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「伝説を呼ぶ使い魔-03」(2009/04/05 (日) 06:53:42) の最新版変更点
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#navi(伝説を呼ぶ使い魔)
「前が見えねぇ。」
先ほどルイズのそれはもうすさまじい打撃を受けて目覚め、ブラウスやスカートを運んでいるのは
赤いシャツに黄色いズボン、この間とうとう買ってもらったアクション仮面シューズに身を包むのは
904回の召喚の末ルイズに召喚された少年『野原しんのすけ』5歳。
しんのすけはルイズに頼まれていた洗濯をしに外に出かけていた。
「まったくルイズちゃんったら人使いが荒いゾ。」
ルイズの洗濯物はまだ5歳のしんのすけにはまだ重くよろよろ歩きになっている。
ましてや家事などあまり手伝わない基本グータラライフを送ってきたしんのすけ
には洗濯のしかたなどわかるわけもない。
そしてしんのすけはまだ一つの事実に気付いてなかった。
「せんたくきどこだー?せんたくきー。」
ハルケギニアに洗濯機などないという事実に。
「せんたくきー。せんたくきー。一昨日の晩御飯はケンタッキー♪」
ノリノリで歩きながら何気無い気分で右に曲がろうとしたときだった。
「おお!おっとっと。」
「キャッ!?」
つまずいてバランスを崩しそうになったしんのすけはそばにいたメイドにぶつか
りそうになる。
しかしそこは自慢の身体能力を使いこなしてヒラリと体勢を直すしんのすけ。
おバカパワーなしでも問題なく体勢は直せた。
「ほっほ~い。」
「あの、大丈夫ですか…?」
メイドが話しかけてくる。ここでしんのすけの目は鷹のようにギラリと光る。
(対象女子高生以上の)女好きなしんのすけならこれくらいは日常茶飯事。
なかなかの器量良し。背丈、顔つきから対象年齢クリア。
そしてしんのすけの身体能力なら問題なく飛び込める距離まで近づいて気付いた。
彼は見逃さなかった。彼女の胸はけっこう大きいと言う事を!
「おおお~~ッ!!!!」
しんのすけがついいつもの癖で興奮、そしてナンパと言ういつものパターン。
「お姉さ~ん。オラといっしょにお洗濯しませんか~?ついでにオラの苦労も
その手で洗い流してくれますか~?キャッ!言っちゃった~。あは~。」
しんのすけはいつもの癖で顔をニヤけさせる。
無論メイドは困ったような顔ではにかんでいる。
「あ、あの、もしかしてあなたがミス・ヴァリエールの使い魔になったと言う子ですか?」
メイドがしんのすけの左手にあったルーンを指差して言った。
しんのすけがそれに気付いたように言う。
「お?オラはルイズちゃんの使い魔なんだって。」
「き、貴族様をちゃん付けで呼んで大丈夫なんですか?」
「え?ルイズちゃんはルイズちゃんだゾ。そんなことよりオラ今おせんたくの最中なんだけど
お姉さんどこにせんたくきあるか知らない?ルイズちゃんに頼まれちゃって。」
そう聞いたメイドが首を傾げる。とりあえず最中じゃなくてこれから始めるのでは?という疑問は追いといた。
「えっと、洗濯ですね。それでしたら私も洗濯に向うところですから、一緒に行きましょう。」
「おお~。優しいお姉さんだぞ!これがじいちゃんの言ってたメイドさんか~。
帰ったらじいちゃんに自慢しよーっと!」
二人の間に流れるなごやかな空気。二人が笑いながら自分が名乗ってなかったことを思い出す。
「すいません。名乗るのを忘れていましたね。私はこちらでご奉公させていただいている
メイドのシエスタと申します。」
「シエスタ…シエちゃんでいいかな?オラは野原しんのすけ!最近気に入ってるおつやは
『ロイヤルチョコビ』ブラックビター味!どうぞよろしくだゾ。」
「ノハラシンノスケさんですね。変わった…お名前なんですね。」
そう言うとしんのすけがよし今がチャンスと言わんばかりの目つきをする。
人差し指を立ててチッチッと音を立てると、少しだけ気取って言う。
「シエちゃん。オラのことはしんちゃんと呼んでいいゾ!まぎわらしいかな?」
「えっと、『まぎらわしい』ですよ?…シンちゃん。これでいいですか?」
「あっはぁ~ん、シエちゃん飲み込みが速いぞ~。よろしくりきんとんは甘ったるい~。」
と、内心(よし!つかみはOK!)と思いつつ決め台詞を言ったしんのすけだった。
たどり着いたのは水場。
洗濯のための水はここで確保するわけだが、しんのすけはなぜかまだキョロキョロしている。
「シエちゃん、せんたくきは?」
