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ルイズは朗々と歌い上げる。鈴が鳴るような透き通る声で。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…」
その歌の名は『サモン・サーヴァント』。己が使い魔となる生物を召喚する呪文。
『トリステイン魔法学院』に所属する学生は二年生に進級する際、皆例外なくこの儀式を執り行う。
トリステイン魔法学院―――この『ハルケギニア』と呼ばれる世界に存在する大国の一つ、トリステインに作られた魔法使い養成機関である。
この学校において、今年二年生進級する生徒たちはこの儀式で召喚された使い魔によって自分の『魔法属性』を決定し、それぞれの専門課程へと進むのだ。
そして今日、その儀式を行うため今年二年生に進級する生徒たちは学院からおよそ2000メイル程離れた草原へと集められていた。
集められた生徒たちは円を描くように立っており、その円の中央で歌う桃色の髪をした少女を見つめていた。
少女の名はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
『可愛らしい』という形容詞が文句なしに似合う、美少女だ。
彼女の二つ名は――――
ドムッ!!
突然ルイズの前方で爆発が起こった。爆風が地表の草や土を巻き上げる。
「けほっけほ…またかよルイズ! まったくお前は本当に『ゼロ』だな!!」
「サモン・サーヴァントもまともに出来ないのかよ! 落ちこぼれ!!」
土煙に巻き込まれた生徒たちから野次が飛ぶ。ルイズは土煙から目をかばいながら、悔しさで奥歯をかみ締めた。
そう、彼女の二つ名は『ゼロ』。ゼロのルイズ。魔法成功率0のダメダメメイジ。
それが彼女につけられた――極めて不本意な――二つ名だった。
周囲から罵詈雑言を投げかけられながら、ルイズはしっかりと爆心地を見つめていた。
祈りをこめて。
既に三度。三度もサモン・サーヴァントを失敗している。『サモン・サーヴァントを唱えられない魔法使い<メイジ>』などいない。
メイジにとってそれを行うことは、魚が海を泳ぐように、鳥が空を飛ぶように自然なこと。
つまりはサモン・サーヴァントを唱えられないメイジなど―――
(お願い…! この際何の能もない視覚共有も出来ない秘薬探しも出来ないそれこそ炊事洗濯その他雑用位しか使い道の無い平民なんかでもいいから成功して!!)
煙が徐々に晴れていく。ルイズは目を見張った。
―――ぼんやりと影が見えた。
ルイズは狂喜した。
やった! 成功した! これで少なくとも私はメイジだわ!
でもちょっと待って。私は何を召喚したのかしら?
成功したとなると多少欲も出てくる。あの『雪風のタバサ』のように風竜を…なんて贅沢は言わない。
せめてサラマンダーを召喚して得意満面なツェルプトーに胸を晴れるような使い魔であればいい。
「張る胸なんてね~じゃね~か(笑)」って思った奴は後でちょっと来い。
―――煙が晴れる。
ルイズの目が大きく見開かれた。
(……人間ッ!?)
草原に『黒尽くめの男』が仰向けになって倒れていた。
(確かに平民でもいいとは言ったけど…いや、言ったっていうか思ったんだけど……)
いざそうなってみるとやはりショックがでかい。一応『生物』を召喚できたとはいえ、これは失敗となるんじゃなかろうか?
そうしてルイズが己の使い魔となるその『男』から目を離して嘆息していると―――周りの生徒たちの間にどよめきが走った。
あ~はいはいそうですよ失敗しましたよ笑えばいいじゃない『風邪っぴき』。馬鹿にすりゃいいじゃない『洪水』。
どうせ私は『ゼロ』よ。『ゼロのルイズ』なのよ。ヴァリエール家の面汚しなのよ~~ってあれ?
そこでルイズは気づいた。先ほどから聞こえる周囲のざわめきからは嘲笑や蔑みの響きは聞こえない。代わりにそこに含まれているのは『動揺』と『驚愕』。
何事かとルイズはもう一度己の使い魔となる『男』に目を向けた。
そのまま大きく目を見開いた。
『男』は『黒い鎧』を纏っていた。それだけではない。
黒いマントもつけている上、ここからではよく見えないが『左腕』まで肘から先が黒い。
『男』の『短い黒髪』とも相まって、まさしくその『男』は『黒尽くめ』と形容するにふさわしい。
よく観察してみれば、相当に鍛えられた体をしていることが伺い知れた。
しかし周囲のどよめきはそこに向けられたものではない。
草原に集まった生徒たちの目は――ルイズも含めて――その『男』の傍らにある『物』に釘付けになっていた。
それは、剣と言うにはあまりに大きすぎた
大きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた
―――それはまさに鉄塊だった
男の名は『ガッツ』。
狭間の世界に身を置き、『守る』ことと『挑む』ことを魂に問い続ける『黒い剣士』。
#navi(ベルセルク・ゼロ)
ルイズは朗々と歌い上げる。鈴が鳴るような透き通る声で。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…」
その歌の名は『サモン・サーヴァント』。己が使い魔となる生物を召喚する呪文。
『トリステイン魔法学院』に所属する学生は二年生に進級する際、皆例外なくこの儀式を執り行う。
トリステイン魔法学院―――この『ハルケギニア』と呼ばれる世界に存在する大国の一つ、トリステインに作られた魔法使い養成機関である。
この学校において、今年二年生進級する生徒たちはこの儀式で召喚された使い魔によって自分の『魔法属性』を決定し、それぞれの専門課程へと進むのだ。
そして今日、その儀式を行うため今年二年生に進級する生徒たちは学院からおよそ2000メイル程離れた草原へと集められていた。
集められた生徒たちは円を描くように立っており、その円の中央で歌う桃色の髪をした少女を見つめていた。
少女の名はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
『可愛らしい』という形容詞が文句なしに似合う、美少女だ。
彼女の二つ名は――――
ドムッ!!
