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~使い魔の勤め~
主人から下される指令をこなせ
早朝、朝食の給仕の準備に向かうシエスタは、学院の廊下で洗濯篭を抱えた男に呼び止められる。
「おい、ちょっと聞きたいんだけどな」
「は、はい!何でしょう?」
ガタイの良い大男に話しかけられ、シエスタはドキっとした。
「コインランドリーはどこだ?」
「え?コイン!?えーえっと・・・」
「チッ、分かってるよ。コイツを洗いたいんだけどな」
ダンテはシエスタに自分の持つ洗濯物を差し出す。
「まあそうでしたら・・・。もしかして貴方は、ミス・ヴァリエールの使い魔でいらっしゃいますか?」
一瞬、誰の事だか分からなかったダンテ。
ルイズの長ったらしいフルネームは一度聞かされたが、最初から憶える気が無かった。
「まあね」とダンテは適当に答える。シエスタは興味津々な顔でダンテに詰め寄った。
「昨日から噂になってますよ。平民の使い魔が召喚されたって」
「アンタも魔法使いってヤツなのか?」
「いいえ、私も平民ですから。魔法の使えない私達の様な平民は、この学院で貴族の方をお世話させて頂いているのです」
「若くてカワイイのに、ご苦労なこった」
ダンテの言葉に、シエスタは頬を赤く染めて、照れたような仕草をする。
「やだ、お世辞がお上手ですね使い魔さんは」
「お世辞でもないんだけどな。それより」
「ああっ お洗濯ですね!?失礼しました。直ぐご案内します。」
少女の笑顔から一変して、メイドの顔に戻ったシエスタは、慌てて外の水場へ案内する。
そこでダンテは制服の手洗いを始めるが、一緒について来たシエスタも「折角ですから」と、
洗い物を手伝ってくれた。
「アンタ良い奴だな。お陰で早く終わりそうだ」
「いえ、これも仕事の内ですから。他にも何かございましたら、何でもおっしゃって下さいね。ええーと・・・」
「ダンテだ。アンタが困ってた時には、タダで請け負ってやるぜ」
「私はシエスタです。よろしくお願いしますわ。ミスタ・ダンテ」
洗濯が終わり、シエスタと別れてルイズの部屋へと戻る。
そこにはシーツを蹴散らし、あられもない格好で寝ているルイズがいびきをかいていた。
ダンテはそんな主人を気にも留めずに、洗い終わった制服を着々と干していく。
そうしているうちに、ルイズが目を覚まして、ダンテに話しかけてきた。
「うーん。・・・あんた誰?」
「御嬢様の使い魔さ」
「んー。これ」
寝ぼけ眼のボケっとした顔でバケツを差し出す。
「水」
「あん?」
「顔洗うから水汲んできて」
ダンテは渡されたバケツを手に取ると、寮塔の3階にあるルイズの部屋の窓から飛び降りた。
戻ってくる時も窓から入ってきたが、すぐさまベッドに寝転んでいたルイズは、それを見てなかった。
「ほら、起きろ」と、ダンテによってベッドから引きずり出しされたルイズは、渋々とバケツの水を洗面器に移し変え顔を洗う。
ようやく目を覚ましたルイズは、使い魔に向かって次の仕事を言い渡す。
「服」
「今度は何だ?」
「着させて」
ダンテは一つ溜息をついてから、ルイズに尋ねた。
「一つ聞いていいか?」
「何よ」
「ここはジュニアスクールか?」
「ジュニアって、失礼ね。私はもう16よ!」
そういえばシエスタも同じくらいの年って言ってたな。何なんだこの差は。
そう思いながらダンテは主人に問い詰める。
「16の御嬢様は着替えも一人で満足にできないのか?」
「私は貴族なの。貴族は下僕がいる時には、自分で服なんて着ないの!」
