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「ゼロのアトリエ-33」(2010/11/24 (水) 18:25:39) の最新版変更点
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「竜騎士を残して全滅…?あやつめ、たかが村一つに一体何を手間取っているのだ?」
艦砲射撃実施のため、タルブの草原上空三千メイルに遊弋していた『レキシントン』号の艦上で、トリステイン侵攻軍総司令官サー・ジョンストンは伝令の報告を受けて顔をしかめた。
「敵は何人だ?百人単位の部隊でも隠していたか?」
「サー。報告では、敵は剣士一人とメイジ一人、計二人であると」
「二人だと…?」
ジョンストンは、呆然と立ち尽くした。
直後、かぶった帽子を甲板に叩きつける。
「ふざけるなっ!あの男調子のいいことを言っておいて、たった二人に全滅!?冗談も休み休み言えっ!」
伝令が、総司令官の剣幕に怯えてあとじさる。
「それが…まず、メイジの方はワルド殿と共に作戦行動中のはずの『土くれのフーケ』殿らしいという話が…」
「何だと!?」
「そしてその…こちらはどう報告したら良いものか…もう一人の、剣士の方ですが…」
そこまで言った伝令は、普段ならば報告中には決して見せない戸惑いの表情を浮かべて口ごもる。
「…何だ。言ってみろ」
促すジョンストンにいくらか安堵したのか、伝令は絵空事のようなその言葉を伝達する。
彼が「それ」に動揺していなければ、彼自身事実としてすら認識しないであろう、その言葉。
「その剣士が、『イーヴァルディの勇者』だと…」
伝令がその言葉を吐いた瞬間、ジョンストンは伝令に掴みかかった。
「貴様…正気でそれを言っているのか?イーヴァルディの勇者殿が、我が兵から村を守っていると?」
「う…噂です!そのような噂が前線に広まり、一部には動揺する兵も出てきているとのことで…」
そこまで聞くと、ジョンストンは伝令を放り投げた。もはや聞く価値無しと判断したのだろうか。
「当のワルドはどうした!あの生意気なトリステイン人はどうした!」
「トリステインの竜騎士隊と交戦中、と報告にはありますが…」
「隊を放棄してか!?案外、そのまま元の鞘に収まる腹積もりかもしれんな!だから、信用ならぬと…」
すっと手を出して、ボーウッドが咎める。
「兵の前でそのように取り乱しては、士気に関わりますぞ。司令長官殿」
激昂したジョンストンは、矛先をボーウッドに変えた。
「裏切り者を裏切り者と言って何が悪い!そもそも、タルブへの砲撃を控えたのは艦長、貴様の判断だ!
貴様の稚拙な指揮がこの事態を招いたのは明白だぞ!このことはクロムウェル陛下に報告するからな!」
ジョンストンはわめきながら掴みかかってくる。ボーウッドは杖を引き抜き、ジョンストンの腹めがけて叩き込んだ。
白目をむいて、ジョンストンが倒れる。気絶したジョンストンを運ぶように、従兵に命じた。
初めから眠っていてもらえばよかったな、と思う。砲撃と爆発以外の雑音は、神経を逆撫でする。
一瞬の判断が明暗を分ける、戦闘行動中は特にそうだ。
心配そうに自分を見つめる伝令に向かって、ボーウッドは落ち着き払った声で言った。
「上陸部隊の一部が全滅したとて、作戦全体に支障をきたすほどではない。
本艦『レキシントン』号を筆頭に、艦隊は未だ無傷だ。そして、ワルド子爵には何か策があるのだろう。
諸君らは安心して、職務に励むが良い」
実際、タルブ侵攻が失敗した事も、ワルドが裏切ったかもしれないという情報もどうということはない。
たった二人で村を守って見せたという話が事実だとしても、所詮はただの英雄。所詮は「個人」にすぎない。
ワルドも同じだ。奴と、わずかな竜騎士が裏切ったところで、全体の流れを変えることはできない。
いかほどの力を持っていようと、個人には変えられる流れと変えられぬ流れがある。
この艦は後者に当てはまる、とボーウッドは呟いた。
重要なのはむしろ、前線に広がっているという『噂』の方だ。
