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「魔法少女リリカルルイズ15」(2009/03/09 (月) 21:44:44) の最新版変更点
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#navi(魔法少女リリカルルイズ)
今日は虚無の曜日。
ルイズは今日という日を待っていた。
どうしてもやりたいことがあるのだ。
朝の魔法の練習はいつもより気合いを入れる。
今日のためにはその方がいいからだ。
それが終わったら学院に戻って朝食を摂る。
少し少なめにしておく。
特にデザートは絶対に摂らないようにしておく。
食事を終えて外に出たルイズは念話でどこにいるかわからないユーノに語りかける。
(ユーノ。今日は出かけるわよ)
(え?授業は?)
(今日は虚無の曜日。だから授業はおやすみなのよ)
(わかったよ。すぐ行く)
念話を切る。
部屋に戻って準備をしないといけない。
はやる心は抑えきれず、すたかーんすたかーんとスキップをしていた。
すぐ行く、とは言ったもののユーノがルイズと合流したのはルイズが準備をすませて寮から出た後だった。
こう言うときには念話は役にたつ。
待ち合わせ場所でずーっと待っておかなくてもいいからだ。
「遅かったわね。なにしてたのよ」
「ごめん。ちょっと、捕まってて……」
「だれによ」
「誰の使い魔かはわからないけど、竜に捕まってたんだ」
今この学院で竜を使い魔にしている1人しかいない。
同級生のタバサだ。
「だったら、誰かに喋ってるところを見つかったりして捕まってたわけじゃないのね」
「うん、それは大丈夫。人と話してないから」
肩に駆け上がるユーノをなでて、ルイズは馬小屋に向かった。
昼前に目を冷ましたキュルケはむっくりと体を起こした。
床に放りっぱなしの服と下着を部屋の隅に寄せて、タンスとクローゼットから新しい服と下着を取り出す。
服を着たら鏡に向かって化粧をしながらまだ寝ぼけている頭で考える。
今日は虚無の曜日。
授業はない。
「何をしましょうか」
閃いた。
まずは朝一番──すでに昼前ではあるが──にしなければならないことがある。
思い立ったらすぐに行動。
枕元に置いてある杖を取って部屋を出る。
目指すのはルイズの部屋。
これからルイズに奇襲をかけるのだ。
今日は虚無の曜日。
ならば、ルイズも昨夜から部屋にあの男の子を連れ込んでいるに違いない!!
自分もそうしてたから可能性は高い。
と、キュルケは考えていた。
そうしているうちにルイズの部屋の前に着く。
ノックはしない。
そんなことをしたら奇襲にならない。
さらにいきなりアンロック。
校則違反だが気にしない。
ルイズの男の正体を暴く重大性に比べれば遙かに些細なことだ。
だがルイズの部屋には誰もいなかった。
ぐるり物色しても誰も見つからない。
床に散らばっていた羊皮紙がなくなって前に来たときよりも部屋を広く感じる。
だからといって隠れる場所が増えたわけではない。
「ルイズー」
念のために呼んでみる。
やはり返事はない。
もう一度見回してみる。
誰もいない。
その代わり鞄が見つからない。
どこにもないのだ。
ということは……
「何よー、出かけてるの?」
不満を口にした瞬間に今日2回目の閃きが訪れる。
出かける、ということは……間違いない!!
「チャンスよ!」
キュルケはルイズの部屋を飛び出した。
今日のタバサは自分の部屋で読書を楽しんでいた。
視線を集中させて文字の海に心を浮かべていると窓をコンコン叩くものいた。
次いで窓からきゅいきゅい声がする。
外からきゅいきゅい催促をしてくるが今は読書を続けたいので無視。
静寂を得たかったのでついでにサイレントをかけておく。
これで静かになった。
再び読書を再開。
何ページか呼んだところで今度はドアが開かれる。
音もなく壁にたたきつけられたドアから入ってきたのはキュルケだった。
おそらくドアをちからいっぱい連打したのだろう。
手の甲が赤くなっている。
入ってきたキュルケはタバサに大股で歩いて近づくと本を取り上げてなにやらわめき立てる。
それで静寂は乱れない。
あたりまえだ。
サイレントをかけているのだ。
仕方なくタバサはサイレントを解く。
「タバサ。今から出かけるわよ!早く支度をしてちょうだい!」
他の人間ならただではおかないところだがキュルケにはそんなことはしたくない。
「虚無の曜日」
なので、静かに過ごしたいと伝えるがキュルケは止まらない。
「虚無の曜日!わかってるわ。でも、そんな場合じゃないのよ!!男よ!男!」
それがどうしたとタバサは首をかしげる。
キュルケと男の組み合わせは珍しいものではない。
「いい?あのヴァリエールが出かけたの!近頃、部屋に男を連れ込んでいるヴァリエールが虚無の曜日に出かけたのよ!もう解るでしょ?きっとその男と会いに出かけたに違いないわ!!!」
