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「SnakeTales Z 蛇の使い魔-13」(2008/03/17 (月) 15:34:10) の最新版変更点
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巨大ゴーレムの肩の上にフーケが立っている。
どうやら、食事に誘いに来たと言うわけではなさそうだ。
隣には白い仮面を付けた男が立っている。
脱獄を手伝った貴族だろうか?何もしゃべらない。
「相変わらずいい女だな、フーケ。」
「あんたこそいい男ね、スネーク。」
RPGを構える。
「そんな物騒なもの構えないで頂戴。」
「そっちこそ、ゴーレムなんて何のつもりだ?」
ゴーレムが右手を振り上げる。
「チェルノボーグのバカンスは楽しかった、って言いに来たのよ!」
拳が振り下ろされる。
跳んで回避。先ほどまで立っていたベランダは粉々に破壊されていた。
ゴーレムをよく見ると体が岩で出来ている。。
まともにやりあって勝てるとも思えない。
デルフを掴むと一階までかけていった。
「なによ!なんなのよ、あのオヤジ!」
荒々しくグラスをテーブルに置くルイズ。
中のワインが少しこぼれる。
体から怒りのオーラを放出している。
ザ・フューリーの灼熱の炎ですら小火に見えるほど怒っている。
「バカにしてる、バカにしてる、バカにしてるわ!使い魔のクセに生意気なのよ!」
「ルイズ、飲みすぎだよ。」
「飲まなきゃやってらんないわ!大体ねぇ、あのスネークってば…。」
ワルド相手に絡んでいる。
その怒り方はまるで子供が親に反抗するかのようだ。
「あんな奴、ゴーレムに潰されてぺちゃんこになっちゃえばいいんだわ!」
とその瞬間、
ドゴォオオオン!!!!!!!!!!
二階で凄まじい音がした。
その音が合図だったかのように、宿の扉が音を立てて開く。
「伏せろ!ルイズ!」
ルイズに向かって矢が飛ぶ。ワルドが叫ぶが間に合わない。
妙にゆっくりと矢が飛んでいる。
それに体が物凄く鈍間だ。これじゃ、いくらゆっくり矢が飛んでいてもよけられない。
私、死ぬのね…。
こんなことなら、スネークと仲直りしておくんだったな。
ごめんね、スネーク。
死を覚悟し、目を瞑るルイズ。
しかし、いつまでたっても矢が刺さった感触が無い。
変わりに地面に押し倒される。
目を開けると黒い影が自分に覆いかぶさっている。
「伏せろと言われたらすぐに伏せろ、ルイズ。」
「スネーク!!」
ルイズが悲鳴を上げる。
スネークは黙ってルイズを抱えて、キュルケたちが作ったテーブルのバリケードの裏に避難した。
「怪我は無いか、ルイズ?」
先ほどの仕打ちにもかかわらず、やさしく問いかけるスネーク。
スネークの肩を見ると、先ほど当たったのか、矢が刺さっている。
「スネーク、肩!」
「俺のことはいい。怪我は無いな?」
ルイズに怪我が無いのを確認すると、ルイズの頭を撫でた。
「子爵、こいつらは?」
「おそらく傭兵だろう。」
「だろうな。さっき上でフーケに会った。アイツが雇ったんだろう。」
傭兵達の動きの一つ一つに無駄が無い。戦いに慣れている。
向こうもこっちにメイジがいるのを知っているのか、無理に攻めようとせず、こちらの消耗を待っているようだ。
時間稼ぎも兼ねているのだろうか?
「どうする?このまま持久戦というわけにも行かないだろう?」
「それもそうだな…。それより君、肩は大丈夫かね?」
「…少し時間を稼いでくれ。」
そういうなり、腰からナイフを抜き出し、自分の肩に突き立てた。
ルイズが小さく悲鳴を上げる。
「何してるの!?」
「矢を摘出しているだけだ。」
肩から肉とともに、矢が抉り出された。血が流れ出る。
そこにすぐさまタバサが水の魔法で治療する。
傷なんてなかったのように綺麗になるスネークの腕。
「…すまない。ありがとう。」
「朝の借り。」
タバサの頭を撫でるスネーク。
また険しい顔に戻り、ワルドと作戦を立て直す。
なに?