その剣士が、本物のイーヴァルディの勇者であるかどうかはもはや関係ない。
それを信じる者がいること、そのこと自体が最も大きな問題なのだ。
イーヴァルディの勇者というのは子供の読む物語である。であるが、それだけに、人格の形成と共に心の中に刻み込まれる『正義』の原型となることが多い。
ハルケギニアに住む者なら、誰しもが一度は憧れたであろう。イーヴァルディと共にありたいと。
その『正義』の象徴であるイーヴァルディの勇者がこの戦場に現れ、しかも、我がアルビオン軍と、戦っている。
その事実は瞬時にアルビオンの兵卒を蝕み、感染症のように伝播し、拡散するだろう。
『正義』の原型たるイーヴァルディの勇者を敵に回して戦うとなれば、アルビオン全ての兵士は常に「もしあの勇者が、本物だったら…」という問いかけを課せられる事になる。
誰しも悪役にはなりたくない。犯罪者ですら、何とか自分を正当化しようと、倒錯した倫理をひねり出すのだ。
常に己の罪悪感を問われる状態で力を発揮できる生粋の軍人が、今のアルビオンにどれほどいるというのか。
今回の戦だけではない、その剣士がイーヴァルディの勇者を名乗るなら、これから全ての戦に顔を出す可能性すらある。
そして、たとえ戦に勝ったとしても『勇者』を政治的に利用されれば、気がついたらハルケギニアの全てが敵に回っていた、などという事態すら招きかねない。
アルビオン…いや、『レコン・キスタ』が勝利を得るには、手段は一つ。
その『勇者』を完全に抹殺し、それがただの人間であることを証明する事。
ボーウッドは実に常識的で正しい判断を下し、感情の一切を排除して命令を下す。
「艦隊微速前進。面舵」
艦隊の左前方に、既に一部が消失したタルブの村が姿をあらわす。
周囲の森までをすっぽりと射程に収めると、命令を追加した。
「左砲戦準備。その伝説気取りを確実に殲滅するのだ。タルブの村を完全に抹消せよ」
無情なる命令が下され、アルビオン艦隊の砲が一斉に始動する。
今までの世界であれば伝説は潰え、アルビオンがこのまま勝利を得ていたであろう。
ボーウッドが不幸であったのは、その世界を…ボーウッドの拠って立つ世界を超える存在がいた事。
既に世界を越えて来た者。そして世界の理を織り成す者。
アルビオン艦隊が自らの動きに集中するその時を、千載一遇の好機とする者達がいた。
タルブ近くの岩棚に陣取っていたヴィオラート達だ。
「ルイズちゃん、今だよ」
ルイズは頷き、テーブルに置かれた『水のルビー』を手にとって、指に嵌める。
それを確認したヴィオラートは、鮮やかな七色に輝く小さな魔法陣を取り出し、掲げる。
額のルーンと七色の魔法陣が共鳴し、巨艦『レキシントン』の頭上に七連の魔法陣を描き出した。
魔法陣はまるで艦を食らうかのようにアルビオンの艦隊を侵食し、拡大を続け、そして…
レコン・キスタの終焉を告げる七連円環が、天蓋となって空を埋める。
ヴィオラート最初にして最後の戦争、その最終幕が切って落とされた。
ゼロのアトリエ 33 ~追憶の二重奏~
巨大な魔法陣を呆然と見つめるルイズに、ヴィオラートはおどけた口調で語りかける。
「カロッテランド主催、にんじんのヴィオラートが贈る驚天動地のイリュージョンをご体験なさいますか?」
ご丁寧に片目をつぶって言い放ったヴィオラートに、ルイズはくすりと笑いかけて、答えた。
「私のために骨を折ってくれてありがとう、ヴィオラート。さあ、今日はどんな趣向を凝らしてくれるのかしら?」
「では。その二つの箱を同時にお開け下さい。その時、貴女は全てを意のままにするでしょう」
ルイズは素直に頷いて、古ぼけた『始祖のオルゴール』と、
ルイズの作った薄い桃色の『カリヨンオルゴル』に同時に手を伸ばし、
そっと開く。
開かれたオルゴールから、音が。
泣きたくなる位懐かしい音が、ルイズの中に溢れた。
ああ、そうか。
『始祖のオルゴール』は、『カリヨンオルゴル』は、ずっと語りかけてくれていたのだ。
ただ、自分がそれに気付けなかっただけ。
そんな事はありえないと、最初から可能性を除外していただけ。
『虚無』
伝説の系統。
どれほどの威力があるというのだろう?