タバサはもう一度首をかしげる。
キュルケはそれを気にせずに喋り続ける。
「ヴァリエールの男!間違いなく、あの塔を壊したゴーレムを止めてた一年の男の子に違いないわ!!あなたは興味ないの?」
言われてみれば興味がある。
塔を壊すくらいの一撃を防ぐような強力な防御魔法の使い手。
それから……。
タバサにしては珍しいことだが、自覚したら興味が大きくなってきた。
ならば追いつくには自分の使い魔が最適だろう。
それにキュルケの頼みなら引き受けてもいい。
ついでにキュルケと同じようなことをしたいと言っているのが一匹いる。
そっちの頼みも聞くことにした。
タバサは窓に向かう。
窓からはまたとんとん音がする。
サイレントの魔法で聞こえなくなっていた音が聞こえ始めたのだ。
「そういえば、さっきから窓から音がするわね。窓の外に誰かいるの?」
タバサは1つうなずいてから窓を開いた。
「わぁっ」
思わずキュルケは声を上げてしまう。
外には鼻先で窓を叩き損ねたタバサの使い魔の風竜が顔を部屋の中に勢いよく入れてきたからだ。
バランスを崩した風竜は羽をばたつかせてようやく安定を得る。
「ねえ、タバサ。あなた、いつも窓の外に風竜を飛ばせてるの?」
タバサは首を横に振って、風竜を指さす。
「一緒に出かけたい」
つまり、風竜がお出かけをしたいらしい。
「一緒にって、あなたと?」
タバサはまた首を横に振る。
「私と友達と」
タバサが近頃友達と呼ぶのは1人……いや、一匹しかいない。
「友達って……ルイズの使い魔のユーノ?」
タバサは今度は縦に首を振る。
「あなたの使い魔ってユーノが気に入っちゃったの?」
縦に首を振るタバサ。
「はぁ……竜の感性ってわからないわね。フェレットのどこがいいのかしら」
タバサが竜になにか話しかけている。
使い魔とメイジが話し合うのは珍しいことではない。
風竜がなにかをタバサに伝えたのだろう。
うなずいたタバサが振り返った。
「知的な瞳が魅力的」
確かに知的さで言えばユーノは群を抜いている。
そういえば、この前はけっこう難しい本を単語帳無しで読んでいた。
ユーノは同級生のメイジたちより知的かも知れない……。
そんなことを考えていると窓の外からタバサの声がした。
「乗って」
「ええ、そうね」
キュルケが背中に乗った途端、風流は飛びはじめる。
いつもより早く飛んでいる。
「ちょ、ちょっと待って。どこに行けばいいのかわかってるの?」
「探してる」
タバサの使い魔の風竜、シルフィードは空を旋回しながら遠くの友達を探す。
そして翼を広げ、力いっぱい羽ばたいた。
#navi(魔法少女リリカルルイズ)
#navi(魔法少女リリカルルイズ)
今日は虚無の曜日。
ルイズは今日という日を待っていた。
どうしてもやりたいことがあるのだ。
朝の魔法の練習はいつもより気合いを入れる。
今日のためにはその方がいいからだ。
それが終わったら学院に戻って朝食を摂る。
少し少なめにしておいた。
特にデザートは絶対に摂らないようにしておく。
食事を終えて外に出たルイズは念話でユーノを呼ぶ。
(ユーノ。今日は出かけるわよ)
(え?授業は?)
(今日は虚無の曜日。だから授業はおやすみなのよ)
(わかったよ。すぐ行く)
念話を切って早足で歩き出す。
部屋に戻って準備をしないといけない。
はやる心は抑えきれず、すたかーんすたかーんとスキップをしていた。
すぐ行く、とは言ったもののユーノが合流したのはルイズが準備をすませて寮から出た後だった。
こう言うときには念話は役にたつ。
待ち合わせ場所でずーっと待っておかなくてもいいからだ。
「遅かったわね。なにしてたのよ」
「ごめん。ちょっと、捕まってて……」
「だれによ」
「誰の使い魔かはわからないけど、竜に捕まってたんだ」
今この学院で竜を使い魔にしているメイジは1人しかいない。
同級生のタバサだ。
「だったら誰かに喋ってるところを見つかったりして捕まってたわけじゃないのね」
「うん、それは大丈夫。人と話してないから」
肩に駆け上がるユーノをなでて、ルイズは馬小屋に向かった。
昼前に目を冷ましたキュルケはむっくり体を起こした。
床に放りっぱなしの服と下着を部屋の隅に寄せて、タンスとクローゼットから新しい服と下着を取り出す。
服を着たら鏡に向かって化粧をしながらまだ寝ぼけている頭で考える。
今日は虚無の曜日。
授業はない。
「何をしましょうか」
閃いた。
まずは朝一番──すでに昼前ではあるが──にしなければならないことがある。
思い立ったらすぐに行動。
枕元に置いてある杖を取って部屋を出る。
目指すのはルイズの部屋。
これから奇襲をかけるのだ。
なぜそんなことをするのかというと、
虚無の曜日の前日の夜ならルイズはあの男の子を部屋に連れ込んでいるに違いない!!
