「虚無の太陽」(2008/02/09 (土) 23:09:06) の最新版変更点
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ルイズが召喚したのは金色に輝く丸い球体だった。
だが、その大きさは尋常ではない。
その大きさと輝きから太陽のようにも思われた。
だが、ただ浮かんでいる以外、何のアクションも起こさない。
契約は結べたものの、使い魔はそこから動かず、上空で動きを止めたまま放置された。
夜も金色に輝くため、昼夜の区別が付かなくなり、その使い魔周辺の生徒からは苦情が来た事意外は問題はなかった。
その翌日
ギーシュの二股に口を出したルイズにギーシュが決闘を申し込んだ。
“ゼロ”と呼ばれ、引くに引けなくなり、あの使い魔の下で決闘をすることになってしまった。
「逃げずに来たのはほめてやろう。だが、手加減はしない。」
「手加減?馬鹿いわないで。」
そうは言ったものの、数々のワルキューレに歯が立つはずもないルイズ。
もはやこれまで、と思った矢先、頭に聞いた事のない“呪文”のようなものが聞こえてきた。
それが勝手に口をついて出る。
いよいよ気が狂ったかと周りが思ったその瞬間―
―頭上の球体がいっそうの輝きを放ち、球体に線が入って割れ、その形を変える
その金色の姿は翼の生えた竜―太陽神の翼竜のようだった。
その威光が学院を照らし、ワルキューレを照らす。
太陽神がその翼を大きくはばたかせる。
その風により、ワルキューレたちが一瞬で砕け散る。
それどころか、風がが周囲のものをなぎ倒し、観戦していた生徒が吹き飛ばされる。
ギーシュもその例外ではなく吹き飛ばされる。
しかし、ルイズだけ吹き飛ばされる事はなかった。
その後、ルイズが怪我で意識を失うと共に、太陽神は元の球体に戻ってしまった。
それから数日後…
土くれのフーケの手により、学院から封印の黄金櫃と千年輪なるものが盗まれた。
ルイズはその奪還に乗り出す。相変わらず、使い魔は球体のままで動く気配すらなかったが。
「で、どうするの?」
「誰か偵察に。」
タバサの提案でルイズが偵察に行く事になった。
正直、このくらいしか役に立てないと思われたのだろう。
敵がいないのを確認して、小屋の中に入る。
中の黄金櫃は手を付けられていないようだ。
だが、千年輪だけ見つかる事はなかった。
すでにフーケがどこかへ売りに出たのだろうか?
もしそうなら探すのは時間の無駄である。
そう思い、一度引き返す事にした一行。
「ねえ、あけてみましょうよ。」
「駄目よ!さっさと持ち帰らないと。」
「だってそうじゃなきゃ見る機会なんてないわよ?
フーケだっていないみたいだし、いいじゃない?」
タバサも興味ありげで、反論できなくなり、しぶしぶ黄金櫃を開けるルイズ。
そこにはばらばらになった何かの“かけら”が入っていた。
「何これ?」
「黄金の…パズル?」
粉々に砕けたその様はまるでパズルのようだった。
キュルケが組み立てようと試みるが何故だかピースが合わない。
タバサも同様に組み立てられなかった。
しかし、ルイズが手にすると、まるで最初から砕かれていなかったかのようにいとも簡単にくみ上げられたのだ。
しかしその直後、小屋の屋根が吹き飛ぶ――ゴーレムだ。
あわてて外に避難して、応戦するが、歯が立たない。
しばらくして、キュルケとタバサの精神力が底を付いた。
もはや万事休す―と思ったとき、先ほどのパズルが輝き、頭の中に“呪文”が浮かんで来る。
頭上の暗雲が裂け、その隙間から光が差し込む。
またもパズルが輝き、歌が聞こえ始めた。
その歌と共に頭上から何かが顔を出す。
ルイズの使い魔、あの翼竜だ。
そして先の戦闘では見せなかった動きを見せ始めた。
「まさか、火でも吐くというの?」
口から焔が漏れ出す。
大きく口を開け、火球を吐き出した。
―ゴッド・ブレイズ・キャノン!
パズルからそんな声が聞こえた気がした。
その火球はゴーレムに直撃し、それを跡形も残さず、いや塵すら残さず焼き尽くした。
その後、フーケは姿をくらましたのか、二度目の攻撃はなかった。
翼竜もまた雲の向こうに姿を消し、学院に戻っていってしまった。
ルイズが対するは7万の兵。
無数の足音が地面を揺らす。
目には覚悟。手には一本の杖。
胸にはあのときのパズル。
そして、背には守るべき仲間の命を負って、敵を睨みつける。
ルイズの姿を兵士が確認する。
その直後、兵士達の耳に歌が聞こえ始める。
―精霊は歌う。大いなる力、全ての万物を司らん。その命、その魂、そしてその骸さえも―
それと共に輝く球体が空に現れ、それが翼竜へと変貌を遂げた。
さらにルイズは新たなる“呪文”を唱え始めた。
その言葉を聴いた翼竜がさらに姿を変え始めた。
その身を焔に包む。
その姿は翼竜というよりも…
「ふ、不死鳥…。」
その姿に圧倒される7万の兵士。
不死鳥が翼をはばたかせた。
「燃ゆる魂の業火!!
この神の一撃にこめる!!」
杖を一振りし、攻撃を命令するルイズ。
神の攻撃!
―ゴッドフェニックス―
聖なる太陽神の焔が全てを焼き尽くし、一夜にしてアルビオン軍は滅んだ。
その生き残りは口をそろえてこう言う。
―神の光臨だった、と。
そして、その太陽神は後の世まで語り継がれ、
闇夜に太陽を、絶望に希望をもたらす神として人々にあがめられ続けたそうな。
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