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「使い魔オーフェン-3」(2007/07/14 (土) 16:41:34) の最新版変更点
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(腹ァ減ったな)
悲しいが空きっ腹には慣れている、とはいえ自覚すると尚のことお腹が減るような気がしてくる
かといって金もなく、帰るまでの旅費をどうしようかと考えながら歩いていると
話し声が聞こえてきた
金髪の少年と少女、一人は薔薇を持っていかにも生意気そうな感じだ
もう一人はなんだか凄い髪型をしている少女である セットが大変そうだ
耳を澄ます・・・少年が少女を口説いてるようだ
(とりあえず余計な連中には見つからないように出よう)
周囲に注意しつつ歩いているとなにやら突然地面が盛り上がった
ボコッという音と共に出てきたのは形容しがたい茶色の生物
強いて言えばもぐらに似ているだろうか、それでもこんなにでかいのは見たことがない
「うぉっ!なんだコイツ」
声をあげてからはたと気付く、しまった・・・先ほどの二人もそれに気付いたらしくこちらへ近づいてくる
「おーヴェルダンデ、そんなとこにいたのかい・・・ん?」
オーフェンは心の中でどうするか考えていた
(ここで逃げたりしたら面倒なことになりそうだ、とりあえず適当に話してみるか・・・?)
「あれ?あなたゼロのルイズが召喚した使い魔じゃない?」
凄い髪型の少女が口を開く
「いや・・・」(なんなんだ・・集団で俺を使い魔扱いか?吹聴して回ったってのか)
生意気そうな少年が口を開く
「ルイズが見当たらないようだがこんなところで何をしてるんだい?
まさか逃亡かい?あはははは、さすが平民を召喚したゼロのルイズだねぇ ははははは」
(よくわからないが俺が逃亡しようとする意図は読まれてるな ここは適当に話を切り上げよう)
「いや、ちょっと用事を頼まれてな 外に行く途中なんだ それじゃ」
「待ちたまえ平民」
少年が口を開くがそれを無視する これ以上無駄話に付き合っている暇はない
「放っときなさいよ ギーシュ」
「そういうわけにはいかないさモンモランシー、」
男のほうがギーシュで女のほうがモンモランシーという名前らしい
後者は凄い名前だ・・・しかしそんなことに構っていられない
「止まりたまえ!平民のくせに貴族の命令を無視するとはいい根性をしてるな」
「すまないが急いでるんだ」
「関係ないね」
ギーシュとやらの制止を無視しようとしたがでかいもぐらが進行を邪魔した
「どこの平民だか知らんが目つきだけじゃなく態度も悪いな、大体貴族であるこの僕が君みたいな貧相な平民に声をかけてるんだから
光栄と思って欲しいものだね、ちょっとでも僕の役に立てるってことを誇りに思ってもらわな」
しまったと思った時には手が出ていた、理不尽な奴に理不尽な場所に運ばれ、理不尽な爆発を受け理不尽な少女のママゴトに多少なりと付き合い
よくわからん理不尽なもぐらに見つかり、理不尽で生意気な少年にごちゃごちゃ高説を聞かされ、それがどこぞの金を返さない馬鹿に似ていて、
さらに空きっ腹のイラだちが加わり、気付いた時には右ストレートが綺麗にギーシュの右頬に入っていた。
「やっちまった」
「ちょっ ちょっとギーシュ大丈夫!?」
少女モンモランシーともぐらが少年ギーシュに駆け寄っている
夜空を仰ぎながらオーフェンは一人ごちた
(今すぐ逃げた方が吉かな・・)
そこで初めて気付く、夜空に浮かぶ二つの月に・・・
「・・・ここは・・どこだ・・・・???」
思わず口に出た言葉に呼応するかのように、
桃色髪の少女ゼロのルイズが声を上げながら近づいてきた。
オーフェンは呆然としながらも、どこにいたって受難の日々が決して終わらないことを心のどこかで認識していた
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「つまりここはキエサルヒマ大陸とは別の異世界ってことか」
「アンタがどこからきたのかは知らないけど、私の使い魔なんだから私に従ってもらうわよ」
「むぅ・・・」
オーフェンは考えていた、自分にはやる事がある ダラダラと過ごしてはいたもののそれでもやるべき事が
元いた世界に帰らなければならない しかし帰る方法がわからない
「仕方ない」
「ようやく認めた?」
「あぁ」 (・・・帰る為に情報収集もしないとな)
「逃げた割りには案外素直ね」
「自慢じゃないがこういうことには慣れてるからな」
記憶にはないものの同じようなことがあったような気がする
神を自称する神っぽいものに召喚されて別世界の少女と共に戦ったような・・・
「それじゃオーフェン、アンタはとりあえずこれらを洗濯をすること」
