「るいずととら-2」(2007/06/30 (土) 04:41:53) の最新版変更点
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「るいず、オメエ、まだ怒ってんのかよ」
「しししらない!うう、屈辱だわ……まさか学園中で……ははははしたない……」
その日の夜。部屋でルイズは机にその頭を打ち付けていた。果てしない羞恥心に、顔から火がでそうだった。
今なら火属性の魔法が使えるかもしれないわ、などと絶望的にルイズは思う。
ことの原因は、中庭から飛んだときに、あっさり気絶したルイズの足をつかんで、とらが学園を歩き回ったことにある。
おかげで、意識のないルイズはスカートの中を盛大に見せた状態で、学園めぐりをすることになったのだ。
だが、とらに向かって鞭を振るう勇気は、ルイズにはなかった。
(おまけに、あたしを引きずるとらに驚いて魔法を使おうとした先生が、三人もぶっ飛ばされたってどういうこと!?治療費全部わたしもちなの?)
こうしてあっという間に「ゼロのルイズは契約した使い魔もろくに扱えない」とのうわさが立ってしまったのだった。
ルイズが無言で机に頭を打ち付けるのを横目に見ながら、とらは月を見上げていた。
(二つの月か……こいつあ、大陸だとしても桃花源やらの異世界かもしれねえな……)
さきほどルイズに聞いてみたが、「とりすていん」やら「はるけぎにあ」やらと言われても、とらにはさっぱり意味がわからない。
自分の目で見るのが一番だろうと、とらは判断した。
「るいず、わしはちょっと外を見てくるからな」
「いいいいってらっしゃい。ああ朝には帰るのよ、いい?」
「おう」
そう言うと、とらはするりと壁をすりぬけて夜の外に飛び出していった。ルイズの目は驚愕に開かれるが、深く考えるのはやめることにした。
へなへなと力が抜けて、ルイズはベッドに座り込む。
(まったく……あんなに言うこと聞かない使い魔なんて初めて聞くわよ……)
ルイズはそう呟いて、机に頭を打ち付ける作業にもどった。
実際には、うしおが槍を抜いた頃に比べると、とらは信じられないほどおとなしくなっているのだが、ルイズには知る由もなかった。
翌朝。
ルイズが目を覚ましたとき、とらが床に座っていたので、危うくルイズは学園中に響く絶叫をあげそうになった。
だが直前で、それが昨日召喚した使い魔であるとわかり、はしたない叫び声と失神は免れた。
「ととととら。いいい、言っておくことがあるの」
「なんだ、るいず」
「あんた、見た目、怖いから。大きいから。あのね、先生たちとか、生徒、驚いちゃうの。でもね、ぶっとばすの禁止。ぜったい。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔です』って言えばね、いいから」
「ふん」
「ああああとね、他の生徒の使い魔、ぶっとばすの禁止。建物、ぶっこわすの禁止。いい?」
とらは頷いた。果たして分かっているのだろうか、とルイズは果てしなく不安になった。
「……ところでだな、るいず、ハラァ減ったんだが」
「そう?もうすぐ朝食よ……ねえ、とら。あなた、何を食べるの?食べ物はなに?」
干草じゃないだろうな、やっぱり。肉はお金がかかるのに、とルイズが考えていると、とらは奇怪な単語を発した。
「てろやきばっかだ」
「てろやき……ばっか?なに、それ」
「知らんのか?うまいぞ」
「聞いたこともないわ……ねえ、それ以外だったら何を食べるの?」
「……人だな。若い娘ならなおうまいのよ」
聞かなければよかった……そう思いながら、ルイズはベッドに倒れこみ、気を失った。
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「るいず、オメエ、まだ怒ってんのかよ」
「しししらない!うう、屈辱だわ……まさか学園中で……ははははしたない……」
その日の夜。部屋でルイズは机にその頭を打ち付けていた。果てしない羞恥心に、顔から火がでそうだった。
今なら火属性の魔法が使えるかもしれないわ、などと絶望的にルイズは思う。
ことの原因は、中庭から飛んだときに、あっさり気絶したルイズの足をつかんで、とらが学園を歩き回ったことにある。
おかげで、意識のないルイズはスカートの中を盛大に見せた状態で、学園めぐりをすることになったのだ。
だが、とらに向かって鞭を振るう勇気は、ルイズにはなかった。
(おまけに、あたしを引きずるとらに驚いて魔法を使おうとした先生が、三人もぶっ飛ばされたってどういうこと!?治療費全部わたしもちなの?)
こうしてあっという間に「ゼロのルイズは契約した使い魔もろくに扱えない」とのうわさが立ってしまったのだった。
ルイズが無言で机に頭を打ち付けるのを横目に見ながら、とらは月を見上げていた。
(二つの月か……こいつあ、大陸だとしても桃花源やらの異世界かもしれねえな……)
さきほどルイズに聞いてみたが、「とりすていん」やら「はるけぎにあ」やらと言われても、とらにはさっぱり意味がわからない。
自分の目で見るのが一番だろうと、とらは判断した。
「るいず、わしはちょっと外を見てくるからな」
「いいいいってらっしゃい。ああ朝には帰るのよ、いい?」
「おう」
そう言うと、とらはするりと壁をすりぬけて夜の外に飛び出していった。ルイズの目は驚愕に開かれるが、深く考えるのはやめることにした。
へなへなと力が抜けて、ルイズはベッドに座り込む。
(まったく……あんなに言うこと聞かない使い魔なんて初めて聞くわよ……)
ルイズはそう呟いて、机に頭を打ち付ける作業にもどった。
実際には、うしおが槍を抜いた頃に比べると、とらは信じられないほどおとなしくなっているのだが、ルイズには知る由もなかった。
翌朝。
ルイズが目を覚ましたとき、とらが床に座っていたので、危うくルイズは学園中に響く絶叫をあげそうになった。
だが直前で、それが昨日召喚した使い魔であるとわかり、はしたない叫び声と失神は免れた。
「ととととら。いいい、言っておくことがあるの」
「なんだ、るいず」
「あんた、見た目、怖いから。大きいから。あのね、先生たちとか、生徒、驚いちゃうの。でもね、ぶっとばすの禁止。ぜったい。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔です』って言えばね、いいから」
「ふん」
「ああああとね、他の生徒の使い魔、ぶっとばすの禁止。建物、ぶっこわすの禁止。いい?」
とらは頷いた。果たして分かっているのだろうか、とルイズは果てしなく不安になった。
「……ところでだな、るいず、ハラァ減ったんだが」
「そう?もうすぐ朝食よ……ねえ、とら。あなた、何を食べるの?食べ物はなに?」
干草じゃないだろうな、やっぱり。肉はお金がかかるのに、とルイズが考えていると、とらは奇怪な単語を発した。
「てろやきばっかだ」
「てろやき……ばっか?なに、それ」
「知らんのか?うまいぞ」
「聞いたこともないわ……ねえ、それ以外だったら何を食べるの?」
「……人だな。若い娘ならなおうまいのよ」
聞かなければよかった……そう思いながら、ルイズはベッドに倒れこみ、気を失った。
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