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「ガラの悪い使い魔-02」(2007/12/11 (火) 00:10:23) の最新版変更点
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「いや、お前こそ誰?」
俺がそう聞き返すやいなや、俺の顔を覗き込んでいたピンク髪のチンチクリンな女は顔を赤くして怒りだした。
……なんか悪い事言ったか俺?
「あんたねぇ!平民のくせに貴族に向かって何て口きくのよ!」
貴族に……平民?
何言ってんだコイツ?
というか、ここってどこだっけ?
……脳みそに霧がかかったみてぇな感覚がする……意識がハッキリしない。……というか気持ち悪い…………俺の大嫌いな船に乗って酔った時と同じくらい気持ち悪い。
怒るピンク女を無視して周囲を見回すと、俺のことを物珍しそうに見ている人間がたくさんいた。
なんでみんな黒マントなの?
俺を見てる人間達は皆一様に黒マントを着けている……怪しすぎるだろコイツ等。
そのマントの人間達の後方……少し遠くに巨大な城も見えた。
「…………」
ボケっとしながら城を眺めていたら誰かが言った。
「ハハッ、見ろよルイズの奴『サモン…サーヴァント』で平民を呼び出したぞ!」
その言葉を皮切りに、次々と周りの黒マントから罵声が飛び交う。
「そんなガラの悪い平民を召喚するなんて……流石ゼロのルイズだ!」
どっと人垣が爆笑する。
ルイズと呼ばれたピンクの髪の少女はわなわなと震えている。
それもそうだろう、『サモン·サーヴァント』で失敗し続け、やっとのことで召喚した使い魔がこのどう見ても平民にしか見えない男だったのだ。……しかもやけにガラの悪い。
「ミスタ·コルベール!」
ルイズがそう怒鳴ると人垣が割れ、真っ黒いローブに身を包んだ中年の魔法使いのような男が現れた。
怪しい……いや人の服のセンスをどうこう言うつもりはないんだけどさ、これは怪しいだろ……なんなのコイツ等?
大きな木の杖を持っているところを見る限り、やっぱり魔法使いなのだろうか?
そのローブの男が握る杖を見てたら、俺の脳裏に知り合いのお手軽に呼べるコンビニ陰陽師のジジィの顔が浮かんだ。
『おい小僧!誰がコンビニ陰陽師よ!俺はかの高名な西法師の……!』
頭の中で喚くジジィと格闘してながらチラリとルイズと呼ばれるピンク女の方を見た。
ピンク女は先程までとはうってかわって沈んでいる……『ズーン』という効果音が聞こえてきそうなくらい沈んでいる。
『だからな……、オイ!聞いてんのか小僧!隣…兵…闘…者……あ、オイもう少し俺に出番をよこさんか!……アーッ!』
俺の頭の中で突然九字を切り始めたコンビニ陰陽師を追い出しピンク女に声をかけた。
「ねぇねぇ、そんなに沈んじゃってどーしたの?」
ルイズはその言葉を無視し、沈んだ表情のまま自分の召喚した男の周りをぐるぐると回りながら男を見定めた。
がっしりとした体型に燃えるような真紅の瞳……ジャケットの背中には、縦に裂かれた十字架の紋章が入っている。
なんともガラが悪いが、なかなかのイケメンである……酷く顔が青いのが気になるが。
「でも悲しいけど、これって平民なのよね……」
「……何悟ったみたいな顔してんの?……ウップ……!」
男は『ヤバイヤバイとにかくヤバイこれはヤバイ』と思った。
もう限界が近い。
ピンク女が俺に近付いてくる。
やめろ、俺に近付くな……!
『俺に近寄るんじゃねぇぇェェェーッッ!!』
ビシッと指を突き出し、そう警告してやろうかと思ったが声が出せなかった。
というか口を開けなかった。開いちゃいけなかった。
「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」
ルイズは男の目の前まで来ると立ち止まり、小さな杖を男の目の前で振った。
「我が名はルイズ·フランソワーズ·ル·ブラン·ド·ラ·ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
ルイズの唱える呪文を聞いていたら、男の頭の中で声がした。
『アル·アジフ·アル·ハジャトォッ!』『そーれみゅそれみゅ』
渋い声の後に鈴を転がしたようなかわいい声が響いた。
ブンブンと頭を振り、変な呪文のような声を振り払い前を向き直ると、ルイズの唇が男の唇と重なった。
男の顔が更に青くなる。『もう限界だッ!俺は出すぜッ!』
ルイズは唇を離し、「終わりました」と、ローブの魔法使いに向き直り言ったその瞬間!