誰も知らない。
もちろん自分が知るわけがない。
それは伝説の彼方のはずだった。
序章。
これより我が知りし真理をこの調べに託す。この世の全ての物質は、小さな粒より為る。
四の系統はその小さな粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。
その四つの系統は、『火』『水』『風』『土』と為す。
神は我に更なる力を与えられた。四の系統が影響を与えし小さな粒は、更に小さな粒より為る。
神が我に与えしその系統は、四の何れにも属せず。我が系統は更なる小さき粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。四に非ざれば零。零即ちこれ『虚無』。
我は神が我に与えし零を『虚無の系統』と名づけん。
これを奏でし者は、我の行いと理想と目標を受け継ぐ者なり。
またその為の力を担いし者なり。『虚無』を扱う者は心せよ。
志半ばで倒れし我とその同胞の為、異教に奪われし『聖地』を取り戻すべく努力せよ。
『虚無』は強力なり。また、その詠唱は永きに渡り、多大な精神力を消耗する。詠唱者は注意せよ。
時として『虚無』はその強力により命を削る。従って我は奏者を選ぶ。
例え資格無き者が指輪を嵌めても、この調べは奏でられぬ。
選ばれし奏者は『四の系統』の指輪を嵌めよ。されば、この調べは汝に届かん。
以下に、我が扱いし『虚無』の呪文を託す。
初歩の初歩。『イリュージョン』
描きたい光景を強く心に思い描くべし。
なんとなれば、詠唱者は空をも作り出すであろう。
ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ
頭の中が、すうっと冷静に、冷ややかに冷めていく。
呪文のルーンが、まるで何度も交わした挨拶のように、滑らかに口をついた。
昔聞いた子守唄のように、その呪文の調べを、ルイズは妙に懐かしく感じた。
『イリュージョン』は幻影を作り出す虚無の呪文である。
小さなものなら幾千幾万幾億と作り出すことができる。
そうだ。オルゴールのように、小さなものなら――――
ルイズの中を、リズムが巡っていた。一種の懐かしさを感じさせるリズムだ。
呪文を詠唱するたび、古代のルーンを呟くたびにリズムは強くなり、神経は研ぎ澄まされ、辺りの雑音は既に一切耳に入らない。
体の中で何かが生まれ、行き先を求めてそれが回転していく感じ…。
誰かが言っていたそんなセリフをルイズは思い出した。
自分の系統を唱える者はそんな感じがするという。
だとしたら、これがそうなんだろうか?いつもゼロと蔑まれていた自分。
魔法の才能がないと両親に、姉達に、先生に叱られていた自分。
そんな自分の、これが本当の姿なんだろうか?
ルイズの思い描いた、幻想のオルゴール。
それはしっかりと音楽を奏で、錬金術の、伝説の力をもって他を圧倒する。
ルイズの夢が現実となる。世界を、ルイズの心の色に染め上げる。
世界が、虚無の奏者…ルイズの夢に染まる。
そう。私は、世界を奏でるために生まれてきた。
アンリエッタは、信じられない出来事を目の当たりにした。
まず、今まで散々自分達に砲撃を浴びせかけていた巨艦の上空に、幾重にも折り重なった魔法陣が現れたのだ。
まるで虹が形になったような豪華絢爛な色彩を放つその魔法陣は、『レキシントン』の頭上に現れると一気に拡大し、空に遊弋する艦隊を覆い尽くした。
そして、それに呼応するかのように二種類のオルゴールが姿を見せる。
見覚えのある、古ぼけた『始祖のオルゴール』と、見たことのない薄桃色のオルゴール。
その二種類が無数に…星の数と言うにも多すぎるほど無数に姿を現して、二つの旋律を奏でた。
かつて世界を巡った旧き伝説。ルイズの創り上げた、素晴らしき新世界。
あまりにも優しく、暖かい調べがトリステインの兵士に届けられる。
「これは…」
致命傷を負ったはずの兵士が、常識では考えられない速さで回復し、また、杖を取る。
『始祖のオルゴール』に込められた願い。全てを癒す、平和のうた。
今まさにタルブに砲撃を加えんとしていたボーウッドは、次々ともたらされる報告に思わず頭を抱え込んだ。否、そうするしかなかった。
「後続の戦列艦、二隻が正面衝突!衝突を回避するどころか、まるでそれを望むような航跡で…」
「一部の海兵達が、み、自らの手で艦の破壊行為を!」
「何が…何が起こったというのだ…この魔法陣は、この音楽は何だ!」
カリヨンオルゴルに込められた、新しき貴族のうた。ルイズの織り成した魅了の旋律。
まるで嘘のように、あれだけトリステイン軍を苦しめた艦隊が同士討ちを始め、自壊、衝突し、彼ら自身の手でその数を減らしてゆく。
七連円環の放つ光に照らされ、極彩色に輝く光と音の祭典。
アルビオン、トリステイン。二つの国家の総力が、ルイズの掌の上で踊る。
オルゴールに込められた願いは、まさに世界を変える力。
二つの国、二つの伝説、二つの旋律、二つの世界。そして…二つの始祖。
二人の、錬金術師。
ゼロのルイズが贈る、追憶の二重奏――――
時が経つほどに、アンリエッタは大きな流れを実感せずにはいられなかった。
何が起こったのか、トリステイン軍の誰一人として理解できないままに、戦の勝機がこちら側に転がり込んできた。アンリエッタはしばし呆然としていた。
誰も彼も、何が起こったのか理解できなかった。
兵士達の間では、イーヴァルディの勇者などという流言まで飛び交っている。無理もない。
一体誰がこんな逆転劇を予想できたというのか。
ここまでトリステインに都合のいい状況を作り出したのは誰だ。
心に染み入る癒しの調べが鳴り響く中、最初に我に返ったのは、枢機卿のマザリーニであった。
彼は数多くの要素の中から一つの答えを導き出し、大声で叫ぶ。
「諸君!見よ!敵の艦隊はもはや恐るるに足らず!我らには、イーヴァルディの伝説がついているのだ!」
「イーヴァルディの勇者…まさか、本当に…!?」
曖昧な噂に真実味が加えられ、兵士達の硬直が解ける。
「さよう!あの空に浮かぶ虹の魔法陣を見よ!戦場に流れる心地よい調べを聞け!
