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ここはイギリス、ロンドン。一人の男性が街中を歩いている―――
「ダニエルの奴、人使いが荒いんだからまったく・・・」
私はロンドンの街中を文句を言いながら歩く。例によって、探偵事務所所長ダニエルの依頼を片付けて、帰路についているのだ。
毎回の事ながらダニエルには閉口する。たまには自分ですればいいのに。
そう思いながら人通りが少ない路地へと足を運ぶ。いまごろ百合子は何をしているのだろうか?
父さんは・・・まあ、心配ないだろう。大方、太助とのんびり昼寝をしているに違いない。
私は平賀・キートン・太一。職業は・・・ロイズの保険調査員(オプ)をしている。
本当は考古学者として大学に就きたかったのだが――色々あり、いまはこれと悪友のダニエルが経営しているダニエル・オコンネル探偵事務所に務めている。
もっとも私は夢を諦めてはいないが。
「ん?」
私は足を止めた。これはどうしたことだろうか。目の前に鏡がある。いや、鏡自体は別に珍しいものではない。
問題なのは、鏡が「浮いている」ということだ。
路地の真ん中で鏡が出てくることも不自然だが、まるで糸で吊り下げられているかのように浮いているのだ。
好奇心まじりに石を鏡に向けて放り投げてみる。石は・・・跳ね返ってくるのかと思いきや、中に吸い込まれるように消えてしまった。
今度は落ちていた木の棒を当ててみる。
これも中に吸い込まれていく。手元に戻してみたが別段異常は見当たらない。
一体、どうなっているのだろうか?ここで私の悪い癖が出た。すなわち、これは太古の秘宝ではなかろうか、と。そう思うと、いてもたってもいられない。
今度は自分の腕を直接鏡の中に入れてみる。痛みはない。熱くも無ければ、寒くも無い。
これは世紀の大発見かも知れない。そう思った瞬間だった。
「うわっ!?」
突然、鏡の中に身体が引き込まれた。慌てて街路樹にもう片方の手でしがみ付こうとしたが遅かった。
無情にもあと数センチというところで私は完全に鏡の中に引きずり込まれてしまった・・・。
「うう・・・」
手を突っ込んだときは何もなかったのに、全身が鏡の中に入った途端、耐え難いショックが私を襲った。
物凄い電気ショックを与えられたようなものだ。数十秒もしないうちに私の意識は完全に途絶えた・・。
「う・・・・」
私は酷い頭痛の中、目を覚ました。一体、自分に何が起きたのだろうか?
そうだ、鏡だ。あの鏡の中に引きずりこまれた途端、意識を失ってしまって、それで――
「おい、見ろよ!!〈ゼロ〉のルイズが何か召喚したぞ!!」
「おいおい、ありゃあ平民じゃねぇか!」
「さすがはゼロのルイズ!俺達に出来ないことを平然とやってのける!そこに呆れるぜ!」
いきなり笑い声が聴こえて来て、あたりを見渡す。見ると、子供達が笑っている。
少年少女、共に腹を抱えて笑っているのだ。なにがそんなにおかしいのだろうか?
すると、目の前に小さな女の子が立っている。本当に小さい。中学生ぐらいだろうか?
何よりも私の目を引いたのは、その髪の毛と服装だった。・・・桃色だって?染めているようには見えない。東洋人か、西洋人か。
地毛だとでも言うのだろうか。服は・・・一言で言うなら、御伽噺に出てくる魔法使いだろう。
杖らしきものまで握っている。女の子はなぜか顔を真っ赤にして、体をブルブルと震わせていた。
怒っているのか、或いは悲しんでいるのか私にはわからなかったが。
「あんた誰?」
ようやく目の前の少女が口を開いた。身の心配をしてくれているようには見えない。
「私は・・キートン。平賀・キートン・太一です。ええと、ここは一体・・・」
立ち上がって周辺を見渡した私は自分の目を疑った。ここはあのロンドンなのか?
辺り一面は草原に覆われている。遠くには大学時代、参考書で見た石造りのヨーロッパ式建造物が並んでいた。
ビルが無い。信号機も無い。何よりも、車・・・自動車などが見当たらない。
「どこの平民?」
少女が続けて口を開く。平民?なんだろうか。いまどき「平民」などという言葉を口にする人間はそういないと思うのだが。
瞬間、私の頭に最悪の想像がよぎった。あの鏡、そしてこの景色・・・。
「ああ、うん。一応、職業は保険調査員なんだけど・・・」
たぶん自分でも動揺していたのだろう。この台詞を言ったところで、通用するはずがなかったのだが。
#navi(ゼロのMASTER)
ここはイギリス、ロンドン。一人の男性が街中を歩いている―――
「ダニエルの奴、人使いが荒いんだからまったく・・・」
私はロンドンの街中を文句を言いながら歩く。例によって、探偵事務所所長ダニエルの依頼を片付けて、帰路についているのだ。
毎回の事ながらダニエルには閉口する。たまには自分ですればいいのに。
そう思いながら人通りが少ない路地へと足を運ぶ。いまごろ百合子は何をしているのだろうか?
