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「使い魔の中の使い魔-02」(2008/01/25 (金) 02:19:40) の最新版変更点
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ルイズはある城の地下深くにいた。ルイズの目の前には一人のメイジが玉座に坐っている。
悪魔のような恐ろしいあ人のメイジが・・・
「よく来たルイズよ。わしが王の中の王、竜王だ。わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを・・・。もしわしの味方になれば世界の半分をルイズにやろう。どうじゃ?わしの味方になるか?」
「あ、あの、なんで私はこんな所にいるんでしょうか?」
「何をいまさら。そなたはわしを退治しにこの城までやって来たのではなかろうか」
「あ、あなたのようなメイジを退治なんてとんでもないです!ぜひとも味方にさせてください!でも、ゼロの私に世界の半分なんて荷が重すぎます!」
「ほう、世界の半分は入らぬと申すか。まあ、そなたが望むのならそれもよかろう。ルイズよ。お前の旅は終わった。さあゆっくり休むがよい!わあっはっはっはっ・・・・・」
ルイズの視界は真っ暗になってしまう。数時間後、先ほどのメイジと同じ声がルイズの耳に響いた。
「ルイズ。起きるのだ。ルイズ」
ルイズははっと、夢から目覚めた。そして目の前には先ほどの夢の住人の姿があった。
「ひっ!夢の人!?せっ、世界の半分なんてとんでもないです!」
「何を言っておるのだ?わしはそなたに召喚された使い魔ではないのか?」
-すっかり忘れてた。昨日召喚したんだっけ。確か昨日夜に散歩に行ってたんだっけ。
「た、確かに召喚したわね。ちょうどよかったわ。じゃあ、この服を洗濯しといて頂戴」
「わしが・・・洗濯をか・・・?」
「そうよ!あんたは私の使い魔なんだからそれくらい・・・な、何よ、その目は・・・」
「王のわしにそのようなことをしろというのか・・・!」
竜王の魔獣のような眼光でにらまれたルイズはヒッと足がすくんでしまう。
「愚か者め!思い知るがよい!」
-なんで!?物探しのときは快く引き受けてくれたのに・・・
ルイズと竜王の考え方は違っていた。
物探しの件は、ルイズは使い魔なんだから主人の命令を聞くのは当然と思っていたのに対し、竜王は自分の部下の望みはある程度叶えてやるものだと考えていた。
もちろん部下の衣類の洗濯等は上の者がやるようなことではない。
「な、何よ・・・私はヴァリエール公爵家の人間なのよ・・・あんたみたいのがかなう訳ないじゃない・・・」
口では強がりを言って見せるが、足はガクガクと震え、目からは沢山の涙の粒があふれている。竜王はフッとルイズを嘲笑する。
「何がおかしいのよ!」
「哀れだな、ルイズよ。どうやっても太刀打ちできぬ相手に一生懸命強がりを言って見せる。自分がわしにかなわぬことは自身がよく分かっておるはずじゃ。いくらわしでもこんな間の抜けた相手と戦うのはちと気が引けるのぉ」
「も、もういいわ!洗濯は自分で行ってくる!」
そう言ってルイズは学院を出て広場に向かった。
「あの、ミス、ヴァリエールですよね?」
メイド服に身を包んだ少女が、後ろからルイズに声をかけてきた。
「確かあんたはここのメイドの・・・」
「はい。ここで働かせていただいているシエスタと申します」
「ねえ、シエスタ。あんたも洗濯しに行くんでしょ。私のもやっといてよ」
「そういえば、貴方の召喚した使い魔は人語を解す亜人だとか・・・」
「そうだけど、それがどうしたのよ?」
「誠に申し上げにくいのですが、洗濯なら・・・」
「あー、だめだめ。あいつったらかなり尊大なやつで、とても洗濯なんてさせられるようなやつじゃないのよ。そういうことで、あんたがやっといてよ」
「はあ、分かりました」
