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#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
「では授業を始める」
教室にギトーの声が響いた。彼が声を発するまで騒がしかった教室が静まり返った。
ギトーはそれを満足気に見詰め、授業を始めた。
尊大で生徒達を見下すような声が聞こえる中、キュルケは隣の空いた席を眺めていた。教室にはルイズの姿がないのだ。
「ミス・ツェルスプトー、最強の系統は知っているかね?」
余所見をしていたキュルケにギトーは質問をするが、キュルケは特に興味なさそうに答えた。
「さあ? 何でしょうね……『火』でしょうか?」
いかにも適当に思いついたかのような返答を気にもせず、それを否定する。
「ほう『火』かね? だが残念ながら最強は『風』なのだ。『風』は全てを薙ぎ払う。どうだ、ミス・ツェルスプトー。君の得意な『火』の魔法をぶつけてきたまえ」
ギトーは教師らしからぬ、挑発するような口調だった。しかし、興味がわかないとでも言いたそうなキュルケは然したる関心を示さない。
「どうでもいいですわ。何が最強かなんて興味がありませんもの」
馬鹿にされた。そう思ったギトーは激怒する。
「何だと! 君は教師を馬鹿にしているのか!」
そのとき唐突に教室の扉が開き、激昂するギトーとは対照的な、珍妙な格好をしたコルベールが入ってきた。
「みなさん。今日の授業は全て中止です」
Zero ed una bambola ゼロと人形
「ルイズ、いるの?」
キュルケはノックをすると、返事が返る前に『アンロック』の魔法で鍵を開けて部屋に入った。
部屋の中にはルイズとアンジェリカがいた。特に変わった様子もない。
「何か用?」
「何か用じゃないわよ。あなた、授業サボったでしょ?」
体調が悪くもなさそうだ。ならば何故授業に出ないのだろうか。
「練習とか訓練はきちんとしないと駄目ですよ?」
アンジェリカが可愛らしい声でルイズを嗜める。
「上手にできたらみんな褒めてくれるんです」
「アンジェちゃんの言うとおりよ。ちゃんと授業に出ないと…」
キュルケはアンジェリカの頭を撫でながら嫌味ったらしくルイズに言った。
「…アンジェ……」
だがルイズはアンジェリカを見詰めたままキュルケの言葉に全く反応しない。
「ちょっとルイズ、聞いているの?」
「うるさい! うるさいうるさいうるさい!」
キュルケがルイズの肩に触れたとたんに猛烈な勢いで怒り出した。
ルイズは理解していた。アンジェリカが何を上手にしたら褒めてもらえると言っているのかを知っていた。だがキュルケはそれを知らないのだ。
「あんたには関係ないでしょ! 放っておいて!」
何も知らないわけではない、それなのに何事も無かったかのように振舞うキュルケの姿がそこにあった。それが非常に恨めしい。
ルイズにとってもはや見て見ぬ振りのできないアンジェリカの性質。己の望む姿をキュルケに見い出しルイズを苛立たせる。
だがキュルケとて何も考えていないわけではない。ルイズを取り巻く周囲の環境の変化を感じ取り、あえて以前と変わらぬ様子で振舞っていたのだ。
同情心はルイズの自尊心を傷つける。倒れても倒れても挫けずにいずれ立ち上がり前に進みだす。そう思っていた……。だから故意に対立するのである。
しかしそれは違った。今のルイズは立ち上がっても前に進むことができない。進むべき道を見失っているのだ。ルイズが必要としているのは対等な者、あるいは彼女を庇護し守る者が必要なのかもしれない。
「そんなに怒ることないじゃない。用件だけ伝えるわ。今日の授業は全て中止よ。トリステインの王女様がいらっしゃるそうよ」
心の中でルイズを心配していても表には出さない。それがルイズを一層孤立させる。
「そうなの。用が済んだらっ…て、今なんて言ったの?」
キュルケを追い出そうと適当に聞き流していたが再度問う。ルイズの求めていた人が来ると言ったのだ。
「トリステインの王女様が表敬訪問するっていったのよ。それでね、生徒は門に集合することになってるわ」
「早くそれをいいなさいよ! アンジェ、部屋で待ってるのよ」
「はい。ルイズさん」
キュルケに対する苛立ちは何処へやら、ルイズは杖を持たずにに部屋を出て行った。
「全く…何なのよ…。じゃあね、アンジェちゃん。またね」
「またね。キュルケちゃん」
キュルケは少し呆れながらもその後を追う。
「トリステイン王女、アンリエッタ姫殿下のおなーりー!」
整列した生徒達が杖を掲げる。衛士の声が高らかに響き渡った。馬車から降りてくる王女の姿。それを見た生徒の歓声がうるさい。
