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「エンジェリック・ゼロ-4」(2008/02/28 (木) 17:46:20) の最新版変更点
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アルヴィーズの食堂は今日も賑わいを見せていた。
ルイズ達が到着した時には既に朝食の準備が整っており、殆どの生徒や教師が席に着いていた。
使い魔の食事は外で摂らせるのが原則だが、ラスティを同じ様にさせる訳にはいかないので
使用人に頼んで食事の用意をさせる事にした。
近くに居た黒髪の給仕の娘に事情を話すと、快く引き受けてくれた。彼女はラスティの事を知っていた。
「彼女の食事ならお任せください。厨房で摂ってもらう事になりますが」
「それで構わないわ。ところで、どうしてこの子の事を知ってるの?」
「ミス・ヴァリエールが女の子を召喚した事は結構話題になっていますから。
それに今朝、彼女が歌っている所を見掛けましたので。素敵な歌声でしたよ」
「そ、そうなの…」
ここにも既にラスティの歌声を聴いている者が居た。自分はまだ聴いていないのに。
キュルケも先程聴いたと言っていたので、他にも聴いた者が居るに違いない。
ルイズは自分の寝起きの悪さを呪った。
「あの、それで彼女の名前を教えて頂けないでしょうか」
「何で? 今朝、この子から聞かなかった?」
「いえ、彼女が一言も喋らないので判らなかったのですよ。ひょっとしたら、恥ずかしいのではと思ったのですが」
「あぁ、ごめんね。この子の名前はラスティって言うんだけど、過去に患った病気の所為で言葉が話せないのよ」
「そうだったのですか。そうとは知らず、失礼致しました。ごめんね。ラスティちゃん」
給仕の娘が謝ると、ラスティは気にしていませんから。とでも言うかの如く首を横に振った。
「大丈夫よ。ラスティも気にしてないみたいだから。それじゃあ、ラスティの事、頼むわね」
「はい、お任せください」
「そうだわ。あなたの名前、まだ聞いてなかったわね。何て言うのかしら。もしかしてステファ?」
「いえ、シエスタと申しますが…」
「そ、そう…あぁ、気にしないで。こっちの事だから」
「判りました。じゃあ、ラスティちゃん。案内するから一緒に行きましょ」
「また後でね。ラスティ」
「あぅ」
シエスタはラスティを伴って厨房の方へと消えていった。
少し話してみただけだが、穏やかな感じの娘だった。彼女に任せておけば安心だろう。
ただ、彼女の声を聴いていると、昨日、夢の中で出会ったステファの事を思い出してしまう。
彼女が放った寒いギャグが頭の中で再生される。ルイズは思わず身震いした。
二人の間に関連性は無いと思いたい。いや、絶対に無い。絶対に。
心の中で強引に納得した所で、自分の席に着く。
「やぁ、ルイズ。今のが噂の君の使い魔かい」
近くの席に座っている金髪の少年が此方に話し掛けて来た。手に持った薔薇の造花を弄んでいる。
メイジは皆、自分専用の杖を持っているが、彼の杖は薔薇を模った物だった。
「そうよ、ギーシュ。でも、噂って一体何なのよ」
「主人のくせに知らないのかい。彼女の歌声の事さ。素晴らしいって評判らしいんだよ」
ラスティの歌声の評判は思った以上に広まっている様だ。自分はまだ聴いていないのに。
「知らなくて悪かったわね。って言うか、あんたも実際に聴いた訳じゃ無いじゃない」
「まぁ、そう怒らないでくれよ。実は君に頼みがあるんだ。とっておきのね」
「頼みって何よ」
「彼女に愛の歌を歌って欲しいんだ。僕とモンモランシーの愛をね」
朝っぱらから何を言っているのだ、この色ボケは。ルイズは軽い眩暈を覚えた。
