっ何をした、貴様!!』
「契約が成立したのよ。それよりもスター、私はあんたのご主人なんだからこれからはルイズ様と呼ぶ事!」
『そこまで指導される筋合いは無い!!』
「あら、この世界に関してはあんたの立場は低いのよ? でないと暮らしていけないわよ?」
『ヌ…ヌグ…ググ…ヌゥ…よかろう。』
「ではミス・ヴァリエール、それに他の者もそろそろ教室へと戻りましょう。」
今までスタースクリームに対し強気ながらも笑っていたルイズが急にツンと表情を変えた。
教室に戻る、つまりそれはフライなどの魔法で移動する事。ルイズにはそれらの魔法は使えない。
そして大概、移動教室などの度に、魔法を使える者にイヤミを言われるのだ。
案の定、今日も今日とてやいのやいの言いながら魔法で帰る者にイヤミを言われ、その場にポツンと残るルイズ。
だが、今日は、彼がいた。
『トラーンスフォーム!!』
「スター…?」
ルイズが後ろに振り向くと、召喚された時と同じ戦闘機に変形したスタースクリームが。
『上に乗るか? グリフォンがどう飛ぶかは知らんが、飛んでった奴等を追い越す自身はある。』
「……」
一瞬、ルイズの瞳が潤ったようにも見えたが、
「乗るかどうか? 当然でしょ、あんたは私のいわば下僕なのよ下僕! 下僕は主人の為に尽くしなさい!!」
うんせとスタースクリームにまたぐルイズ。
「ちょっと、お尻が痛いわよ、なんとかならないの!?」
『本当ならコックピット座席があるのに貴様が俺を小さくしたもんだから乗れないんだよ! 我慢しろ!』
「なんですってぇ、人のせいにしないでよ! それにルイズ様と呼べと言ったでしょ!!」
『あーわかったわかったルイズ様ルイズ様、それよりもしっかり掴まれよ、マッハ1.5は出すからな!』
「マッハ? へ? ちょ、きゃああああああああ!!!!」
貴族育ちの駄目魔法少女と、超生命体下僕トランスフォーマーとの生活が、始まった。
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