「お、おぇぇぇー!!」
後ろからビチャビチャビチャ、という音がした。
ルイズは嫌な予感がした。
後ろを見てはいけない気がした。
でも……見てしまった。
「「「は、吐いたぁーッ!」」」
「ん……んぐっ」
ゴクン
「「「の、飲んだぁぁーッ!!」」」
周囲の人間は男が嘔吐したものを途中で飲み込んだのを見て絶叫し、固まった。
今までゲラゲラと笑っていた人垣がシン……と静まりかえる。
「っふぅ………ん?」
吐いたことにより、ほんのちょっぴりだけ気分が良くなった男が顔を上げると、そこにはトマトの様に顔を真っ赤にしたルイズが立っていた。
「あああ、あんた……あんた!契約のキスをした瞬間には、吐くなんて……!わたしの唇が汚いとでも言いたいの!は……初めてだったのに……」
顔をトマトの様に赤くして涙を浮かべるルイズの顔を見上げ、ボーッとしていた男は言った。
「あ……?あぁ、ごめんね。いやお前の唇が汚いとかそーゆーのじゃなくてさ、ずっと船酔いしたみたいな感じになってて………熱ッ!?」
熱い!体が燃えるように熱い!
ふと左手の甲を見ると、左手のレザーグローブが溶け、妙ちくりんな紋章が現れた。
「な、なんじゃこりぁぁぁぁあぁぁぁぁー!!」
松田U作もビックリな雄叫びをあげ、男は倒れた。
―5分後
草原で気を失ったガラの悪い男を引きずるルイズの姿があった。
「なんで……なんでわたしの使い魔はよりによってこんなんなのよ!」
今にも泣き出しそうな顔をしたルイズは、男を引きずる。
ずるり、ずるりと音をたて、自分の部屋へ向かい男を引きずっていった。
「いや、お前こそ誰?」
俺がそう聞き返すやいなや、俺の顔を覗き込んでいたピンク髪のチンチクリンな女は顔を赤くして怒りだした。
……なんか悪い事言ったか俺?
「あんたねぇ!平民のくせに貴族に向かって何て口きくのよ!」
貴族に……平民?
何言ってんだコイツ?
というか、ここってどこだっけ?
……脳みそに霧がかかったみてぇな感覚がする……意識がハッキリしない。……というか気持ち悪い…………俺の大嫌いな船に乗って酔った時と同じくらい気持ち悪い。
怒るピンク女を無視して周囲を見回すと、俺のことを物珍しそうに見ている人間がたくさんいた。
なんでみんな黒マントなの?
俺を見てる人間達は皆一様に黒マントを着けている……怪しすぎるだろコイツ等。
そのマントの人間達の後方……少し遠くに巨大な城も見えた。
「…………」
ボケっとしながら城を眺めていたら誰かが言った。
「ハハッ、見ろよルイズの奴『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出したぞ!」
その言葉を皮切りに、次々と周りの黒マントから罵声が飛び交う。
「そんなガラの悪い平民を召喚するなんて……流石ゼロのルイズだ!」
どっと人垣が爆笑する。
ルイズと呼ばれたピンクの髪の少女はわなわなと震えている。
それもそうだろう、『サモン·サーヴァント』で失敗し続け、やっとのことで召喚した使い魔がこのどう見ても平民にしか見えない男だったのだ。……しかもやけにガラの悪い。
「ミスタ・コルベール!」
ルイズがそう怒鳴ると人垣が割れ、真っ黒いローブに身を包んだ中年の魔法使いのような男が現れた。
怪しい……いや人の服のセンスをどうこう言うつもりはないんだけどさ、これは怪しいだろ……なんなのコイツ等?
大きな木の杖を持っているところを見る限り、やっぱり魔法使いなのだろうか?