「…?センタクキってなんですか?」
「ええ!?せんたくきを知らないの!?じゃあいままでどうやって服洗ってたの!?」
「え…。水をくんで洗剤を使って洗濯板でゴシゴシと…。シンちゃんも道具持ってるじゃないですか。」
しんのすけが荷物を見てみると、なるほど。確かにルイズの服の他に洗剤や洗濯板が用意されていた。
しんのすけは愕然とする。つまりルイズはしんのすけに手洗いをしろと言うのだ。
手洗いはおろか、そもそも洗濯機の使い方も間違えるしんのすけに。
「オ、オラせんたくやったことないゾ…。」
しんのすけの脳裏に鬼ルイズの怒りの咆哮を上げる姿が浮かび上がる。
その脅威にすくみ上がったときだ。
「あの…。洗濯の仕方がわからないなら私が教えますよ?」
基本プラス思考のしんのすけ。一瞬でしんのすけの瞳に光が再びともる。
「おお!!手取り足取り!?」
「は、はい。私でよければ…。どうですか?」
「ほい!精いっぱい敬意をこめてやらせていただきますです!!」
面倒くさい事が嫌いなしんのすけだが、それ以上に綺麗なお姉さんとおつきあいするのは
たとえそれがただの洗濯の指南でもものすごく大好きなのだ。
元凶のはずであるルイズに感謝するくらいに。
その後極楽のような気分でシエスタに洗濯を教わり部屋に戻る。
そこには制服に着替えたルイズが朝食に行く支度をしていた。
着替えは平賀某くんやその他SSの方々の場合それをやらせていたが、
流石にしんのすけのガタイじゃ着替えさせるのは無理と判断したようだ。
朝食は『アルヴィーズの食堂』にて取られる。
食堂には生徒、先生問わず学院のメイジ達が集まっており、百人は優に座れるであろう、
テーブルが三つ並んでいる。
内装は豪華絢爛であり、テーブルにはロウソクや花が飾られている。
「ホントならあんたみたいな平民『アルヴィーズの食堂』には一生入れないのよ。感謝してよね。」
「おお!でっかいぞ!…みさえのケツがッ!!」
「…誰?」
ズゥゥゥン…。と言う効果音が響き渡る。お約束のネタが通用せずしんのすけがこれまでにないくらい落ち込んだ。
「…やっぱダメだゾ。いつもなら母ちゃんの後ろに立って言うからいいんだけど
ルイズちゃんは胸だけじゃなくおしりも小さいからこの台詞使えないんだゾ…。」
「アンタ喧嘩売ってんの?」
「スリムは褒め言葉だゾ。」
しんのすけがテーブルの上を見たらものすごいご馳走がある。
当然しんのすけの感激っぷりは半端じゃあない。
「おお!オラのはオラのは!?」
「アンタのはそっち。」
そう言って指した皿には固いパンと質素なスープがあった。
しんのすけがあからさまな不満の表情を浮かべる。
ルイズがニヤニヤしながら続ける。
「どうしたの?使い魔は外で食事をするところを
私が特別に中で食べさせてあげるんだから、もう少し感謝しなさ「おかわりッ!!」速いわねッ!?」
普段から手抜きな朝食に慣れているしんのすけに取ってこんな朝食は3時のおつやより足りない。
そしてコレを完食すれば自分ももらえると考えたらしい。
「な、ないわよおかわりなんて!使い魔のくせに贅沢いってんじゃないわよッ!」
ルイズが椅子に座り祈りをささげる。
そんな様子をしんのすけはふくれっ面で見ている。
―偉大なる始祖ブリミルの女王陸下よ。―
だが祈りの最中にしんのすけが気付く。
皿の真ん中に複数人が分けて食べるように盛りあわされたフルーツの盛り合わせに。
キラン としんのすけの瞳が輝く。その口には少しばかりよだれが。
―今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします―
祈りを終えたルイズがふと、しんのすけのほうを見るがしんのすけにしてはやけに従順に食堂から去ろうとしていた。
だが、あのしんのすけが何もせずに去るわけがないのだ。
「お、おい、フルーツこんなに少なかったか?」
「おかしいな、もっとあったハズだけど。」
ルイズがそれを聞いて皿を見ると確かにいつもと比べて量が見てわかるくらいに少ない。
おかしいと思った瞬間即座にしんのすけの後姿に目を向ける。
「アイツ…まさかッ!!」
ルイズがしんのすけを追いかける。
「ちょっと待ちなさいアンタ。一旦こっちを向いてみなさい。」
ビクッ!としんのすけがその場で立ち止まる。
「何か…。」
しんのすけが振り返る。すると…。
「ごようですかぁぁぁぁぁ?」
眉には切り分けたリンゴ!目の端でイチゴを挟み、鼻からさくらんぼをぶら下げ、
ほおをすでに食しているであろう果物で膨らませつつ口からバナナをはみ出させたしんのすけの姿が!!