杖を持っていないルイズは生徒の列からはずれ、後ろから食い入るようにそれを見ていた。
「杖持ってないけど、どうしたのよ?」
「別に…」
あれほど魔法に拘っていたルイズが杖を持たないなんておかしい。聞いてみても生返事が返って来るだけだった。
それが面白くないキュルケはルイズをからかってみることにした。
「ふうん。王女様よりあたしの方がきれいじゃない? ルイズもそう思うでしょ?」
「……」
「ねえ聞いてる?」
ルイズの視線の先にはアンリエッタの姿があったが、煩いキュルケを一瞥するとすぐに視線を戻した。
「つれないわね」
ルイズの相手をするのを諦め、キュルケはタバタを探した。すぐ傍でタバサがいつもと変わりなく本を読んでいたのを見つけた。
「タバサはいつもと変わらないわね」
タバサはキュルケに顔を向け、それからまた手元の本へ意識を没頭させた。
Episodio 30
La visita della principessa
王女様の来訪
----
Intermissione
「高飛びですって?」
「そうじゃ。わしらが君がフーケと気付いたんじゃ。アカデミーの連中がそれに気付かんとも限らん」
「ほとぼりが冷めるまでここから離れた方がいいでしょう」
確かにその通りだ。些細なことから尻尾が掴まれるとも限らない。何より自分の正体に気付いた人間がここにいるのだから。
ならば魔法学院からしばらく離れるのが得策だ。
「何処に行くかね? やっぱりゲルマニアかのう? それともロマリア? ガリアという手もあるのう」
オスマンが何処に行くかと尋ねてくる。だが行き先など決まっている。迷わずに答えた。
「アルビオンですわ」
行き先はアルビオンと聞いてコルベールは慌てて口を開いた。
「あそこは今、内戦状態なんですよ!」
そんなことは百も承知だ。
「知っています」
端的に答えた。だがコルベールが尚も食らいつく。
「危険です! ここは無難に…」
「コルベール君落ち着きたまえ」
大きな声を上げるコルベールをオスマンが嗜めた。
「ミス・ロングビルはそのことは百も承知じゃ。そうじゃろ?」
オスマンの問いに頷く。この爺は全てお見通しということか……。何処へ行くかなんて隠しても無駄だろう。
「しばらく故郷に帰っていませんでしたので、一度帰ろうと思っていますの」
「ふむ、内戦状態にあるのに?」
わざわざ確認するかのように聞いてくる。
「だからこそ帰るのです」
内戦状態に陥り政情不安定なアルビオン。ここから金品を送っても届くかどうかも怪しい。
それに治安状態も悪化していることが懸念される。あそこには信頼できるような人間などいないし、何よりあの子自身も世間知らずなところがあるから悪い虫がついていないか心配だ。
姉の立場から贔屓目無しに見ても、ハーフエルフという点を除けばその容姿はトリステインのヘンリエッタかアンリエッタか忘れたけど……ともかくあの王女様よりいけてるし何よりあの胸は何だ反則だろ。あの子を目にしたら大抵の男は陥落するっていうか手篭めにされちゃう!
ああ! テファ待っててね! お姉ちゃんすぐに帰って悪い虫追い払って上げるから!
「ミス・ロングビル?」
はっ!私は何を…。
コルベールの言葉によって現実に引き戻された。
「と、ともかくそういうことですから!」
オスマンもコルベールもどういうこととあえて突っ込まなかった。
「それで、いつここを発つんじゃ?」
元々ここを出て行くつもりだったのでいつでも発てる。気懸かりなのこの腕の怪我だけだ。
「怪我のことが心配かね。大丈夫じゃよ。わしが治療費を払ってやるわい。治療を受けてから行くといい」
それはありがたい。お金を節約するために簡単な治療しかしていなかったが一先ず安心だ。
「それとこれが旅費じゃ」
オスマンが目配せするとコルベールが金貨の入った袋を渡してきた。
そんなに物欲しそうな目をしていたかしら? 貰える物は貰っておくけどね。
「…セクハラ」
ボソッと呟くと効果覿面。コルベールがオスマンをすごい形相で睨んでいる。
「帰ってきたら給料二割アップじゃ!」
大粒の冷や汗を流しながらオスマンは答えた。
よし、これで何の憂いもなくここを発てる。そうだ一つ聞いておかなければならないことがあった。
「一つお聞きしたいのですが…」
「何じゃ?」
「わたくしがこのまま逃げて戻ってこないとは思いませんの?」
当然の疑問だった。だがオスマンはそれを笑い飛ばした。
「何をいっとる。わしは君を信じておるからのう」
さも当たり前のように言ってくる。もはや呆れるしかない。
「わたくしの何処に信じるに値する根拠があるというのですか?」
自嘲気味な私に諭すようにオスマン口を開いた。
「人を信じるのに理由はいらんよ」
全く……御人好し過ぎる。
