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「悪魔も泣き出す使い魔-mission12 後編」(2008/02/28 (木) 18:13:13) の最新版変更点
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場所は変わって、再びアヴィリーズの食堂。
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢の・・、(えっと、いいのですか本当に?)
(・・・はあ、それでは)・・・。おな~~~り~~~~!」
少し、微妙な間隔を空けて、門に控えた呼び出しの衛士が、ルイズの到着を告げた。
ホールの壮麗な門が開き、そこへ現れたルイズの姿に、会場の皆が息を飲んだ。
ホワイトのパーティドレスに身を包み、肘までの白い手袋に包まれたその両手には、愛用の鞭と使い魔の愛剣が、それぞれ握られていた。
目を釣り上げ、仁王立ちで佇むその姿は、ちょっとアブナイ人と間違えられても、差し支えない印象だった。
会場内の生徒や教師達は、踊りに勤しむ足や、料理に伸ばす手を止め、珍獣を見るような目つきでルイズを凝視していた。
今のルイズは、ある意味で注目の的となっていたのである。
そんな視線を払いのけて、会場内の生徒や教師達に、片っ端から使い魔の所存を聞きながら歩いて回るルイズ。
そこへ、水色の清楚なドレスで着飾ったモンモランシーが、ルイズに話しかけてきた。
「ちょっと、ルイズってば!」
「何よ?私は今忙しいの。後にしてちょうだい」
獲物を求める野獣と化したルイズにとって、モンモランシーは眼中に無い存在だった。
それでもモンモランシーは引き下がらない。
「そうはいかないわよ。ギーシュがいないの。どこにいるのか、貴女知ってるんじゃない?」
「知るわけ無いでしょ!私だって使い魔を探してる真っ最中なんだから」
使い魔の所在も分からないと知るや、モンモランシーの顔が一気に青ざめた。
「・・・何だか嫌な予感がするわ。ねえ、貴女の使い魔が、またギーシュに何かしたんじゃないでしょうね?」
「だから、知らないって!大体ねえ、そんな所業を見つけたら今すぐ息の根を止めてやるわよ!」
「息の根をって・・・、物騒な事言わないでよ!ていうか一体どっちの息の根よ!?ねえ、ギーシュをどこにやったの?今すぐ返して!」
半狂乱になったモンモランシーがルイズの首を絞めた。
それから二人が取っ組み合いを始めてから暫くして、楽士達は手を止め、それを合図に段々とホールの明かりが暗転していった。
何事かとざわめく場内。それから暫くして、今までステージを覆い隠していたどん帳が、ゆっくりと上がっていった。
ステージにスポットが当たる。そこには、学院の宝物庫から引っ張り出された品の数々と、ルイズ達の探し人があった。
破壊の杖と呼ばれていたネヴァンを抱えるダンテ。
その左右には、同じくレスポールギターを抱えたオスマンと、ベースを持ったギーシュ。
後ろには設置されたドラムセットには、半べそをかいているマルコリヌが座っていた。
ステージの両サイドに設置されている、ネヴァンが拵えたアンプから、ギターチューニングの電子音が響く。
それから中央のダンテが、ネヴァンをギューン!と鳴らしながら、その場でジャンプすると同時に、
ステージバックから爆発音と共に、何本もの火柱が舞い上がった。
「 R e t ' s L o c k ! 」
ダンテの咆哮と共にそれは始まった。
雷の弦を掻き鳴らすダンテ
軽快な指さばきでギターを弾くオスマン
おぼつかない挙動でベースを弄るギーシュ
一心不乱にドラムを叩くマルコリヌ
ステージ上で繰り広げられる奇行と共に、アヴィリーズの食堂全域に響き渡る絶叫と轟音。
皆唖然として、その光景を見ていた。
その異形さから、何か新種の儀式なのだろうかとも思う教師も何人かいた。
ダンテはこのメンバーだと、まともな演奏にならないのは分かり切っていたので、ジュークボックスを背後に置き、
そこから大音量で流れるBGMに合わせてにギターを弾いていた。ギターとボックスの電源はネヴァンの蝙蝠から供給されていた。
主役は自分達だ。そう確信したギーシュは、興奮しながらギャラリーに薔薇を撒き散らしていった。
マルコリヌは段々ハイになってきたのか、きらめく汗を飛び散らせながら、さらに激しくドラムを叩いた。
ダンテにとっても意外な存在だったのはオスマンだった。夜な夜な宝物庫に入っては、独学で練習でもしていたのだろうか。
一流ギタリストと呼んでも差し支えない程のプレイを、ステージ前で呆けている教師達に、これでもかと見せ付けていた。
今し方、優雅な舞踏会を満喫していた貴族一同は、オスマン達のパフォーマンスを、ただ見ている事しかできなかった。
そんな中、ステージを見るコルベールは手を叩いて喜んでいた。
「ほれ、ミス・ツェルプストー。あの花火は私が作ってみせたのだ!」
「・・・そ、そうだったの?流石は炎蛇の手腕ねっ。とても力強い輝きですわ!」
キュルケは呆気に取られる自我をどうにか保ち、コルベールを賛美した。
「そうかね?気に入ったかね!
