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#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
ルイズが眠りについたころ、エレオノールはそっとベッドから抜け出す、ルイズを起こさぬように。そう、気なるのだあの楽器が。
静かに、ゆっくりと楽器のケースを手に取りそっと開ける。
ガチリという音が静かな部屋に響き渡る。エレオノールはそっとケースを開いた。
「これは…」
エレオノールは思わず声を漏らす。月明かりに照らされたそれは楽器などではなかった。見慣れぬそれを手に取り月にかざす。
「暗くて判り難いけど、これは…」
何だろうか、何かに似ている気がするのだ。懸命に記憶の糸を探るエレオノール。目を瞑り静かに考えに深けはじめるのだ。それを二つの月が優しく見守っている。
そしてゆっくりと目蓋を開けた。
「銃…なのかしら?」
そう、以前にアカデミーで見た銃に形状が似ているのだ。確かにそれは銃だった。だがエレオノールは知るはずもない。それが遥か先の技術で作られた突撃銃(アサルトライフル)であるなどと…。そしてその銃がステアーAUGという名であることはもちろん知らない。
エレオノールは急に何かを思い出したのか、ポケットを探る。そしてあの円筒形の金属を取り出したのだ。エレオノールは知らない。それが薬莢と呼ばれる弾丸の進化の果てにあるものと…。
「もしかしてこれって」
エレオノールの頭の中に警報が響く。それをしたら後戻りができないと。
エレオノールの心が高まる。その好奇心を満たすのだと。
大きく息を吸い込み、心を落ち着かせようと試みる。そして、震える手でその円筒形の金属、薬莢を銃口に合わせるのだ。
『少し大きい』
そう薬莢は銃口よりも少し大きいのだ。何気なく銃床に目をやると薬莢の大きさに合いそうな穴があるではないか。そう薬莢の排出口だ。
エレオノールは唾を飲み込み、震える手で薬莢を近づける。
AUGから排出された薬莢なのだ。当然大きさも排出口に合う大きさなのだ。エレオノールの聡明な頭脳が最悪の可能性を示唆する。
ルイズがモット伯殺害に何らかの形で関与しているのだと……。
「ルイズ…」
銃とルイズを交互に見つめる。エレオノールの中に葛藤が生じ始めた。
しばらくの間、その場に立ち尽くしていたが、おもむろに銃を楽器のケースに片付け始める。そして何事もなかったかのようにルイズのベットに入り込みそっと彼女を抱きしめるのだった。
Zero ed una bambola ゼロと人形
ルイズが目を開くと横ではまだエレオノールが寝ていた。ふと目を反対側にやるとそこに立つ小さな人影があるのだ。
目を凝らしてみるとそれはアンジェリカだった。アンジェリカは無表情にその場に立ち尽くしている。
『アンジェ、どうしたの?』
そう声を出そうとしたが声が出ない。体を起こそうとしても何かに押さえつけられているのか、全く動けないのだ。
気がつけばアンジェリカはあの銃を構え、銃口をこちらに向ける。ルイズを狙っているのではない。そう隣で寝ているエレオノールに狙いを定めているのだ。
『アンジェやめて! 姉さま逃げて!』
声にならぬ叫びをあげる。アンジェリカはまるでルイズを嘲笑するかのように引き金を引いた。
銃口から飛び出た弾丸はエレオノールを貫き、ルイズを赤く染めるのだ。
「ルイズ…ルイズ…」
赤く染まった姉が名を呼び続ける。
「ルイズ! ルイズ!」
名前を呼ぶ声がさらに強く大きくなった。
「ルイズ! いい加減に起きなさい!」
え? 起きる?
