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ゼロの悪魔召喚師 第八話
<流星>
「台風が吹き荒れてるな…」
コルベール先生と共に、学院長室にやって来た訳なのだが…
ノックしても返事が無いのでドアを開けると20過ぎくらいの美人といえる女性が、白髪の老人をしこたま蹴っていた。
「や、やめるんじゃ。ミス・ロングビル」
「今日という今日は許しませんっ!」
老人を無理やり起こした美女は、半歩ほど間合いを取ると拳を打ち込んだ。
「足・腰・腕への力の伝え方・重心移動どれをとっても完璧ですね。その上肝臓へ……急所だなぁ」
「いや、そんなことを言ってる場合ではないのですが…」
冷静に評価してると信じられないものを見たといった感じのコルベール先生が汗を拭きながら答える。
だってここの人たち非常識なんだもん。いきなり呼び出して使い魔にされたり、ご飯前に拉致られたり…
もちろん表情に出すことも無く、手を老人と美女の方に向けながらこう言った。
「あれをとめることは私にはできません」
そう話している最中にもくの字に曲がった老人の顎にショートアッパーが打ち抜かれ、崩れ落ちる老人の顔にフィニッシュブローのストレートが決まる。
ロングビルの攻撃
3HitsCombo
369のダメージ
「ストレートかと思ったらコークスクリューか…」
「止めに行きましょう。」
「一人で行ってください。」
いや、あれは命に関わる可能性があるぞ。言ってきた本人も覚悟が決まらないのか止めにいけない。
見てると美女はふらふらになった老人の腕を取り自分の首にかけ、自分の腕を老人の首に回し空いたほうの手で老人の腰をしっかりと持つ。
「何をするんでしょうか?」
「プロレス技だ…」
「は?それは?」
コルベール先生が不思議そうな声を上げる。
「いや、みてればわかりますから。」
美女の短い気合の声が聞こえると老人の体は逆さまに持ち上げられ、そのまま倒れこんだ。
ただ、老人は床にたたきつけられるのではなく、立派な机の角に叩きつけられた……
ロングビルの攻撃
1hitCombo
687のダメージ
「高速ブレーンバスターか…」
「ああ、学院長!?」
駆け寄ろうとするコルベール先生を止める。
「な、なにを!?」
「まだ、終わってない…」
美女は懐から杖を取り出すと床に引いてある絨毯を鉄へと錬金して、老人と共に机の上に上がる。
そしてジャンプし両足で、いや太ももで老人の顔をはさみ自分の体を反らせ太ももに挟んだ老人の頭を叩きつけた。
鉄の絨毯の上に……
ロングビルの攻撃
1hitCombo
999のダメージ
「ふむ、4桁目は行かなかったか…あ、ちなみに雪崩式フランケンシュタイナーですね」
「が、学院長!?学院長!!」
コルベール先生が老人に駆け寄り、美女の目がコルベール先生に向かってるうちに俺は外に出てドアを閉める。
外からドアを押さえつつ、耳をドアに当てて中の会話を聞き取る。
「見たのですね…」
「えっ、い、いや…あははは…」
「うふふふふ…」
「り、流星君?」
「誰のことですか?ミスタ・コルベール。ふふふふ…」
「え、あ、い、いない…」
ゆっくりと後ずさりする足音と乾いた笑い声が聞こえる。
さすがにドア越しだと聞き取りにくいな、しかしコルベール先生は危険を感じなかったのか?