亜人の使い魔が来て、洗濯者が少し減ると思っていたがそうでもなかった。しかし、彼女は別に洗濯が嫌いという訳ではなく、気にはしなかった。
ルイズは部屋に戻って、いそいそと着替えを始めた。洗濯をしてくれない者が服を着替えさせてくれるとは到底思えないからだ。
ルイズと竜王は朝食をとるために部屋から出る。
すると、部屋を出たと同時に他のドアも開いた。
中からはルイズと同い年とは思えないほど大きな胸を持った艶やかな褐色色の肌で赤い髪の少女(といえないかもしれない大人っぽい女性)が出てきた。
彼女は竜王の姿を見た途端に顔が引きつってしまった。
「お、おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ。どうしたの、顔が引きつってるわよ」
「隣にいる彼が貴方の使い魔なの?」
「そうたけど、とっても尊大で全然使い魔とは成り立たないのよ」
「やっぱり、使い魔は普通は動物や幻獣だからねー。たとえば私のフレイムとか」
キュルケの部屋からは、真っ赤な巨大なトカゲが出てきた。しかし、何かにおびえるように震えている。
「あ、あら?どうしたの?」
「これってサラマンダーでしょ?」
「そうよ、火トカゲよ、召喚される前は暑い火竜山脈にいたから、風邪でも引いちゃったのかしら」
別にフレイムは風邪を引いたのではない。サラマンダーは竜に近い種族。
竜王の圧倒的な存在感に怖じ気づいている。
「ほう、これがサラマンダーか。古い書物に載っているサラマンダーとは外見が大きく違うようだが、まあ、あれは遠く昔のことだ。長い月日が立てば、生物の姿も変わるかもしれん」
「せ、生物の姿も変わる!?」
キュルケは竜王の言ったことに対し気ったことを、恐る恐る聞いてみた。
「確か書物に描かれていたサラマンダーはトカゲではなく龍の姿であった」
「タツ?タツとはいったい・・・」
「龍というのはだな、角は鹿、頭はワニ、体は大蛇、爪は鷹、掌は虎にており、魔力により空を飛べる生物のことだ。空を飛べる竜、すなわち飛竜と言われることもある。わしの住む世界ではすでに死滅しておるが、この世界にはまだ残っておるのか」
「じゃあ、この子のご先祖様も空を自由に飛び回ってたんだ・・・」
多分それはないと思う。
「それで、あなたのお名前を押し言えてほしいんだけど・・・」
「わしの中、わしは竜王。王の中の王、竜王だ」
「とても偉大な名前ですね・・・」
キュルケの顔は先ほどにも増して引きつっていた。
「じゃあ私はこれで」
サラマンダーを自慢しに来たキュルケだが、なんだか焦りながら去っていったように見える。実はキュルケもルイズも、リューオーという名前が竜王を表すのだとはうすうす気づいていた。
しかし、認めたくなかった。どちらも誰もが認めるゼロのメイジのルイズに、そんな高等な生物を召喚できるわけがない。
そして、ルイズの方は「自分より使い魔の方が偉いなんてあり得ない」といった感情も持ち合わせていた。さすがにキュルケはそんな使い魔を召喚してしまうルイズをゼロとは呼べなかった。
「サラマンダーが昔は空を飛んでたって本当?」
「実物を見た訳ではないのだが、本にはそう記してあった」
「そっか、じゃあ、これから食事を取りに行きましょ」
「うむ、分かった」
食堂についたルイズと竜王は、料理の並べられた椅子に座った。
「あんたもメイジでよく分かんないけど王様みたいだから、一応きちんとしたものを食べさせてあげるわ」
「ふん、小娘が、生意気な口を聞きおって」
このようなことを言うルイズだが、本当は安物の固いパンなどを与えてしまうと恐ろしい魔法で処刑されることが目に見えていた。
そして、竜王は元いた世界では悪の化身として邪険にされていて、少なくとも人間から食事をもらうなどあり得なかった。
生意気だと思いつつも、その行為に少しだけだが揺れ動いた。
「ほう、これはかなりの美味だ。料理人の腕が食材のよさを活かしておる」
「そ、それはよかったわね」
食事が終われば次は学院での魔法の授業だ。これは竜王にとってかなりの好都合。この世界を我が物にするのは授業を通してこの世界のことを知るのが一番だからだ。
