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「悪魔も泣き出す使い魔-mission03」(2008/02/28 (木) 19:32:40) の最新版変更点
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~貴族の決闘~
色欲に溺れた学院の生徒に鉄槌を下せ
事が起きたのはその日の午後
ルイズのクラスメイトである男子生徒のギーシュが、メイドのシエスタを怒鳴り散らしていた。
何でも浮気がバレてその責任がシエスタにあるとの事らしい。
そんな彼らを見るや、先程カビだらけのパン一切れと冷め切ったスープを平らげたばかりの男が、
物凄く不機嫌な顔で近づいてきた。
ふざけんな 一昨日からピザ1枚も食ってねーぞ
そんな独り言がブツブツと彼から漏れていた。
「よう お坊ちゃん」
「ん?何だね君は!?」
「ミ、ミスタ・ダンテ!?」
人間同士の仲裁には滅多に入る事は無かったダンテだがシエスタだけは特別だった。
「随分軽そうな頭してんな。こんな脳ミソだから高々女2人持て余すんだろうが。ん?」
ギーシュの頭を コンコンッ と軽くノックするダンテ
それに応じて、右の眉毛と右手に持ったバラの杖をヒクヒクさせるギーシュ
「ばっ!、・・・ヴァリエール家の奴隷は教育がなってないようだね」
「ウォオウ ワンっワンっ」
犬の鳴き真似をしながらパンパン両手を叩き、更に挑発するダンテ
「よかろう!!そんなに死にたいなら地獄へ送ってくれる!」
「地獄へ?連れてってくれるのかい?そりゃ嬉しいね」
その一部始終を聞いたルイズにとってはもう後の祭りであった。
「何てことしてくれたのよ!このバカ犬!」
体重と加速を乗せた跳びひざ蹴りがダンテの後頭部に直撃した。
後頭部を押さえ、前屈みの状態から動けない様子でいるダンテ。
「貴族と決闘というのは冗談じゃなく、本当に命に関わるんです!平民では殺されてしまいますっ!」
「それ以前に貴族と使い魔が決闘だなんて聞いたことが無いわ!
私がギーシュに説得しに行くから、アンタ達はここで待ってなさい!」
シエスタとルイズが叫ぶ。それを聞いていたダンテは後ろ髪をボリボリ掻きながら仏頂面で立ち上がった。
「まあ待てよ。平民なら命に関わるんだろう?」
「え?ええ・・そうです」
「だったら自分の使い魔の実力を知る良い機会だと思うんだがね?御主人様?」
随分と的を得ない答えが返ってきた2人は、ポカンとした顔でダンテを見るしかなかった。
そんなルイズ達を余所に使い魔は決闘の場へと向かう。
場所は変わってヴェストリの広場。
決闘と知るや否や暇な学生達はここぞとばかりに顔を出し、あれよあれよと当の2人を取り囲み観戦を待ち望んでいた。
「よく来たな!逃げなかった事を褒めてやろう!」
ギャラリーも大分集まったせいか、いつもよりやや興奮気味なアクションでダンテを迎え入れるギーシュ。
先程のメイド相手ならやや腰も引けたかもしれないが、相手は貴族相手も鼻にかけない、
品の欠片も感じられない慇懃無礼な平民の奴隷。
そんな男をこの場で葬れば、きっと彼女達も自分の事も思い直してくれるであろう。
そんなギーシュに現れた目の前の使い魔が話しかける。
「ルールは?」
「フンッ。教養の無い平民の癖にルールにこだわるとはね」
「遊びにルールは付き物だろ?」
「遊ッ・・!?神聖な貴族の決闘を愚弄するか!」
人ごみからルイズが割って入る
「神聖だと思うのなら今すぐ取り止めにしなさい!」
「自分の使い魔もロクに管理できない主人に代わって、僕が直々に躾けてやるというのだ。
少しは感謝したまえゼロのルイズ」
グウの音も出ない反論であった
そんなギャラリーを他所に、決闘の話は進む。
「それでルールは?勝った場合の条件だけ決めろよ」
「フンッ、いいだろう。それではどちらか一方が「参った」と言った場合を勝ちとしよう。
それと僕はメイジだからね。僕が杖を落とした場合もサービスで加えてやる」
ギーシュが何やら呪文を唱えると、右手に剣を持つ青銅のゴーレムが、ダンテの目の前に現われた。
