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「えーと、今からやらなきゃダメなの?」
「「ダメ(なの)!!」」
時刻は既に夜の時間、今日の満月はいつも通り二つ。
地球のそれより倍の大きさを持つ為、辺りは街灯がなくともそれなりに明るい。
その中で、当麻はキュルケとルイズの二人から襟を引っ張られていた。
二人は相当怒っているようで、当麻のさりげない質問にも必要以上に大きな声で返してくる。
どうしてまたこんな目に……、と泣きながら呟いていると、
「これが世の定め」
と短くタバサが答えを纏めてくれた。
さて何故このようになったのだろうか?
二人が帰ってきて、当麻が腰に手当て、イタタタタタ、と老人っぽく呻いていた時であった。
突如タバサとキュルケが乱入、普段は静かであろうルイズの部屋(正し、当麻が叱られたあの日は別)が、ちょっとした騒動へと変わる。
当麻は、寝床『ニワトリの巣』(命名ルイズ)からのんびりと二人の口論を聞いていた。
いや、その内容は当麻に関する事だとわかっているのだが、どうにも入れそうな空気ではなかった。
だから、当麻は隣で読書に夢中なタバサに二、三会話をしていると……
「じゃあトウマに決めてもらいましょうか?」
「えぇ、いいわよ」
「え? 俺ですか?」
まさかここで振られて来るとは思わず、当麻はなんて答えるべきか悩む。
「そうよ、あんたでモメてるんだから」
ルイズとキュルケがグッ、とこちらへと視線を向けて……否、ルイズにいたっては睨んでいる。
さて、と当麻は悩む。
(うーん……、どっちを選んでも不幸だよなやっぱり)
どちらを選ぶというよりも、不幸か幸かで選ぶ当麻は、何処までも鈍い奴である。
「どっち?」
いつの間にかキュルケも睨んでいる。悩みに悩んだ当麻が出した結論は……
「まだフラグの量が少ないのでどっちも選べないなー、テヘッ、でどうですフゴロペッ!?」
言い切る前に、二人は上条のお腹の真ん中に、手加減無しの蹴りを突き刺した。ズボ!! というこの世界で間違いなくとんでもない音と共に、当麻の体がくの字に折れ曲がった。
「ごふっ。し、質問に答えただけなのに……何でこんな不幸な目に」
「自業自得」
タバサの答えに頷く二人。
その後、キュルケが魔法の決闘を提案し、ルイズがそれに了承したのだ。
嫌々している当麻を無理矢理引っ張り続けて数分。
決闘の地――本塔の中庭へとたどり着くまさにその時だった。
轟! という凄まじいな音が辺り一面鳴り響いた。
四人は一瞬何が起きたのかわからず、呆然と立ち尽くした。
が、タバサと当麻はすぐに状況を理解し動き出す。続いてキュルケ、最後にルイズ。
中庭へとたどり着くのに十秒もかからなかった。そして、そこには巨大なゴーレムが、本塔の外壁を破壊している姿があった。
「またゴーレムかよ! つーかでけぇだろおい!」
「多分トライアングルクラスのメイジね、でもおかしいわね。あそこの『固定化』の魔法なら防げるはずなのに……」
ルイズが呟いている間にも、タバサとキュルケはシルフィードに跨がり、魔法を放つ準備に入る。
そんな中、当麻はあー……、と呟いた。
確か初日、まだ『固定化』という魔法を知らなかった時、あそこに触ったような……気がしないでもない。
ていうか昨日も触っちゃったような……
「………………………………………………」
出したくもない汗が背中にびっしょりとつく。
いやわかってる。あんな事をしてるのはもちろん盗っ人とかのたぐいってのも。
「ルイズ」
「な、何よ」
「援護頼むわ」
覚悟を決めたのか、当麻は走り出す。例え相手がどれだけでかいだろうと、その右手がある限り。
フーケは油断していた。『固定化』の魔法がなぜかかかっていなかった為、余裕で突入出来る状態にしたはいいが、予想外のお客さんが現れたのだ。
尤も、『固定化』の魔法を解除したのも、『剣』を破壊した為その話題が省られて早めに来たのも同じ少年のせいであるが……
それでもフーケには自信があった。相手は学生、このゴーレムに任せれば十分であると。
フーケはゴーレムから離れ、宝物庫へと入って行った。
「うぉぉぉおおおお!」
当麻は駆ける。イマイチ把握出来ないが、とにかく敵を倒す為に。
向こうはこちらの特性を知らない、だからゴーレム一匹で対処出来ると踏んだのだろう。
実際、空からタバサとキュルケが火と風を唱えようと、ルイズが失敗した魔法(小さな爆発)を与えようとビクともしない。
そして、当麻を第一殺害対象と見たのか視線が向けられる。
怖い。それが率直な感想だ。
(でもよ……)
己が唯一の武器、拳を握り締める。
(こっちはこれ以上の敵と戦ってきたんだ――!)
ゴーレムの拳が振り下ろされる。自分の十何倍も大きい手が襲い掛かる。
それでも当麻は前に進む。周りから制止の声がかけられるが気にしない。
「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおッ!」
当麻は叫ぶ。何十倍大きいゴーレムに立ち向かう武器(拳)を突き出す。
拳と拳がぶつかり合った。
本来ならばどう考えても当麻に勝ち目のない勝負。
もちろんキュルケもルイズも目をつむる、タバサだけが表情を変える事なく見つめている。
拳と拳が交えた音がしない。ビキッ、と何かに亀裂が入ったような音がした。そう、ギーシュの時と同じように。
ルイズとキュルケが目を開くと、ゴーレムに打ち勝った当麻の姿がいた。
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#navi(とある魔術の使い魔と主)
「えーと、今からやらなきゃダメなの?」
「「ダメ(なの)!!」」
時刻は既に夜の時間、今日の満月はいつも通り二つ。
地球のそれより倍の大きさを持つ為、辺りは街灯がなくともそれなりに明るい。
その中で、当麻はキュルケとルイズの二人から襟を引っ張られていた。
二人は相当怒っているようで、当麻のさりげない質問にも必要以上に大きな声で返してくる。
どうしてまたこんな目に……、と泣きながら呟いていると、
「これが世の定め」
と短くタバサが答えを纏めてくれた。
さて何故このようになったのだろうか?