「それならラスティに直接言ってよ。あたしがどうこう言う問題じゃないわ」
「それもそうだね。なら放課後にでも頼んでみるとしよう。それにしても彼女は幸せだよ。
貴族であるこの僕の頼みを直々に聞けるのだからね。これって凄い事だよ。
そうは思わないかい? ルイズ」
「それ以上はやめて。朝食が不味くなるから…」
そんなやり取りをしていると朝食の開始の合図が告げられたので、何時も行っている始祖ブリミルと女王陛下への
感謝の祈りを捧げた後、食べ始める。
何気にギーシュの方を見遣ると、まだ薔薇の造花を手に持っていた。
「ちょっと、ギーシュ。食事の時ぐらい杖を仕舞いなさいよ」
「違うよ。これは杖なんかじゃない。マイフォークなのさ」
ギーシュが花弁の部分を取り外すと、中からフォークの先端が現れた。
「あぁ、そう…」
ルイズは溜息をついた。
朝食の後は学生の本分である授業が待っている。ルイズ達も授業が行われる教室へと向かっていた。
ラスティは先程から上機嫌だ。
「ラスティ。美味しかった?」
「あぅ♪」
嬉しそうな返事をルイズに返す。余程、厨房で出された食事が美味しかったのだろう。
そんな彼女に、隣を歩いているキュルケが尋ねる。
「そういえばさぁ、ラスティって年、幾つなの?」
ラスティは両手で自分の年齢を示す。
先ずは両手の指を全て使って『10』を示した後、今度は片方の手の指2本で『2』を示した。
「「えっ、12歳?」」
実際の年齢を知ったルイズとキュルケがショックで顔を見合わせる。もっと幼いと思っていたからだ。
その様子にラスティは少しムッとした表情をする。
彼女はその儚げな見た目と小動物の様な振る舞いの所為で、実年齢よりも3、4歳幼く見られる事が良くある。
すっかり拗ねてしまったラスティを二人が宥めている頃、彼女達と一緒に歩いていた青髪の小柄な少女、タバサは
別の意味でショックを受けていた。
「私よりも下……」
背格好が自分と殆ど変わらないラスティが、自分よりも下の年齢だと知ったからだ。
#navi(エンジェリック・ゼロ)
アルヴィーズの食堂は今日も賑わいを見せていた。
ルイズ達が到着した時には既に朝食の準備が整っており、殆どの生徒や教師が席に着いていた。
使い魔の食事は外で摂らせるのが原則だが、ラスティを同じ様にさせる訳にはいかないので
使用人に頼んで食事の用意をさせる事にした。
近くに居た黒髪の給仕の娘に事情を話すと、快く引き受けてくれた。彼女はラスティの事を知っていた。
「彼女の食事ならお任せください。厨房で摂ってもらう事になりますが」
「それで構わないわ。ところで、どうしてこの子の事を知ってるの?」
「ミス・ヴァリエールが女の子を召喚した事は結構話題になっていますから。
それに今朝、彼女が歌っている所を見掛けましたので。素敵な歌声でしたよ」
「そ、そうなの…」
ここにも既にラスティの歌声を聴いている者が居た。自分はまだ聴いていないのに。
キュルケも先程聴いたと言っていたので、他にも聴いた者が居るに違いない。
ルイズは自分の寝起きの悪さを呪った。
「あの、それで彼女の名前を教えて頂けないでしょうか」
「何で? 今朝、この子から聞かなかった?」
「いえ、彼女が一言も喋らないので判らなかったのですよ。ひょっとしたら、恥ずかしいのではと思ったのですが」
「あぁ、ごめんね。この子の名前はラスティって言うんだけど、過去に患った病気の所為で言葉が話せないのよ」
「そうだったのですか。そうとは知らず、失礼致しました。ごめんね。ラスティちゃん」
給仕の娘が謝ると、ラスティは気にしていませんから。とでも言うかの如く首を横に振った。
「大丈夫よ。ラスティも気にしてないみたいだから。それじゃあ、ラスティの事、頼むわね」
「はい、お任せください」