我が軍に味方する者をあえて名づけるなら『奇跡』!そのような存在は、イーヴァルディの勇者以外にない!」
マザリーニはそこで言葉を切ると、アンリエッタに意味ありげな視線を送る。
その視線の意味を悟ったアンリエッタはしっかりと頷き、言葉を継いだ。
「全軍、我が心のイーヴァルディを奮い立たせよ!トリステイン王軍の名に恥じぬ戦いを見せつけよ!
新たなるイーヴァルディの伝説に、自らの名を刻め!」
その瞬間、トリステイン軍のあちこちから歓声が沸きあがる。
「うおおおおおおおぉーッ!トリステイン万歳!イーヴァルディに栄光あれ!」
何の根拠もない見栄を切っただけのマザリーニとアンリエッタだが、兵士の心に火をつけるには十分すぎた。
トリステイン、アンリエッタ、イーヴァルディ。
三つの栄冠を称える歓声が、波濤となって草原を駆ける。
アンリエッタは、マザリーニにそっと確認した。
「枢機卿、イーヴァルディの勇者とは…まことですか?」
マザリーニは、いたずらっぽく笑って言った。
「いえ、今はことの真偽はどうでもよいのですよ。今は誰もが判断力を失っておる。
目の当たりにした事実が理解しきれぬのです。この私とて同じです。しかし、現実に敵艦隊は同士討ちを始め、我らを助ける旋律が戦場を覆い尽くしているではないですか。ならばそれを利用せぬという方法はない」
アンリエッタは真剣な目で頷き、その言葉を継いで語った。
「使える物は何でも使う。政治と戦の基本ですね。勝利を得た者が、真実を支配する」
マザリーニは目を細めて、姫の凛とした表情に視線を向ける。
「その通りです、姫様。今こそ最大の好機。見事な勝利を得て、名実共に王となられませ」
マザリーニは、姫の成長に思わず顔をほころばせながら、堂々たる臣下の礼をとった。
アンリエッタは不敵に微笑み、水晶光る杖を掲げる。
「全軍突撃!王軍、我に続け!正義は、まさに我にあり!」
アンリエッタの宣下と完全に呼応して、兵士達の魂の奥底を震わせた叫びが、タルブの草原を怒涛のように突き抜ける。
心優しき平和の調べに後押しされ、虹色に染まるその波涛が、一気呵成にアルビオン軍を押し包んだ。
日没と共に、アルビオン軍は壊走した。
ヴィオラートは、ルイズは、アンリエッタは、そしてシエスタは、トリステインを守りきった。
そう、戦いは終ったのだ。
トリステインの栄冠と、伝説を残して。
ルイズはぐったりとして、地べたに座り込んだ。
「はあ…これで、もう大丈夫よね」
すっかり暗くなった草原を、未だに七色の魔法陣が照らしている。
「ねえ、あれ…いつまで出てるの?」
「んー…あたしも初めて使う道具だから…ちょっと加減がわかんない、かな。はは…」
「…何それ?」
何だか適当なヴィオラートの答えに、ルイズは思わず噴き出して、くすくすと笑った。
「まあ、害はない…と思うし、あのままでもほら、綺麗でいいじゃない」
いつもの調子でうそぶくヴィオラートを見つめながら、ルイズは思索の海へと自らを沈ませる。
絶対に追いつけない、と思っていた相手。
でも、私にはヴィオラートにないものがあった。
少なくとも今日、自分が『虚無の奏者』という大層な役目を背負っている事がわかった。
他にも、まだあるかもしれない。いつか、ヴィオラート以上の錬金術師になることだってできるかもしれない。
なにしろ、ルイズが作った『カリヨンオルゴル』は、『始祖のオルゴール』と同等の働きをしたのだから。
魔法にしがみついた昔の自分が、ひどく矮小なものに見えた。
自分が、できない魔法を使おうとして失望に苛まれ続けた、力のないものは永遠に存在価値を認められないと思い込んだ、それが当然であった旧き世界は死んだ。
未来はわからない。わからないからこそ、未来に希望を描く事はできる。
今の、そしてこれからのルイズの描く世界は、可能性に満ち溢れていた。
#navi(ゼロのアトリエ)
「竜騎士を残して全滅…?あやつめ、たかが村一つに一体何を手間取っているのだ?」