「はいはい。わかりましたよ御主人様」
ダンテは溜息混じりに返事をし、引き出しから下着と制服を取り出し、ルイズに着させようとする。
近づいてくるダンテの顔に、ルイズは一瞬ドキっとする。
「い、いいい、いい!やっぱり自分で着替える!!」
「何だよ急に」
困惑するダンテから下着と制服を取り上げると、いそいそと着替え始める。
そして、自分の使い魔がチラっとでも婚約者と重ねて見てしまった、などと思ったルイズは自らを恥じた。
「アンタはこの部屋の掃除をしてなさい。掃除が終わったら、私が戻ってくるまで大人しくここで待ってるのよ」
使い魔にそう告げると、ルイズはバタン!とドアを閉めて部屋から出て行った。
主人を見送ったダンテは、掃除など始める訳でもなく、床にゴロンと寝そべって考え込んだ。
「やれやれ、本格的にガキのお守りじゃねえかよ・・・」
これから刺激の無い日常が繰り返されると思うと、ダンテは深く溜息をついた。
ダンテがルイズと再び出会ったのは、彼女が授業の真っ最中の時間帯であった。
「ふーん すげえんだな、魔法って。」
「うるさいわねっ!!それ以上無駄口叩くと明日もご飯抜きにしてやるんだから!」
ルイズに呼び出された場所は、瓦礫の山と化した教室だった。
何でも錬金の実習でルイズが教師生徒を巻き込む大爆発を引き起こしたらしい。
「何を失敗したんだ?」
「錬金よ。金属を錬金する実習だったの」
「それでこの有り様か?」
教室がこうなってしまった状況について、色々質問してくる使い魔に、ルイズは耐え切れずに叫んだ。
「そうよ!失敗したのよ!未だに空も飛べない!錬金もできない!
魔法を唱えればこんな失敗ばかりの成功率ゼロ!ゼロ!ゼロ!お陰で周りの皆から呼ばれるあだ名は"ゼロのルイズ"よ!」
何をどう間違えたら錬金が爆発に至るのかダンテには理解できなかったが、
これ程の規模の被害を出すには並大抵のエネルギーではないということは感じた。
「失敗じゃないさ。周りを見ろよ」
「何がよ!」
「これだけの爆発を起こしたんだ。魔法はできたんだろ?使い方を間違えただけだ」
両手を広げて、教室を見回しながら身振り手振りルイズに論するダンテ。
ダンテがこんな話ができるのは、デビルアームズを介して、己の内に眠る魔力を開放できる様になった今だからこそである。
「それに、俺をこの学校に呼ぶのにお前は魔法を使ったのか?」
「そうよ」
「だったら成功したんじゃねえか。ゼロじゃねえよ」
そう言われてきょとんとするルイズを他所に、着々と教室の片付けを進めるダンテ。
瓦礫をまとめ、机を元の位置に戻し、窓を拭いている内に色々と考え込んでいた。
そういえば愛剣がないな。元の世界に置いて来たんだろう。他の魔具は?まあ、またあの塔に封印されたんだろう。
しかし親父の剣が無いのはマズイ。あれだけ必死こいて取り戻した剣である。
無くしたり折れたりなんかしたら母と兄に殺される。多分、呪い殺される。
掃除を行っている中、みるみる青冷めるダンテの横顔が目につき、少し不安げな表情をしながらルイズが小さく漏らす。
「ま、まあ、洗濯もきちんとやってくれてるみたいだし、ここの片付けにも、・・・一応感謝しといてあげるから」
教室の片付けが終わったのは昼食の時間の直前。ルイズは教室から出て行こうとする使い魔に話しかけた。
「どこ行くのよ。昼食の時間なんだからこっちに来なさい」
「今日一日メシ抜きじゃなかったのか?」
「ここを片付けた、ご、ご褒美の一つでもあげようと思ってんのよ」
「ハハッ、優しい御主人様に涙がこぼれそうだね」