ブッ!!っとルイズが口をおさえたとはいえ思わずふきだす。
「この…大バカ犬ーーーーーッ!!!!」
拳骨の音が響き渡った。
続いて授業の時間。
ルイズに喰らった拳骨のなごりがまだしんのすけの頭にコブとして残っている。
「全く信じられない!神聖な食堂でなんてマネしてんのよ!」
「ちょっとしたおちゃめなつもりだったのに…。あとルイズちゃん。
そこは『食べ物で遊んではいけません』でしょ!やれやれ、ルイズちゃんもまだまだツメが甘いゾ。」
「わかってんならやるなぁーーーー!!」
教室に入るとすでに来ていた生徒達はルイズとしんのすけに目を向けた。
「おっ、『ゼロのルイズ』が平民を連れてご登場だ。」
「流石『ゼロのルイズ』!ゼロには非力な平民の子供がいいってか?」
「ハハハハハハ!!!」
しんのすけを連れたルイズを周りの生徒があざ笑う。
「いやー照れるなー。まいっちゃうゾー。」
「ほめてないってッ!!」
しかししんのすけがこの程度の罵倒を受け付けるハズもなかった。
マイペースなしんのすけを説き伏せるなど簡単にできることではない。
そうこうしているうちに先生らしき女性が教壇に立ち講義を始めた。
「皆さん、春の使い魔召還は大成功のようですね。このシュヴルーズ、
みなさんの使い魔を見るのを毎年、楽しみにしているのですよ」
そして教室を見渡すとしんのすけに眼をとめた。
「おやおや、また変わった使い魔を召喚したようですね、ミス・ヴァリエール」
彼女、シュヴルーズがしんのすけを見ながらとぼけた声でいうと、教室に笑い声がおきる。
笑い声とともに小太りの少年、マリコルヌがはやし立てる。
「『ゼロのルイズ』!召喚できないからってその辺に歩いていた平民連れてくるなよ!」
「違うわよ、きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」
「嘘だ~。『サモン・サーヴァント』ができなかっただけじゃないの?」
ルイズが顔をしかめているとしんのすけが問う。
「ねえねえ、『ゼロのルイズ』って何?」
すると途端にルイズはバツが悪そうになり、視線を外してしまった。
「知らなくていいことよ。」
「ほうほう、コンプレックスだから気にしていると。」
「(ドキッ!)ち、違うわよ!違うんだからねッ!!」
しんのすけが少し考え込む。
「うーん、コンプレックス?例えば『太り気味だからモテない』とか『実はマゾヒストなのを
いつバレるかヒヤヒヤしているが案外それも楽しみ』だとか?」
マリコルヌが噴出すのはほぼ同時だった。
「お、お、お前なんでそれを知ってるんだ…?」
「え?適当に言っただけなんだけど。他にも『モテてるのをいいことに浮気中』とか、
『使い魔のモグラを気に入りすぎて女性を悲しませないだろうか』とか
『最近博打にはまって負け続けてる』とかは?」
ガッタァーンッ!!と言う音をたてて後ろに倒れたのは全然見当違いの所に座っていた
ギーシュ・ド・グラモンだった。
「アンタ、もしかして今のも偶然?」
「うん。ぐーぜんだゾ。」
トリックなどない。この日のしんのすけは妙な奇跡を起こした。それだけの話だ。
そして無関係だったギーシュに思わぬ流れ弾が当たった。それだけの話である。
そうこうしてるうちにシュヴルーズが見かねて皆を叱った。
「みなさんお静かに。授業を始めますよ。」
授業が始める。ルイズも真剣な顔になり席に戻る。
しんのすけもなんとなく魔法に興味があったので聞いてみた。
「私の二つ名は『赤土』赤土のシュヴルーズです。土系統の魔法をこれから一年皆さんに講義します」
講義の内容は魔法の基本のおさらいだった。
魔法の基礎となる四大系統。火・土・水・風。それに失われし虚無を合わせた五つの魔法系統があること。
そしてそれらの系統を足すことによりさらなる力を発揮すると言うこと、
4大系統のほかに、最も優しい「コモン・マジック」があることがわかった。
「ほい!」
ここでしんのすけが手を上げる。
「コ、コラ!あんた勝手に何やってんの!!」
「けいとーは100個くらい重ねたらおかねもちになったりお姉さんにモテモテになりますか!?」
「ハイ?」
周りからクスクス笑いがあがる。ルイズが小声でしんのすけが
「ちょっと!アンタ何聞いてんのよ!?」
「オラも魔法のおべんきょうをしようかと思って。」
「平民じゃ一生かかっても魔法なんか使えないわよ!杖もないのに!」
「じゃあ杖っていくらかかるの?」
「売り物じゃないわよ杖は!」
苦笑してシュヴルーズが続ける。
「えっと、ちなみに重ねられるのは4系統。一つが『ドット』、二つ重なって『ライン』、
三つが『トライアングル』、四つが最大クラスの『スクウェア』です。
私は土系統のトライアングルですから『錬金』できるのは真鍮が限界。ゴールドは『スクウェア』でないと
錬金できませんし、そのスクウェア・スペルも精神力の回復に多くの時間がかかりますからお金持ちになるのは
少し難しいですね。…スクウェアくらいになれば相当の地位が約束されますし、女性の人気も保てるのでは?」
「おお~!!」
(り、律儀に答えちゃった!いい人ですねシュヴルーズ先生!!)
