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「KNIGHT-ZERO ep11」(2009/06/21 (日) 23:04:36) の最新版変更点
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「・・・・・・その欠陥の恐れのある部品を早急に交換させていただきます、
お客様のご自宅の近くにヘリコプターが着陸出来る場所はございますか?」
北米トヨタ「レクサス」のリコール対処に関する都市伝説より
使い魔品評会はつつがなく行われた
メイジ達の号令の元、各々の使い魔が芸を披露し、優勝はタバサの使い魔シルフィールドが頂戴した
走り去るKITTと入れ違いに学院に到着した馬車、アンリエッタ姫がお忍びで品評会を観覧しに来ていた
貴賓席で隣のオールド・オスマン学長が、アンリエッタの横顔と微かなため息を敏感に察し、声をかける
「姫様、浮かないご様子ですな、今年の使い魔達の顔ぶれはいささか退屈ですかな?」
アンリエッタはオスマンに向き直った、ほんの少しの狼狽を巧みに隠し、王女としての微笑みを浮かべる
「いずれも甲乙つけがたき素晴らしい使い魔達です、しかし、会いたい方とはなかなか会えぬものですね」
オスマンは手元の帳面を繰る、しかしこの数百歳とも言われる老メイジの記憶力の前に記録は不要だった
「ミス・ヴァリエールですか?今日は珍しく欠席ですが、確か姫様とは幼少のみぎりを共に過ごされたとか」
この食えない学長に隠し事をするのを諦めたアンリエッタはオスマンの瞳を見つめ・・・皺でよく見えない
「ルイズはわたくしの大切なお友達、今日はその使い魔に会うために無理を言って出席させて頂きました」
今度は本気で帳面をめくった、さすがにこれだけ年を取ると各生徒の使い魔までは覚えてられなくなる
「ミス・ヴァリエールは馬車のような使い魔を召喚した、とありますな、その馬車に興味がおありで?」
オスマンの資料にはそれだけしか記されていなかった、記述しようにも不明な事がKITTには多すぎた
「ええ、まことに素晴らしい馬車です、おそらくはこの世界であれに敵う馬車は一つとしてないでしょう」
アンリエッタはオスマンに顔を近づけ、囁く、まるでこの王女が少女に戻り、内緒話を楽しむかのように
「……ねぇ……口づけをしたくなるほど素敵な馬車なんて、信じられますか?」
タルブでの旗艦の損失で出鼻を挫かれたレコンキスタ、元より烏合の衆だった彼らの指揮系統は混乱した
長い地下活動の末、彼らは遂にロンディニウムの首都を武力制圧し、新生アルビオンの樹立を宣言した
王族と一部の貴族が大陸の端にある古城ニューカッスルに逃れ、そこに篭城するのも計画通りの筋書きで
後は『平和的な投降勧告』をしつつ、彼らが国民を巻き添えにした政権の武力奪還を企ててるとでっち上げ
魔法の攻撃を数で圧する兵士で包囲した後『無辜の民を守るためやむなく』皆殺しにすればよかった
聖地奪還に必要な他国と対等な地位、それを得られる国土と軍事力を持った彼らは当初の目的を見失い
新しい玩具で遊びたがる子供のようにトリスティンに侵攻をしたが、悪戯の過ぎた子供は頭を叩かれた
戦艦と竜騎兵でトリスティンに侵攻の橋頭堡を築き、地方部の幾つかの州に軍を進駐させ実効支配した後
それを各国との交渉カードとして維持しつつ、本土に戻した軍の一部をニューカッスルに投じ、王族を葬る
外敵と内患、二つの問題を順番に解決する策は早々に躓き、結果としてニューカッスル攻めは遅れに遅れた
偶然が重なり生まれた空白は、大陸の端に建つ古城に篭った王党派貴族達にいくつかの行動を起こさせた
既に彼らの意図を察知していた王族と貴族達は、僅かに残った武器や帆船を用い婦人と子供を逃がした後
名誉ある討死にを覚悟していたが、最終的に彼らは城に隠されていた平民のジャンク船に乗る事を選んだ