艦砲射撃実施のため、タルブの草原上空三千メイルに遊弋していた『レキシントン』号の艦上で、トリステイン侵攻軍総司令官サー・ジョンストンは伝令の報告を受けて顔をしかめた。
「敵は何人だ?百人単位の部隊でも隠していたか?」
「サー。報告では、敵は剣士一人とメイジ一人、計二人であると」
「二人だと…?」
ジョンストンは、呆然と立ち尽くした。
直後、かぶった帽子を甲板に叩きつける。
「ふざけるなっ!あの男調子のいいことを言っておいて、たった二人に全滅!?冗談も休み休み言えっ!」
伝令が、総司令官の剣幕に怯えてあとじさる。
「それが…まず、メイジの方はワルド殿と共に作戦行動中のはずの『土くれのフーケ』殿らしいという話が…」
「何だと!?」
「そしてその…こちらはどう報告したら良いものか…もう一人の、剣士の方ですが…」
そこまで言った伝令は、普段ならば報告中には決して見せない戸惑いの表情を浮かべて口ごもる。
「…何だ。言ってみろ」
促すジョンストンにいくらか安堵したのか、伝令は絵空事のようなその言葉を伝達する。
彼が「それ」に動揺していなければ、彼自身事実としてすら認識しないであろう、その言葉。
「その剣士が、『イーヴァルディの勇者』だと…」
伝令がその言葉を吐いた瞬間、ジョンストンは伝令に掴みかかった。
「貴様…正気でそれを言っているのか?イーヴァルディの勇者殿が、我が兵から村を守っていると?」
「う…噂です!そのような噂が前線に広まり、一部には動揺する兵も出てきているとのことで…」
そこまで聞くと、ジョンストンは伝令を放り投げた。もはや聞く価値無しと判断したのだろうか。
「当のワルドはどうした!あの生意気なトリステイン人はどうした!」
「トリステインの竜騎士隊と交戦中、と報告にはありますが…」
「隊を放棄してか!?案外、そのまま元の鞘に収まる腹積もりかもしれんな!だから、信用ならぬと…」
すっと手を出して、ボーウッドが咎める。
「兵の前でそのように取り乱しては、士気に関わりますぞ。司令長官殿」
激昂したジョンストンは、矛先をボーウッドに変えた。
「裏切り者を裏切り者と言って何が悪い!そもそも、タルブへの砲撃を控えたのは艦長、貴様の判断だ!
貴様の稚拙な指揮がこの事態を招いたのは明白だぞ!このことはクロムウェル陛下に報告するからな!」
ジョンストンはわめきながら掴みかかってくる。ボーウッドは杖を引き抜き、ジョンストンの腹めがけて叩き込んだ。
白目をむいて、ジョンストンが倒れる。気絶したジョンストンを運ぶように、従兵に命じた。
初めから眠っていてもらえばよかったな、と思う。砲撃と爆発以外の雑音は、神経を逆撫でする。
一瞬の判断が明暗を分ける、戦闘行動中は特にそうだ。
心配そうに自分を見つめる伝令に向かって、ボーウッドは落ち着き払った声で言った。
「上陸部隊の一部が全滅したとて、作戦全体に支障をきたすほどではない。
本艦『レキシントン』号を筆頭に、艦隊は未だ無傷だ。そして、ワルド子爵には何か策があるのだろう。
諸君らは安心して、職務に励むが良い」
実際、タルブ侵攻が失敗した事も、ワルドが裏切ったかもしれないという情報もどうということはない。
たった二人で村を守って見せたという話が事実だとしても、所詮はただの英雄。所詮は「個人」にすぎない。
ワルドも同じだ。奴と、わずかな竜騎士が裏切ったところで、全体の流れを変えることはできない。
いかほどの力を持っていようと、個人には変えられる流れと変えられぬ流れがある。
この艦は後者に当てはまる、とボーウッドは呟いた。
重要なのはむしろ、前線に広がっているという『噂』の方だ。
その剣士が、本物のイーヴァルディの勇者であるかどうかはもはや関係ない。
それを信じる者がいること、そのこと自体が最も大きな問題なのだ。