突然ルイズの前方で爆発が起こった。爆風が地表の草や土を巻き上げる。
「けほっけほ…またかよルイズ! まったくお前は本当に『ゼロ』だな!!」
「サモン・サーヴァントもまともに出来ないのかよ! 落ちこぼれ!!」
土煙に巻き込まれた生徒たちから野次が飛ぶ。ルイズは土煙から目をかばいながら、悔しさで奥歯をかみ締めた。
そう、彼女の二つ名は『ゼロ』。ゼロのルイズ。魔法成功率0のダメダメメイジ。
それが彼女につけられた――極めて不本意な――二つ名だった。
周囲から罵詈雑言を投げかけられながら、ルイズはしっかりと爆心地を見つめていた。
祈りをこめて。
既に三度。三度もサモン・サーヴァントを失敗している。『サモン・サーヴァントを唱えられない魔法使い<メイジ>』などいない。
メイジにとってそれを行うことは、魚が海を泳ぐように、鳥が空を飛ぶように自然なこと。
つまりはサモン・サーヴァントを唱えられないメイジなど―――
(お願い…! この際何の能もない視覚共有も出来ない秘薬探しも出来ないそれこそ炊事洗濯その他雑用位しか使い道の無い平民なんかでもいいから成功して!!)
煙が徐々に晴れていく。ルイズは目を見張った。
―――ぼんやりと影が見えた。
ルイズは狂喜した。
やった! 成功した! これで少なくとも私はメイジだわ!
でもちょっと待って。私は何を召喚したのかしら?
成功したとなると多少欲も出てくる。あの『雪風のタバサ』のように風竜を…なんて贅沢は言わない。
せめてサラマンダーを召喚して得意満面なツェルプトーに胸を晴れるような使い魔であればいい。
「張る胸なんてね~じゃね~か(笑)」って思った奴は後でちょっと来い。
―――煙が晴れる。
ルイズの目が大きく見開かれた。
(……人間ッ!?)
草原に『黒尽くめの男』が仰向けになって倒れていた。
(確かに平民でもいいとは言ったけど…いや、言ったっていうか思ったんだけど……)
いざそうなってみるとやはりショックがでかい。一応『生物』を召喚できたとはいえ、これは失敗となるんじゃなかろうか?
そうしてルイズが己の使い魔となるその『男』から目を離して嘆息していると―――周りの生徒たちの間にどよめきが走った。
あ~はいはいそうですよ失敗しましたよ笑えばいいじゃない『風邪っぴき』。馬鹿にすりゃいいじゃない『洪水』。
どうせ私は『ゼロ』よ。『ゼロのルイズ』なのよ。ヴァリエール家の面汚しなのよ~~ってあれ?
そこでルイズは気づいた。先ほどから聞こえる周囲のざわめきからは嘲笑や蔑みの響きは聞こえない。代わりにそこに含まれているのは『動揺』と『驚愕』。
何事かとルイズはもう一度己の使い魔となる『男』に目を向けた。
そのまま大きく目を見開いた。
『男』は『黒い鎧』を纏っていた。それだけではない。
黒いマントもつけている上、ここからではよく見えないが『左腕』まで肘から先が黒い。
『男』の『短い黒髪』とも相まって、まさしくその『男』は『黒尽くめ』と形容するにふさわしい。
よく観察してみれば、相当に鍛えられた体をしていることが伺い知れた。
しかし周囲のどよめきはそこに向けられたものではない。
草原に集まった生徒たちの目は――ルイズも含めて――その『男』の傍らにある『物』に釘付けになっていた。
それは、剣と言うにはあまりに大きすぎた
大きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた
―――それはまさに鉄塊だった
男の名は『ガッツ』。
狭間の世界に身を置き、『守る』ことと『挑む』ことを魂に問い続ける『黒い剣士』。
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