二人が帰ってきて、当麻が腰に手当て、イタタタタタ、と老人っぽく呻いていた時であった。
突如タバサとキュルケが乱入、普段は静かであろうルイズの部屋(正し、当麻が叱られたあの日は別)が、ちょっとした騒動へと変わる。
当麻は、寝床『ニワトリの巣』(命名ルイズ)からのんびりと二人の口論を聞いていた。
いや、その内容は当麻に関する事だとわかっているのだが、どうにも入れそうな空気ではなかった。
だから、当麻は隣で読書に夢中なタバサに二、三会話をしていると……
「じゃあトウマに決めてもらいましょうか?」
「えぇ、いいわよ」
「え? 俺ですか?」
まさかここで振られて来るとは思わず、当麻はなんて答えるべきか悩む。
「そうよ、あんたでモメてるんだから」
ルイズとキュルケがグッ、とこちらへと視線を向けて……否、ルイズにいたっては睨んでいる。
さて、と当麻は悩む。
(うーん……、どっちを選んでも不幸だよなやっぱり)
どちらを選ぶというよりも、不幸か幸かで選ぶ当麻は、何処までも鈍い奴である。
「どっち?」
いつの間にかキュルケも睨んでいる。悩みに悩んだ当麻が出した結論は……
「まだフラグの量が少ないのでどっちも選べないなー、テヘッ、でどうですフゴロペッ!?」
言い切る前に、二人は上条のお腹の真ん中に、手加減無しの蹴りを突き刺した。ズボ!! というこの世界で間違いなくとんでもない音と共に、当麻の体がくの字に折れ曲がった。
「ごふっ。し、質問に答えただけなのに……何でこんな不幸な目に」
「自業自得」
タバサの答えに頷く二人。
その後、キュルケが魔法の決闘を提案し、ルイズがそれに了承したのだ。
嫌々している当麻を無理矢理引っ張り続けて数分。
決闘の地――本塔の中庭へとたどり着くまさにその時だった。
轟! という凄まじいな音が辺り一面鳴り響いた。
四人は一瞬何が起きたのかわからず、呆然と立ち尽くした。
が、タバサと当麻はすぐに状況を理解し動き出す。続いてキュルケ、最後にルイズ。
中庭へとたどり着くのに十秒もかからなかった。そして、そこには巨大なゴーレムが、本塔の外壁を破壊している姿があった。
「またゴーレムかよ! つーかでけぇだろおい!」
「多分トライアングルクラスのメイジね、でもおかしいわね。あそこの『固定化』の魔法なら防げるはずなのに……」
ルイズが呟いている間にも、タバサとキュルケはシルフィードに跨がり、魔法を放つ準備に入る。
そんな中、当麻はあー……、と呟いた。
確か初日、まだ『固定化』という魔法を知らなかった時、あそこに触ったような……気がしないでもない。
ていうか昨日も触っちゃったような……
「………………………………………………」
出したくもない汗が背中にびっしょりとつく。
いやわかってる。あんな事をしてるのはもちろん盗っ人とかのたぐいってのも。
「ルイズ」
「な、何よ」
「援護頼むわ」
覚悟を決めたのか、当麻は走り出す。例え相手がどれだけでかいだろうと、その右手がある限り。
フーケは油断していた。『固定化』の魔法がなぜかかかっていなかった為、余裕で突入出来る状態にしたはいいが、予想外のお客さんが現れたのだ。
尤も、『固定化』の魔法を解除したのも、『剣』を破壊した為その話題が省られて早めに来たのも同じ少年のせいであるが……
それでもフーケには自信があった。相手は学生、このゴーレムに任せれば十分であると。
フーケはゴーレムから離れ、宝物庫へと入って行った。
「うぉぉぉおおおお!」
当麻は駆ける。イマイチ把握出来ないが、とにかく敵を倒す為に。
向こうはこちらの特性を知らない、だからゴーレム一匹で対処出来ると踏んだのだろう。
実際、空からタバサとキュルケが火と風を唱えようと、ルイズが失敗した魔法(小さな爆発)を与えようとビクともしない。
そして、当麻を第一殺害対象と見たのか視線が向けられる。
怖い。それが率直な感想だ。
(でもよ……)
己が唯一の武器、拳を握り締める。
(こっちはこれ以上の敵と戦ってきたんだ――!)
ゴーレムの拳が振り下ろされる。自分の十何倍も大きい手が襲い掛かる。
それでも当麻は前に進む。周りから制止の声がかけられるが気にしない。
「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおッ!」
当麻は叫ぶ。何十倍大きいゴーレムに立ち向かう武器(拳)を突き出す。
拳と拳がぶつかり合った。
本来ならばどう考えても当麻に勝ち目のない勝負。
もちろんキュルケもルイズも目をつむる、タバサだけが表情を変える事なく見つめている。
拳と拳が交えた音がしない。ビキッ、と何かに亀裂が入ったような音がした。そう、ギーシュの時と同じように。
ルイズとキュルケが目を開くと、ゴーレムに打ち勝った当麻の姿がいた。
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