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激しい炎に包まれながら広大な平野に向かって沈降する大艦隊を目の当たりにしたぼくは、目の前に立ちはだかるアルビオン兵の剣戟を避けながら思わず呟いた。
「……なにが起きたんだ?」
血塗られた片刃の長剣がその疑問に対して手短に答える。
「虚無の最下位魔法『エクスプロージョン』だな」
「虚無?……まさか、ルイズが目覚めたのか?」
「だろうね」
伝説の復活を前にして、それでも、デルフリンガーはどこまでも暢気に言った。
とにかく、ルイズは無事というわけだ。しかし、ギーシュはどうなんだろうか。
ニューカッスル攻城戦における激しい混乱の中、ルイズ達より一足遅く祖国へと向かった彼女の安否が心に引っ掛かり、ギーシュのはにかんだ様な可愛いらしい笑顔が頭を過ぎった。
そして、その時、ぼくははっきりと自分の気持ちを理解する。
だけど、今だけはその想いも胸にしまっておこう。
夥しい量の鮮血を幾度も浴びながら、それでも顔色一つ変えないぼくに、それは相応しくないものなのだから。
ぼくは今一度決意を固め、猛き風にはためく三色の旗を見つめた。
あそこにクロムウェルがいるのだ。
その時、前方で青き一条の光の束が、ある一点に向かい急速に収束してゆく光景がぼくの目に映った。
ぼくは、それが何の前触れなのかをよく知っている。
「嘘だろ…?味方ごとか?」
「相棒、あれはやばい!そんな予感がする!早く避けろ!!」
剣が叫んだ。
「わかってる!」
ぼくは空に向かって大きく跳躍した。
同時に、ぼくの眼下を巨大な青き閃光がほとばしり、進行上にいた全ての存在が刹那の内に焼き尽くされた。
「あの野郎!」
白い煙りを上らせる焦げ付いた大地に降り立ったぼくは、旗に向かって突進した。強く噛みしめた
唇から血が滲み出て、口の中を鉄の香りが満たした。
やはり、あの老人の存在を許すわけにはいかない。
老人の歪んだ笑みが確認出来る位置までたどり着いたぼくは叫んだ。
「クロムウェル!お前のしてきたことを許すことは出来ない!お前の歪んだ野望も、今日、ここで潰える!」
護衛らしき屈強な兵士達がクロムウェルを取り囲みぼくに厳しい視線を向けた。
「ガンダールヴ。やはり、生きておったか。しかし、エクスプロージョンをその身に受けながらも生きながらえたのは、古今東西、きみだけだろうな」
精霊の三原色は可視たる存在なら全て掻き消すことが可能だ。あの時、ぼくは爆発そのものの一部を掻き消したのだ。しかし、力の及ばなかった残りの衝撃波によって、ルーンの刻まれたぼくの左腕は吹き飛ばされた。
ルイズとの主従契約の証を失ったぼくは、もはや、ガンダールヴではない。
ぼくは怒りを沈め、クロムウェルに向かって微笑みを返した。
「お前の放ったあれがエクスプロージョン?良く言うよ。あの爆発の正体をぼくは良く知っている。そして、あんたが持つ自信の裏付けもね」
クロムウェルの眉が微かに動いた。
「飛翔する白き円筒は全てを巻き込み盛大に爆ぜる。そして、青き閃光は包みし存在を全てを焼き尽くす。それら二つの力を兼ね備えた白きゴーレム。どこで、手に入れたかは知らないけど、お前はそれを持っているんだろ」
クロムウェルの顔に動揺が走った。
ぼくは追い打ちをかけるように萎縮させるような目付きでクロムウェルを睨み付けた。
「あれはゴーレムなんかじゃない。ぼくの世界の二足歩行型汎用兵器だ。正式名称は【YH-1995】、通称【世界制服ロボ】だ。そして、正式搭乗者はこのぼくに外ならない」
「なに……?」
「人の所有物を勝手に使っておいて、こともあろうに虚無と偽るとはね。心底、呆れるよ」
ぼくの言葉の真偽をはかる為に護衛兵がクロムウェルの顔を伺った。
「子供の戯れ事に惑わされるでない」
クロムウェルが苦々し気にぼくを見つめる。
「して、わしの虚無が止められるのかい、あの時、惨敗した君ごときに?」
「当然だ。ぼくは、その為にここにいる!」
しかし、困った事にクロムウェルによる世界制服ロボの使用方法は実に正しかった。
なにせ、このロボは冠された名が表しているように、世界を制服する為に製作された代物なのだ。
しかし、ぼくはそれを阻止しなければならない。
「……ごめんよ、紐緒さん」
ぼくは制作者の少女にそっと謝罪し、デルフリンガーを構えた。
不可視モードから、可視モードに切り替えられた世界制服ロボが、クロムウェルの背後に燦然とその威容を表した。
「……あれ?」
ぼくが間の抜けた声を上げたのには理由がある。
ぼくの知っている世界制服ロボとは随分異なる姿をしていたのだ。
肩に刻印されている文字に気付いたぼくの背中に冷たい汗が流れた。
【YH-2001】
末端の数字が増えている。
つまり、ぼくがいた世界の五年後に作られたものなのだろう。
制作者の頭脳は良くない方向にずば抜けていたので、五年の間にどんな進化を遂げたのかなんて想像もつかない。
新型の世界制服ロボに対するは、旧型のサイバーファング、そして、兵器と呼称するよりも骨董としての価値が高そうな零戦。
頼みの綱はルイズの虚無、そして、やっぱり、光の精霊だ。
それでも、やるしかない。
今、最終決戦が幕を上げる。