副業で密輸屋をしていた城の老船頭の櫂取りで、彼らは包囲する兵の目を巧みに盗みながら城から脱した
王族達は平民の服を纏い、夜闇に紛れ、当時の貴族達の基準に照らせば醜くも無様な逃亡をする事となった
彼らが祖国脱出を選ぶきっかけのひとつは、あのタルブでのKITTと新生アルビオン軍との戦闘だった
物資調達の為に姿を変え、経歴を偽って空賊の世界に身を置いていたアルビオン皇太子ウェールズは
情報に敏感な裏社会の連中からの伝聞で、タルブで勃発した不可解な戦闘について耳に挟んでいた
アンリエッタによる緘口令の後も兵士達の間から漏れる、戦艦と竜騎兵を単騎で退けたメイジの情報
空賊の噂には尾ひれがつき、やがてそれは数万の大軍を一瞬で壊滅させる未知の魔法と囁かれるに至った
古来、歴史が動く時に姿を現すという巨大な力の片鱗、今までの戦争と魔法の基準が通用しなくなる
新しい時代の去来を感じた彼らは貴族の名誉を古城に置き去り、生きるという最も困難な戦いを始めた
ウェールズを始めとした旧王族は空路トリスティンに逃れ、三国に跨るアルデンの森に亡命政権を樹立した
レコンキスタの支配下にあるアルビオンとの表立った対立を恐れる三つの国からの支援を得られぬ彼らは
国境線の曖昧な森林地帯を本拠とし、森の奥深くからアルビオン王家の健在を各国の首脳に向け表明した
彼らは幾度も送られたレコンキスタの探索隊から神出鬼没に逃げ回りながら、不定期の声明を発表し続けた
ルイズとシエスタは、標高が高くなるにつれ涼しくなっていく風に吹かれ、KITTを飛ばしていた
ランチタイムのために持ってきたワインを午前のお茶替わりに一本空けてしまったルイズとシエスタは、
ラグドリアン湖でボートレースの真似事をした後、最高速チャレンジにうってつけな国境沿いの小道を
パースートモードの設定限界速度を上回るスピードで飛ばし、トリスティンの西端、アルデンの森に着いた
学院で時々話題になる政治の情報で、ルイズはこの森に潜む亡命政権の存在については知っていたが
広大な森の中でそんな物に遭うのはチクトンネ街のインチキ宝クジで一等を引くより稀な事だと思っていた
それに、もしもこの森に世界を動かす何かが存在するならば、その現場を自分の目で見てみたいとも
森から少し入った草地にKITTを停めたルイズはドアを開け外に出て、体を伸ばしながら森の空気を吸う
KITTの激しい振動には酔わないが酒にはてんで弱いシエスタは助手席を倒し、すやすやと眠っている
酔ったシエスタのヒトの胸を板とか言う毒舌を思うと、このまま眠らせておいたほうがいいと思った
森の木々を見渡すルイズは、たわわに果実の実る木を目に止めて微笑む、この森で採れるという桃りんご
この少女の頬のような薄紅色の果物は少女の体のように繊細で脆く、その瑞々しい果肉の寿命は短かい
生鮮食料の物流に乏しいこの世界では、桃りんごは辺境の高地でしか味わえない森の美味とされていた
ルイズはアンリエッタ姫が、ハルケギニアの端にあるこの地まで数日の間馬車に揺られて公務で訪れる時
もぎたての桃りんごを賞味するのを何より楽しみにしている事を思い出した、KITTまで歩いて戻る
ルイズは後部座席から、湖でシエスタと平らげたサンドイッチの詰まっていたランチボックスを取り出す
空のボックスを下げたルイズは甘い香りの漂う木が群生する一角まで歩き、桃りんごを枝からもぎ始めた
この貴重な果物も国全体が標高の高い森で出来てるアルビオンではそこらじゅうにブラ下がってるらしい
そのせいでアルビオンの女は揃ってご立派な胸をしてるんだろうか、一個齧ってみる、甘ったるかった
ルイズは手の届く高さにある桃りんごを枝からもいでは籐のボックスに放り込みながら、木々の間を歩いた
少し重くなったボックスを下げた左手首、コミュニケーター・リンクが振動とアラームで警告を発する