朝日が昇り始めた頃だろうか。まだ薄暗い中、目を覚ましたルイズが目にしたものは、顔を覗き込む姉の姿だった。
「ルイズ! もうやっと起きたのね。」
呆れたように呟くエレオノールにルイズは思わず抱きつく。
「姉さま!」
よかった。夢でよかった。
「ちょっとちびルイズ、朝から鬱陶しいわ」
エレオノールはルイズを引き離す。
「全く、あんた本当に一人で大丈夫なの?」
呆れたようにエレオノールは言う。
「だって…」
「だってじゃないでしょう。あんたどの位成長したのかしら?」
「し、心配しなくても大丈夫よ!」
「本当に? 魔法の一つぐらい使えるようになったの?」
怪訝そうな顔をしながらルイズに詰め寄る。
「だ、大丈夫だもん」
「そう、じゃあ私に見せてくれないかしら?」
「え?」
「使えるんでしょう?だったら今から外に行って何か見せなさいよ」
それを聞いたルイズはあたふたと慌てはじめた。
「ルイズ自信ないの? 魔法使えるって言ったじゃない」
エレオノールはルイズを挑発するかのように話を切り出す。
「ほ、本当だもん! 魔法使えたもん!」
案の定ルイズは喰らいついてくる。
「じゃあ外に出ましょう。ほら、さっさと着替えなさい。もたもたしないの」
急かされるようにいわれ、ルイズは慌てて服を着替える。
「着替えた? ああもう! 寝癖がついてるじゃない」
そういってルイズの寝癖を直すのだ。かいがいしくルイズの世話をするエレオノール。誤解されやすいが根は優しい。
「姉さま自分で出来る」
そう反論するも相手にされず、ルイズの身だしなみをサッと整えたのだった。
朝の静謐な空気。まだ起きている者はそうおらず、中庭は小鳥たちに占拠されていた。
小鳥たちの楽園は、突如として現れた姉妹によって彼女達は楽園から追放され、散り散りに飛んで行く。
「ここならいいでしょう」
「姉さま本当にするの?」
「何いってんの。もしかして魔法使えないのに見栄でも張ったっていうの?」
ルイズは思わず口ごもってしまう。確かに魔法は成功したのだ。そう召喚の儀によってアンジェリカと契約をした『コントラクト・サーヴァント』、その一度だけしか魔法が成功したためしがない。
「何グズグズしてるの」
急かす姉の声がルイズに重圧となって圧し掛かる。あの時以来一度も成功していない魔法。心の中で成功を祈りながら杖を掲げる。
『お願い。成功して!』
ルイズの願いと共は裏腹に杖からは何もでない。ただ杖の先の壁が爆発するのみだった。
「姉さま! 今のは失敗、失敗しただけだから! 次は、次は成功します」
ルイズはエレオノールの顔を覗き込む。そこには呆れた顔をしたエレオノールの姿があった。
「姉さま?」
「ルイズ、もういいわ」
溜息と共にルイズに告げる。
「そんな! 嘘じゃないもん! ちゃんと魔法使えるんだから!」
目に涙を浮かべながら必死にエレオノールに弁解しようとした。
「わかった、わかったから。ルイズ私はもう帰るわね」
どこか諦めたような口ぶりで別れを告げられる。
「待って! 姉さま!」
必死に引きとめようとするがエレオノールは魔法で宙に浮き、ルイズの手の届かぬところへ……。
「ルイズ。たまには家に帰りなさいよ。カトレアなら貴女をいつでも待ってるわ」
そういい残し飛び去って行く。
「姉さま、姉さまぁ」
もはや涙声になりながらも姉を呼び続けるルイズ。その声はエレオノールには届かなかった。
「ルイズ! ゼロのルイズ!」
どこからか名前を呼ぶ声が聞こえる。ルイズは慌てて目元をぬぐい声の主へと振り返る。
「モンモランシー、何か用?」
平静を装って答える。
「貴女どこ行ってたのよ。探したじゃない」
怒鳴るようにモンモランシーは喋り始めた。
「ふ、ふん! わたしがどこにいようと勝手でしょ」