イーヴァルディの勇者というのは子供の読む物語である。であるが、それだけに、人格の形成と共に心の中に刻み込まれる『正義』の原型となることが多い。
ハルケギニアに住む者なら、誰しもが一度は憧れたであろう。イーヴァルディと共にありたいと。
その『正義』の象徴であるイーヴァルディの勇者がこの戦場に現れ、しかも、我がアルビオン軍と、戦っている。
その事実は瞬時にアルビオンの兵卒を蝕み、感染症のように伝播し、拡散するだろう。
『正義』の原型たるイーヴァルディの勇者を敵に回して戦うとなれば、アルビオン全ての兵士は常に「もしあの勇者が、本物だったら…」という問いかけを課せられる事になる。
誰しも悪役にはなりたくない。犯罪者ですら、何とか自分を正当化しようと、倒錯した倫理をひねり出すのだ。
常に己の罪悪感を問われる状態で力を発揮できる生粋の軍人が、今のアルビオンにどれほどいるというのか。
今回の戦だけではない、その剣士がイーヴァルディの勇者を名乗るなら、これから全ての戦に顔を出す可能性すらある。
そして、たとえ戦に勝ったとしても『勇者』を政治的に利用されれば、気がついたらハルケギニアの全てが敵に回っていた、などという事態すら招きかねない。
アルビオン…いや、『レコン・キスタ』が勝利を得るには、手段は一つ。
その『勇者』を完全に抹殺し、それがただの人間であることを証明する事。
ボーウッドは実に常識的で正しい判断を下し、感情の一切を排除して命令を下す。
「艦隊微速前進。面舵」
艦隊の左前方に、既に一部が消失したタルブの村が姿をあらわす。
周囲の森までをすっぽりと射程に収めると、命令を追加した。
「左砲戦準備。その伝説気取りを確実に殲滅するのだ。タルブの村を完全に抹消せよ」
無情なる命令が下され、アルビオン艦隊の砲が一斉に始動する。
今までの世界であれば伝説は潰え、アルビオンがこのまま勝利を得ていたであろう。
ボーウッドが不幸であったのは、その世界を…ボーウッドの拠って立つ世界を超える存在がいた事。
既に世界を越えて来た者。そして世界の理を織り成す者。
アルビオン艦隊が自らの動きに集中するその時を、千載一遇の好機とする者達がいた。
タルブ近くの岩棚に陣取っていたヴィオラート達だ。
「ルイズちゃん、今だよ」
ルイズは頷き、テーブルに置かれた『水のルビー』を手にとって、指に嵌める。
それを確認したヴィオラートは、鮮やかな七色に輝く小さな魔法陣を取り出し、掲げる。
額のルーンと七色の魔法陣が共鳴し、巨艦『レキシントン』の頭上に七連の魔法陣を描き出した。
魔法陣はまるで艦を食らうかのようにアルビオンの艦隊を侵食し、拡大を続け、そして…
レコン・キスタの終焉を告げる七連円環が、天蓋となって空を埋める。
ヴィオラート最初にして最後の戦争、その最終幕が切って落とされた。
ゼロのアトリエ 33 ~追憶の二重奏~
巨大な魔法陣を呆然と見つめるルイズに、ヴィオラートはおどけた口調で語りかける。
「カロッテランド主催、にんじんのヴィオラートが贈る驚天動地のイリュージョンをご体験なさいますか?」
ご丁寧に片目をつぶって言い放ったヴィオラートに、ルイズはくすりと笑いかけて、答えた。
「私のために骨を折ってくれてありがとう、ヴィオラート。さあ、今日はどんな趣向を凝らしてくれるのかしら?」
「では。その二つの箱を同時にお開け下さい。その時、貴女は全てを意のままにするでしょう」
ルイズは素直に頷いて、古ぼけた『始祖のオルゴール』と、
ルイズの作った薄い桃色の『カリヨンオルゴル』に同時に手を伸ばし、
そっと開く。
開かれたオルゴールから、音が。
泣きたくなる位懐かしい音が、ルイズの中に溢れた。
ああ、そうか。
『始祖のオルゴール』は、『カリヨンオルゴル』は、ずっと語りかけてくれていたのだ。
ただ、自分がそれに気付けなかっただけ。
そんな事はありえないと、最初から可能性を除外していただけ。
『虚無』
伝説の系統。
どれほどの威力があるというのだろう?
