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「ムシウタzero-紫電の使い魔-01」(2008/01/05 (土) 15:56:34) の最新版変更点
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愛車に仰向けになったまま携帯の電源を切り、目を閉じる。
頬を撫でる風と、潮の香りが心地よい。
ここで自分の旅は終わる。思えば短い人生だったが、一つだけいいことがあった。
ぎりぎりでしかも補習扱いとはいえ、鯱人の育成が完了したことだけは僥倖だった。
正直まだ心配なところはあるが、鯱人ならば浸父とも戦っていけるだろう。
心配といえばもう一つ…。
最強にして最悪と恐れられる虫憑き。自分にはない強さを持ち、今も一人で戦う虫憑き。
嘗ては彼の背中を守れるのは自分だけだったが、
これからは自分の教え子達が、彼と共に戦ってくれるだろう。
もう一度前線に戻りたいという願いは、ついに叶うことがなかったが。
死ぬ寸前まで悔いにまみれた自分は、彼の目にはどう映るのだろうか?
「…やはり、呆れられるのだろうなー……」
自分が死んだと知った彼は、どんな反応をするだろうか。
泣く?いや、そんなことはありえない。
せいぜい『このバカワンコが』などと墓石に向かって文句をつけるくらいだろう。
そういえば、死んだ虫憑きには墓などあるのだろうかと、どうでもいい事を考える。
そんなことをしているうちに、意識が薄れてゆく。
――――ああ、でも願わくばもう一度…
ゼロという不名誉な二つ名を持つ少女、ルイズが召喚したのは、
材質のわからないフードつきの黄色い服を羽織り、
鉄の馬と思しきものに仰向けになっている一人の少女だった。
年のころは自分より少し下くらいだろうか。
しかし服装といい、鉄でできた馬のようなものといい、
いかにハルケギニア広しといえども一目でそれとわかるほど、少女の印象は奇抜なもので。
そして、そのような印象などどうでもいいくらいに腹部から流れ出す大量の血液。
その顔色は蝋のように白くなっていたが、まだ、本当にかすかであるが―息があるようだった。
…自分が召喚した少女は傷つき、死にかけている。
あまりのことに、「人間を召喚」という異例の事態であることなど頭から消え去っていた。
普段の高慢さをかなぐり捨て、ルイズはただ己の使い魔を助けるために叫んだ。
「誰か水メイジを!!私の使い魔が死んじゃう!!」
複数の人間が慌てているような声。特環の人間だろうか……?
朦朧とする頭で声のした方に目を向けようとしても、何も見えない。
ああ、もう目も見えないのか…
かろうじて拾えた言葉は英語のような綴りで、どれも要領を得ない。
意識が闇に落ちる寸前、彼女の頭によぎったのはただひとつの疑問であった。
…ここは、どこなのだ…?
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