#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
「では授業を始める」
教室にギトーの声が響いた。彼が声を発するまで騒がしかった教室が静まり返った。
ギトーはそれを満足気に見詰め、授業を始めた。
尊大で生徒達を見下すような声が聞こえる中、キュルケは隣の空いた席を眺めていた。教室にはルイズの姿がないのだ。
「ミス・ツェルスプトー、最強の系統は知っているかね?」
余所見をしていたキュルケにギトーは質問をするが、キュルケは特に興味なさそうに答えた。
「さあ? 何でしょうね……『火』でしょうか?」
いかにも適当に思いついたかのような返答を気にもせず、それを否定する。
「ほう『火』かね? だが残念ながら最強は『風』なのだ。『風』は全てを薙ぎ払う。どうだ、ミス・ツェルスプトー。君の得意な『火』の魔法をぶつけてきたまえ」
ギトーは教師らしからぬ、挑発するような口調だった。しかし、興味がわかないとでも言いたそうなキュルケは然したる関心を示さない。
「どうでもいいですわ。何が最強かなんて興味がありませんもの」
馬鹿にされた。そう思ったギトーは激怒する。
「何だと! 君は教師を馬鹿にしているのか!」
そのとき唐突に教室の扉が開き、激昂するギトーとは対照的な、珍妙な格好をしたコルベールが入ってきた。
「みなさん。今日の授業は全て中止です」
Zero ed una bambola ゼロと人形
「ルイズ、いるの?」
キュルケはノックをすると、返事が返る前に『アンロック』の魔法で鍵を開けて部屋に入った。
部屋の中にはルイズとアンジェリカがいた。特に変わった様子もない。
「何か用?」
「何か用じゃないわよ。あなた、授業サボったでしょ?」
体調が悪くもなさそうだ。ならば何故授業に出ないのだろうか。
「練習とか訓練はきちんとしないと駄目ですよ?」
アンジェリカが可愛らしい声でルイズを嗜める。
「上手にできたらみんな褒めてくれるんです」
「アンジェちゃんの言うとおりよ。ちゃんと授業に出ないと…」
キュルケはアンジェリカの頭を撫でながら嫌味ったらしくルイズに言った。
「…アンジェ……」
だがルイズはアンジェリカを見詰めたままキュルケの言葉に全く反応しない。
「ちょっとルイズ、聞いているの?」
「うるさい! うるさいうるさいうるさい!」
キュルケがルイズの肩に触れたとたんに猛烈な勢いで怒り出した。
ルイズは理解していた。アンジェリカが何を上手にしたら褒めてもらえると言っているのかを知っていた。だがキュルケはそれを知らないのだ。
「あんたには関係ないでしょ! 放っておいて!」
何も知らないわけではない、それなのに何事も無かったかのように振舞うキュルケの姿がそこにあった。それが非常に恨めしい。
ルイズにとってもはや見て見ぬ振りのできないアンジェリカの性質。己の望む姿をキュルケに見い出しルイズを苛立たせる。
だがキュルケとて何も考えていないわけではない。ルイズを取り巻く周囲の環境の変化を感じ取り、あえて以前と変わらぬ様子で振舞っていたのだ。
同情心はルイズの自尊心を傷つける。倒れても倒れても挫けずにいずれ立ち上がり前に進みだす。そう思っていた……。だから故意に対立するのである。
しかしそれは違った。今のルイズは立ち上がっても前に進むことができない。進むべき道を見失っているのだ。ルイズが必要としているのは対等な者、あるいは彼女を庇護し守る者が必要なのかもしれない。
「そんなに怒ることないじゃない。用件だけ伝えるわ。今日の授業は全て中止よ。トリステインの王女様がいらっしゃるそうよ」
心の中でルイズを心配していても表には出さない。それがルイズを一層孤立させる。
「そうなの。用が済んだらっ…て、今なんて言ったの?」
キュルケを追い出そうと適当に聞き流していたが再度問う。ルイズの求めていた人が来ると言ったのだ。
「トリステインの王女様が表敬訪問するっていったのよ。それでね、生徒は門に集合することになってるわ」
「早くそれをいいなさいよ! アンジェ、部屋で待ってるのよ」
「はい。ルイズさん」
キュルケに対する苛立ちは何処へやら、ルイズは杖を持たずにに部屋を出て行った。
「全く…何なのよ…。じゃあね、アンジェちゃん。またね」
「またね。キュルケちゃん」
キュルケは少し呆れながらもその後を追う。
「トリステイン王女、アンリエッタ姫殿下のおなーりー!」
整列した生徒達が杖を掲げる。衛士の声が高らかに響き渡った。馬車から降りてくる王女の姿。それを見た生徒の歓声がうるさい。
杖を持っていないルイズは生徒の列からはずれ、後ろから食い入るようにそれを見ていた。
「杖持ってないけど、どうしたのよ?」
