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「GTA:LCS-0 9」(2007/10/11 (木) 21:18:47) の最新版変更点
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――朝。俺はこいつら貴族よりも早く食事を済ませると、ルイズの汚れた洋服の洗濯をしてやる事にした。俺に色気のない下着と
言われた影響もあり、男の俺では理解できないが……と言うよりは穿きづらいだろうと率直に感じるフリルのショーツが数多く
出て来る。いやいやいやいや……逆に子供っぽいんだよ。まぁ、本人は本人なりに努力しているのだろうが。
「……しかし、目立っているな……」
洗濯が終わり授業に付き合うと、昨日のように後ろの席ではなく《意図的》に真ん中の席に座る。これは恐らく昨日の一連の騒動が
原因で、全員俺を見張っているのだろう。加えて教室を見渡してみると優男の姿はない。
「なぁルイズ、あの優男いねぇな」
「ギーシュ?……魔法で治療したけど、心が挫けて今日は休みよ」
ああ、なるほど。こいつらメイジだったな……だが、心の傷までは治せねぇか。
「今まで《属性》が一つも……あっ…!」
シュヴルーズの授業の最中《属性》の話になった時、ルイズを指差してモンモランシーが言おうとしたが寸前で口を閉じる。これは
キュルケから聞いた事なのだが、どいつもこいつも俺が恐ろしいらしい。ルイズに何か言うものなら殺されかねない、何をされるか
分からないという恐怖心から、一歩下がって様子を見ている。何だ、まるで俺は《腫れ物》じゃねぇか。まぁいいか、結構ルイズに
向けられる野次はきついからな。それ位の威圧があったほうが、こいつもやりやすくなるだろう。
「すまないなマルトー、今日も酒まで頂いちまってな」
「気にするな」
夜になりマルトーから結構豪勢な夕食を振舞われると少し庭を散歩して『隠れ家』に帰る。だが、今日はちょっとした異変に遭った。
帰り道に見覚えのある火の点いたトカゲが横たわっている。こりゃキュルケのヤツじゃねぇか。
「ん?……おいおい冗談はよせ……おおお!?」
俺を見かけるとすぐさま寄ってきて、トカゲが取らないであろうモモンガのような姿になって俺を包み込むように被さってきた。
突然の事に何も出来なかった俺は押し倒され、がぶっと噛み付かれてそのまま口に咥えられながら拉致された。
「バカお前何すんだ、咥えるなっ!」
何とも格好悪い姿で運ばれると、さも当然のようにこのトカゲは手を使ってドアを開けて俺を恐らくキュルケの部屋だろう薄暗い
……いや、相当暗い部屋に押し込み、絨毯の上で解放する。
「……生まれて初めて、動物のように運ばれたな……」
ある種の屈辱的な運ばれ方をされた俺は少々現状の把握に苦しむのだが、目の前にはネグリジェ姿のキュルケが月光を背に立っていた。
何か本気で嫌な予感はするものの、好意的に接するキュルケには恐怖心は感じない。しかしながら、16歳にしては色気があるものの、
俺からすれば幼く見えてしまい、どうにもこうにも対応に苦慮する。
「色っぽい格好だな」
「ふふふ……」
誉められたと思ったのだろうか初めて見るような微笑をみせる。そこには恍惚とした表情があるのは気のせいだろうか。
「ようこそ私のスゥイートルームへ、トニー・シプリアーニ」
色目を使ってる?……マジか。
「そう言えばどちらが本名?トニー?アントニオ?」
「どちらも間違っていないが、トニーと呼んでくれたほうが嬉しい」
俺は多分変わらない表情でこう返した。恐らくこんな状況でも、多分俺はにやける事は無いだろう。
「分かったわトニー、いけない事だとは思っているけど、でも私の二つ名は『微熱』……たいまつみたいに燃え上がりやすいの」
目を潤ませながらこんな事をのたまう。お前本気で言ってるか?16歳のガキの台詞じゃねぇぜ……。キュルケは胸を寄せる仕草や
背を伸ばして色っぽく見せる仕草は最早恋愛馴れしていないガキが出来る芸当ではない。手馴れているな……。
「お分かりにならない?……恋しているのよ私、貴方に」
……正気か?今日日のガキはどこでこんな事を覚えてくるのだろうか不思議でならない。
「恋は全く突然ね」
待て、一歩間違えばそれは自分の股が緩いと言う事を意味しかねないぞ。やれやれ、キュルケの眼はマジだ。
「貴方がギーシュを倒した姿……格好良かったわぁ……あれを見て、『微熱のキュルケ』は『情熱のキュルケ』になってしまった……」
そう言って顔を近付けてきた刹那、目の前の窓から二日前に噴水の前でキュルケと一緒にいた老け顔のメイジが顔を覗かせる。
……こいつは……やれやれ。
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