「そうだわ。あなたの名前、まだ聞いてなかったわね。何て言うのかしら。もしかしてステファ?」
「いえ、シエスタと申しますが…」
「そ、そう…あぁ、気にしないで。こっちの事だから」
「判りました。じゃあ、ラスティちゃん。案内するから一緒に行きましょ」
「また後でね。ラスティ」
「あぅ」
シエスタはラスティを伴って厨房の方へと消えていった。
少し話してみただけだが、穏やかな感じの娘だった。彼女に任せておけば安心だろう。
ただ、彼女の声を聴いていると、昨日、夢の中で出会ったステファの事を思い出してしまう。
彼女が放った寒いギャグが頭の中で再生される。ルイズは思わず身震いした。
二人の間に関連性は無いと思いたい。いや、絶対に無い。絶対に。
心の中で強引に納得した所で、自分の席に着く。
「やぁ、ルイズ。今のが噂の君の使い魔かい」
近くの席に座っている金髪の少年が此方に話し掛けて来た。手に持った薔薇の造花を弄んでいる。
メイジは皆、自分専用の杖を持っているが、彼の杖は薔薇を模った物だった。
「そうよ、ギーシュ。でも、噂って一体何なのよ」
「主人のくせに知らないのかい。彼女の歌声の事さ。素晴らしいって評判らしいんだよ」
ラスティの歌声の評判は思った以上に広まっている様だ。自分はまだ聴いていないのに。
「知らなくて悪かったわね。って言うか、あんたも実際に聴いた訳じゃ無いじゃない」
「まぁ、そう怒らないでくれよ。実は君に頼みがあるんだ。とっておきのね」
「頼みって何よ」
「彼女に愛の歌を歌って欲しいんだ。僕とモンモランシーの愛をね」
朝っぱらから何を言っているのだ、この色ボケは。ルイズは軽い眩暈を覚えた。
「それならラスティに直接言ってよ。あたしがどうこう言う問題じゃないわ」
「それもそうだね。なら放課後にでも頼んでみるとしよう。それにしても彼女は幸せだよ。
貴族であるこの僕の頼みを直々に聞けるのだからね。これって凄い事だよ。
そうは思わないかい? ルイズ」
「それ以上はやめて。朝食が不味くなるから…」
そんなやり取りをしていると朝食の開始の合図が告げられたので、何時も行っている始祖ブリミルと女王陛下への
感謝の祈りを捧げた後、食べ始める。
何気にギーシュの方を見遣ると、まだ薔薇の造花を手に持っていた。
「ちょっと、ギーシュ。食事の時ぐらい杖を仕舞いなさいよ」
「違うよ。これは杖なんかじゃない。マイフォークなのさ」
ギーシュが花弁の部分を取り外すと、中からフォークの先端が現れた。
「あぁ、そう…」
ルイズは溜息をついた。
朝食の後は学生の本分である授業が待っている。ルイズ達も授業が行われる教室へと向かっていた。
ラスティは先程から上機嫌だ。
「ラスティ。美味しかった?」
「あぅ♪」
嬉しそうな返事をルイズに返す。余程、厨房で出された食事が美味しかったのだろう。
そんな彼女に、隣を歩いているキュルケが尋ねる。
「そういえばさぁ、ラスティって年、幾つなの?」
ラスティは両手で自分の年齢を示す。
先ずは両手の指を全て使って『10』を示した後、今度は片方の手の指2本で『2』を示した。
「「えっ、12歳?」」
実際の年齢を知ったルイズとキュルケがショックで顔を見合わせる。もっと幼いと思っていたからだ。
その様子にラスティは少しムッとした表情をする。
彼女はその儚げな見た目と小動物の様な振る舞いの所為で、実年齢よりも3、4歳幼く見られる事が良くある。
すっかり拗ねてしまったラスティを二人が宥めている頃、彼女達と一緒に歩いていた青髪の小柄な少女、タバサは
別の意味でショックを受けていた。
「私よりも下……」
背格好が自分と殆ど変わらないラスティが、自分よりも下の年齢だと知ったからだ。
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