ルイズが心の中で突っ込んだ。
「ほい!」
さらにしんのすけが質問を続ける。
「じゃあルイズちゃんは何けいとーですか!?」
ルイズがぎくりとしてしんのすけの頭を掴む。
「ア、アンタ…!バカ、やめなさい!」
「えっと、私は今年からこのクラスを受け持っているので何とも…。
そうですね、ではミス・ヴァリエール。貴方にやってもらいましょう。
この石を自分の望む金属に錬金してみてください。」
一瞬で周りの空気が変わった。
「そ、それだけは!それだけはご勘弁を!」
「それをやったら私…!まだ生きて叶えたい夢があるんです!!」
「危険すぎます!『ゼロのルイズ』にやらせたら命の保障すら…!」
そう聞いたルイズがカチンときてシュヴルーズに宣言した。
「やります!やらせてください!!」
周りの面々が顔を青くして騒ぎ出す。
「『ゼロのルイズ』が動き出すぞ!!」
「今すぐやめさせてください!」
「早まるな『ゼロのルイズ』!生き急いで何が得られる!?」
しんのすけがまわりのオーバーなリアクションに疑問を持った。
「…ルイズちゃんやけに大人気だゾ…。何?とんでもない大魔法でも使うの?」
ゼロのルイズと言うあだな、周りの尋常じゃない反応。この状況からしんのすけ
の割り出した説!それは!
(しんのすけの深層心理)
ルイズがキャピったテンションで呪文を唱える。
「もえもえぴぴぴーもえぴぴぴー!怪獣シリマルダシ出てこーい!!」
呪文と供ウン十メートルもある怪獣シリマルダシが出現!
一瞬で学院が火の海!
キャー!と叫び声を上げて逃げ出す女子生徒たち!
その時現れたヒーロー!!
「アクションハイパーゴーシャストルネードビッグサンダーロイヤルレモンティーカンチョー!!」
ものすごいおならジャンプとともにシリマルダシのケツに大打撃!シリマルダシ撃破!
「キャー!あんな怪獣をいともかんたんに倒しちゃったわ!」
「強いわ!カッコいいわ!私の恋人になってー!」
しんのすけは一瞬にしてヒーロー!モテモテになった!
「どうか私のおヒザで耳そーじさせてくださいなんてカーッ!!たまんないねチクショーッ!!」
なんというプラス思考。ある意味見習うべきかもしれない。
それがしんのすけという人間なのだ。
「まっ・ほ・う!まっ・ほ・う!シーリ・マール・ダシ!シーリ・マール・ダシ!」
しんのすけがハイテンションになってルイズにシリマルダシコールを送る。
ルイズも一瞬呆れたががぜんやる気が沸いてきた。
「『錬金』ッ!!」
瞬間、全てが吹き飛んだ。
原因はいわずもがな。ルイズが石ころに杖を振り下ろした瞬間、その石ころは机ごと大爆発を起こした!
巻き込まれた生徒の大半は失神。無事なのは後ろのほうにいた生徒見事にマリコルヌで『変わり身の術』を決めた
しんのすけだけだ。
至近距離の爆破で失神したシュヴルーズを尻目にルイズが口を開く。
「ちょっと失敗したみたい」
「ちょっとじゃないだろう!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」
これは流石にしんのすけもゼロの真意を悟った。
「うーん、ルイズちゃんはやっぱ母ちゃんクラスの危険生物だゾ…。」
後ろでなぜか無傷の状態でのんきにリンゴを食べながらそう言ってるが悟ったはずだ。多分。
その頃ミスタ・コルベールは図書館であることを調べていた。
ルイズが召喚した少年に刻まれたルーンについて調べていたのだ。
だが彼の調べ物は今現在行き詰っていた。
「おかしいな…。確かこの辺だったはずだが…。」
ハズレだったらしく本棚に本をしまう。その時。
ガラガラガラッ!!
本棚の中の本が突然なだれとなって落ちてきた!
それはまさにしんのすけの家の押入れのように!