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ルイズはある城の地下深くにいた。ルイズの目の前には一人のメイジが玉座に坐っている。
悪魔のような恐ろしいあ人のメイジが・・・
「よく来たルイズよ。わしが王の中の王、竜王だ。わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを・・・。もしわしの味方になれば世界の半分をルイズにやろう。どうじゃ?わしの味方になるか?」
「あ、あの、なんで私はこんな所にいるんでしょうか?」
「何をいまさら。そなたはわしを退治しにこの城までやって来たのではなかろうか」
「あ、あなたのようなメイジを退治なんてとんでもないです!ぜひとも味方にさせてください!でも、ゼロの私に世界の半分なんて荷が重すぎます!」
「ほう、世界の半分は入らぬと申すか。まあ、そなたが望むのならそれもよかろう。ルイズよ。お前の旅は終わった。さあゆっくり休むがよい!わあっはっはっはっ・・・・・」
ルイズの視界は真っ暗になってしまう。数時間後、先ほどのメイジと同じ声がルイズの耳に響いた。
「ルイズ。起きるのだ。ルイズ」
ルイズははっと、夢から目覚めた。そして目の前には先ほどの夢の住人の姿があった。
「ひっ!夢の人!?せっ、世界の半分なんてとんでもないです!」
「何を言っておるのだ?わしはそなたに召喚された使い魔ではないのか?」
-すっかり忘れてた。昨日召喚したんだっけ。確か昨日夜に散歩に行ってたんだっけ。
「た、確かに召喚したわね。ちょうどよかったわ。じゃあ、この服を洗濯しといて頂戴」
「わしが・・・洗濯をか・・・?」
「そうよ!あんたは私の使い魔なんだからそれくらい・・・な、何よ、その目は・・・」
「王のわしにそのようなことをしろというのか・・・!」
竜王の魔獣のような眼光でにらまれたルイズはヒッと足がすくんでしまう。
「愚か者め!思い知るがよい!」
-なんで!?物探しのときは快く引き受けてくれたのに・・・
ルイズと竜王の考え方は違っていた。
物探しの件は、ルイズは使い魔なんだから主人の命令を聞くのは当然と思っていたのに対し、竜王は自分の部下の望みはある程度叶えてやるものだと考えていた。
もちろん部下の衣類の洗濯等は上の者がやるようなことではない。
「な、何よ・・・私はヴァリエール公爵家の人間なのよ・・・あんたみたいのがかなう訳ないじゃない・・・」
口では強がりを言って見せるが、足はガクガクと震え、目からは沢山の涙の粒があふれている。竜王はフッとルイズを嘲笑する。
「何がおかしいのよ!」
「哀れだな、ルイズよ。どうやっても太刀打ちできぬ相手に一生懸命強がりを言って見せる。自分がわしにかなわぬことは自身がよく分かっておるはずじゃ。いくらわしでもこんな間の抜けた相手と戦うのはちと気が引けるのぉ」
「も、もういいわ!洗濯は自分で行ってくる!」
そう言ってルイズは学院を出て広場に向かった。
「あの、ミス、ヴァリエールですよね?」
メイド服に身を包んだ少女が、後ろからルイズに声をかけてきた。
「確かあんたはここのメイドの・・・」
「はい。ここで働かせていただいているシエスタと申します」
「ねえ、シエスタ。あんたも洗濯しに行くんでしょ。私のもやっといてよ」
「そういえば、貴方の召喚した使い魔は人語を解す亜人だとか・・・」
「そうだけど、それがどうしたのよ?」
「誠に申し上げにくいのですが、洗濯なら・・・」
「あー、だめだめ。あいつったらかなり尊大なやつで、とても洗濯なんてさせられるようなやつじゃないのよ。そういうことで、あんたがやっといてよ」
「はあ、分かりました」
亜人の使い魔が来て、洗濯者が少し減ると思っていたがそうでもなかった。しかし、彼女は別に洗濯が嫌いという訳ではなく、気にはしなかった。
ルイズは部屋に戻って、いそいそと着替えを始めた。洗濯をしてくれない者が服を着替えさせてくれるとは到底思えないからだ。