「今も言ったように僕はメイジだからね。魔法を使って戦わせてもらうよ。
僕の二つ名は"青銅"。青銅の女神達が君の相手になろう。」
ゴーレムがダンテに向かって歩み寄ってくる。
ダンテは右腰からアイボリーを取り出し、セフティを解除しながら照準をゴーレムに向けた。
一発の銃弾が放たれ、ダンテに近づく間もなく、顔を砕かれた青銅の女神像が膝をついて倒れた。
「な、な・・・何が起きたんだ!?」
「銃で撃ったら穴が開いたんだよ。見りゃ解かんだろうが坊ちゃん」
呆気に取られるギーシュとギャラリー。
だが、ダンテの持つそれが銃だと分かるや否や、周りからダンテを中傷する罵詈雑言が響き渡った。
「卑怯だぞ平民!」
「平民なら平民らしく素手で闘え!」
それに対してギーシュは、再び冷静を装いダンテを見据える。
「悲しいね平民。その一発限りの銃弾が、君の最後の抵抗だと思うと同情するよ」
ダンテに向かって、そう言い放ったギーシュは、更に六体のゴーレムを作り出す。
ギーシュは軍門の家系。親兄弟が統べる鉄砲隊を見てきた彼は、銃のそれが何であるか熟知していた。
「さあ行け!薄汚い平民に、貴族の鉄槌を下せ!」
ギーシュの掛け声と共に六体のゴーレムがダンテに襲い掛かる。
その状況にダンテは特に慌てる様子もなく、左手からもう一丁の拳銃エボニーを取り出し、
右手のアイボリーを交差させた構えで、ゴーレムに向けて引き金を引く。
ギーシュの予想を裏切り、2つの銃口から交互に放たれる無数の弾丸。
おびただしい量の銃撃を受ける六体のゴーレムは、なす術も無く次々と倒れていく。
ダンテは止めとばかりにゴーレムの頭上に飛び上がり、銃技レインストームを繰り出す。
頭上から降り注がれる弾丸の豪雨によって、青銅の女神達は粉々に砕け散った。
決闘場の中心から鳴り響く轟音が止み、ヴィストリの広場一帯はシンと静まり返った。
決闘を見ていたルイズやシエスタを含む学院の生徒達は歓声をあげることも無く、
その場にへたり込むギーシュと、青銅の瓦礫に佇む使い魔を、唯呆然と見ているだけだった。
「なんだ。もう終わりか坊や?」
目の前の男に話しかけられ、我に返ったギーシュは悲鳴を上げる。
「うわああああ!!!」
その場から動くことができないギーシュは、薄笑いを浮かべながら歩み寄るダンテに向かって、一心不乱に薔薇の杖を振り回す。
ダンテがギーシュの持つその杖を取り上げようとしたその時、ズン、という鈍い音と共にダンテの胸元から剣先が突き出た。
最初に頭を砕かれたギーシュのゴーレムが、その手に持った剣でダンテの、背骨から、心臓と、肋骨を、確実に貫いたのである。
静寂から一転して、今度は学生達の悲鳴が響き渡る。
ルイズは悲鳴を呑み込む様に両手で口を塞ぎ、シエスタに至っては、目の前の光景に卒倒して、気を失って倒れてしまった。
「ハッ お前等、人に剣をブッ刺したら血が噴出すってモンだろう。パパから教わらなかったのか?」
注目を浴びる当の使い魔は、胸に刺された剣なぞ気にせず、観客とギーシュを嘲笑い、
おどけた調子で話しながら、最後のゴーレムに蹴りを入れて破壊した。
腰を抜かしたギーシュは、半狂乱で泣き叫ぶ。
「助けて!助けて!助けて!!」
「おいおい、助けて欲しいのは、俺だっ!・・・つうの!」
ダンテは喋りながら、自分の胸に刺された剣を、痛がる素振りも見せずに引き抜く。
胸から取り出したその剣を、ギーシュの足元に突き刺した。
「お前が杖を手放したら俺の勝ちだったよな?」
ギーシュは喋らずに、カクカクと首を縦に振る。
右手に持っていた薔薇の杖はギーシュのすぐ横に転がっていた。
「俺の勝ちだな?じゃあな坊や。退屈凌ぎに丁度良かったぜ」
ダンテは放心しているギーシュから後ずさると、人並みを掻き分けて主人の下へと戻る。
「よう、勝って来たぜ。御主人様」
使い魔のその身体は傷を負った様子も無く、剣など最初から刺されてないかのようだった。
陽気に話しかける使い魔に、周囲に見守られる中、ルイズは恐る恐る質問する。
「アンタ・・・人間なの?ただの平民じゃないの?」
ルイズのその言葉に、ダンテは評し抜けた様子で答える。
「今更何言ってやがる。お前は使い魔を呼んだんだろう?」
