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「虚無(ゼロ)からはじめる筋肉革命-01」(2008/02/20 (水) 17:12:00) の最新版変更点
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「宇宙のはてのどこかにいる私のしもべよ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! わが導きに、応えなさい!」
爆発。
そして立ち込める煙。
しかし、いつもの失敗とはまるで手応えが違う。
(やった! 成功した!)
自分でも喜びのあまり鳥肌がたった。
すでに何十回も呪文を唱え、その度に失敗していたので足はガクガクするし喉はとっくにかれていた。
それでも喜ばずにはいられなかった。
(これでもう『ゼロのルイズ』なんて呼ばせない! 私を見下していたやつらを見返すことだってできる!それから、それからっ―――)
「おい、見ろよ!」
喜びに浸っていた私はその声で我に返った。
「『ゼロのルイズ』が平民を召喚したぞ!」
白煙から現れたのは、グリフォンでもドラゴンでもなく、ましてや犬や猫でもなかった。
草むらに大の字に倒れて気を失っているのは、変わった格好をした『平民』だった。
私はその場にがくりと膝をついた。
どれくらい時間がたったのだろうか。
気づけばもう周りに生徒たちはほとんどいなかった。
おそらくすぐ後ろで静かに見守っている、教師であるミスタ・コルベールが自分が泣き崩れている間に先に帰らせたのだろう。
召喚が終わった生徒で残っているのは、心配そうにこちらを見てくるキュルケとその友人らしき眼鏡をかけた少女だけだった。
(あぁ、そういえばキュルケに大見得きったのに、その成果が今のざまね……)
『私、召喚魔法“サモン・サーヴァント”だけは自信があるの!』
『みてなさい! あんたたち全員でも及ばないほど、神聖で、美しく、そして強力な使い魔を呼び出してみせるわ!』
自分の心に黒くて重いものが圧し掛かってくるのを感じた。
「ミス・ヴァリエール召喚の儀式の続きを」
ミスタ・コルベールが自分に召喚の儀式の続きをするように促す。
「……はい」
大きく息を吸い込み、吐く。
深呼吸を終え、呪文を唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
目の前に倒れている男の姿を改めて見てみる。
身長はおそらく自分と頭二つ分くらいかそれ以上差があり、体格もいい。
ぼさっとした黒髪の隙間から赤くて細い布が額に巻かれている。
その布と同じ真っ赤な色の服を包むように、裾の短さが目立つ黒い長袖の羽織のようなものを着込んでいた。
ズボンは見た目ざらざらしそうな青っぽい生地だが、少なくとも自分の知らない材質だった。
これからこの男に自分のファーストキスをあげると考えるだけで、うんざりした気持ちになったが、自分の進級には欠かすことはできない儀式なのだと割り切り、涙を呑んで我慢することにした。
だんだんと唇を近づけ、やがて相手との距離がゼロとなる。
触れている時間はほんの数秒間。
その時間が少しだけ長く感じた。
「終わりました」
そういうとコルベールはニコリと笑顔を向けて頷いてくれた。
どうやら成功したらしい。
「……う……ぅ」
足元にいる使い魔になった男は、体から湯気を出しながら左手を押さえ、うめいていた。
「使い魔のルーンが刻まれているだけよ。というか、さっさと起きなさい!」
まだ夢の中にいる使い魔を起こそうと、足で軽く小突いた。
次の瞬間、
「うおおぉぉおおぉぉーっ! んなこと頼むかあぁぁぁーーーーーーっ!!!」
急に起き上がったかと思うと、いきなり雄叫びをあげた。
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