#navi(悪魔も泣き出す使い魔)
~使い魔の勤め~
主人から下される指令をこなせ
早朝、朝食の給仕の準備に向かうシエスタは、学院の廊下で洗濯篭を抱えた男に呼び止められる。
「おい、ちょっと聞きたいんだけどな」
「は、はい!何でしょう?」
ガタイの良い大男に話しかけられ、シエスタはドキっとした。
「コインランドリーはどこだ?」
「え?コイン!?えーえっと・・・」
「チッ、分かってるよ。コイツを洗いたいんだけどな」
ダンテはシエスタに自分の持つ洗濯物を差し出す。
「まあそうでしたら・・・。もしかして貴方は、ミス・ヴァリエールの使い魔でいらっしゃいますか?」
一瞬、誰の事だか分からなかったダンテ。
ルイズの長ったらしいフルネームは一度聞かされたが、最初から憶える気が無かった。
「まあね」とダンテは適当に答える。シエスタは興味津々な顔でダンテに詰め寄った。
「昨日から噂になってますよ。平民の使い魔が召喚されたって」
「アンタも魔法使いってヤツなのか?」
「いいえ、私も平民ですから。魔法の使えない私達の様な平民は、この学院で貴族の方をお世話させて頂いているのです」
「若くてカワイイのに、ご苦労なこった」
ダンテの言葉に、シエスタは頬を赤く染めて、照れたような仕草をする。
「やだ、お世辞がお上手ですね使い魔さんは」
「お世辞でもないんだけどな。それより」
「ああっ お洗濯ですね!?失礼しました。直ぐご案内します。」
少女の笑顔から一変して、メイドの顔に戻ったシエスタは、慌てて外の水場へ案内する。
そこでダンテは制服の手洗いを始めるが、一緒について来たシエスタも「折角ですから」と、
洗い物を手伝ってくれた。
「アンタ良い奴だな。お陰で早く終わりそうだ」
「いえ、これも仕事の内ですから。他にも何かございましたら、何でもおっしゃって下さいね。ええーと・・・」
「ダンテだ。アンタが困ってた時には、タダで請け負ってやるぜ」
「私はシエスタです。よろしくお願いしますわ。ミスタ・ダンテ」
洗濯が終わり、シエスタと別れてルイズの部屋へと戻る。
そこにはシーツを蹴散らし、あられもない格好で寝ているルイズがいびきをかいていた。
ダンテはそんな主人を気にも留めずに、洗い終わった制服を着々と干していく。
そうしているうちに、ルイズが目を覚まして、ダンテに話しかけてきた。
「うーん。・・・あんた誰?」
「御嬢様の使い魔さ」
「んー。これ」
寝ぼけ眼のボケっとした顔でバケツを差し出す。
「水」
「あん?」
「顔洗うから水汲んできて」
ダンテは渡されたバケツを手に取ると、寮塔の3階にあるルイズの部屋の窓から飛び降りた。
戻ってくる時も窓から入ってきたが、すぐさまベッドに寝転んでいたルイズは、それを見てなかった。
「ほら、起きろ」と、ダンテによってベッドから引きずり出しされたルイズは、渋々とバケツの水を洗面器に移し変え顔を洗う。
ようやく目を覚ましたルイズは、使い魔に向かって次の仕事を言い渡す。
「服」
「今度は何だ?」
「着させて」
ダンテは一つ溜息をついてから、ルイズに尋ねた。
「一つ聞いていいか?」
「何よ」
「ここはジュニアスクールか?」
「ジュニアって、失礼ね。私はもう16よ!」
そういえばシエスタも同じくらいの年って言ってたな。何なんだこの差は。
そう思いながらダンテは主人に問い詰める。
「16の御嬢様は着替えも一人で満足にできないのか?」
「私は貴族なの。貴族は下僕がいる時には、自分で服なんて着ないの!」
「はいはい。わかりましたよ御主人様」
ダンテは溜息混じりに返事をし、引き出しから下着と制服を取り出し、ルイズに着させようとする。