「うわあああああッ!!」
コルベールがギリギリで避けたもののバランスを崩して転倒する。
「おーイタタタ。ん?コレは?」
目の前にあった本は少しばかり傷んで、ページも少しばかり破けていた。
だが開いてあったページにはさし絵が描いてあった。
後ろにそびえるメイジ。その前に立つ小人。そしてその前には剣を持った小さな剣士、
大柄な鎧の騎士、そして二本の角を持った細身の戦士。
そして小人の左手、それの拡大図にかかれていたのはしんのすけと同じルーン。
もう半分のページは破れててわからなかったがコルベールはそのルーンに気を取られてそれどころではなかった。
「こ、これは!あった!見つけたぞ!早くオールド・オスマンに知らせなくては!」
急ぎ足でその本を抱え、図書室から姿を消した。
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#navi(伝説を呼ぶ使い魔)
#navi(伝説を呼ぶ使い魔)
「前が見えねぇ。」
先ほどルイズのそれはもうすさまじい打撃を受けて目覚め、ブラウスやスカートを運んでいるのは
赤いシャツに黄色いズボン、この間とうとう買ってもらったアクション仮面シューズに身を包むのは
904回の召喚の末ルイズに召喚された少年『野原しんのすけ』5歳。
しんのすけはルイズに頼まれていた洗濯をしに外に出かけていた。
「まったくルイズちゃんったら人使いが荒いゾ。」
ルイズの洗濯物はまだ5歳のしんのすけにはまだ重くよろよろ歩きになっている。
ましてや家事などあまり手伝わない基本グータラライフを送ってきたしんのすけ
には洗濯のしかたなどわかるわけもない。
そしてしんのすけはまだ一つの事実に気付いてなかった。
「せんたくきどこだー?せんたくきー。」
ハルケギニアに洗濯機などないという事実に。
「せんたくきー。せんたくきー。一昨日の晩御飯はケンタッキー♪」
ノリノリで歩きながら何気無い気分で右に曲がろうとしたときだった。
「おお!おっとっと。」
「キャッ!?」
つまずいてバランスを崩しそうになったしんのすけはそばにいたメイドにぶつか
りそうになる。
しかしそこは自慢の身体能力を使いこなしてヒラリと体勢を直すしんのすけ。
おバカパワーなしでも問題なく体勢は直せた。
「ほっほ~い。」
「あの、大丈夫ですか…?」
メイドが話しかけてくる。ここでしんのすけの目は鷹のようにギラリと光る。
(対象女子高生以上の)女好きなしんのすけならこれくらいは日常茶飯事。
なかなかの器量良し。背丈、顔つきから対象年齢クリア。
そしてしんのすけの身体能力なら問題なく飛び込める距離まで近づいて気付いた。
彼は見逃さなかった。彼女の胸はけっこう大きいと言う事を!
「おおお~~ッ!!!!」
しんのすけがついいつもの癖で興奮、そしてナンパと言ういつものパターン。
「お姉さ~ん。オラといっしょにお洗濯しませんか~?ついでにオラの苦労も
その手で洗い流してくれますか~?キャッ!言っちゃった~。あは~。」
しんのすけはいつもの癖で顔をニヤけさせる。
無論メイドは困ったような顔ではにかんでいる。
「あ、あの、もしかしてあなたがミス・ヴァリエールの使い魔になったと言う子ですか?」
メイドがしんのすけの左手にあったルーンを指差して言った。
しんのすけがそれに気付いたように言う。
「お?オラはルイズちゃんの使い魔なんだって。」
「き、貴族様をちゃん付けで呼んで大丈夫なんですか?」
「え?ルイズちゃんはルイズちゃんだゾ。そんなことよりオラ今おせんたくの最中なんだけど
お姉さんどこにせんたくきあるか知らない?ルイズちゃんに頼まれちゃって。」
そう聞いたメイドが首を傾げる。とりあえず最中じゃなくてこれから始めるのでは?という疑問は追いといた。
「えっと、洗濯ですね。それでしたら私も洗濯に向うところですから、一緒に行きましょう。」
「おお~。優しいお姉さんだぞ!これがじいちゃんの言ってたメイドさんか~。
帰ったらじいちゃんに自慢しよーっと!」
二人の間に流れるなごやかな空気。二人が笑いながら自分が名乗ってなかったことを思い出す。
「すいません。名乗るのを忘れていましたね。私はこちらでご奉公させていただいている
メイドのシエスタと申します。」
「シエスタ…シエちゃんでいいかな?オラは野原しんのすけ!最近気に入ってるおつやは
『ロイヤルチョコビ』ブラックビター味!どうぞよろしくだゾ。」
「ノハラシンノスケさんですね。変わった…お名前なんですね。」
そう言うとしんのすけがよし今がチャンスと言わんばかりの目つきをする。
人差し指を立ててチッチッと音を立てると、少しだけ気取って言う。
「シエちゃん。オラのことはしんちゃんと呼んでいいゾ!まぎわらしいかな?」
「えっと、『まぎらわしい』ですよ?…シンちゃん。これでいいですか?」
「あっはぁ~ん、シエちゃん飲み込みが速いぞ~。よろしくりきんとんは甘ったるい~。」