音声と骨伝導カナルの併用でルイズの聴覚だけに届く仕様になっているリンクからKITTの声が聞こえた
「ルイズ、あなたの現在地に武装した数人の人間が接近しています、至急私の所までお戻りください」
ルイズは桃りんごがランチボックス一杯になったのに満足し、KITTを停めた草地までぶらぶらと戻った
もし山賊か何かに襲われたなら、10秒と経たずKITTが木々をへし折りながら助けに来てくれるだろう
ルイズが胸の中でほんのちょっと期待していた物語の中の騎士の様な展開は起こらず、あっさり到着する
ドアを開けシートを前に倒し、ランチボックスを後席に置いた、まだ寝てるシエスタの頭にわざとぶつける
シエスタは「・・・KITTさん・・・だめですぅ~」と寝言を言いながら夢の中、森に置いて帰ろうかと思った
KITTの操縦席に落ち着いたルイズは周辺警戒システムの感知した人影をメインモニターに表示させる
サーモセンサーと電磁波照射によるスキャンでこちらに接近してくる5人の人影とその所有物を確認した
通常の山賊とは異なる姿、彼らが共通して所持しているのは、ルイズも持ってる馴染み深い道具だった
「ルイズ、覗き見はそれくらいにして帰りませんか?我々が学院から脱走中の身であることをお忘れなく」
ルイズは操縦桿を指でトントンと叩きながらも動かない、モニターの映像より森の奥に視線を注いでいた
「・・・確めるわ…彼らがなんなのか、なぜここに居るのか…なぜメイジの杖を持った男達がここに居るのか」
すぐに彼らの内の一人が木々の間から姿を現した、残り4人の男達は周囲の藪に姿を隠したまま動かない
金髪の若い男だった、メイジのマントは汚れきっているが、刺繍された紋章はルイズの知っている家紋
「おやおや、こんな所でお会いするとは、我が従姉妹アンリエッタの友人、ルイズ・ラ・ヴァリエール君」
「あなたは……ウェールズ皇太子!」
アルビオンの王子、現在レコンキスタが血眼で追っている亡命政権の実質的な指導者がそこに居た
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#navi(KNIGHT-ZERO)
「・・・・・・その欠陥の恐れのある部品を早急に交換させていただきます、
お客様のご自宅の近くにヘリコプターが着陸出来る場所はございますか?」
北米トヨタ「レクサス」のリコール対処に関する都市伝説より
使い魔品評会はつつがなく行われた
メイジ達の号令の元、各々の使い魔が芸を披露し、優勝はタバサの使い魔シルフィールドが頂戴した
走り去るKITTと入れ違いに学院に到着した馬車、アンリエッタ姫がお忍びで品評会を観覧しに来ていた
貴賓席で隣のオールド・オスマン学長が、アンリエッタの横顔と微かなため息を敏感に察し、声をかける
「姫様、浮かないご様子ですな、今年の使い魔達の顔ぶれはいささか退屈ですかな?」
アンリエッタはオスマンに向き直った、ほんの少しの狼狽を巧みに隠し、王女としての微笑みを浮かべる
「いずれも甲乙つけがたき素晴らしい使い魔達です、しかし、会いたい方とはなかなか会えぬものですね」
オスマンは手元の帳面を繰る、しかしこの数百歳とも言われる老メイジの記憶力の前に記録は不要だった
「ミス・ヴァリエールですか?今日は珍しく欠席ですが、確か姫様とは幼少のみぎりを共に過ごされたとか」
この食えない学長に隠し事をするのを諦めたアンリエッタはオスマンの瞳を見つめ・・・皺でよく見えない
「ルイズはわたくしの大切なお友達、今日はその使い魔に会うために無理を言って出席させて頂きました」
今度は本気で帳面をめくった、さすがにこれだけ年を取ると各生徒の使い魔までは覚えてられなくなる
「ミス・ヴァリエールは馬車のような使い魔を召喚した、とありますな、その馬車に興味がおありで?」
オスマンの資料にはそれだけしか記されていなかった、記述しようにも不明な事がKITTには多すぎた
