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#navi(PSYFER THE BLAZE)
四人目と左手
決闘の次の日の朝食の時間、修太の姿は食堂にはなかった。
それが無性に気になっていたマリコルヌは、ルイズに聞いてみることにした。
「ルイズ」
「何?」
「シュータの姿が見えないけど?」
「それがね……」
ルイズは昨日、決闘の傷が癒えたヴィリエと、キュルケに(自分が)重傷を負わせた件で厳重注意され、修太の食堂入室許可を取り消された事を説明した。
「根っこは去年と全然変わってないな……」
マリコルヌは、去年の決闘でルイズがギーシュを半殺しにした事を思い出しながら呆れ果てた。
一方、厨房では修太が朝食にありついていた。
「しっかし災難だったな、我らの焔」
「うん……」
キュルケに襲われた時の事を思い出して少し身震いしながら修太は答えた。
修太が着ている際どいワンピースを見ながら、マルトーは愚痴を続けた。
「あいつら何を考えてんだ? よりによってこんなの着せるなんて」
修太が着ているワンピース、実はスカートの丈が短いだけでなく、胸の部分が大きく開いていたのだ。
そのため、本来なら服に隠されて見えないはずのルーンが完全に露出していた。
その日の夜の女子浴場。
修太を洗いつつ、その尻を揉みしだいていたルイズは、少し考え事をしていた。
「……街まで行って服を買ったほうが良いわね」
「え?」
「シュータ、今度の虚無の曜日、街へ行くわよ」
「どうして?」
「貴方の服を買うために決まってるでしょ」
ルイズはそう言って、自分と修太に湯をかけ、泡を洗い落としてから浴槽に入った。
しれっとキュルケがその会話を聞いていたが、二人は気付かなかった。
場所はいきなりトリステイン王都、トリスタニアの裏通りにある宿も兼ねた酒場、『魅惑の妖精亭』に移る。
店主である筋肉質のオカマ、スカロンが一人の客と談笑していた。
「お探しの人、見つかった?」
「まだだ。手紙にゃ『トリステインで仕事をしている』って書いてあったんだが……」
この客、一週間ほど前に遠路はるばるアルビオンからやって来て、人探しのためにこの店に滞在していたのだ。
なお、道中で襲い掛かってきた賊の類を返り討ちにして、彼らから奪い取った物品を質に入れたり、現金を巻き上げながら路銀の足しにしていた。
「手ぶらで帰るわけにも行かないしな……。おマチの奴、この国のどこで働いてるんだ?」
悩む男と、どうしたものかと困り果てているスカロンが座っているテーブルに、一人のウェイトレスが近づいてきた。
「ちょっと、ウイスキー1杯で粘りすぎよ。ほかにも何か注文してよ」
「そういきり立つなよ、ジェシカ」
「こっちも客商売だからね、悪く思わないでよ」
ジェシカの棘のある一言をこれ以上聞きたくなかったその客は、昨日より割高なモノを注文した。
その男の左手には、コントラクト・サーヴァントで刻まれたルーンが焼き付いていた。
「いい子に育ってくれたんだけど……」
「そのようだな。可愛い顔してあそこまで金にがめついとは思わなかったぜ」
男の一言はどうやらジェシカに聞こえていたらしく、怒声が返ってきた。
「聞こえてるわよ、オーゾラッ!!」
(ティファニア……、お前とは違って、この街の娘連中はすれた奴ばっかりだぜ……)
神の左手、静大空は自分と契約した少女のことを考えながら、明後日の方向を向いていた。
数日後、虚無の曜日。
いつもより早い時間にたたき起こされた修太は、少し寝ぼけ眼であった。
「まだ太陽が昇りきってない……」
「学院から街まで馬でも3時間程かかるのよ。今日は色々買い込まないといけないし……」
食堂で食べるのが億劫だったらしく、ルイズは修太と一緒に厨房で朝食を済ませた。
出されているはしばみ草のサラダの余りの苦さに絶句しながらも、修太は無言かつ素早くはしばみ草のサラダを食べきった。
「大丈夫?」
「まだ苦いのが口の中に……」
数分後、用意されていた馬に乗ったルイズと修太は、トリスタニアへと向かった。
直後、二人の外出を察知していたキュルケとタバサも、シルフィードに乗ってトリスタニアへと向かった。
もちろん、タバサは強引に同行させられただけである。
「結構こじんまりしてるね」
「そう? 一応、ここが大通りよ」
東京と比べると、流石に狭く感じるのかもしれない。
「? 気のせいかしら……」
気配を感じたルイズは一瞬振り向いたが、キュルケとタバサはすばやく人ごみに紛れたため、気のせいだと思いその場を後にした。
二人が入った店は、少し広く、下着の種類も豊富であった。
「ルイズ姉ちゃん、その下着とかスカート、誰がはくの?」
「……嫌?」
「うん」
何故かヒモパンや裾の生地がシースルーになっているスカートをルイズが掻き集めているのを見て、先手を打って釘を刺した修太であった。
少ししてから、店に一人の男が入ってきた。
「いつまでもこの格好ってワケにはいかないし、山賊連中から分捕った金もまだたんまりあるから、新しい服でも買うか。ついでにティファニアへの土産も買っとくか……バストが合うかどうか分からんが」
自分に合いそうな服を適当に見繕い、少女への土産を漁っていた男の左手にあるルーンを見て、修太は思わず声を漏らした。
コルベールの研究室で見た虚無の使い魔のルーンの一つと、同じ形状をしていたから。
「虚無の使い魔……」
修太の声が聞こえたのか、男が修太の方を向いた。
「坊主、今「虚無の使い魔」って言わなかったか?」
「うん」
即答した修太は、胸のルーンを男に見せた。
「なるほど、お前は「四人目」か」
「うん」
二人の会話を聞いていたルイズは即座に割って入った。
「あんたも虚無の使い魔?」
「ああ、俺はオーゾラ・シズカ。訳あって今は『神の左手』だ」
『神の左手』とも呼ばれし神の盾、左手に魔剣、右手に槍を持ち、主を守るガンダールヴ。
チクトンネ街。
それはトリステインの“闇”。
金に糸目をつけなけりゃ何だって揃う。
次回、「追いかけたらトリスタニア」
死んで花実が咲くのなら、ロマリアと聖地は花盛り。
おマチ、そんな奴のことはわからない。
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