と、内心(よし!つかみはOK!)と思いつつ決め台詞を言ったしんのすけだった。
たどり着いたのは水場。
洗濯のための水はここで確保するわけだが、しんのすけはなぜかまだキョロキョロしている。
「シエちゃん、せんたくきは?」
「…?センタクキってなんですか?」
「ええ!?せんたくきを知らないの!?じゃあいままでどうやって服洗ってたの!?」
「え…。水をくんで洗剤を使って洗濯板でゴシゴシと…。シンちゃんも道具持ってるじゃないですか。」
しんのすけが荷物を見てみると、なるほど。確かにルイズの服の他に洗剤や洗濯板が用意されていた。
しんのすけは愕然とする。つまりルイズはしんのすけに手洗いをしろと言うのだ。
手洗いはおろか、そもそも洗濯機の使い方も間違えるしんのすけに。
「オ、オラせんたくやったことないゾ…。」
しんのすけの脳裏に鬼ルイズの怒りの咆哮を上げる姿が浮かび上がる。
その脅威にすくみ上がったときだ。
「あの…。洗濯の仕方がわからないなら私が教えますよ?」
基本プラス思考のしんのすけ。一瞬でしんのすけの瞳に光が再びともる。
「おお!!手取り足取り!?」
「は、はい。私でよければ…。どうですか?」
「ほい!精いっぱい敬意をこめてやらせていただきますです!!」
面倒くさい事が嫌いなしんのすけだが、それ以上に綺麗なお姉さんとおつきあいするのは
たとえそれがただの洗濯の指南でもものすごく大好きなのだ。
元凶のはずであるルイズに感謝するくらいに。
その後極楽のような気分でシエスタに洗濯を教わり部屋に戻る。
そこには制服に着替えたルイズが朝食に行く支度をしていた。
着替えは平賀某くんやその他SSの方々の場合それをやらせていたが、
流石にしんのすけのガタイじゃ着替えさせるのは無理と判断したようだ。
朝食は『アルヴィーズの食堂』にて取られる。
食堂には生徒、先生問わず学院のメイジ達が集まっており、百人は優に座れるであろう、
テーブルが三つ並んでいる。
内装は豪華絢爛であり、テーブルにはロウソクや花が飾られている。
「ホントならあんたみたいな平民『アルヴィーズの食堂』には一生入れないのよ。感謝してよね。」
「おお!でっかいぞ!…みさえのケツがッ!!」
「…誰?」
ズゥゥゥン…。と言う効果音が響き渡る。お約束のネタが通用せずしんのすけがこれまでにないくらい落ち込んだ。
「…やっぱダメだゾ。いつもなら母ちゃんの後ろに立って言うからいいんだけど
ルイズちゃんは胸だけじゃなくおしりも小さいからこの台詞使えないんだゾ…。」
「アンタ喧嘩売ってんの?」
「スリムは褒め言葉だゾ。」
しんのすけがテーブルの上を見たらものすごいご馳走がある。
当然しんのすけの感激っぷりは半端じゃあない。
「おお!オラのはオラのは!?」
「アンタのはそっち。」
そう言って指した皿には固いパンと質素なスープがあった。
しんのすけがあからさまな不満の表情を浮かべる。
ルイズがニヤニヤしながら続ける。
「どうしたの?使い魔は外で食事をするところを
私が特別に中で食べさせてあげるんだから、もう少し感謝しなさ「おかわりッ!!」速いわねッ!?」
普段から手抜きな朝食に慣れているしんのすけに取ってこんな朝食は3時のおつやより足りない。
そしてコレを完食すれば自分ももらえると考えたらしい。
「な、ないわよおかわりなんて!使い魔のくせに贅沢いってんじゃないわよッ!」
ルイズが椅子に座り祈りをささげる。
そんな様子をしんのすけはふくれっ面で見ている。
―偉大なる始祖ブリミルの女王陸下よ。―
だが祈りの最中にしんのすけが気付く。
皿の真ん中に複数人が分けて食べるように盛りあわされたフルーツの盛り合わせに。
キラン としんのすけの瞳が輝く。その口には少しばかりよだれが。
―今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします―
祈りを終えたルイズがふと、しんのすけのほうを見るがしんのすけにしてはやけに従順に食堂から去ろうとしていた。
だが、あのしんのすけが何もせずに去るわけがないのだ。
「お、おい、フルーツこんなに少なかったか?」
「おかしいな、もっとあったハズだけど。」
ルイズがそれを聞いて皿を見ると確かにいつもと比べて量が見てわかるくらいに少ない。
おかしいと思った瞬間即座にしんのすけの後姿に目を向ける。
「アイツ…まさかッ!!」
ルイズがしんのすけを追いかける。
「ちょっと待ちなさいアンタ。一旦こっちを向いてみなさい。」
ビクッ!としんのすけがその場で立ち止まる。
「何か…。」
しんのすけが振り返る。すると…。
「ごようですかぁぁぁぁぁ?」
眉には切り分けたリンゴ!目の端でイチゴを挟み、鼻からさくらんぼをぶら下げ、
ほおをすでに食しているであろう果物で膨らませつつ口からバナナをはみ出させたしんのすけの姿が!!