とはいえ、そろそろかな。ドアをノックして部屋に入る。
「失礼します。学院長とコルベール先生が私を呼んでいられたとか?」
「へっ、ええ、ああ、うん」
戸惑いながらもコルベール先生が慌てて頷く。
「私はミス・ヴァリエールの使い魔をしております。流星と申します。こんごともよろしく。」
「あら、私はこの学院で秘書をしております。ロングビルと申します。よろしく。」
二人でにこやかに挨拶を交わす。
「ところでコルベール先生と学院長に呼ばれたのですが」
「あ、はいこちらにどうぞ」
にこやかな笑顔と共に案内される。ぼろぼろになった雑巾と鉄の絨毯が部屋に転がっている。
先ほどと変わりすぎてるロングビルに呆然としてるコルベール先生もついてくる。
「いま、おこしますね。学院長、きれいな人がお見えですよ。」
ぼろぼろの雑巾の耳元で話しかける。
雑巾はあっという間に威厳のある老人に変化した。そしてキョロキョロあたりを見回し…
「きれいな女性はどこじゃね?」
「こちらです」
俺のことを指し示す。
「男じゃないか…」
「ヒトとしかいってません。」
素敵過ぎる笑顔で答える。
「ミス・ロングビル…少し酷過ぎやしないかね。」
学院長は思いっきり肩を落している。
「ところで何の用じゃ?ミスタ・コルベット」
「コルベールです!!オールド・オスマン!!一大事なんです!!」
「まったく騒がしいのう…すべては小事じゃ」
「こ、これをみてください!」
俺の手と書物をどこからか取り出し、ページをめくってオールド・オスマンにみせる。
それを見た瞬間、オールド・オスマンの表情が変わった・・・目が光り、厳しい色を宿す。
ふ~~ん、普段は昼行灯の振りということか…。ますます目立つ真似はできないか…
厄介なことだと俺は心の中で盛大にため息をついた。
「ミス・ロングビル、席を外してくれたまえ」
ミス・ロングビルが席を外すのを見送ってからコルベール先生は話し始めた。
使い魔召喚の際に俺を呼び出したこと。契約のルーンが珍しかったので調べたら『これ』に行き着いたこと。
「始祖ブリミルの使い魔ガンダールヴにいきついたというわけじゃね?」
…始祖ブリミルね…いやな予感がする…
「そうです!流星君の左手に刻まれたルーンはまさしくガンダールヴ。これが大事でなくてなんなんですか!!」
興奮してまくし立てるコルベール先生、それに対して落ち着き払っているオールド・オスマン。
「確かに彼の手のルーンはガンダールヴじゃ…しかしルーンが同じというだけではのう…」
「あの~~ガンダールヴって何でしょうか?」
一瞬の会話の途切れに口を挟む。ここで挟まなければ状況は悪化するばかりだと思ったから。
「ガンダールヴとはあらゆる武器や兵器を自在に扱える使い魔で、その証のルーンは左手に刻まれる。
そして主人の詠唱時間を守るために特化した存在と言われているんだよ。」
「ええと…もしかして伝説クラス?」
思いっきり首が飛ぶんじゃないかと思うほどの勢いでコルベール先生は頷いた。
「ええ、もちろん!千人もの軍隊を一人で壊滅させるほどの力を持ち、あまつさえ並のメイジではまったく歯が立たなかったとか!」
顔真っ赤にして唾と汗を飛ばしながら力説する。
「早速王室に報告して、指示を仰がないことには…」
「それには及ばん」
オールド・オスマンは重々しく頷いた。白いひげが厳しく揺れた。
「如何してですか?これは世紀の大発見ですよ!現代に蘇ったガンダールヴ!」
「だからじゃよ……王室のボンクラどもに、ガンダールヴとその主人を渡すわけにはいくまい。
そんなオモチャを与えてしまっては、またぞろ戦でも引き起こすじゃろうて。」
「その上大義名分までありますしね。始祖ブリミルの生まれ変わりによる世界統一。
それを擁するトリスティンこそが選ばれた国、選ばれた民である。
こんな感じかな。
ついでに言えば信仰の対象みたいですから熱心な信者にとっては聖戦となります。
それによって戦争で大切な人的金銭的問題は心配なし。」
「…そうじゃのう、やっかいなことじゃて」
オールド・オスマンと一緒にため息を吐く。今日はため息ついてばかりだな。
「それよりも本物なのですか?随分昔のことですからその本が間違っている可能性もあるのでは?」
認めたくない一心で残された可能性を考える。
「それもそうじゃのう…とはいえどうやって確認するかのう」
腕組みして考えるオールド・オスマン
「とりあえず武器を使ってみれば?」
コルベール先生が発言するが
「あらゆる武器や兵器を扱えるって言うからには自分の知らない武器じゃないと意味無いんじゃ?」
「それもそうですな……」
「ふ~~む……」
3人揃えば文殊の知恵というが、問題が進展することが無いまま時が過ぎる…
「あっ!!」
オールド・オスマンが大きな声を上げる。
「ど、どうしました?オールド・オスマン?」
「そこでまっておれ!」
オールド・オスマンは言い残して部屋から走り去ってしまった。
「何か?あるんでしょうか?」
「さあ?」
二人で呆然としながら部屋に取り残された…
「ふぉふぉふぉ、これが有ったことをすっかり忘れておったわい」
得意そうな顔で筒に籠状のものが着いたものを持ってきた。
「そ、それはっ!」
「これならガンダールヴのルーンが本物かどうかわかるじゃろ…流星君これが何かわかるかね?」
「スティンガーですね
個人携帯用のSAMでロックオンした目標を自動追尾するミサイルを発射する兵器でミサイルは赤外線追尾。
ソ連のアフガン侵攻のときにアフガンゲリラに大量にアメリカから供与されてソ連のヘリパイロットに恐れられました。
この兵器の採用によりソ連は戦法を考え直さなければいけなくなったほどに。
今じゃフレア対策や目標探知機能の向上を図ったFIM92Dが主流です。こっちの籠状のものはIFFのアンテナで…」
うん、二人が驚いて固まっている。
「こ、これがなんじゃかわかるのか!?」
二人して詰め寄るな!顔が近い!