激しい炎に包まれながら広大な平野に向かって沈降する大艦隊を目の当たりにしたぼくは、目の前に立ちはだかるアルビオン兵の剣戟を避けながら思わず呟いた。
「……なにが起きたんだ?」
血塗られた片刃の長剣がその疑問に対して手短に答える。
「虚無の最下位魔法『エクスプロージョン』だな」
「虚無?……まさか、ルイズが目覚めたのか?」
「だろうね」
伝説の復活を前にして、それでも、デルフリンガーはどこまでも暢気に言った。
とにかく、ルイズは無事というわけだ。しかし、ギーシュはどうなんだろうか。
ニューカッスル攻城戦における激しい混乱の中、ルイズ達より一足遅く祖国へと向かった彼女の安否が心に引っ掛かり、ギーシュのはにかんだ様な可愛いらしい笑顔が頭を過ぎった。
そして、その時、ぼくははっきりと自分の気持ちを理解する。
だけど、今だけはその想いも胸にしまっておこう。
夥しい量の鮮血を幾度も浴びながら、それでも顔色一つ変えないぼくに、それは相応しくないものなのだから。
ぼくは今一度決意を固め、猛き風にはためく三色の旗を見つめた。
あそこにクロムウェルがいるのだ。
その時、前方で青き一条の光の束が、ある一点に向かい急速に収束してゆく光景がぼくの目に映った。
ぼくは、それが何の前触れなのかをよく知っている。
「嘘だろ…?味方ごとか?」
「相棒、あれはやばい!そんな予感がする!早く避けろ!!」
剣が叫んだ。
「わかってる!」
ぼくは空に向かって大きく跳躍した。
同時に、ぼくの眼下を巨大な青き閃光がほとばしり、進行上にいた全ての存在が刹那の内に焼き尽くされた。
「あの野郎!」
白い煙りを上らせる焦げ付いた大地に降り立ったぼくは、旗に向かって突進した。強く噛みしめた
唇から血が滲み出て、口の中を鉄の香りが満たした。
やはり、あの老人の存在を許すわけにはいかない。
老人の歪んだ笑みが確認出来る位置までたどり着いたぼくは叫んだ。
「クロムウェル!お前のしてきたことを許すことは出来ない!お前の歪んだ野望も、今日、ここで潰える!」
護衛らしき屈強な兵士達がクロムウェルを取り囲みぼくに厳しい視線を向けた。
「ガンダールヴ。やはり、生きておったか。しかし、エクスプロージョンをその身に受けながらも生きながらえたのは、古今東西、きみだけだろうな」
精霊の三原色は可視たる存在なら全て掻き消すことが可能だ。あの時、ぼくは爆発そのものの一部を掻き消したのだ。しかし、力の及ばなかった残りの衝撃波によって、ルーンの刻まれたぼくの左腕は吹き飛ばされた。
ルイズとの主従契約の証を失ったぼくは、もはや、ガンダールヴではない。
ぼくは怒りを沈め、クロムウェルに向かって微笑みを返した。
「お前の放ったあれがエクスプロージョン?良く言うよ。あの爆発の正体をぼくは良く知っている。そして、あんたが持つ自信の裏付けもね」
クロムウェルの眉が微かに動いた。
「飛翔する白き円筒は全てを巻き込み盛大に爆ぜる。そして、青き閃光は包みし存在を全てを焼き尽くす。それら二つの力を兼ね備えた白きゴーレム。どこで、手に入れたかは知らないけど、お前はそれを持っているんだろ」
クロムウェルの顔に動揺が走った。
ぼくは追い打ちをかけるように萎縮させるような目付きでクロムウェルを睨み付けた。
「あれはゴーレムなんかじゃない。ぼくの世界の二足歩行型汎用兵器だ。正式名称は【YH-1995】、通称【世界制服ロボ】だ。そして、正式搭乗者はこのぼくに外ならない」
「なに……?」
「人の所有物を勝手に使っておいて、こともあろうに虚無と偽るとはね。心底、呆れるよ」
ぼくの言葉の真偽をはかる為に護衛兵がクロムウェルの顔を伺った。
「子供の戯れ事に惑わされるでない」
クロムウェルが苦々し気にぼくを見つめる。
「して、わしの虚無が止められるのかい、あの時、惨敗した君ごときに?」
「当然だ。ぼくは、その為にここにいる!」
しかし、困った事にクロムウェルによる世界制服ロボの使用方法は実に正しかった。
なにせ、このロボは冠された名が表しているように、世界を制服する為に製作された代物なのだ。
しかし、ぼくはそれを阻止しなければならない。
「……ごめんよ、紐緒さん」
ぼくは制作者の少女にそっと謝罪し、デルフリンガーを構えた。
不可視モードから、可視モードに切り替えられた世界制服ロボが、クロムウェルの背後に燦然とその威容を表した。
「……あれ?」
ぼくが間の抜けた声を上げたのには理由がある。
ぼくの知っている世界制服ロボとは随分異なる姿をしていたのだ。
肩に刻印されている文字に気付いたぼくの背中に冷たい汗が流れた。
【YH-2001】
末端の数字が増えている。
つまり、ぼくがいた世界の五年後に作られたものなのだろう。
制作者の頭脳は良くない方向にずば抜けていたので、五年の間にどんな進化を遂げたのかなんて想像もつかない。
新型の世界制服ロボに対するは、旧型のサイバーファング、そして、兵器と呼称するよりも骨董としての価値が高そうな零戦。
頼みの綱はルイズの虚無、そして、やっぱり、光の精霊だ。
それでも、やるしかない。
今、最終決戦が幕を上げる。
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