「あぁルイズ、その前に俺は腹が減ってるんだ、なんでもいいから食うものないか」
「ちゃんと働いたら食べさせてあげるわよ 食事の時間までまだ間があるからとっとと洗濯してきて」
「・・・りょーかい」
労働をし報酬を得る、ごく自然の社会生活である。尤も、この男はそんなまともなことも長いことやってなかったが
(とりあえず食事と寝床には困らないか、逃亡したところで素性の知れない男なんか雇う場所も少ないだろうし
なにより魔法使いとやらが沢山いるこの学院のほうが、情報収集もしやすいだろうしな)
下着の洗濯なんて何年ぶりだろう、数年前に遡る話だが横暴な姉にやらされたことがあった
しかも兄弟分の一人がそれを一枚くらいバレないと言って売り飛ばそうとし、散々な目にあったのを思い出す
「男として見られてないのか、構わんがね」
そうこうしてる内に食事の時間になった とてつもなく大きい広間で整然と並び食事をとる
「オーフェン、アンタの食事はそれよ」
「・・・・・・」
質素なパンにスープ まぁこの際贅沢は言わない、貧窮には慣れていたし何も食えないよりはマシだ
しかし地べたで食べるのだけはいただけない
「人としての尊厳を捨てるわけにはいかない」
「は?」
少女ルイズはきょとんとした顔をしていた それを無視し食事を持って外へ出ていく
クスクスと笑い声が聞こえるが俺は我慢できる子なので気にしない、うん、全然気にしてない、気にしてないよ
「ちょっとどこ行くのよ!」
「他の連中の使い魔も外にいるんだから俺も外にいるさ」
最初は少々憮然とした顔をしていたルイズであったが、とりあえず納得してくれたようだ
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外には面妖な生物達が沢山いた
(・・・こいつらと同じ立場のわけか)
どこぞの地人兄弟と阿呆執事なら簡単に打ち解けられそうだな、などと思っている内に食べ終わってしまった
「さすがに足りないな・・・」
二日も断食の上にパンとスープだけじゃ胃は当然満たされない
かといって残飯漁りなどするわけにもいかず途方に暮れていると、なんともいえぬ芳香が漂ってきた
意志とは無関係に本能が足を急がせた
そこにはメイド姿をした少女がいた、黒髪に黒い瞳で清楚な印象を受ける
「あら・・・あなたは・・」
「ん?」
「もしかしてヴァリエール卿の使い魔さんですか?」
「む・・・そんなに有名なのか?」
「やっぱり、かなり噂になってますよ」
(初対面だが随分話しやすい子だな)
「俺はオーフェンだ、よろしく」
「あっはい、私はシエスタと申します、よろしくお願いしますねオーフェンさん」
「ああ・・・久々にまともな人間と話せた気がする。」
「え?」
「すまんすまん、こっちの話だ」
元いた世界でも彼の周りにまともな人間は殆どいなかった、無論彼自身もまともとは言えなかったが
「ところでこのいい匂いはなんだい?」
「ふふ、お腹すいてるんですか?少しでよろしければお近づきの印もかねてお食べになります?」
「君は聖女だ」
「ええ!?そんな大げさな、ちょ、ちょっとオーフェンさん泣かないで下さい」
こうしてオーフェンは胃袋一杯に食事を満たし一息ついていた、ふと気付く、なにやらうるさい
「――――――――君の所為だ、一体どうしてくれるんだ、平民!」
「も・・申し訳ありません」
「あれは・・・シエスタと・・やばっ、昨夜俺が殴り飛ばした・・・確かギーシュだったか」
(飯の恩は裏切れないな)
そう心に思うと二人の間に割って入った
「ぬ、なんだ貴様・・・はっ!?きき・・貴様はルイズの召喚した平民!!!」
「あーーー昨夜はすまなかったな、んでなにがあったんだ?」
「オーフェンさん・・・これは・・その・・・」
シエスタはうつむき何かを言いかけた、それをギーシュは遮って話し出した
要約すると、シエスタが拾い上げた香水の瓶の所為でギーシュが振られたという
「いやいや、それどう考えても自業自得だろうが」
「なんだと!平民のくせにこの僕に、ギーシュ・ド・グラモンに意見する気か
しかも僕が悪いだと!昨夜の事と言い平民の君にはお灸をすえないといかんようだねぇ」
「そりゃあこっちの台詞だよ、腹も一杯になったことだしちょっと遊んでやるよ」
「決闘だ!1時間後にそこの広場にきたまえ」
「はいはい」
ギーシュは憤慨しながら食堂を出て行った
「そんな・・・オーフェンさん」
「ああ、大丈夫大丈夫手加減はするさ、俺もそこまで向こう見ずじゃないからな」
「そうじゃなくて危険です!相手は貴族なんですよ」
「そういうの相手は慣れてるよ」
そう言いながらオーフェンは広場へ向かった (魔法使い 要は魔術士との戦闘、それなら慣れたものさ)
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