しかし、彼は破壊の杖の本当の使い方を教えてやる、と言っていたが。成る程、アレは楽器だったのか!」
楽器というのは解ったが、コレを果たして音楽と呼んでいいのか。流石のゲルマニア育ちのキュルケも頭を痛めた。
タバサはいつもの無表情だったが、ヒーローショーを見る子供のように、目の奥底を爛々と輝かせながらステージに食い入っていた。
そんなタバサの眼差しに応えるかの如く、オスマンがギターを背中に担ぎ、首を上下に振りながら演奏して見せた。
「・・・何あれ?」
「だから、私に聞かないでよ・・・」
ルイズとモンモランシーは、ギーシュが投げた薔薇の花が頭に付いたのを気づく事も無く、ステージの様子を硬直しながら見ていた。
オスマンが、とうとうギターを逆さに持って、アンプを殴り出した。それを見たダンテは、オスマンをステージから蹴り飛ばす。
何だかよく分からないうちに、周囲の観客達はダンテ達に喝采を浴びせていた。
「Yeaaaa Haah ! ! ! F o o o ! ! ! ! !」
ギャラリーから熱い声援を送られたダンテは、興奮も絶頂に達し、その場にしゃがみ込みながらスライディングし、
満足気な顔でそのまま仰向けに倒れこんでしまった。
熱気冷めやらぬ場内。そんな空気に触発されたのか、ルイズに握られていたデルフリンガーが、こう叫んだ。
「おでれーた!こんなイカレた使い魔は初めて見たぜ!」
フリッグのライブは、その夜が明けるまで続いた。
#navi(悪魔も泣き出す使い魔)
場所は変わって、再びアヴィリーズの食堂。
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢の・・、(えっと、いいのですか本当に?)
(・・・はあ、それでは)・・・。おな~~~り~~~~!」
少し、微妙な間隔を空けて、門に控えた呼び出しの衛士が、ルイズの到着を告げた。
ホールの壮麗な門が開き、そこへ現れたルイズの姿に、会場の皆が息を飲んだ。
ホワイトのパーティドレスに身を包み、肘までの白い手袋に包まれたその両手には、愛用の鞭と使い魔の愛剣が、それぞれ握られていた。
目を釣り上げ、仁王立ちで佇むその姿は、ちょっとアブナイ人と間違えられても、差し支えない印象だった。
会場内の生徒や教師達は、踊りに勤しむ足や、料理に伸ばす手を止め、珍獣を見るような目つきでルイズを凝視していた。
今のルイズは、ある意味で注目の的となっていたのである。
そんな視線を払いのけて、会場内の生徒や教師達に、片っ端から使い魔の所存を聞きながら歩いて回るルイズ。
そこへ、水色の清楚なドレスで着飾ったモンモランシーが、ルイズに話しかけてきた。
「ちょっと、ルイズってば!」
「何よ?私は今忙しいの。後にしてちょうだい」
獲物を求める野獣と化したルイズにとって、モンモランシーは眼中に無い存在だった。
それでもモンモランシーは引き下がらない。
「そうはいかないわよ。ギーシュがいないの。どこにいるのか、貴女知ってるんじゃない?」
「知るわけ無いでしょ!私だって使い魔を探してる真っ最中なんだから」
使い魔の所在も分からないと知るや、モンモランシーの顔が一気に青ざめた。
「・・・何だか嫌な予感がするわ。ねえ、貴女の使い魔が、またギーシュに何かしたんじゃないでしょうね?」
「だから、知らないって!大体ねえ、そんな所業を見つけたら今すぐ息の根を止めてやるわよ!」
「息の根をって・・・、物騒な事言わないでよ!ていうか一体どっちの息の根よ!?ねえ、ギーシュをどこにやったの?今すぐ返して!」
半狂乱になったモンモランシーがルイズの首を絞めた。
それから二人が取っ組み合いを始めてから暫くして、楽士達は手を止め、それを合図に段々とホールの明かりが暗転していった。
何事かとざわめく場内。それから暫くして、今までステージを覆い隠していたどん帳が、ゆっくりと上がっていった。