ルイズと竜王は朝食をとるために部屋から出る。
すると、部屋を出たと同時に他のドアも開いた。
中からはルイズと同い年とは思えないほど大きな胸を持った艶やかな褐色色の肌で赤い髪の少女(といえないかもしれない大人っぽい女性)が出てきた。
彼女は竜王の姿を見た途端に顔が引きつってしまった。
「お、おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ。どうしたの、顔が引きつってるわよ」
「隣にいる彼が貴方の使い魔なの?」
「そうたけど、とっても尊大で全然使い魔とは成り立たないのよ」
「やっぱり、使い魔は普通は動物や幻獣だからねー。たとえば私のフレイムとか」
キュルケの部屋からは、真っ赤な巨大なトカゲが出てきた。しかし、何かにおびえるように震えている。
「あ、あら?どうしたの?」
「これってサラマンダーでしょ?」
「そうよ、火トカゲよ、召喚される前は暑い火竜山脈にいたから、風邪でも引いちゃったのかしら」
別にフレイムは風邪を引いたのではない。サラマンダーは竜に近い種族。
竜王の圧倒的な存在感に怖じ気づいている。
「ほう、これがサラマンダーか。古い書物に載っているサラマンダーとは外見が大きく違うようだが、まあ、あれは遠く昔のことだ。長い月日が立てば、生物の姿も変わるかもしれん」
「せ、生物の姿も変わる!?」
キュルケは竜王の言ったことに対し気ったことを、恐る恐る聞いてみた。
「確か書物に描かれていたサラマンダーはトカゲではなく龍の姿であった」
「タツ?タツとはいったい・・・」
「龍というのはだな、角は鹿、頭はワニ、体は大蛇、爪は鷹、掌は虎にており、魔力により空を飛べる生物のことだ。空を飛べる竜、すなわち飛竜と言われることもある。わしの住む世界ではすでに死滅しておるが、この世界にはまだ残っておるのか」
「じゃあ、この子のご先祖様も空を自由に飛び回ってたんだ・・・」
多分それはないと思う。
「それで、あなたのお名前を押し言えてほしいんだけど・・・」
「わしの名か、わしは竜王。王の中の王、竜王だ」
「とても偉大な名前ですね・・・」
キュルケの顔は先ほどにも増して引きつっていた。
「じゃあ私はこれで」
サラマンダーを自慢しに来たキュルケだが、なんだか焦りながら去っていったように見える。実はキュルケもルイズも、リューオーという名前が竜王を表すのだとはうすうす気づいていた。
しかし、認めたくなかった。どちらも誰もが認めるゼロのメイジのルイズに、そんな高等な生物を召喚できるわけがない。
そして、ルイズの方は「自分より使い魔の方が偉いなんてあり得ない」といった感情も持ち合わせていた。さすがにキュルケはそんな使い魔を召喚してしまうルイズをゼロとは呼べなかった。
「サラマンダーが昔は空を飛んでたって本当?」
「実物を見た訳ではないのだが、本にはそう記してあった」
「そっか、じゃあ、これから食事を取りに行きましょ」
「うむ、分かった」
食堂についたルイズと竜王は、料理の並べられた椅子に座った。
「あんたもメイジでよく分かんないけど王様みたいだから、一応きちんとしたものを食べさせてあげるわ」
「ふん、小娘が、生意気な口を聞きおって」
このようなことを言うルイズだが、本当は安物の固いパンなどを与えてしまうと恐ろしい魔法で処刑されることが目に見えていた。
そして、竜王は元いた世界では悪の化身として邪険にされていて、少なくとも人間から食事をもらうなどあり得なかった。
生意気だと思いつつも、その行為に少しだけだが揺れ動いた。
「ほう、これはかなりの美味だ。料理人の腕が食材のよさを活かしておる」
「そ、それはよかったわね」
食事が終われば次は学院での魔法の授業だ。これは竜王にとってかなりの好都合。この世界を我が物にするのは授業を通してこの世界のことを知るのが一番だからだ。
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