あの使い魔、いつの間にタバサと仲良くなってんのよ?
朝の借りって何なのよ!
スネークは、わ、私の使い魔なんですからね!
勝手に他のメイジになつかないでよね!
「ルイズ。」
「何よ!?」
「以上が作戦だ。理解したか?」
「え?」
その場にいた全員がルイズの方を見る。
短くため息を付いた後、スネークがもう一度説明をする。
「作戦はちゃんと聞け。」
「あ、あんたの所為だからね!!」
華麗にスルーしたスネークは、もう一度作戦の内容を確認した。
「これよりチームを アルビオン組み 陽動組み の二つに分ける。
アルビオン組みは ルイズ スネーク ワルド
陽動組みは キュルケ タバサ ギーシュ
アルビオン組みはなんとしてもアルビオンへ渡り、手紙を奪還する。
陽動組みは出来る限りここで傭兵部隊をひきつける。」
ルイズが心配そうな顔をする。
何だかんだ言って、キュルケたちのことが心配なのだろう。
「なに、別に命をかけて傭兵をひきつけろと言うわけではない。
危なくなったら逃げろ。死ぬ事は許さん。全員が学院に帰還する。」
「心配しないで。たかが平民の傭兵に遅れは取らないわ。」
「油断はするなよ?頼んだ。」
スネークがカウントダウンをし、スタングレネードを炸裂させた。
傭兵達に向かってソーコムを発砲しつつ、裏口へ走る。
途中の矢はタバサが風の魔法で防いだ。
裏口の外には傭兵はいなかった。
「月が明るすぎる。出来るだけ早く桟橋にいこう。」
ワルドの声と共にルイズたちは桟橋へ走った。
一方こちらは陽動組み。
閃光で目を一瞬潰されたおかげか、ルイズたちの脱出は気づかれていない。
ギーシュのワルキューレが厨房の油を撒き散らす。
この歌劇の主役はキュルケのようだ。
「君はこんなときにも化粧をするのかね?彼らは殺すものの顔など気にしないよ。」
ギーシュが言うように、キュルケが化粧をしている。
「年頃の女はね、すっぴんで人前に出るのは大罪なのよ。」
油を撒き散らしながら宙を舞う鍋に向かって杖を振るキュルケ。
たちまち油に引火した炎が『女神の杵』亭の入り口を火の海にする。
今まさに突入を開始しようとしていた傭兵部隊は突然の炎にたじろいだ。
「そういうものなのかい?」
「知らない。」
タバサは杖を振って炎を操りながら答えた。
キュルケが色っぽい仕草で呪文を詠唱する。
髪が焔のようになびき、うっすらと紅く光り、あたり一面は火炎地獄と化した。
「名も無き脇役の皆様方。あなたがたがどうして、あたし達を襲うのか、まったくこちとら存じませんけれども――」
キュルケが微笑を浮かべ、一礼する。
ただ、その微笑は焔のように恐ろしく、美しかった。
「――この『微熱』のキュルケ、謹んでお相手つかまつりますわ。」
焔が踊る。
キュルケの杖にあわせて、焔が傭兵を襲う。
負けじと弓矢で応戦するが、タバサの風の前では無力だった。
「使えない傭兵だね。あれしきの炎で逃げ出すなんてさ。」
「あれでよい。」
「あれじゃああいつらを倒せないじゃない。よく無いわよ。」
「奴らが分散した。これだけで目的は果たされたのだ。」
「は?」
フーケはスネーク達がアルビオンへ向かった事に気がついていなかった。
仮面の男に言われて、初めて人数が足りない事に気がついた。
「この私を出し抜くなんて、やっぱりやるねぇ、あの使い魔。」
苦々しげに呟くフーケ。
「私はラ・ヴァリエールの娘を追う。」
「私が殴る分も取っときなさいよ。」
「保障はしない。」
そう言うなり暗闇に消えた。反論する暇さえ無い。
女心を考えない男だ。フーケは「勝手な人。」とだけ呟いた。
