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「なるほどのう・・・何かあるとは思って居ったが、そのような者じゃったか」
学園の学長室。たった今見極めから戻ったコルベールの報告を聞き、学長のオールド・オスマンは深くため息をついた。
あのガンダールヴのルーンを持つ使い魔の少年が、ただならぬ存在なのは判っていた。
だがそれが異世界から呼び出され、あまつさえその世界でも稀有な、そして特別な運命を背負った存在だったとは。
『ペルソナ』『シャドウ』『影時間』『タルタロス』『ニュクス』
魔法やこの世界に住まうモンスター達とは待ったく別の、異能の力。
そしてその影時間は、こちらにも存在していると言う。
それに気付かぬものには、決して判らぬ時間。事実、コルベールは影時間の中を過ごす事は出来なかった。
しかし、学園の生徒であるミス・ツェルプストーとミス・タバサはその特殊な時間をはっきりと認識していた。
あの使い魔の少年と、その一心同体であるという死の宣告者・・・タナトスは、その影時間の存在を危惧していると言う。
同時に、この世界のニュクスは、彼らの世界と違うと言う事も。
「この世界に影時間があるのなら、それはニュクスも存在して・・・その力を求める者がいるという事。
あれは、僕の世界である組織がシャドウの存在を研究していてその結果生まれた現象だから・・・」
「僕は絶対の死・・・ニュクスのもう一つの側面でもある。その僕が、ニュクスを感じない・・・多分、大本が違うんだろうね。
嬉しい事に、僕はこの世界では・・・死の宣告者の運命から開放されているみたいだ。
でも、多分・・・この世界にはこの世界の宣告者がいるんだと思うよ。そして、僕達の居た世界と同じように、運命の時を待っている」
「難儀な事じゃな。ガンダールヴのルーンの事を王宮の馬鹿どもに秘匿するのも骨が折れる所を・・・」
「ですが、これは由々しき事です。彼らの言うニュクスが降臨したなら、世界は・・・破滅です」
「じゃが、ワシらには何も出来んよ・・・残念ながらな。その死神・・・タナトスが善良だった事を幸運に思うにはおもうがのう」
そう言いながら、オスマンは深く思考をめぐらせる。
十年ほど前彼の元へ持ち込まれた、ある品々の事を。
銀の小杖と、言葉を紡ぐゴーレムの事を。
あのゴーレム・・・今は、宝物庫の番人をしている『彼女』も、シャドウの存在を語ってはいなかったか?
「コルベール。明日、その少年を此処に連れて来るように。直接話がしたいからのう」
「判りました・・・それで、彼の今後は?」
「現状維持じゃ。とりあえずは、ミス・ヴァリエールの使い魔としての境遇を受けてもらうだけじゃな。
・・・ワシらに手に負える存在かどうかも怪しい所じゃしの・・・」
オールド・オスマンはそう言ってコルベールを下がらせた。
只一人になった学長室で、思考の海に沈む。これから起こりうるであろう、無数の混迷を想って。
「ハルペリアよ、お前さんの言っていた事、少しは信じられそうじゃよ」
明日、宝物庫の番人とあの少年とを引き合わせるのも、一つの手であろう。
オールド・オスマンは、おもむろに立ち上がると、宝物庫へと足を向けた。
また一つ、運命の歯車が回り始める・・・
「なるほど濃・・・何かあるとは思って居ったが、そのような者じゃったか」
学園の学長室。たった今見極めから戻ったコルベールの報告を聞き、学長のオールド・オスマンは深くため息をついた。
あのガンダールヴのルーンを持つ使い魔の少年が、ただならぬ存在なのは判っていた。
だがそれが異世界から呼び出され、あまつさえその世界でも稀有な、そして特別な運命を背負った存在だったとは。
『ペルソナ』『シャドウ』『影時間』『タルタロス』『ニュクス』
魔法やこの世界に住まうモンスター達とは待ったく別の、異能の力。
そしてその影時間は、こちらにも存在していると言う。
それに気付かぬものには、決して判らぬ時間。事実、コルベールは影時間の中を過ごす事は出来なかった。
しかし、学園の生徒であるミス・ツェルプストーとミス・タバサはその特殊な時間をはっきりと認識していた。
あの使い魔の少年と、その一心同体であるという死の宣告者・・・タナトスは、その影時間の存在を危惧していると言う。
同時に、この世界のニュクスは、彼らの世界と違うと言う事も。
「この世界に影時間があるのなら、それはニュクスも存在して・・・その力を求める者がいるという事。
あれは、僕の世界である組織がシャドウの存在を研究していてその結果生まれた現象だから・・・」
「僕は絶対の死・・・ニュクスのもう一つの側面でもある。その僕が、ニュクスを感じない・・・多分、大本が違うんだろうね。
嬉しい事に、僕はこの世界では・・・死の宣告者の運命から開放されているみたいだ。
でも、多分・・・この世界にはこの世界の宣告者がいるんだと思うよ。そして、僕達の居た世界と同じように、運命の時を待っている」
「難儀な事じゃな。ガンダールヴのルーンの事を王宮の馬鹿どもに秘匿するのも骨が折れる所を・・・」
「ですが、これは由々しき事です。彼らの言うニュクスが降臨したなら、世界は・・・破滅です」
「じゃが、ワシらには何も出来んよ・・・残念ながらな。その死神・・・タナトスが善良だった事を幸運に思うにはおもうが濃」
そう言いながら、オスマンは深く思考をめぐらせる。
十年ほど前彼の元へ持ち込まれた、ある品々の事を。
銀の小杖と、言葉を紡ぐゴーレムの事を。
あのゴーレム・・・今は、宝物庫の番人をしている『彼女』も、シャドウの存在を語ってはいなかったか?
「コルベール。明日、その少年を此処に連れて来るように。直接話がしたいから濃」
「判りました・・・それで、彼の今後は?」
「現状維持じゃ。とりあえずは、ミス・ヴァリエールの使い魔としての境遇を受けてもらうだけじゃな。
・・・ワシらに手に負える存在かどうかも怪しい所じゃしの・・・」
オールド・オスマンはそう言ってコルベールを下がらせた。
只一人になった学長室で、思考の海に沈む。これから起こりうるであろう、無数の混迷を想って。
「ハルペリアよ、お前さんの言っていた事、少しは信じられそうじゃよ」
明日、宝物庫の番人とあの少年とを引き合わせるのも、一つの手であろう。
オールド・オスマンは、おもむろに立ち上がると、宝物庫へと足を向けた。
また一つ、運命の歯車が回り始める・・・
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