近づいてくるダンテの顔に、ルイズは一瞬ドキっとする。
「い、いいい、いい!やっぱり自分で着替える!!」
「何だよ急に」
困惑するダンテから下着と制服を取り上げると、いそいそと着替え始める。
そして、自分の使い魔がチラっとでも婚約者と重ねて見てしまった、などと思ったルイズは自らを恥じた。
「アンタはこの部屋の掃除をしてなさい。掃除が終わったら、私が戻ってくるまで大人しくここで待ってるのよ」
使い魔にそう告げると、ルイズはバタン!とドアを閉めて部屋から出て行った。
主人を見送ったダンテは、掃除など始める訳でもなく、床にゴロンと寝そべって考え込んだ。
「やれやれ、本格的にガキのお守りじゃねえかよ・・・」
これから刺激の無い日常が繰り返されると思うと、ダンテは深く溜息をついた。
ダンテがルイズと再び出会ったのは、彼女が授業の真っ最中の時間帯であった。
「ふーん すげえんだな、魔法って。」
「うるさいわねっ!!それ以上無駄口叩くと明日もご飯抜きにしてやるんだから!」
ルイズに呼び出された場所は、瓦礫の山と化した教室だった。
何でも錬金の実習でルイズが教師生徒を巻き込む大爆発を引き起こしたらしい。
「何を失敗したんだ?」
「錬金よ。金属を錬金する実習だったの」
「それでこの有り様か?」
教室がこうなってしまった状況について、色々質問してくる使い魔に、ルイズは耐え切れずに叫んだ。
「そうよ!失敗したのよ!未だに空も飛べない!錬金もできない!
魔法を唱えればこんな失敗ばかりの成功率ゼロ!ゼロ!ゼロ!お陰で周りの皆から呼ばれるあだ名は"ゼロのルイズ"よ!」
何をどう間違えたら錬金が爆発に至るのかダンテには理解できなかったが、
これ程の規模の被害を出すには並大抵のエネルギーではないということは感じた。
「失敗じゃないさ。周りを見ろよ」
「何がよ!」
「これだけの爆発を起こしたんだ。魔法はできたんだろ?使い方を間違えただけだ」
両手を広げて、教室を見回しながら身振り手振りルイズに論するダンテ。
ダンテがこんな話ができるのは、デビルアームズを介して、己の内に眠る魔力を開放できる様になった今だからこそである。
「それに、俺をこの学校に呼ぶのにお前は魔法を使ったのか?」
「そうよ」
「だったら成功したんじゃねえか。ゼロじゃねえよ」
そう言われてきょとんとするルイズを他所に、着々と教室の片付けを進めるダンテ。
瓦礫をまとめ、机を元の位置に戻し、窓を拭いている内に色々と考え込んでいた。
そういえば愛剣がないな。元の世界に置いて来たんだろう。他の魔具は?まあ、またあの塔に封印されたんだろう。
しかし親父の剣が無いのはマズイ。あれだけ必死こいて取り戻した剣である。
無くしたり折れたりなんかしたら母と兄に殺される。多分、呪い殺される。
掃除を行っている中、みるみる青冷めるダンテの横顔が目につき、少し不安げな表情をしながらルイズが小さく漏らす。
「ま、まあ、洗濯もきちんとやってくれてるみたいだし、ここの片付けにも、・・・一応感謝しといてあげるから」
教室の片付けが終わったのは昼食の時間の直前。ルイズは教室から出て行こうとする使い魔に話しかけた。
「どこ行くのよ。昼食の時間なんだからこっちに来なさい」
「今日一日メシ抜きじゃなかったのか?」
「ここを片付けた、ご、ご褒美の一つでもあげようと思ってんのよ」
「ハハッ、優しい御主人様に涙がこぼれそうだね」
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