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「使い魔!!俺?-3」(2007/10/28 (日) 15:37:37) の最新版変更点
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「何じゃこりゃ!」
食堂で自分の昼食を見た暁はこう叫んだ。
小さな肉がほんの少し入ったスープと一切れのパンだ。
「ルイズー、これじゃぜんぜん足りないよ」
暁はルイズに抗議をする。
「ゼータク言わないの。ご飯を食べられるだけ有難いと思いなさい」
しかし抗議は受け入れられなかった。
朝食のときに何があったのか問い詰めたが、
暁は口ごもってしまい答えを聞くことが出来なかった。
そのためルイズは少しご機嫌斜めだ。
やましい事でもあるのだろうか。暁に対する疑いが昼食を質素なものに変えてしまった。
さらにルイズは続ける。
「だいたいね、使い魔は本来外なの。でも私はとってもやさしいからアンタは特別に中なのよ」
「とってもやさしいから床に座らせて、たったこれだけの量なの?そっちの肉とか分けてよ」
「もう、ワガママね。じゃ、この鶏の皮あげるわ。肉はクセになるからダーメ」
そんなやり取りをしている時、暁はつい先ほど世話になったシエスタが厨房の奥へ入っていくのを見つける。
暁は立ち上がりその後へついていこうとした。が、ルイズに呼び止められる。
「ちょっとドコ行くのよ」
「いやー、たいした事じゃないんでお構いなく」
何だか暁は嬉しそうだ。その態度にルイズは先ほどの疑いと同じものを感じた。女の勘か。
「何よ、ご主人様にも言えない事なの?」
少し語気を荒くして暁に尋ねるが当の暁は変わらぬ調子で言い返す。
「とってもやさしいご主人様なら寛大になんなきゃ。これくらい許さんかい」
そういって暁は厨房の奥へ消えていった。
残されたルイズは暁に怒りをぶつけた。
「何よ、後でお腹空いたって言ってもあげないわよ!」
「よっ、シエスタちゃん。今大丈夫?」
「あ、アキラさん」
急に声をかけられたシエスタはちょっとびっくりしたが暁に笑顔を見せる。
うーん、やっぱりいいなあ。この笑顔
暁はそんなことを思いつつ今朝のことを話題にする。
「ねえ、今朝のお礼のこと考えた?」
「いいえ、まだ全然思いついてないですよ」
「何でもいいんだよ。例えば一日デートするとか」
暁の言葉を受けシエスタは少し赤くなる。
「デ、デートなんてそんな…あ!そうだ」
シエスタは何かを思いついたようだ。
そして暁のテンションも上がる。
「お、何々?」
「あのアキラさん、何でもいいんですよね?」
「うんうん、もちろん。シエスタちゃんみたいなかわいいコの頼みなら何でも聞いちゃうよ」
期待に胸を膨らませる暁は中年のおっさんのような返事をする。
「じゃあデザート運ぶの手伝ってくれませんか?」
にっこり笑いながらシエスタは自分の希望を伝える。
それを聞いた暁はテンションが一気に下がった。
自分としては、お付き合いして下さい!とか
そういうものを期待していたのだが。
自意識過剰である。
妄想はとりあえず置いといてここはいい所を見せるべきだろう。
「ああ、もちろんいいよ!」
少々引きつった笑顔で暁は返事をした。
さて、ルイズの方は。
「まったく、どんな性格してんのよアイツは」
勝手に居なくなった暁に対して文句を言っていた。
掃除の時に少し見直したかと思えばいきなりコレ?