下から傭兵の悲鳴が聞こえた。
『女神の杵』亭の中から吹き付ける烈風が業火をさらに強力なものとする。
「使えない連中だね!どいてなさい!」
ゴーレムが目を覚ました。
傭兵が逃げ出す。
それを見計らったかのように、『女神の杵』亭の壁が音を立てて破壊された。
「あら、あの婚期逃したオバサンもいたんだったわね、まるで空気だったから忘れてたわ。」
「私はまだ23よ!」
怒号して、ゴーレムを操るフーケ。
ギーシュがすかさず花びらを錬金する。
「何をする気、ギーシュ?」
「言ったろう。この歌劇の主役は君だと。」
薔薇の造花を華麗に振り、薔薇の花びらを油に錬金する。
「引き立てお疲れ様!」
止めと言わんばかりの灼熱の焔が地を這い、辺りを焦土に変えながら油に引火した。
「くっ!」
とっさに飛び降り、何とか黒コゲは避けるフーケ。
ゴーレムが崩れ落ち、炎が消える。
「見事なものね。敵ながら天晴れだわ。」
「お褒めの言葉ありがとう。いい加減あきらめなさい。」
「調子に乗るんじゃないよ小娘。」
杖を振り、錬金をするフーケ。しかし何も出ない。
「あら、打ち止め?」
キュルケも同じく、魔力が切れたようだ。
お互いに杖をしまい、ファイティングポーズをとる。
「「戦いの基本は格闘!!!」」
とんだ御転婆だ。これじゃあ婚期も逃すだろうな。
キュルケとフーケが焦土の真ん中で殴りあっている頃、ルイズたちはようやく桟橋に到着した。
辺りは山ばかりで、潮風もない。何処に桟橋があるのか。
「アレが桟橋よ。」
そういって指差したのは巨木の枝に船がぶら下がっている。
この巨木が桟橋なのだ。
「驚いたな。」
「アンタの世界には船とか、桟橋とかないの?」
「どっちも海にある。船は空を飛ばないしな。」
もう一度桟橋を見上げる。
高い。高すぎる。エレベーターは何処だ。
こんなのを階段で上りたくない。
「“パッと行く”とか、ないのか?」
「何言ってんのよ。さっさと上るわよ。」
元気よく登り始めるルイズ。若さを感じる。
その五分後、
「スネーク、負ぶって。」
「自分で歩け。」
#navi(SnakeTales Z 蛇の使い魔)
巨大ゴーレムの肩の上にフーケが立っている。
どうやら、食事に誘いに来たと言うわけではなさそうだ。
隣には白い仮面を付けた男が立っている。
脱獄を手伝った貴族だろうか?何もしゃべらない。
「相変わらずいい女だな、フーケ。」
「あんたこそいい男ね、スネーク。」
RPGを構える。
「そんな物騒なもの構えないで頂戴。」
「そっちこそ、ゴーレムなんて何のつもりだ?」
ゴーレムが右手を振り上げる。
「チェルノボーグのバカンスは楽しかった、って言いに来たのよ!」
拳が振り下ろされる。
跳んで回避。先ほどまで立っていたベランダは粉々に破壊されていた。
ゴーレムをよく見ると体が岩で出来ている。。
まともにやりあって勝てるとも思えない。
デルフを掴むと一階までかけていった。
「なによ!なんなのよ、あのオヤジ!」
荒々しくグラスをテーブルに置くルイズ。
中のワインが少しこぼれる。
体から怒りのオーラを放出している。
ザ・フューリーの灼熱の炎ですら小火に見えるほど怒っている。
「バカにしてる、バカにしてる、バカにしてるわ!使い魔のクセに生意気なのよ!」
「ルイズ、飲みすぎだよ。」
「飲まなきゃやってらんないわ!大体ねぇ、あのスネークってば…。」
ワルド相手に絡んでいる。
その怒り方はまるで子供が親に反抗するかのようだ。
「あんな奴、ゴーレムに潰されてぺちゃんこになっちゃえばいいんだわ!」
とその瞬間、
ドゴォオオオン!!!!!!!!!!