「ああもう! そんなことはどうでもいいのよ。アンジェリカが、アンジェリカが目を覚ましたの!」
「え! 本当に? 本当にアンジェが目を覚ましたの!」
Episodio 18
Alla durata di svegliare
目覚めのとき
#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
ルイズが眠りについたころ、エレオノールはそっとベッドから抜け出す、ルイズを起こさぬように。そう、気なるのだあの楽器が。
静かに、ゆっくりと楽器のケースを手に取りそっと開ける。
ガチリという音が静かな部屋に響き渡る。エレオノールはそっとケースを開いた。
「これは…」
エレオノールは思わず声を漏らす。月明かりに照らされたそれは楽器などではなかった。見慣れぬそれを手に取り月にかざす。
「暗くて判り難いけど、これは…」
何だろうか、何かに似ている気がするのだ。懸命に記憶の糸を探るエレオノール。目を瞑り静かに考えに深けはじめるのだ。それを二つの月が優しく見守っている。
そしてゆっくりと目蓋を開けた。
「銃…なのかしら?」
そう、以前にアカデミーで見た銃に形状が似ているのだ。確かにそれは銃だった。だがエレオノールは知るはずもない。それが遥か先の技術で作られた突撃銃(アサルトライフル)であるなどと…。そしてその 銃がステアーAUGという名であることはもちろん知らない。
エレオノールは急に何かを思い出したのか、ポケットを探る。そしてあの円筒形の金属を取り出したのだ。エレオノールは知らない。それが薬莢と呼ばれる弾丸の進化の果てにあるものと…。
「もしかしてこれって」
エレオノールの頭の中に警報が響く。それをしたら後戻りができないと。
エレオノールの心が高まる。その好奇心を満たすのだと。
大きく息を吸い込み、心を落ち着かせようと試みる。そして、震える手でその円筒形の金属、薬莢を銃口に合わせるのだ。
『少し大きい』
そう薬莢は銃口よりも少し大きいのだ。何気なく銃床に目をやると薬莢の大きさに合いそうな穴があるではないか。そう薬莢の排出口だ。
エレオノールは唾を飲み込み、震える手で薬莢を近づける。
AUGから排出された薬莢なのだ。当然大きさも排出口に合う大きさなのだ。エレオノールの聡明な頭脳が最悪の可能性を示唆する。
ルイズがモット伯殺害に何らかの形で関与しているのだと……。
「ルイズ…」
銃とルイズを交互に見つめる。エレオノールの中に葛藤が生じ始めた。
しばらくの間、その場に立ち尽くしていたが、おもむろに銃を楽器のケースに片付け始める。そして何事もなかったかのようにルイズのベットに入り込みそっと彼女を抱きしめるのだった。
Zero ed una bambola ゼロと人形
ルイズが目を開くと横ではまだエレオノールが寝ていた。ふと目を反対側にやるとそこに立つ小さな人影があるのだ。
目を凝らしてみるとそれはアンジェリカだった。アンジェリカは無表情にその場に立ち尽くしている。
『アンジェ、どうしたの?』
そう声を出そうとしたが声が出ない。体を起こそうとしても何かに押さえつけられているのか、全く動けないのだ。
気がつけばアンジェリカはあの銃を構え、銃口をこちらに向ける。ルイズを狙っているのではない。そう隣で寝ているエレオノールに狙いを定めているのだ。
『アンジェやめて! 姉さま逃げて!』
声にならぬ叫びをあげる。アンジェリカはまるでルイズを嘲笑するかのように引き金を引いた。
銃口から飛び出た弾丸はエレオノールを貫き、ルイズを赤く染めるのだ。
「ルイズ…ルイズ…」
赤く染まった姉が名を呼び続ける。
「ルイズ! ルイズ!」
名前を呼ぶ声がさらに強く大きくなった。
「ルイズ! いい加減に起きなさい!」
え? 起きる?