ブッ!!っとルイズが口をおさえたとはいえ思わずふきだす。
「この…大バカ犬ーーーーーッ!!!!」
拳骨の音が響き渡った。
続いて授業の時間。
ルイズに喰らった拳骨のなごりがまだしんのすけの頭にコブとして残っている。
「全く信じられない!神聖な食堂でなんてマネしてんのよ!」
「ちょっとしたおちゃめなつもりだったのに…。あとルイズちゃん。
そこは『食べ物で遊んではいけません』でしょ!やれやれ、ルイズちゃんもまだまだツメが甘いゾ。」
「わかってんならやるなぁーーーー!!」
教室に入るとすでに来ていた生徒達はルイズとしんのすけに目を向けた。
「おっ、『ゼロのルイズ』が平民を連れてご登場だ。」
「流石『ゼロのルイズ』!ゼロには非力な平民の子供がいいってか?」
「ハハハハハハ!!!」
しんのすけを連れたルイズを周りの生徒があざ笑う。
「いやー照れるなー。まいっちゃうゾー。」
「ほめてないってッ!!」
しかししんのすけがこの程度の罵倒を受け付けるハズもなかった。
マイペースなしんのすけを説き伏せるなど簡単にできることではない。
そうこうしているうちに先生らしき女性が教壇に立ち講義を始めた。
「皆さん、春の使い魔召還は大成功のようですね。このシュヴルーズ、
みなさんの使い魔を見るのを毎年、楽しみにしているのですよ」
そして教室を見渡すとしんのすけに眼をとめた。
「おやおや、また変わった使い魔を召喚したようですね、ミス・ヴァリエール」
彼女、シュヴルーズがしんのすけを見ながらとぼけた声でいうと、教室に笑い声がおきる。
笑い声とともに小太りの少年、マリコルヌがはやし立てる。
「『ゼロのルイズ』!召喚できないからってその辺に歩いていた平民連れてくるなよ!」
「違うわよ、きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」
「嘘だ~。『サモン・サーヴァント』ができなかっただけじゃないの?」
ルイズが顔をしかめているとしんのすけが問う。
「ねえねえ、『ゼロのルイズ』って何?」
すると途端にルイズはバツが悪そうになり、視線を外してしまった。
「知らなくていいことよ。」
「ほうほう、コンプレックスだから気にしていると。」
「(ドキッ!)ち、違うわよ!違うんだからねッ!!」
しんのすけが少し考え込む。
「うーん、コンプレックス?例えば『太り気味だからモテない』とか『実はマゾヒストなのを
いつバレるかヒヤヒヤしているが案外それも楽しみ』だとか?」
マリコルヌが噴出すのはほぼ同時だった。
「お、お、お前なんでそれを知ってるんだ…?」
「え?適当に言っただけなんだけど。他にも『モテてるのをいいことに浮気中』とか、
『使い魔のモグラを気に入りすぎて女性を悲しませないだろうか』とか
『最近博打にはまって負け続けてる』とかは?」
ガッタァーンッ!!と言う音をたてて後ろに倒れたのは全然見当違いの所に座っていた
ギーシュ・ド・グラモンだった。
「アンタ、もしかして今のも偶然?」
「うん。ぐーぜんだゾ。」
トリックなどない。この日のしんのすけは妙な奇跡を起こした。それだけの話だ。
そして無関係だったギーシュに思わぬ流れ弾が当たった。それだけの話である。
そうこうしてるうちにシュヴルーズが見かねて皆を叱った。
「みなさんお静かに。授業を始めますよ。」
授業が始める。ルイズも真剣な顔になり席に戻る。
しんのすけもなんとなく魔法に興味があったので聞いてみた。
「私の二つ名は『赤土』赤土のシュヴルーズです。土系統の魔法をこれから一年皆さんに講義します」
講義の内容は魔法の基本のおさらいだった。
魔法の基礎となる四大系統。火・土・水・風。それに失われし虚無を合わせた五つの魔法系統があること。
そしてそれらの系統を足すことによりさらなる力を発揮すると言うこと、
4大系統のほかに、最も優しい「コモン・マジック」があることがわかった。
「ほい!」
ここでしんのすけが手を上げる。
「コ、コラ!あんた勝手に何やってんの!!」
「けいとーは100個くらい重ねたらおかねもちになったりお姉さんにモテモテになりますか!?」
「ハイ?」
周りからクスクス笑いがあがる。ルイズが小声でしんのすけが
「ちょっと!アンタ何聞いてんのよ!?」
「オラも魔法のおべんきょうをしようかと思って。」
「平民じゃ一生かかっても魔法なんか使えないわよ!杖もないのに!」
「じゃあ杖っていくらかかるの?」
「売り物じゃないわよ杖は!」
苦笑してシュヴルーズが続ける。
「えっと、ちなみに重ねられるのは4系統。一つが『ドット』、二つ重なって『ライン』、
三つが『トライアングル』、四つが最大クラスの『スクウェア』です。
私は土系統のトライアングルですから『錬金』できるのは真鍮が限界。ゴールドは『スクウェア』でないと
錬金できませんし、そのスクウェア・スペルも精神力の回復に多くの時間がかかりますからお金持ちになるのは
少し難しいですね。…スクウェアくらいになれば相当の地位が約束されますし、女性の人気も保てるのでは?」
「おお~!!」
(り、律儀に答えちゃった!いい人ですねシュヴルーズ先生!!)