そのローブの男が握る杖を見てたら、俺の脳裏に知り合いのお手軽に呼べるコンビニ陰陽師のジジィの顔が浮かんだ。
『おい小僧!誰がコンビニ陰陽師よ!俺はかの高名な西法師の……!』
頭の中で喚くジジィと格闘してながらチラリとルイズと呼ばれるピンク女の方を見た。
ピンク女は先程までとはうってかわって沈んでいる……『ズーン』という効果音が聞こえてきそうなくらい沈んでいる。
『だからな……、オイ!聞いてんのか小僧!隣・兵・闘・者……あ、オイもう少し俺に出番をよこさんか!……アーッ!』
俺の頭の中から突然九字を切り始めたコンビニ陰陽師を追い出しピンク女に声をかけた。
「ねぇねぇ、そんなに沈んじゃってどーしたの?」
ルイズはその言葉を無視し、沈んだ表情のまま自分の召喚した男の周りをぐるぐると回りながら男を見定めた。
がっしりとした体型に燃えるような真紅の瞳……ジャケットの背中には、縦に裂かれた十字架の紋章が入っている。
なんともガラが悪いが、なかなかのイケメンである……酷く顔が青いのが気になるが。
「でも悲しいけど、これって平民なのよね……」
「……何悟ったみたいな顔してんの?……ウップ……!」
男は『ヤバイヤバイとにかくヤバイこれはヤバイ』と思った。
もう限界が近い。
ピンク女が俺に近付いてくる。
やめろ、俺に近付くな……!
『俺に近寄るんじゃねぇぇェェェーッッ!!』
ビシッと指を突き出し、そう警告してやろうかと思ったが声が出せなかった。
というか口を開けなかった。開いちゃいけなかった。
「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」
ルイズは男の目の前まで来ると立ち止まり、小さな杖を男の目の前で振った。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
ルイズの唱える呪文を聞いていたら、男の頭の中で声がした。
『アル・アジフ・アル・ハジャトォッ!』『そーれみゅそれみゅ』
渋い声の後に鈴を転がしたようなかわいい声が響いた。
ブンブンと頭を振り、変な呪文のような声を振り払い前を向き直ると、ルイズの唇が男の唇と重なった。
男の顔が更に青くなる。『もう限界だッ!俺は出すぜッ!』
ルイズは唇を離し、「終わりました」と、ローブの魔法使いに向き直り言ったその瞬間!
「お、おぇぇぇー!!」
後ろからビチャビチャビチャ、という音がした。
ルイズは嫌な予感がした。
後ろを見てはいけない気がした。
でも……見てしまった。
「「「は、吐いたぁーッ!」」」
「ん……んぐっ」
ゴクン
「「「の、飲んだぁぁーッ!!」」」
周囲の人間は男が嘔吐したものを途中で飲み込んだのを見て絶叫し、固まった。
今までゲラゲラと笑っていた人垣がシン……と静まりかえる。
「っふぅ………ん?」
吐いたことにより、ほんのちょっぴりだけ気分が良くなった男が顔を上げると、そこにはトマトの様に顔を真っ赤にしたルイズが立っていた。
「あああ、あんた……あんた!契約のキスをした瞬間には、吐くなんて……!わたしの唇が汚いとでも言いたいの!は……初めてだったのに……」
顔をトマトの様に赤くして涙を浮かべるルイズの顔を見上げ、ボーッとしていた男は言った。
「あ……?あぁ、ごめんね。いやお前の唇が汚いとかそーゆーのじゃなくてさ、ずっと船酔いしたみたいな感じになってて………熱ッ!?」
熱い!体が燃えるように熱い!
ふと左手の甲を見ると、左手のレザーグローブが溶け、妙ちくりんな紋章が現れた。
「な、なんじゃこりぁぁぁぁあぁぁぁぁー!!」
松田U作もビックリな雄叫びをあげ、男は倒れた。
―5分後
草原で気を失ったガラの悪い男を引きずるルイズの姿があった。
「なんで……なんでわたしの使い魔はよりによってこんなんなのよ!」
今にも泣き出しそうな顔をしたルイズは、男を引きずる。
ずるり、ずるりと音をたて、自分の部屋へ向かい男を引きずっていった。
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