二階で凄まじい音がした。
その音が合図だったかのように、宿の扉が音を立てて開く。
「伏せろ!ルイズ!」
ルイズに向かって矢が飛ぶ。ワルドが叫ぶが間に合わない。
妙にゆっくりと矢が飛んでいる。
それに体が物凄く鈍間だ。これじゃ、いくらゆっくり矢が飛んでいてもよけられない。
私、死ぬのね…。
こんなことなら、スネークと仲直りしておくんだったな。
ごめんね、スネーク。
死を覚悟し、目を瞑るルイズ。
しかし、いつまでたっても矢が刺さった感触が無い。
変わりに地面に押し倒される。
目を開けると黒い影が自分に覆いかぶさっている。
「伏せろと言われたらすぐに伏せろ、ルイズ。」
「スネーク!!」
ルイズが悲鳴を上げる。
スネークは黙ってルイズを抱えて、キュルケたちが作ったテーブルのバリケードの裏に避難した。
「怪我は無いか、ルイズ?」
先ほどの仕打ちにもかかわらず、やさしく問いかけるスネーク。
スネークの肩を見ると、先ほど当たったのか、矢が刺さっている。
「スネーク、肩!」
「俺のことはいい。怪我は無いな?」
ルイズに怪我が無いのを確認すると、ルイズの頭を撫でた。
「子爵、こいつらは?」
「おそらく傭兵だろう。」
「だろうな。さっき上でフーケに会った。アイツが雇ったんだろう。」
傭兵達の動きの一つ一つに無駄が無い。戦いに慣れている。
向こうもこっちにメイジがいるのを知っているのか、無理に攻めようとせず、こちらの消耗を待っているようだ。
時間稼ぎも兼ねているのだろうか?
「どうする?このまま持久戦というわけにも行かないだろう?」
「それもそうだな…。それより君、肩は大丈夫かね?」
「…少し時間を稼いでくれ。」
そういうなり、腰からナイフを抜き出し、自分の肩に突き立てた。
ルイズが小さく悲鳴を上げる。
「何してるの!?」
「矢を摘出しているだけだ。」
肩から肉とともに、矢が抉り出された。血が流れ出る。
そこにすぐさまタバサが水の魔法で治療する。
傷なんてなかったのように綺麗になるスネークの腕。
「…すまない。ありがとう。」
「朝の借り。」
タバサの頭を撫でるスネーク。
また険しい顔に戻り、ワルドと作戦を立て直す。
なに?
あの使い魔、いつの間にタバサと仲良くなってんのよ?
朝の借りって何なのよ!
スネークは、わ、私の使い魔なんですからね!
勝手に他のメイジになつかないでよね!
「ルイズ。」
「何よ!?」
「以上が作戦だ。理解したか?」
「え?」
その場にいた全員がルイズの方を見る。
短くため息を付いた後、スネークがもう一度説明をする。
「作戦はちゃんと聞け。」
「あ、あんたの所為だからね!!」
華麗にスルーしたスネークは、もう一度作戦の内容を確認した。
「これよりチームを アルビオン組み 陽動組み の二つに分ける。
アルビオン組みは ルイズ スネーク ワルド
陽動組みは キュルケ タバサ ギーシュ
アルビオン組みはなんとしてもアルビオンへ渡り、手紙を奪還する。
陽動組みは出来る限りここで傭兵部隊をひきつける。」
ルイズが心配そうな顔をする。
何だかんだ言って、キュルケたちのことが心配なのだろう。
「なに、別に命をかけて傭兵をひきつけろと言うわけではない。
危なくなったら逃げろ。死ぬ事は許さん。全員が学院に帰還する。」
「心配しないで。たかが平民の傭兵に遅れは取らないわ。」
「油断はするなよ?頼んだ。」
スネークがカウントダウンをし、スタングレネードを炸裂させた。
傭兵達に向かってソーコムを発砲しつつ、裏口へ走る。
途中の矢はタバサが風の魔法で防いだ。
裏口の外には傭兵はいなかった。
「月が明るすぎる。出来るだけ早く桟橋にいこう。」
ワルドの声と共にルイズたちは桟橋へ走った。
一方こちらは陽動組み。
閃光で目を一瞬潰されたおかげか、ルイズたちの脱出は気づかれていない。
ギーシュのワルキューレが厨房の油を撒き散らす。
この歌劇の主役はキュルケのようだ。
「君はこんなときにも化粧をするのかね?彼らは殺すものの顔など気にしないよ。」