ルイズが心の中で突っ込んだ。
「ほい!」
さらにしんのすけが質問を続ける。
「じゃあルイズちゃんは何けいとーですか!?」
ルイズがぎくりとしてしんのすけの頭を掴む。
「ア、アンタ…!バカ、やめなさい!」
「えっと、私は今年からこのクラスを受け持っているので何とも…。
そうですね、ではミス・ヴァリエール。貴方にやってもらいましょう。
この石を自分の望む金属に錬金してみてください。」
一瞬で周りの空気が変わった。
「そ、それだけは!それだけはご勘弁を!」
「それをやったら私…!まだ生きて叶えたい夢があるんです!!」
「危険すぎます!『ゼロのルイズ』にやらせたら命の保障すら…!」
そう聞いたルイズがカチンときてシュヴルーズに宣言した。
「やります!やらせてください!!」
周りの面々が顔を青くして騒ぎ出す。
「『ゼロのルイズ』が動き出すぞ!!」
「今すぐやめさせてください!」
「早まるな『ゼロのルイズ』!生き急いで何が得られる!?」
しんのすけがまわりのオーバーなリアクションに疑問を持った。
「…ルイズちゃんやけに大人気だゾ…。何?とんでもない大魔法でも使うの?」
ゼロのルイズと言うあだな、周りの尋常じゃない反応。この状況からしんのすけ
の割り出した説!それは!
(しんのすけの深層心理)
ルイズがキャピったテンションで呪文を唱える。
「もえもえぴぴぴーもえぴぴぴー!怪獣シリマルダシ出てこーい!!」
呪文と供ウン十メートルもある怪獣シリマルダシが出現!
一瞬で学院が火の海!
キャー!と叫び声を上げて逃げ出す女子生徒たち!
その時現れたヒーロー!!
「アクションハイパーゴーシャストルネードビッグサンダーロイヤルレモンティーカンチョー!!」
ものすごいおならジャンプとともにシリマルダシのケツに大打撃!シリマルダシ撃破!
「キャー!あんな怪獣をいともかんたんに倒しちゃったわ!」
「強いわ!カッコいいわ!私の恋人になってー!」
しんのすけは一瞬にしてヒーロー!モテモテになった!
「どうか私のおヒザで耳そーじさせてくださいなんてカーッ!!たまんないねチクショーッ!!」
なんというプラス思考。ある意味見習うべきかもしれない。
それがしんのすけという人間なのだ。
「まっ・ほ・う!まっ・ほ・う!シーリ・マール・ダシ!シーリ・マール・ダシ!」
しんのすけがハイテンションになってルイズにシリマルダシコールを送る。
ルイズも一瞬呆れたががぜんやる気が沸いてきた。
「『錬金』ッ!!」
瞬間、全てが吹き飛んだ。
原因はいわずもがな。ルイズが石ころに杖を振り下ろした瞬間、その石ころは机ごと大爆発を起こした!
巻き込まれた生徒の大半は失神。無事なのは後ろのほうにいた生徒と見事にマリコルヌで『変わり身の術』を決めた
しんのすけだけだ。
至近距離の爆破で失神したシュヴルーズを尻目にルイズが口を開く。
「ちょっと失敗したみたい」
「ちょっとじゃないだろう!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」
これは流石にしんのすけもゼロの真意を悟った。
「うーん、ルイズちゃんはやっぱ母ちゃんクラスの危険生物だゾ…。」
後ろでなぜか無傷の状態でのんきにリンゴを食べながらそう言ってるが悟ったはずだ。多分。
その頃ミスタ・コルベールは図書館であることを調べていた。
ルイズが召喚した少年に刻まれたルーンについて調べていたのだ。
だが彼の調べ物は今現在行き詰っていた。
「おかしいな…。確かこの辺だったはずだが…。」
ハズレだったらしく本棚に本をしまう。その時。
ガラガラガラッ!!
本棚の中の本が突然なだれとなって落ちてきた!
それはまさにしんのすけの家の押入れのように!
「うわあああああッ!!」
コルベールがギリギリで避けたもののバランスを崩して転倒する。
「おーイタタタ。ん?コレは?」
目の前にあった本は少しばかり傷んで、ページも少しばかり破けていた。
だが開いてあったページにはさし絵が描いてあった。
後ろにそびえるメイジ。その前に立つ小人。そしてその前には剣を持った小さな剣士、
大柄な鎧の騎士、そして二本の角を持った細身の戦士。
そして小人の左手、それの拡大図にかかれていたのはしんのすけと同じルーン。
もう半分のページは破れててわからなかったがコルベールはそのルーンに気を取られてそれどころではなかった。
「こ、これは!あった!見つけたぞ!早くオールド・オスマンに知らせなくては!」
急ぎ足でその本を抱え、図書室から姿を消した。
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#navi(伝説を呼ぶ使い魔)
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