朝日が昇り始めた頃だろうか。まだ薄暗い中、目を覚ましたルイズが目にしたものは、顔を覗き込む姉の姿だった。
「ルイズ! もうやっと起きたのね。」
呆れたように呟くエレオノールにルイズは思わず抱きつく。
「姉さま!」
よかった。夢でよかった。
「ちょっとちびルイズ、朝から鬱陶しいわ」
エレオノールはルイズを引き離す。
「全く、あんた本当に一人で大丈夫なの?」
呆れたようにエレオノールは言う。
「だって…」
「だってじゃないでしょう。あんたどの位成長したのかしら?」
「し、心配しなくても大丈夫よ!」
「本当に? 魔法の一つぐらい使えるようになったの?」
怪訝そうな顔をしながらルイズに詰め寄る。
「だ、大丈夫だもん」
「そう、じゃあ私に見せてくれないかしら?」
「え?」
「使えるんでしょう?だったら今から外に行って何か見せなさいよ」
それを聞いたルイズはあたふたと慌てはじめた。
「ルイズ自信ないの? 魔法使えるって言ったじゃない」
エレオノールはルイズを挑発するかのように話を切り出す。
「ほ、本当だもん! 魔法使えたもん!」
案の定ルイズは喰らいついてくる。
「じゃあ外に出ましょう。ほら、さっさと着替えなさい。もたもたしないの」
急かされるようにいわれ、ルイズは慌てて服を着替える。
「着替えた? ああもう! 寝癖がついてるじゃない」
そういってルイズの寝癖を直すのだ。かいがいしくルイズの世話をするエレオノール。誤解されやすいが根は優しい。
「姉さま自分で出来る」
そう反論するも相手にされず、ルイズの身だしなみをサッと整えたのだった。
朝の静謐な空気。まだ起きている者はそうおらず、中庭は小鳥たちに占拠されていた。
小鳥たちの楽園は、突如として現れた姉妹によって彼女達は楽園から追放され、散り散りに飛んで行く。
「ここならいいでしょう」
「姉さま本当にするの?」
「何いってんの。もしかして魔法使えないのに見栄でも張ったっていうの?」
ルイズは思わず口ごもってしまう。確かに魔法は成功したのだ。そう召喚の儀によってアンジェリカと契約をした『コントラクト・サーヴァント』、その一度だけしか魔法が成功したためしがない。
「何グズグズしてるの」
急かす姉の声がルイズに重圧となって圧し掛かる。あの時以来一度も成功していない魔法。心の中で成功を祈りながら杖を掲げる。
『お願い。成功して!』
ルイズの願いと共は裏腹に杖からは何もでない。ただ杖の先の壁が爆発するのみだった。
「姉さま! 今のは失敗、失敗しただけだから! 次は、次は成功します」
ルイズはエレオノールの顔を覗き込む。そこには呆れた顔をしたエレオノールの姿があった。
「姉さま?」
「ルイズ、もういいわ」
溜息と共にルイズに告げる。
「そんな! 嘘じゃないもん! ちゃんと魔法使えるんだから!」
目に涙を浮かべながら必死にエレオノールに弁解しようとした。
「わかった、わかったから。ルイズ私はもう帰るわね」
どこか諦めたような口ぶりで別れを告げられる。
「待って! 姉さま!」
必死に引きとめようとするがエレオノールは魔法で宙に浮き、ルイズの手の届かぬところへ……。
「ルイズ。たまには家に帰りなさいよ。カトレアなら貴女をいつでも待ってるわ」
そういい残し飛び去って行く。
「姉さま、姉さまぁ」
もはや涙声になりながらも姉を呼び続けるルイズ。その声はエレオノールには届かなかった。
「ルイズ! ゼロのルイズ!」
どこからか名前を呼ぶ声が聞こえる。ルイズは慌てて目元をぬぐい声の主へと振り返る。
「モンモランシー、何か用?」
平静を装って答える。
「貴女どこ行ってたのよ。探したじゃない」
怒鳴るようにモンモランシーは喋り始めた。
「ふ、ふん! わたしがどこにいようと勝手でしょ」
「ああもう! そんなことはどうでもいいのよ。アンジェリカが、アンジェリカが目を覚ましたの!」
「え! 本当に? 本当にアンジェが目を覚ましたの!」
Episodio 18
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