ほんとにアイツは何を考えてるのか全くわからないわ
ルイズが考えていると目の前にデザートが配られた。
「失礼します、こちらに置いてよろしいでしょうか」
ウェイターに声をかけられて考えるのをやめる。
「ええ、そこで…ってアンタなにやってんの!」
ルイズにデザートを出したウェイターは暁だった。
「これはご主人様。いやー、ちょっと奉仕の精神に目覚めまして」
しまりの無い顔で暁は答える。
その答えにルイズはすかさずツッコむ。
「ウソおっしゃい!洗濯もしなかったくせに」
「あ、ゴメン。お仕事の途中だから後でねー」
そう言うと暁はルイズの元から離れていってしまった。
しかしデザートを女の子にしか配っておらず、給仕の少女に何か注意を受けているようだ。
その様子を見ていたルイズは怒るのもバカらしくなり、呆れてため息をついてしまった。
しかたなく男子生徒にも配り始めた暁。
すると近くの男子生徒のポケットから小瓶が落ちる。
ドジな奴
そう思いながら暁は瓶を落とした金髪の生徒の肩をたたき声をかけた。
「もしもし、落としましたよ」
しかし振り向いた生徒はすぐにそれを否定する。
「これは僕のじゃあない。君は何を言ってるんだい?」
「へ、あんた何言ってんの?今ポケットから落としたじゃないの」
不思議に思った暁は生徒に聞きなおす。
するとその生徒ではなく周りの友人たちが騒ぎ始めた。
「おい、それってもしかしてモンモランシーの香水じゃないか」
「ギーシュ、お前今モンモランシーと付き合ってるのか」
「え?いや違う。彼女とは…」
ギーシュが否定しようとしたとき一人の女子生徒が涙を浮かべながらやってきた。
「ギーシュ様、あなたはミス・モンモランシーと…」
「誤解だ、ケティ。僕は君が」
その女子生徒ケティはギーシュが言い訳を終える前に頬を平手打ちした。
「うわ!」
自分が殴られたわけではないのに何故か暁は痛がる。
「さようなら!」
涙を流しながらケティは立ち去っていく。
すると今度はまた別の少女がギーシュの元に現れた。
「あなた、あの一年生に手を出してたの」
「違うんだ、モンモランシー。彼女は」
しかし彼女も最後までギーシュの話を聞こうとはしなかった。
「この嘘つき!」
モンモランシーもまたギーシュに平手を放って去っていった。
「あちゃあ、修羅場だなー。ま、お大事に」
暁はギーシュに声をかけて、その場を去ろうとする。
「待ちたまえ」
しかしギーシュに呼び止められる。
暁は面倒くさそうにギーシュに聞き返す。
「なぁに?」
「僕はさっき、この瓶を知らない振りしたんだ。話を合わせてくれたっていいだろう」
理不尽な要求を述べるギーシュだが
それに対してやれやれとオーバーなリアクションを取って暁は答える。
「あのねぇ、そりゃ二股がバレたあんたが悪いんでしょ。」
その言葉にふき出すギーシュの友人たち。
だが二股をかけるのが悪いのではなく、バレるのが悪いと言ってしまうのはどうだろうか。
飄々とした暁の態度にイラつきながらギーシュは問い詰める。
「とにかく君のせいでレディを傷つけ泣かせてしまった。どうしてくれるんだい?」
しかし暁は反論する。
「アホか。女ってのはね、泣きたいときに泣ける生き物なの。」
「そ、そうなのか?」
「そうそう。いちいち気にしてたら身が持たないでしょ」
一瞬納得してしまいそうになるギーシュだが言葉を返す。
「そんなことはない!アレは本当に悲しんでいる涙だ!」
「ギーシュとかいったな。俺はお前のために言ってるんだぞ。そんなんじゃこの先苦労するぜ」
「君なんかに心配されなくても僕だってグラモン家の男だ。本物か偽物かの涙は見分けられる!」
両者一歩も引かずに自論を展開し、意見をぶつけ合う。
これが普通の議論ならすばらしいものなのだが如何せん原因は二股なのだ。
バカらしいことこの上ない。
それを見ていたギーシュの友人たちも呆れてしまい二人を止めようとする。
「おいギーシュ、そろそろ…」
「もうやめとけって」
しかし二人はヒートアップし、そんな制止は受け付けない。
さらに論戦はくだらないものになっていく。
「だいたいなんだい。さして似合うとも思われないその長髪は。」
「何!そっちだってその胸のバラ、全然似合ってねえぞ」
「何を言う!僕は多くの人を楽しませるために咲くバラだ。まさにぴったりじゃないか」
「うわ、ダサ!今時そんなこと言うのお前くらいのモンだ!」