父さんは・・・まあ、心配ないだろう。大方、太助とのんびり昼寝をしているに違いない。
私は平賀・キートン・太一。職業は・・・ロイズの保険調査員(オプ)をしている。
本当は考古学者として大学に就きたかったのだが――色々あり、いまはこれと悪友のダニエルが経営しているダニエル・オコンネル探偵事務所に務めている。
もっとも私は夢を諦めてはいないが。
「ん?」
私は足を止めた。これはどうしたことだろうか。目の前に鏡がある。いや、鏡自体は別に珍しいものではない。
問題なのは、鏡が「浮いている」ということだ。
路地の真ん中で鏡が出てくることも不自然だが、まるで糸で吊り下げられているかのように浮いているのだ。
好奇心まじりに石を鏡に向けて放り投げてみる。石は・・・跳ね返ってくるのかと思いきや、中に吸い込まれるように消えてしまった。
今度は落ちていた木の棒を当ててみる。
これも中に吸い込まれていく。手元に戻してみたが別段異常は見当たらない。
一体、どうなっているのだろうか?ここで私の悪い癖が出た。すなわち、これは太古の秘宝ではなかろうか、と。そう思うと、いてもたってもいられない。
今度は自分の腕を直接鏡の中に入れてみる。痛みはない。熱くも無ければ、寒くも無い。
これは世紀の大発見かも知れない。そう思った瞬間だった。
「うわっ!?」
突然、鏡の中に身体が引き込まれた。慌てて街路樹にもう片方の手でしがみ付こうとしたが遅かった。
無情にもあと数センチというところで私は完全に鏡の中に引きずり込まれてしまった・・・。
「うう・・・」
手を突っ込んだときは何もなかったのに、全身が鏡の中に入った途端、耐え難いショックが私を襲った。
物凄い電気ショックを与えられたようなものだ。数十秒もしないうちに私の意識は完全に途絶えた・・。
「う・・・・」
私は酷い頭痛の中、目を覚ました。一体、自分に何が起きたのだろうか?
そうだ、鏡だ。あの鏡の中に引きずりこまれた途端、意識を失ってしまって、それで――
「おい、見ろよ!!〈ゼロ〉のルイズが何か召喚したぞ!!」
「おいおい、ありゃあ平民じゃねぇか!」
「さすがはゼロのルイズ!俺達に出来ないことを平然とやってのける!そこに呆れるぜ!」
いきなり笑い声が聴こえて来て、あたりを見渡す。見ると、子供達が笑っている。
少年少女、共に腹を抱えて笑っているのだ。なにがそんなにおかしいのだろうか?
すると、目の前に小さな女の子が立っている。本当に小さい。中学生ぐらいだろうか?
何よりも私の目を引いたのは、その髪の毛と服装だった。・・・桃色だって?染めているようには見えない。東洋人か、西洋人か。
地毛だとでも言うのだろうか。服は・・・一言で言うなら、御伽噺に出てくる魔法使いだろう。
杖らしきものまで握っている。女の子はなぜか顔を真っ赤にして、体をブルブルと震わせていた。
怒っているのか、或いは悲しんでいるのか私にはわからなかったが。
「あんた誰?」
ようやく目の前の少女が口を開いた。身の心配をしてくれているようには見えない。
「私は・・キートン。平賀・キートン・太一です。ええと、ここは一体・・・」
立ち上がって周辺を見渡した私は自分の目を疑った。ここはあのロンドンなのか?
辺り一面は草原に覆われている。遠くには大学時代、参考書で見た石造りのヨーロッパ式建造物が並んでいた。
ビルが無い。信号機も無い。何よりも、車・・・自動車などが見当たらない。
「どこの平民?」
少女が続けて口を開く。平民?なんだろうか。いまどき「平民」などという言葉を口にする人間はそういないと思うのだが。
瞬間、私の頭に最悪の想像がよぎった。あの鏡、そしてこの景色・・・。
「ああ、うん。一応、職業は保険調査員なんだけど・・・」
たぶん自分でも動揺していたのだろう。この台詞を言ったところで、通用するはずがなかったのだが。
#navi(ゼロのMASTER)
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