ステージにスポットが当たる。そこには、学院の宝物庫から引っ張り出された品の数々と、ルイズ達の探し人があった。
破壊の杖と呼ばれていたネヴァンを抱えるダンテ。
その左右には、同じくレスポールギターを抱えたオスマンと、ベースを持ったギーシュ。
後ろには設置されたドラムセットには、半べそをかいているマルコリヌが座っていた。
ステージの両サイドに設置されている、ネヴァンが拵えたアンプから、ギターチューニングの電子音が響く。
それから中央のダンテが、ネヴァンをギューン!と鳴らしながら、その場でジャンプすると同時に、
ステージバックから爆発音と共に、何本もの火柱が舞い上がった。
「 R e t ' s L o c k ! 」
ダンテの咆哮と共にそれは始まった。
雷の弦を掻き鳴らすダンテ
軽快な指さばきでギターを弾くオスマン
おぼつかない挙動でベースを弄るギーシュ
一心不乱にドラムを叩くマルコリヌ
ステージ上で繰り広げられる奇行と共に、アヴィリーズの食堂全域に響き渡る絶叫と轟音。
皆唖然として、その光景を見ていた。
その異形さから、何か新種の儀式なのだろうかとも思う教師も何人かいた。
ダンテはこのメンバーだと、まともな演奏にならないのは分かり切っていたので、ジュークボックスを背後に置き、
そこから大音量で流れるBGMに合わせてにギターを弾いていた。ギターとボックスの電源はネヴァンの蝙蝠から供給されていた。
主役は自分達だ。そう確信したギーシュは、興奮しながらギャラリーに薔薇を撒き散らしていった。
マルコリヌは段々ハイになってきたのか、きらめく汗を飛び散らせながら、さらに激しくドラムを叩いた。
ダンテにとっても意外な存在だったのはオスマンだった。夜な夜な宝物庫に入っては、独学で練習でもしていたのだろうか。
一流ギタリストと呼んでも差し支えない程のプレイを、ステージ前で呆けている教師達に、これでもかと見せ付けていた。
今し方、優雅な舞踏会を満喫していた貴族一同は、オスマン達のパフォーマンスを、ただ見ている事しかできなかった。
そんな中、ステージを見るコルベールは手を叩いて喜んでいた。
「ほれ、ミス・ツェルプストー。あの花火は私が作ってみせたのだ!」
「・・・そ、そうだったの?流石は炎蛇の手腕ねっ。とても力強い輝きですわ!」
キュルケは呆気に取られる自我をどうにか保ち、コルベールを賛美した。
「そうかね?気に入ったかね!
しかし、彼は破壊の杖の本当の使い方を教えてやる、と言っていたが。成る程、アレは楽器だったのか!」
楽器というのは解ったが、コレを果たして音楽と呼んでいいのか。流石のゲルマニア育ちのキュルケも頭を痛めた。
タバサはいつもの無表情だったが、ヒーローショーを見る子供のように、目の奥底を爛々と輝かせながらステージに食い入っていた。
そんなタバサの眼差しに応えるかの如く、オスマンがギターを背中に担ぎ、首を上下に振りながら演奏して見せた。
「・・・何あれ?」
「だから、私に聞かないでよ・・・」
ルイズとモンモランシーは、ギーシュが投げた薔薇の花が頭に付いたのを気づく事も無く、ステージの様子を硬直しながら見ていた。
オスマンが、とうとうギターを逆さに持って、アンプを殴り出した。それを見たダンテは、オスマンをステージから蹴り飛ばす。
何だかよく分からないうちに、周囲の観客達はダンテ達に喝采を浴びせていた。
「Yeaaaa Haah ! ! ! F o o o ! ! ! ! !」
ギャラリーから熱い声援を送られたダンテは、興奮も絶頂に達し、その場にしゃがみ込みながらスライディングし、
満足気な顔でそのまま仰向けに倒れこんでしまった。
熱気冷めやらぬ場内。そんな空気に触発されたのか、ルイズに握られていたデルフリンガーが、こう叫んだ。
「おでれーた!こんなイカレた使い魔は初めて見たぜ!」
フリッグのライブは、その夜が明けるまで続いた。
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