「ええ、まことに素晴らしい馬車です、おそらくはこの世界であれに敵う馬車は一つとしてないでしょう」
アンリエッタはオスマンに顔を近づけ、囁く、まるでこの王女が少女に戻り、内緒話を楽しむかのように
「……ねぇ……口づけをしたくなるほど素敵な馬車なんて、信じられますか?」
タルブでの旗艦の損失で出鼻を挫かれたレコンキスタ、元より烏合の衆だった彼らの指揮系統は混乱した
長い地下活動の末、彼らは遂にロンディニウムの首都を武力制圧し、新生アルビオンの樹立を宣言した
王族と一部の貴族が大陸の端にある古城ニューカッスルに逃れ、そこに篭城するのも計画通りの筋書きで
後は『平和的な投降勧告』をしつつ、彼らが国民を巻き添えにした政権の武力奪還を企ててるとでっち上げ
魔法の攻撃を数で圧する兵士で包囲した後『無辜の民を守るためやむなく』皆殺しにすればよかった
聖地奪還に必要な他国と対等な地位、それを得られる国土と軍事力を持った彼らは当初の目的を見失い
新しい玩具で遊びたがる子供のようにトリスティンに侵攻をしたが、悪戯の過ぎた子供は頭を叩かれた
戦艦と竜騎兵でトリスティンに侵攻の橋頭堡を築き、地方部の幾つかの州に軍を進駐させ実効支配した後
それを各国との交渉カードとして維持しつつ、本土に戻した軍の一部をニューカッスルに投じ、王族を葬る
外敵と内患、二つの問題を順番に解決する策は早々に躓き、結果としてニューカッスル攻めは遅れに遅れた
偶然が重なり生まれた空白は、大陸の端に建つ古城に篭った王党派貴族達にいくつかの行動を起こさせた
既に彼らの意図を察知していた王族と貴族達は、僅かに残った武器や帆船を用い婦人と子供を逃がした後
名誉ある討死にを覚悟していたが、最終的に彼らは城に隠されていた平民のジャンク船に乗る事を選んだ
副業で密輸屋をしていた城の老船頭の櫂取りで、彼らは包囲する兵の目を巧みに盗みながら城から脱した
王族達は平民の服を纏い、夜闇に紛れ、当時の貴族達の基準に照らせば醜くも無様な逃亡をする事となった
彼らが祖国脱出を選ぶきっかけのひとつは、あのタルブでのKITTと新生アルビオン軍との戦闘だった
物資調達の為に姿を変え、経歴を偽って空賊の世界に身を置いていたアルビオン皇太子ウェールズは
情報に敏感な裏社会の連中からの伝聞で、タルブで勃発した不可解な戦闘について耳に挟んでいた
アンリエッタによる緘口令の後も兵士達の間から漏れる、戦艦と竜騎兵を単騎で退けたメイジの情報
空賊の噂には尾ひれがつき、やがてそれは数万の大軍を一瞬で壊滅させる未知の魔法と囁かれるに至った
古来、歴史が動く時に姿を現すという巨大な力の片鱗、今までの戦争と魔法の基準が通用しなくなる
新しい時代の去来を感じた彼らは貴族の名誉を古城に置き去り、生きるという最も困難な戦いを始めた
ウェールズを始めとした旧王族は空路トリスティンに逃れ、三国に跨るアルデンの森に亡命政権を樹立した
レコンキスタの支配下にあるアルビオンとの表立った対立を恐れる三つの国からの支援を得られぬ彼らは
国境線の曖昧な森林地帯を本拠とし、森の奥深くからアルビオン王家の健在を各国の首脳に向け表明した
彼らは幾度も送られたレコンキスタの探索隊から神出鬼没に逃げ回りながら、不定期の声明を発表し続けた
ルイズとシエスタは、標高が高くなるにつれ涼しくなっていく風に吹かれ、KITTを飛ばしていた
ランチタイムのために持ってきたワインを午前のお茶替わりに一本空けてしまったルイズとシエスタは、
ラグドリアン湖でボートレースの真似事をした後、最高速チャレンジにうってつけな国境沿いの小道を
パースートモードの設定限界速度を上回るスピードで飛ばし、トリスティンの西端、アルデンの森に着いた
学院で時々話題になる政治の情報で、ルイズはこの森に潜む亡命政権の存在については知っていたが