ダンテは主人にそう告げると、その隣に倒れていたシエスタを抱きかかえ、ヴィストリの広場を後にした。
#navi(悪魔も泣き出す使い魔)
~貴族の決闘~
色欲に溺れた学院の生徒に鉄槌を下せ
事が起きたのはその日の午後
ルイズのクラスメイトである男子生徒のギーシュが、メイドのシエスタを怒鳴り散らしていた。
何でも浮気がバレてその責任がシエスタにあるとの事らしい。
そんな彼らを見るや、先程カビだらけのパン一切れと冷め切ったスープを平らげたばかりの男が、
物凄く不機嫌な顔で近づいてきた。
ふざけんな 一昨日からピザ1枚も食ってねーぞ
そんな独り言がブツブツと彼から漏れていた。
「よう お坊ちゃん」
「ん?何だね君は!?」
「ミ、ミスタ・ダンテ!?」
人間同士の仲裁には滅多に入る事は無かったダンテだがシエスタだけは特別だった。
「随分軽そうな頭してんな。こんな脳ミソだから高々女2人持て余すんだろうが。ん?」
ギーシュの頭を コンコンッ と軽くノックするダンテ
それに応じて、右の眉毛と右手に持ったバラの杖をヒクヒクさせるギーシュ
「ばっ!、・・・ヴァリエール家の奴隷は教育がなってないようだね」
「ウォオウ ワンっワンっ」
犬の鳴き真似をしながらパンパン両手を叩き、更に挑発するダンテ
「よかろう!!そんなに死にたいなら地獄へ送ってくれる!」
「地獄へ?連れてってくれるのかい?そりゃ嬉しいね」
その一部始終を聞いたルイズにとってはもう後の祭りであった。
「何てことしてくれたのよ!このバカ犬!」
体重と加速を乗せた跳びひざ蹴りがダンテの後頭部に直撃した。
後頭部を押さえ、前屈みの状態から動けない様子でいるダンテ。
「貴族と決闘というのは冗談じゃなく、本当に命に関わるんです!平民では殺されてしまいますっ!」
「それ以前に貴族と使い魔が決闘だなんて聞いたことが無いわ!
私がギーシュに説得しに行くから、アンタ達はここで待ってなさい!」
シエスタとルイズが叫ぶ。それを聞いていたダンテは後ろ髪をボリボリ掻きながら仏頂面で立ち上がった。
「まあ待てよ。平民なら命に関わるんだろう?」
「え?ええ・・そうです」
「だったら自分の使い魔の実力を知る良い機会だと思うんだがね?御主人様?」
随分と的を得ない答えが返ってきた2人は、ポカンとした顔でダンテを見るしかなかった。
そんなルイズ達を余所に使い魔は決闘の場へと向かう。
場所は変わってヴェストリの広場。
決闘と知るや否や暇な学生達はここぞとばかりに顔を出し、あれよあれよと当の2人を取り囲み観戦を待ち望んでいた。
「よく来たな!逃げなかった事を褒めてやろう!」
ギャラリーも大分集まったせいか、いつもよりやや興奮気味なアクションでダンテを迎え入れるギーシュ。
先程のメイド相手ならやや腰も引けたかもしれないが、相手は貴族相手も鼻にかけない、
品の欠片も感じられない慇懃無礼な平民の奴隷。
そんな男をこの場で葬れば、きっと彼女達も自分の事も思い直してくれるであろう。
そんなギーシュに現れた目の前の使い魔が話しかける。
「ルールは?」
「フンッ。教養の無い平民の癖にルールにこだわるとはね」
「遊びにルールは付き物だろ?」
「遊ッ・・!?神聖な貴族の決闘を愚弄するか!」
人ごみからルイズが割って入る
「神聖だと思うのなら今すぐ取り止めにしなさい!」
「自分の使い魔もロクに管理できない主人に代わって、僕が直々に躾けてやるというのだ。
少しは感謝したまえゼロのルイズ」
グウの音も出ない反論であった
そんなギャラリーを他所に、決闘の話は進む。
「それでルールは?勝った場合の条件だけ決めろよ」
「フンッ、いいだろう。それではどちらか一方が「参った」と言った場合を勝ちとしよう。
それと僕はメイジだからね。僕が杖を落とした場合もサービスで加えてやる」
ギーシュが何やら呪文を唱えると、右手に剣を持つ青銅のゴーレムが、ダンテの目の前に現われた。
「今も言ったように僕はメイジだからね。魔法を使って戦わせてもらうよ。
僕の二つ名は"青銅"。青銅の女神達が君の相手になろう。」
ゴーレムがダンテに向かって歩み寄ってくる。
ダンテは右腰からアイボリーを取り出し、セフティを解除しながら照準をゴーレムに向けた。