自分もそうしてたから可能性は高い。
などと、キュルケは考えていたからだ。
そうしているうちにルイズの部屋の前に着く。
ノックはしない。
そんなことをしたら奇襲にならない。
さらにいきなりアンロック。
校則違反だが気にしない。
ルイズの男の正体を暴く重大性に比べれば遙かに些細なことだ。
だがルイズの部屋には誰もいなかった。
ぐるり物色しても誰も見つからない。
床に散らばっていた羊皮紙がなくなって前に来たときよりも部屋を広く感じる。
だからといって隠れる場所が増えたわけではない。
「ルイズー」
念のために呼んでみる。
やはり返事はない。
もう一度見回してみる。
誰もいない。
その代わり鞄が見つからない。
どこにもないのだ。
ということは……
「何よー、出かけてるの?」
不満を口にした瞬間に今日2回目の閃きが訪れる。
出かける、ということは……間違いない!!
「チャンスよ!」
キュルケはルイズの部屋を飛び出した。
今日のタバサは自分の部屋で読書を楽しんでいた。
視線を集中させて文字の海に心を浮かべていると窓をコンコン叩くものいた。
次いで外からきゅいきゅい声がする。
なにか催促をしているみたいだが、今は読書を続けたいので無視。
静寂を得たかったのでついでにサイレントをかけておく。
これで静かになった。
再び読書を再開。
何ページか呼んだところで今度はドアが開かれる。
音もなく壁にたたきつけられたドアから入ってきたのはキュルケだった。
魔法で音が聞こえなくなっているのにドアを力いっぱい連打したのだろう。
手の甲が赤くなっている。
入ってきたキュルケはタバサに大股で歩いて近づくと本を取り上げてなにやらわめき立てた。
それでも静寂は乱れない。
あたりまえだ。
サイレントをかけているのだ。
仕方なくタバサは魔法を解く。
「タバサ。今から出かけるわよ!早く支度をしてちょうだい!」
他の人間ならただではおかないところだが、友人のキュルケにはそんなことはしたくない。
「虚無の曜日」
なので、静かに過ごしたいと伝えるがキュルケは止まらない。
「虚無の曜日!わかってるわ。でも、そんな場合じゃないのよ!!男よ!男!」
それがどうしたとタバサは首をかしげる。
キュルケと男の組み合わせは珍しいものではない。
「いい?あのヴァリエールが出かけたの!近頃、部屋に男を連れ込んでいるヴァリエールが虚無の曜日に出かけたのよ!もう解るでしょ?きっとその男と会いに出かけたに違いないわ!!!」
タバサはもう一度首をかしげる。
キュルケはそれを気にせずに喋り続ける。
「ヴァリエールの男!間違いなく、あの塔を壊したゴーレムを止めてた1年の男の子に違いないわ!!あなたは興味ないの?」
言われてみれば興味がある。
塔を壊すくらいの一撃を防ぐような強力な防御魔法の使い手。
それから……。
タバサにしては珍しいことだが、自覚したら興味が大きくなってきた。
ならば追いつくには自分の使い魔が最適だろう。
それにキュルケの頼みなら引き受けてもいい。
ついでにキュルケと同じようなことをしたいと言っているのが一匹いる。
そっちの頼みも聞くことにした。
タバサはとんとん音を立て続ける窓に向かう。
サイレントの魔法で聞こえなくなっていた音が聞こえ始めたのだ。
「そういえば、さっきから窓から音がするわね。窓の外に誰かいるの?」
タバサは1つうなずいてから窓を開いた。
「わぁっ」
思わずキュルケは声を上げてしまう。
外には鼻先で窓を叩き損ねたタバサの使い魔の風竜が顔を部屋の中に勢いよく入れてきたからだ。
バランスを崩した風竜は羽をばたつかせてようやく安定を得る。
「ねえ、タバサ。あなた、いつも窓の外に風竜を飛ばせてるの?」
タバサは首を横に振って、風竜を指さす。
「一緒に出かけたい」
つまり、風竜がお出かけをしたいらしい。
「一緒にって、あなたと?」
タバサはまた首を横に振る。
「私と友達と」
タバサが近頃友達と呼ぶのは1人……いや、1匹しかいない。
「友達って……ルイズの使い魔のユーノ?」
タバサは今度は縦に首を振る。
「あなたの使い魔ってユーノが気に入っちゃったの?」
縦に首を振るタバサ。
「はぁ……竜の感性ってわからないわね。フェレットのどこがいいのかしら」
タバサが竜になにか話しかけている。
使い魔とメイジが話し合うのは珍しいことではない。
風竜がなにかをタバサに伝えたのだろう。
うなずいたタバサが振り返った。
「知的な瞳が魅力的」
確かに知的さで言えばユーノは群を抜いている。
そういえば、この前はけっこう難しい本を単語帳無しで読んでいた。
ユーノは同級生のメイジたちより知的かも知れない……。
そんなことを考えていると窓の外からタバサの声がした。
「乗って」
「ええ、そうね」
キュルケが背中に乗った途端、風流は飛びはじめる。
いつもより早く飛んでいる。
「ちょ、ちょっと待って。どこに行けばいいのかわかってるの?」
「探してる」
タバサの使い魔の風竜、シルフィードは空を旋回しながら遠くの友達を探す。
そして翼を広げ、力いっぱい羽ばたいた。
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