広大な森の中でそんな物に遭うのはチクトンネ街のインチキ宝クジで一等を引くより稀な事だと思っていた
それに、もしもこの森に世界を動かす何かが存在するならば、その現場を自分の目で見てみたいとも
森から少し入った草地にKITTを停めたルイズはドアを開け外に出て、体を伸ばしながら森の空気を吸う
KITTの激しい振動には酔わないが酒にはてんで弱いシエスタは助手席を倒し、すやすやと眠っている
酔ったシエスタのヒトの胸を板とか言う毒舌を思うと、このまま眠らせておいたほうがいいと思った
森の木々を見渡すルイズは、たわわに果実の実る木を目に止めて微笑む、この森で採れるという桃りんご
この少女の頬のような薄紅色の果物は少女の体のように繊細で脆く、その瑞々しい果肉の寿命は短かい
生鮮食料の物流に乏しいこの世界では、桃りんごは辺境の高地でしか味わえない森の美味とされていた
ルイズはアンリエッタ姫が、ハルケギニアの端にあるこの地まで数日の間馬車に揺られて公務で訪れる時
もぎたての桃りんごを賞味するのを何より楽しみにしている事を思い出した、KITTまで歩いて戻る
ルイズは後部座席から、湖でシエスタと平らげたサンドイッチの詰まっていたランチボックスを取り出す
空のボックスを下げたルイズは甘い香りの漂う木が群生する一角まで歩き、桃りんごを枝からもぎ始めた
この貴重な果物も国全体が標高の高い森で出来てるアルビオンではそこらじゅうにブラ下がってるらしい
そのせいでアルビオンの女は揃ってご立派な胸をしてるんだろうか、一個齧ってみる、甘ったるかった
ルイズは手の届く高さにある桃りんごを枝からもいでは籐のボックスに放り込みながら、木々の間を歩いた
少し重くなったボックスを下げた左手首、コミュニケーター・リンクが振動とアラームで警告を発する
音声と骨伝導カナルの併用でルイズの聴覚だけに届く仕様になっているリンクからKITTの声が聞こえた
「ルイズ、あなたの現在地に武装した数人の人間が接近しています、至急私の所までお戻りください」
ルイズは桃りんごがランチボックス一杯になったのに満足し、KITTを停めた草地までぶらぶらと戻った
もし山賊か何かに襲われたなら、10秒と経たずKITTが木々をへし折りながら助けに来てくれるだろう
ルイズが胸の中でほんのちょっと期待していた物語の中の騎士の様な展開は起こらず、あっさり到着する
ドアを開けシートを前に倒し、ランチボックスを後席に置いた、まだ寝てるシエスタの頭にわざとぶつける
シエスタは「・・・KITTさん・・・だめですぅ~」と寝言を言いながら夢の中、森に置いて帰ろうかと思った
KITTの操縦席に落ち着いたルイズは周辺警戒システムの感知した人影をメインモニターに表示させる
サーモセンサーと電磁波照射によるスキャンでこちらに接近してくる5人の人影とその所有物を確認した
通常の山賊とは異なる姿、彼らが共通して所持しているのは、ルイズも持ってる馴染み深い道具だった
「ルイズ、覗き見はそれくらいにして帰りませんか?我々が学院から脱走中の身であることをお忘れなく」
ルイズは操縦桿を指でトントンと叩きながらも動かない、モニターの映像より森の奥に視線を注いでいた
「・・・確めるわ…彼らがなんなのか、なぜここに居るのか…なぜメイジの杖を持った男達がここに居るのか」
すぐに彼らの内の一人が木々の間から姿を現した、残り4人の男達は周囲の藪に姿を隠したまま動かない
金髪の若い男だった、メイジのマントは汚れきっているが、刺繍された紋章はルイズの知っている家紋
「おやおや、こんな所でお会いするとは、我が従姉妹アンリエッタの友人、ルイズ・ラ・ヴァリエール君」
「あなたは……ウェールズ皇太子!」
アルビオンの王子、現在レコンキスタが血眼で追っている亡命政権の実質的な指導者がそこに居た
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