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「ゼロのガルーダ、のひよこ」(2007/09/14 (金) 00:28:16) の最新版変更点
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「わたしの使い魔、出て来いや!」
失敗すること数十度、そのたびに半端ではない爆発が起こる
ルイズは完全に投げやりになっていた、が、それでも召喚呪文を唱え続けた
留年するのが心底イヤだったからである
「もういい加減にしてくれ」
「まだやるの?」
「…眠い…」
すでに召喚の儀式を終えているクラスメイト達はダレていた
もう何度目だか数える気力も無くした頃、それまでとは違う展開が
「ポフ」
気の抜けた音とともに綿菓子ほどの小さな爆発が起こる
「おおっ! ってなんだとうとう魔力切れか?」
「ここまで頑張ってこの結果、と」
「Zzzzzzzz」
どうでも良さそうな外野とは違いルイズは確かな手ごたえを感じていた
(キターっ! つ、ついに私の使い魔がっ! もう、どんなのでもいいわ、留年さえまぬがれれば!)
小さくガッツポーズを決めちゃったりなんかしちゃったりなんかしてると一陣の風が煙を吹き払う
そこにいたのは…
「ひ、ひよこ?」
別段巨大でもない、普通の、手のひらに乗っかりそうな小さなひよこだ
鳴きもせずにじっとルイズを見上げている
「あーあ、やっぱり魔力切れかよ」
「ま、呼べただけマシじゃねーの?」
「Zzzz…ハッ、夢か…」
「さあ、ミス・ヴァリエール、儀式を続けなさい」
あからさまにダレた無駄口を叩く生徒達に軽くガンを飛ばして黙らせると
コルベールはルイズに続きを促した
うなづいたルイズは物怖じしないひよこに向かって両手を差し伸べる
ちょこんと手のひらに飛び乗ったひよこを顔の高さまで持ち上げた
「ん? 何かしらこれ?」
額に逆三角形の金属板が張り付いている、良く見ると他にも、堅気のひよこには
必要無さそうなパーツがいくつか、ふわふわの羽毛の中に見え隠れしている
「まあ、いいわ」
使い魔が何なのかは、使い魔にしてから気にすればいい
ルイズはコントラクト・サーヴァントの呪文を唱えてその小さなくちばしに口づけした
これまた小さな左の翼に使い魔のルーンが刻まれる
相当な苦痛を伴うはずなのに、ひよこはくちばしを食いしばって我慢していた
なかなか根性のあるひよこらしい、ひよこの根性が何の役に立つかは知らないが
「終わったようだね、じゃ、ルーンを確認させてもらうよ…ほう、珍しいルーンだ」
コルベールが虫眼鏡を使ってルーンの確認をしている間も泰然自若としている
(まだ何のひよこか分からないんだけど)
アレだけ引っ張っといてひよこかよ、とか野次られたがルイズは気にしなかった
使い魔の価値はその主人が知っていればいい
コルベールの手のひらから伸身二回宙返りで自分の肩に着地したひよこを見ると
(案外拾い物なのかも知れないわね)
そう思った
「ピヨッ」
その通りだ、とでも言うかの様に、召喚されてから初めてひよこが鳴いた
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「一体あんたってなんの鳥なのよ?」
早朝、寮にあるルイズの部屋
ルイズの目の前で、皿に山盛りにしたひき肉を一心不乱についばむひよこ
色々と調べてみたが、結局何のひよこかは分からなかった
しいて言えばニワトリが一番近いのだが、目の前で食べているのは生肉だ
「まあ、何らかの猛禽類だとは思うんだがねえ」
すまなそうに頭を掻いて、コルベールはそういった
「そりゃ、肉しか食べないんだからそうでしょうよ」
ぼーっと見ていると皿の上の山が見る見る低くなっていく
本当ならば今日は餌抜きにするつもりだった、シーツに粗相をしたからだ
叱った時に反省した様子を見せたのと、育ち盛りのひな鳥の健全な成育の為に見合わせた
立派に育ってもらわないと困るのだ
留年をまぬがれさせてくれたのには感謝しているが、今のままでは使い魔として使い様が無い
「ほーら、しっかり食べて大きくなるのよ?」
「ピヨッ」
二皿めに取り掛かりながらひよこは元気よく返事をした
「さて、そろそろ私も朝ごはんを食べないとね」
服装を整え
「ほら、いらっしゃい」
「ピヨッ」
返事はいつでも切れがいい、ひよこが自分の肩に飛び乗ったのを確認すると廊下に出る
「おはよう、キュルケ」
むか、わが怨敵 “特に胸が”ツェルプストーが現れた
「おはよう、ルイズ」
挨拶を返すと肩にのったひよこを覗き込む
「あら、カワイイ使い魔じゃないの、貴方にしては頑張った方じゃないかしら? その子」
むかむか、
「私のフレイムにうっかり食べてしまわないように言い聞かせておくから、感謝なさいよ」
むかむかむか、
などと話している主たちの横で、ひよこはサラマンダーにガンを飛ばして冷や汗をかかせていた
いつまでも駄弁っていても仕方が無いので食堂に向かう、当然キュルケも
付いて来んな! とは思ったが、言ったところでさらにからかわれるのがオチなので黙っていることにする
その日の午前中はルイズが教室で爆発を起こしたりして普通に過ぎていった
吹き飛ばしかけた教室の片付けが済むと、もうお昼過ぎ
「やーっと終わったわね、さっさと食事にしましょう、ルイズ」
キュルケともう一人、キュルケの友人らしい無口なクラスメイトが片づけを手伝ってくれた
イイヤツなのだ、この女、基本的に怨敵だけど
それに使い魔が意外と頑張ってくれた、見落とした小さな欠片を拾い集めたり
手の届かないところにも、もぐりこんだり、飛び上がったり
「そういえば朝は聞き損ねたけど、この子なんて名前にしたの?」
廊下を食堂に向かって歩いているとキュルケがそう尋ねてきた
「あ、」
そういえば正体や世話にかまけてまだ名前を考えてなかった(汗
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204 :ゼロのガルーダ、のひよこ:2007/09/13(木) 11:23:21 ID:1ddZUmPB
色々飛ばして次回はギーシュ戦だよん
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