誰も知らない。
もちろん自分が知るわけがない。
それは伝説の彼方のはずだった。
序章。
これより我が知りし真理をこの調べに託す。この世の全ての物質は、小さな粒より為る。
四の系統はその小さな粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。
その四つの系統は、『火』『水』『風』『土』と為す。
神は我に更なる力を与えられた。四の系統が影響を与えし小さな粒は、更に小さな粒より為る。
神が我に与えしその系統は、四の何れにも属せず。我が系統は更なる小さき粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。四に非ざれば零。零即ちこれ『虚無』。
我は神が我に与えし零を『虚無の系統』と名づけん。
これを奏でし者は、我の行いと理想と目標を受け継ぐ者なり。
またその為の力を担いし者なり。『虚無』を扱う者は心せよ。
志半ばで倒れし我とその同胞の為、異教に奪われし『聖地』を取り戻すべく努力せよ。
『虚無』は強力なり。また、その詠唱は永きに渡り、多大な精神力を消耗する。詠唱者は注意せよ。
時として『虚無』はその強力により命を削る。従って我は奏者を選ぶ。
例え資格無き者が指輪を嵌めても、この調べは奏でられぬ。
選ばれし奏者は『四の系統』の指輪を嵌めよ。されば、この調べは汝に届かん。
以下に、我が扱いし『虚無』の呪文を託す。
初歩の初歩。『イリュージョン』
描きたい光景を強く心に思い描くべし。
なんとなれば、詠唱者は空をも作り出すであろう。
ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ
頭の中が、すうっと冷静に、冷ややかに冷めていく。
呪文のルーンが、まるで何度も交わした挨拶のように、滑らかに口をついた。
昔聞いた子守唄のように、その呪文の調べを、ルイズは妙に懐かしく感じた。
『イリュージョン』は幻影を作り出す虚無の呪文である。
小さなものなら幾千幾万幾億と作り出すことができる。
そうだ。オルゴールのように、小さなものなら――――
ルイズの中を、リズムが巡っていた。一種の懐かしさを感じさせるリズムだ。
呪文を詠唱するたび、古代のルーンを呟くたびにリズムは強くなり、神経は研ぎ澄まされ、辺りの雑音は既に一切耳に入らない。
体の中で何かが生まれ、行き先を求めてそれが回転していく感じ…。
誰かが言っていたそんなセリフをルイズは思い出した。
自分の系統を唱える者はそんな感じがするという。
だとしたら、これがそうなんだろうか?いつもゼロと蔑まれていた自分。
魔法の才能がないと両親に、姉達に、先生に叱られていた自分。
そんな自分の、これが本当の姿なんだろうか?
ルイズの思い描いた、幻想のオルゴール。
それはしっかりと音楽を奏で、錬金術の、伝説の力をもって他を圧倒する。
ルイズの夢が現実となる。世界を、ルイズの心の色に染め上げる。
世界が、虚無の奏者…ルイズの夢に染まる。
そう。私は、世界を奏でるために生まれてきた。
アンリエッタは、信じられない出来事を目の当たりにした。
まず、今まで散々自分達に砲撃を浴びせかけていた巨艦の上空に、幾重にも折り重なった魔法陣が現れたのだ。
まるで虹が形になったような豪華絢爛な色彩を放つその魔法陣は、『レキシントン』の頭上に現れると一気に拡大し、空に遊弋する艦隊を覆い尽くした。
そして、それに呼応するかのように二種類のオルゴールが姿を見せる。
見覚えのある、古ぼけた『始祖のオルゴール』と、見たことのない薄桃色のオルゴール。
その二種類が無数に…星の数と言うにも多すぎるほど無数に姿を現して、二つの旋律を奏でた。
かつて世界を巡った旧き伝説。ルイズの創り上げた、素晴らしき新世界。
あまりにも優しく、暖かい調べがトリステインの兵士に届けられる。
「これは…」
致命傷を負ったはずの兵士が、常識では考えられない速さで回復し、また、杖を取る。
『始祖のオルゴール』に込められた願い。全てを癒す、平和のうた。
今まさにタルブに砲撃を加えんとしていたボーウッドは、次々ともたらされる報告に思わず頭を抱え込んだ。否、そうするしかなかった。
「後続の戦列艦、二隻が正面衝突!衝突を回避するどころか、まるでそれを望むような航跡で…」
「一部の海兵達が、み、自らの手で艦の破壊行為を!」
「何が…何が起こったというのだ…この魔法陣は、この音楽は何だ!」
カリヨンオルゴルに込められた、新しき貴族のうた。ルイズの織り成した魅了の旋律。
まるで嘘のように、あれだけトリステイン軍を苦しめた艦隊が同士討ちを始め、自壊、衝突し、彼ら自身の手でその数を減らしてゆく。
七連円環の放つ光に照らされ、極彩色に輝く光と音の祭典。
アルビオン、トリステイン。二つの国家の総力が、ルイズの掌の上で踊る。
オルゴールに込められた願いは、まさに世界を変える力。
二つの国、二つの伝説、二つの旋律、二つの世界。そして…二つの始祖。
二人の、錬金術師。
ゼロのルイズが贈る、追憶の二重奏――――
時が経つほどに、アンリエッタは大きな流れを実感せずにはいられなかった。
何が起こったのか、トリステイン軍の誰一人として理解できないままに、戦の勝機がこちら側に転がり込んできた。アンリエッタはしばし呆然としていた。
誰も彼も、何が起こったのか理解できなかった。
兵士達の間では、イーヴァルディの勇者などという流言まで飛び交っている。無理もない。
一体誰がこんな逆転劇を予想できたというのか。
ここまでトリステインに都合のいい状況を作り出したのは誰だ。
心に染み入る癒しの調べが鳴り響く中、最初に我に返ったのは、枢機卿のマザリーニであった。
彼は数多くの要素の中から一つの答えを導き出し、大声で叫ぶ。
「諸君!見よ!敵の艦隊はもはや恐るるに足らず!我らには、イーヴァルディの伝説がついているのだ!」
「イーヴァルディの勇者…まさか、本当に…!?」
曖昧な噂に真実味が加えられ、兵士達の硬直が解ける。
「さよう!あの空に浮かぶ虹の魔法陣を見よ!戦場に流れる心地よい調べを聞け!