一発の銃弾が放たれ、ダンテに近づく間もなく、顔を砕かれた青銅の女神像が膝をついて倒れた。
「な、な・・・何が起きたんだ!?」
「銃で撃ったら穴が開いたんだよ。見りゃ解かんだろうが坊ちゃん」
呆気に取られるギーシュとギャラリー。
だが、ダンテの持つそれが銃だと分かるや否や、周りからダンテを中傷する罵詈雑言が響き渡った。
「卑怯だぞ平民!」
「平民なら平民らしく素手で闘え!」
それに対してギーシュは、再び冷静を装いダンテを見据える。
「悲しいね平民。その一発限りの銃弾が、君の最後の抵抗だと思うと同情するよ」
ダンテに向かって、そう言い放ったギーシュは、更に六体のゴーレムを作り出す。
ギーシュは軍門の家系。親兄弟が統べる鉄砲隊を見てきた彼は、銃のそれが何であるか熟知していた。
「さあ行け!薄汚い平民に、貴族の鉄槌を下せ!」
ギーシュの掛け声と共に六体のゴーレムがダンテに襲い掛かる。
その状況にダンテは特に慌てる様子もなく、左手からもう一丁の拳銃エボニーを取り出し、
右手のアイボリーを交差させた構えで、ゴーレムに向けて引き金を引く。
ギーシュの予想を裏切り、2つの銃口から交互に放たれる無数の弾丸。
おびただしい量の銃撃を受ける六体のゴーレムは、なす術も無く次々と倒れていく。
ダンテは止めとばかりにゴーレムの頭上に飛び上がり、銃技レインストームを繰り出す。
頭上から降り注がれる弾丸の豪雨によって、青銅の女神達は粉々に砕け散った。
決闘場の中心から鳴り響く轟音が止み、ヴィストリの広場一帯はシンと静まり返った。
決闘を見ていたルイズやシエスタを含む学院の生徒達は歓声をあげることも無く、
その場にへたり込むギーシュと、青銅の瓦礫に佇む使い魔を、唯呆然と見ているだけだった。
「なんだ。もう終わりか坊や?」
目の前の男に話しかけられ、我に返ったギーシュは悲鳴を上げる。
「うわああああ!!!」
その場から動くことができないギーシュは、薄笑いを浮かべながら歩み寄るダンテに向かって、一心不乱に薔薇の杖を振り回す。
ダンテがギーシュの持つその杖を取り上げようとしたその時、ズン、という鈍い音と共にダンテの胸元から剣先が突き出た。
最初に頭を砕かれたギーシュのゴーレムが、その手に持った剣でダンテの、背骨から、心臓と、肋骨を、確実に貫いたのである。
静寂から一転して、今度は学生達の悲鳴が響き渡る。
ルイズは悲鳴を呑み込む様に両手で口を塞ぎ、シエスタに至っては、目の前の光景に卒倒して、気を失って倒れてしまった。
「ハッ お前等、人に剣をブッ刺したら血が噴出すってモンだろう。パパから教わらなかったのか?」
注目を浴びる当の使い魔は、胸に刺された剣なぞ気にせず、観客とギーシュを嘲笑い、
おどけた調子で話しながら、最後のゴーレムに蹴りを入れて破壊した。
腰を抜かしたギーシュは、半狂乱で泣き叫ぶ。
「助けて!助けて!助けて!!」
「おいおい、助けて欲しいのは、俺だっ!・・・つうの!」
ダンテは喋りながら、自分の胸に刺された剣を、痛がる素振りも見せずに引き抜く。
胸から取り出したその剣を、ギーシュの足元に突き刺した。
「お前が杖を手放したら俺の勝ちだったよな?」
ギーシュは喋らずに、カクカクと首を縦に振る。
右手に持っていた薔薇の杖はギーシュのすぐ横に転がっていた。
「俺の勝ちだな?じゃあな坊や。退屈凌ぎに丁度良かったぜ」
ダンテは放心しているギーシュから後ずさると、人並みを掻き分けて主人の下へと戻る。
「よう、勝って来たぜ。御主人様」
使い魔のその身体は傷を負った様子も無く、剣など最初から刺されてないかのようだった。
陽気に話しかける使い魔に、周囲に見守られる中、ルイズは恐る恐る質問する。
「アンタ・・・人間なの?ただの平民じゃないの?」
ルイズのその言葉に、ダンテは評し抜けた様子で答える。
「今更何言ってやがる。お前は使い魔を呼んだんだろう?」
ダンテは主人にそう告げると、その隣に倒れていたシエスタを抱きかかえ、ヴィストリの広場を後にした。
#navi(悪魔も泣き出す使い魔)
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