ギーシュが言うように、キュルケが化粧をしている。
「年頃の女はね、すっぴんで人前に出るのは大罪なのよ。」
油を撒き散らしながら宙を舞う鍋に向かって杖を振るキュルケ。
たちまち油に引火した炎が『女神の杵』亭の入り口を火の海にする。
今まさに突入を開始しようとしていた傭兵部隊は突然の炎にたじろいだ。
「そういうものなのかい?」
「知らない。」
タバサは杖を振って炎を操りながら答えた。
キュルケが色っぽい仕草で呪文を詠唱する。
髪が焔のようになびき、うっすらと紅く光り、あたり一面は火炎地獄と化した。
「名も無き脇役の皆様方。あなたがたがどうして、あたし達を襲うのか、まったくこちとら存じませんけれども――」
キュルケが微笑を浮かべ、一礼する。
ただ、その微笑は焔のように恐ろしく、美しかった。
「――この『微熱』のキュルケ、謹んでお相手つかまつりますわ。」
焔が踊る。
キュルケの杖にあわせて、焔が傭兵を襲う。
負けじと弓矢で応戦するが、タバサの風の前では無力だった。
「使えない傭兵だね。あれしきの炎で逃げ出すなんてさ。」
「あれでよい。」
「あれじゃああいつらを倒せないじゃない。よく無いわよ。」
「奴らが分散した。これだけで目的は果たされたのだ。」
「は?」
フーケはスネーク達がアルビオンへ向かった事に気がついていなかった。
仮面の男に言われて、初めて人数が足りない事に気がついた。
「この私を出し抜くなんて、やっぱりやるねぇ、あの使い魔。」
苦々しげに呟くフーケ。
「私はラ・ヴァリエールの娘を追う。」
「私が殴る分も取っときなさいよ。」
「保障はしない。」
そう言うなり暗闇に消えた。反論する暇さえ無い。
女心を考えない男だ。フーケは「勝手な人。」とだけ呟いた。
下から傭兵の悲鳴が聞こえた。
『女神の杵』亭の中から吹き付ける烈風が業火をさらに強力なものとする。
「使えない連中だね!どいてなさい!」
ゴーレムが目を覚ました。
傭兵が逃げ出す。
それを見計らったかのように、『女神の杵』亭の壁が音を立てて破壊された。
「あら、あの婚期逃したオバサンもいたんだったわね、まるで空気だったから忘れてたわ。」
「私はまだ23よ!」
怒号して、ゴーレムを操るフーケ。
ギーシュがすかさず花びらを錬金する。
「何をする気、ギーシュ?」
「言ったろう。この歌劇の主役は君だと。」
薔薇の造花を華麗に振り、薔薇の花びらを油に錬金する。
「引き立てお疲れ様!」
止めと言わんばかりの灼熱の焔が地を這い、辺りを焦土に変えながら油に引火した。
「くっ!」
とっさに飛び降り、何とか黒コゲは避けるフーケ。
ゴーレムが崩れ落ち、炎が消える。
「見事なものね。敵ながら天晴れだわ。」
「お褒めの言葉ありがとう。いい加減あきらめなさい。」
「調子に乗るんじゃないよ小娘。」
杖を振り、錬金をするフーケ。しかし何も出ない。
「あら、打ち止め?」
キュルケも同じく、魔力が切れたようだ。
お互いに杖をしまい、ファイティングポーズをとる。
「「戦いの基本は格闘!!!」」
とんだ御転婆だ。これじゃあ婚期も逃すだろうな。
キュルケとフーケが焦土の真ん中で殴りあっている頃、ルイズたちはようやく桟橋に到着した。
辺りは山ばかりで、潮風もない。何処に桟橋があるのか。
「アレが桟橋よ。」
そういって指差したのは巨木の枝に船がぶら下がっている。
この巨木が桟橋なのだ。
「驚いたな。」
「アンタの世界には船とか、桟橋とかないの?」
「どっちも海にある。船は空を飛ばないしな。」
もう一度桟橋を見上げる。
高い。高すぎる。エレベーターは何処だ。
こんなのを階段で上りたくない。
「“パッと行く”とか、ないのか?」
「何言ってんのよ。さっさと上るわよ。」
元気よく登り始めるルイズ。若さを感じる。
その五分後、
「スネーク、負ぶって。」
「自分で歩け。」
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