「別に…」
あれほど魔法に拘っていたルイズが杖を持たないなんておかしい。聞いてみても生返事が返って来るだけだった。
それが面白くないキュルケはルイズをからかってみることにした。
「ふうん。王女様よりあたしの方がきれいじゃない? ルイズもそう思うでしょ?」
「……」
「ねえ聞いてる?」
ルイズの視線の先にはアンリエッタの姿があったが、煩いキュルケを一瞥するとすぐに視線を戻した。
「つれないわね」
ルイズの相手をするのを諦め、キュルケはタバタを探した。すぐ傍でタバサがいつもと変わりなく本を読んでいたのを見つけた。
「タバサはいつもと変わらないわね」
タバサはキュルケに顔を向け、それからまた手元の本へ意識を没頭させた。
Episodio 30
La visita della principessa
王女様の来訪
----
Intermissione
「高飛びですって?」
「そうじゃ。わしらが君がフーケと気付いたんじゃ。アカデミーの連中がそれに気付かんとも限らん」
「ほとぼりが冷めるまでここから離れた方がいいでしょう」
確かにその通りだ。些細なことから尻尾が掴まれるとも限らない。何より自分の正体に気付いた人間がここにいるのだから。
ならば魔法学院からしばらく離れるのが得策だ。
「何処に行くかね? やっぱりゲルマニアかのう? それともロマリア? ガリアという手もあるのう」
オスマンが何処に行くかと尋ねてくる。だが行き先など決まっている。迷わずに答えた。
「アルビオンですわ」
行き先はアルビオンと聞いてコルベールは慌てて口を開いた。
「あそこは今、内戦状態なんですよ!」
そんなことは百も承知だ。
「知っています」
端的に答えた。だがコルベールが尚も食らいつく。
「危険です! ここは無難に…」
「コルベール君落ち着きたまえ」
大きな声を上げるコルベールをオスマンが嗜めた。
「ミス・ロングビルはそのことは百も承知じゃ。そうじゃろ?」
オスマンの問いに頷く。この爺は全てお見通しということか……。何処へ行くかなんて隠しても無駄だろう。
「しばらく故郷に帰っていませんでしたので、一度帰ろうと思っていますの」
「ふむ、内戦状態にあるのに?」
わざわざ確認するかのように聞いてくる。
「だからこそ帰るのです」
内戦状態に陥り政情不安定なアルビオン。ここから金品を送っても届くかどうかも怪しい。
それに治安状態も悪化していることが懸念される。あそこには信頼できるような人間などいないし、何よりあの子自身も世間知らずなところがあるから悪い虫がついていないか心配だ。
姉の立場から贔屓目無しに見ても、ハーフエルフという点を除けばその容姿はトリステインのヘンリエッタかアンリエッタか忘れたけど……ともかくあの王女様よりいけてるし何よりあの胸は何だ反則だろ。 あの子を目にしたら大抵の男は陥落するっていうか手篭めにされちゃう!
ああ! テファ待っててね! お姉ちゃんすぐに帰って悪い虫追い払って上げるから!
「ミス・ロングビル?」
はっ!私は何を…。
コルベールの言葉によって現実に引き戻された。
「と、ともかくそういうことですから!」
オスマンもコルベールもどういうこととあえて突っ込まなかった。
「それで、いつここを発つんじゃ?」
元々ここを出て行くつもりだったのでいつでも発てる。気懸かりなのこの腕の怪我だけだ。
「怪我のことが心配かね。大丈夫じゃよ。わしが治療費を払ってやるわい。治療を受けてから行くといい」
それはありがたい。お金を節約するために簡単な治療しかしていなかったが一先ず安心だ。
「それとこれが旅費じゃ」
オスマンが目配せするとコルベールが金貨の入った袋を渡してきた。
そんなに物欲しそうな目をしていたかしら? 貰える物は貰っておくけどね。
「…セクハラ」
ボソッと呟くと効果覿面。コルベールがオスマンをすごい形相で睨んでいる。
「帰ってきたら給料二割アップじゃ!」
大粒の冷や汗を流しながらオスマンは答えた。
よし、これで何の憂いもなくここを発てる。そうだ一つ聞いておかなければならないことがあった。
「一つお聞きしたいのですが…」
「何じゃ?」
「わたくしがこのまま逃げて戻ってこないとは思いませんの?」
当然の疑問だった。だがオスマンはそれを笑い飛ばした。
「何をいっとる。わしは君を信じておるからのう」
さも当たり前のように言ってくる。もはや呆れるしかない。
「わたくしの何処に信じるに値する根拠があるというのですか?」
自嘲気味な私に諭すようにオスマン口を開いた。
「人を信じるのに理由はいらんよ」
全く……御人好し過ぎる。
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