我が軍に味方する者をあえて名づけるなら『奇跡』!そのような存在は、イーヴァルディの勇者以外にない!」
マザリーニはそこで言葉を切ると、アンリエッタに意味ありげな視線を送る。
その視線の意味を悟ったアンリエッタはしっかりと頷き、言葉を継いだ。
「全軍、我が心のイーヴァルディを奮い立たせよ!トリステイン王軍の名に恥じぬ戦いを見せつけよ!
新たなるイーヴァルディの伝説に、自らの名を刻め!」
その瞬間、トリステイン軍のあちこちから歓声が沸きあがる。
「うおおおおおおおぉーッ!トリステイン万歳!イーヴァルディに栄光あれ!」
何の根拠もない見栄を切っただけのマザリーニとアンリエッタだが、兵士の心に火をつけるには十分すぎた。
トリステイン、アンリエッタ、イーヴァルディ。
三つの栄冠を称える歓声が、波濤となって草原を駆ける。
アンリエッタは、マザリーニにそっと確認した。
「枢機卿、イーヴァルディの勇者とは…まことですか?」
マザリーニは、いたずらっぽく笑って言った。
「いえ、今はことの真偽はどうでもよいのですよ。今は誰もが判断力を失っておる。
目の当たりにした事実が理解しきれぬのです。この私とて同じです。しかし、現実に敵艦隊は同士討ちを始め、我らを助ける旋律が戦場を覆い尽くしているではないですか。ならばそれを利用せぬという方法はない」
アンリエッタは真剣な目で頷き、その言葉を継いで語った。
「使える物は何でも使う。政治と戦の基本ですね。勝利を得た者が、真実を支配する」
マザリーニは目を細めて、姫の凛とした表情に視線を向ける。
「その通りです、姫様。今こそ最大の好機。見事な勝利を得て、名実共に王となられませ」
マザリーニは、姫の成長に思わず顔をほころばせながら、堂々たる臣下の礼をとった。
アンリエッタは不敵に微笑み、水晶光る杖を掲げる。
「全軍突撃!王軍、我に続け!正義は、まさに我にあり!」
アンリエッタの宣下と完全に呼応して、兵士達の魂の奥底を震わせた叫びが、タルブの草原を怒涛のように突き抜ける。
心優しき平和の調べに後押しされ、虹色に染まるその波涛が、一気呵成にアルビオン軍を押し包んだ。
日没と共に、アルビオン軍は壊走した。
ヴィオラートは、ルイズは、アンリエッタは、そしてシエスタは、トリステインを守りきった。
そう、戦いは終ったのだ。
トリステインの栄冠と、伝説を残して。
ルイズはぐったりとして、地べたに座り込んだ。
「はあ…これで、もう大丈夫よね」
すっかり暗くなった草原を、未だに七色の魔法陣が照らしている。
「ねえ、あれ…いつまで出てるの?」
「んー…あたしも初めて使う道具だから…ちょっと加減がわかんない、かな。はは…」
「…何それ?」
何だか適当なヴィオラートの答えに、ルイズは思わず噴き出して、くすくすと笑った。
「まあ、害はない…と思うし、あのままでもほら、綺麗でいいじゃない」
いつもの調子でうそぶくヴィオラートを見つめながら、ルイズは思索の海へと自らを沈ませる。
絶対に追いつけない、と思っていた相手。
でも、私にはヴィオラートにないものがあった。
少なくとも今日、自分が『虚無の奏者』という大層な役目を背負っている事がわかった。
他にも、まだあるかもしれない。いつか、ヴィオラート以上の錬金術師になることだってできるかもしれない。
なにしろ、ルイズが作った『カリヨンオルゴル』は、『始祖のオルゴール』と同等の働きをしたのだから。
魔法にしがみついた昔の自分が、ひどく矮小なものに見えた。
自分が、できない魔法を使おうとして失望に苛まれ続けた、力のないものは永遠に存在価値を認められないと思い込んだ、それが当然であった旧き世界は死んだ。
未来はわからない。わからないからこそ、未来に希望を描く事はできる。
今の、そしてこれからのルイズの描く世界は、可能性に満ち溢れていた。
#navi(ゼロのアトリエ)
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