何かもう子供のケンカレベルにまで下がっている。
ギーシュが大人気ないのか、暁がもっと大人気ないのか。
もう止める気にもならない。勝手にやってろ。
友人たちがさじを投げかけたその時である。
「もう怒ったぞ!貴族に対してその態度!君に決闘を申し込む」
「おもしれえ、受けてやる!」
なんと悪口の言い合いから決闘に発展してしまった。
本来なら退屈しのぎにちょうどいいと囃し立てるところだが理由があまりにもアホらしいので友達はギーシュを止める。
「ギーシュ、ここは抑えろ!」
「止めるな、僕のプライドが許さない!」
安いプライドだな
そんな言葉をかけられないほどギーシュは興奮していた。
「ヴェストリ広場で待つ」
ギーシュはそれだけを言い、暁に背を向け食堂から出て行った。
騒ぎを聞きつけシエスタがやってきた。
「ア、アキラさん。貴族を怒らせたら殺されちゃいますよ!」
震えながら暁に忠告をするシエスタ。
それを見た暁はシエスタを落ち着かせるように話しかける。
「心配ないって。何てったって俺は」
言いかけたときに別の人物に声をかけられる。
「アンタ正気?メイジと決闘なんて何考えてんの!」
ご主人様のルイズであった。
その口調は怒っている。
勝手なことをしたのと暁が心配なのと半々のようだ。
「アンタはただの平民でしょ、メイジには絶対に敵わないわ!」
そのルイズに対して暁はまたもやさしく話す。
「ルイズ、心配してくれるのは嬉しいけどさ」
「べ、別にアンタが心配ってワケじゃ…」
暁の言葉にルイズは少し赤くなる。
その様子を見ながら暁は続ける。
「男にはやらなきゃならないときがある」
この上なくカッコつけて言い切ったが決闘の理由がしょーもないのでイマイチ決まっていない。
「あ、ちょっといい?ヴェストリ広場ってドコ?」
ギーシュの友達に声をかけ広場の場所を教えてもらう。
「ああ、こっちだ」
案内され着いていく暁にルイズは声を上げる。
「バカ、どうなっても知らないわよ!」
暁は振り返りそれに答える。
「だから大丈夫だって。何たって俺はヒーローだからな」
「はぁ?」
ルイズは暁の答えにポカンとなってその場に立ち尽くした。
暁が広場に着くとギーシュは大声で叫んだ。
「諸君、決闘だ!」
その言葉に見物人のテンションは上がらずにまばらな拍手だけが起こった。
アホな理由の決闘ではそうなるのも仕方ないだろう。
そんな薄い反応に構わず、ギーシュは決闘の始まりを宣言する。
「では始めよう。ワルキューレ!」
ギーシュがバラを振ると一枚の花びらが舞い上がる。
すると甲冑を纏った戦士が現れた。
「うわ、魔法ってそんなことも出来んのか!」
暁は大きなリアクションをとって驚く。
その反応に気を良くしたのか、ギーシュは暁に説明をする。
「言い忘れていたが僕の二つ名は青銅のギーシュだ。したがってお相手はこの青銅のゴーレム、ワルキューレがするよ」
ワルキューレは身構えてから、暁に突進をする。
さっきまでつまらなそうにしていたギャラリーも何時の間にか食い付いていた。
しかしこの平民はどうするのだろう。
剣も杖も持っていない。
もしかして逃げるのだろうか。
そんな観客の予想を暁は大きく裏切った。
「あ、ちょっとタイム!」
暁は突然ストップをかけた。
その行動に観客だけでなくギーシュとワルキューレもずっこけた。
「なんだい、一体」
呆れたようにギーシュは暁に聞き返す。
悪びれずに暁は答える。
「ちょっと待ってて。準備が必要だから」
何の準備だ?
みんながそう思っていると暁は構えを取り、そして叫んだ。
「燦然!シャンバイザー!」
その声に応じて暁の額にはティアラのようなものが出現した。
途端に観客からどよめきが起こった。
暁はティアラ、シャンバイザーのゴーグルを下げる。
すると彼の頭は光り輝き、装甲に包まれていく。
首、上半身、下半身とやがて全身が覆われた。
そして最後は額に力の源である赤い宝石シャイニングストーンが出現する。
光が消えるとそこには今までの暁はいなかった。
全身を水晶の鎧で包み、胸には丸い鏡のように輝くシャンディスク
目は黒いゴーグルで覆われ、頭の横には羽を思わせる装飾が付いた戦士が立っていた。
燦然――
それは涼村暁がクリスタルパワーを発現させ
超光戦士シャンゼリオンとなる現象である
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