「え、ええ。さして珍しくも無い武器…いや、兵器ですよ」
たじろぎながらもスティンガーを受け取る。
その途端に使い方が判る、なんだ!?
「「お、おおっ!!」」
2人も感嘆の声を上げている。ってこっちの内心まで判るわけが無いんだが?
「ルーンが光っている!」
左手を見ると確かにルーンが輝いている。でもコルベール先生顔どころか頭まで真っ赤で血管切れて倒れそうだよ?
「どうやら本物じゃのう…」
オールド・オスマンは椅子に座り、水タバコを取り出しゆっくりと紫煙を吐き出す。
「禄でもない事になりましたね。とりあえずルーンを隠すために手袋でもつけますか?」
「そうじゃな、そうした方が良いじゃろう…ミスタ・コルベール、ガンダールヴのルーンを研究することも厳禁じゃ。
秘密は知る者が少なければ少ないほどいいからのう。」
「わかりました。オールド・オスマン」
肩を落して答えるコルベール先生。アンタ俺を戦争に行かせたいのか?
「もちろんこの事は3人だけの秘密じゃ。決して外に漏らすでないぞ!」
老人には似合わない迫力の声をだして念を押す。
「杖にかけて!」「わかりました。」
ひと段落着いたと思ったら部屋の外からロングビルが話しかけてくる。
「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。
止めに入った教師もいましたが、生徒たちに邪魔されて、止められないようです。」
「まったく、暇をもてあました貴族ほど性質の悪い生き物はおらんわい。」
で、誰が暴れておるんだね?」
「一人はギーシュ・ド・グラモン」
「あのグラモンとこの馬鹿息子か。オヤジも色の道では剛の者じゃったが、息子も輪をかけて女好きじゃ。
大方女の子の取り合いじゃろう。」
オールド・オスマンとコルベール先生は顔を見合わせ、俺は肩をすくめる。
「伝説に爆発に決闘、随分と刺激的な学院なことで」
思わず愚痴が出るが、2人には聞き取られてないようだ。
「相手は誰じゃ?」
「…それがミス・ヴァリエールなのです…」
俺は来客用の椅子に倒れこみ天を仰ぐ、といっても見えるのは天井なのだが…
何やってるんだ?こっちの思惑からどんどん外れていくぞ
「教師たちは、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めております。」
うん、認めようよ。その方が面倒にならなくて良い。
「ふむう…ミスタ・コルベール。ガンダールヴの決闘見てみたくは無いかね?」
「「えっ!?」」
「今内密にと言ったばかりではないですか!?」
がんばれ!コルベール先生!
「いや、だって伝説と爆発は体験したのじゃろう?決闘はまだだと思ってな。それにハルケギニアの外のマジックアイテムも見たいしのう。」
うわお
聞こえていましたか…
「どういうことでしょうか?」
「おぬしはわからないままでいいんじゃよ」
ついていけないコルベール先生に、オールド・オスマンはカッカッカッと笑い声を立てている。
「では、ミスタ・コルベール。流星君をヴェストリの広場まで連れて行くんじゃ。」
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