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「GTA:LCS-0 8」(2007/10/08 (月) 02:29:46) の最新版変更点
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――ルイズ側。
私は心配だった。貴族と平民が喧嘩して怪我で済めばいいほうだから。魔法を使えない平民は、貴族からしてみれば赤子の手を捻るもの
だから。怒り任せに貴族が魔法を使えば、平民なんて消し飛んでしまう。だけど―――
「逃げずに来たのは誉めて……アッ―――――――――――――――――――――!!」
私はトニーが対峙した瞬間眼を背けた。だけど、視点を戻したら聞いた事の無いギーシュの悲鳴と火だるまになっている姿。信じられ
なかった。魔法?……そんな筈ない。トニーは魔法の存在しない世界から来たと言う事は知っているから。疑問は多かったけど、この時に
私の脳裏をある台詞が過ぎる。
《『殺られる前に殺れ』、これが俺たちの生き残る唯一の手段だ》
―――怖い!!私が最初にトニーを見たときに感じた冷淡な感覚のその一端の正体を垣間見えた気がする。だけど、授業で私を庇った
姿や、クールでニヒルな姿が重なるとその感覚が陰に潜む……。
予想通りギーシュのワルキューレによる反撃を被った。あの大きい体が何度も揺さぶられた様は、見ていられなかった。シエスタも
眼を背けてた……でも正直、ここからが理解に苦しむ。トニーの凄い走行量とワルキューレが四散した事。なんであのワルキューレが
砕け散ったのかが分からない。気が付けば、体が焦げて血だるまになったギーシュが運ばれていく姿と、皆で必死になって止めていた
トニーの姿だった……。
「な…何があったの?」
思わず横にいたシエスタに聞いてみた。でも、彼女は両手を口に置き、何も言葉が出せなかった。
俺は治療を受けながら、メイジ達から茶とケーキを振舞われた。なぜこんな事になっているのか俺には少々理解に苦しむ事態なのだが、
メイジ達は複雑な笑みを浮かべながら、俺に飲んでくれ、食べてくれ、おかわりはいかが?と振舞ってくる。気持ちの悪い事この上無い
のだが、折角振舞われたのだから美味しくいただく事にする。
「どうぞ、お茶のおかわりです」
分からないのが、このシエスタが心なしか楽しそうに俺に振舞う姿がある。
「なぁキュルケ、これはどう言う風の吹き回しだろうか」
「深い意味はないと思うわ、遠慮なく頂けば良いと思うわよ」
キュルケに聞いてみてもこんな返事が返ってくる。首を捻りたくなる状況だが、こんなのも悪くはないだろう。
「ところでトニー、私が聞きたい事あるんだけど、聞いて良いかしら?」
「答えられる事ならな」
一息ついた頃、キュルケとルイズが俺の正面に座りこう切り出す。
「「なんで、ギーシュが火だるまになったの?」」
二人が声を揃えて聞いてくる。思わず吹きそうになったが、何とか表情を変えずに答える事が出来た。
「それはだな、これを使ったからだ」
そう言って俺は、火の点いていない火炎瓶を取り出す。これを見たキュルケとルイズは二人して首を捻った。この二人、仲悪いが実は
相性いいんじゃないのか?
「これで何で燃えるのよ」
「先に詰め込んでいる紙があるだろ?これをだな……」
俺は火炎瓶の仕組みと簡単に説明する。実に単純なものなのだが、この二人熱心に聞いている。この世界はまだ実用的なものではない
ようにも見えるが、仲の悪い二人が並んで聞いている様は正直面白い光景だ。
夜は夜で食事もマルトーから結構豪勢なものとワインを振舞われ、気持ちの良い気分になる。久しぶりに腹一杯食べた俺は、済んだ良い
空気と、地球では見る事はまずないであろう二つの月の素直に綺麗と言える風景に包まれながら煙草に火を点けて一服をしていた。
……これで元の世界に戻れれば、御の字なのだろうがな。
「トニーさん、どうなされたのですか?」
煙草を吸いながら散歩をしていると、シエスタが後ろから声をかけてくる。
「ああ、食事の後の散歩だ。元の世界に居た時はこんなのんびりな事は出来なかったのでな」
「トニーさんの居た世界は、どんな世界なのでしょう?」
気がつけば、このシエスタと並んで歩いていた。
「知らん方がいいと思うぜ」
流石にこんな娘に《アメリカ最悪の街》リバティーシティを教える気にはならなかった。俺みたいな人種には居やすい街だが、もし自分が
堅気だったなら、絶対住みたくはない町だろう。
「ふふふ」
シエスタは優しい微笑を見せ、
「トニーさん、今度二人で一緒に居ませんか?」
思っても見ない台詞が出て来る。
「ん?おいおい、俺でいいのか?」
「ふふふふ……おやすみなさいトニーさん、また後ほど」
「ああ、おやすみ。シエスタ」
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