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#navi(とある魔術の使い魔と主)
とある少年のお話なら、ここでミスタ・コルベールが左手のルーンの文字を解読し、学園長室へと報告する。
が、こちらの少年のお話は、解読出来ずに話が進んでいくのであった。
「なんでこんな目にあわなきゃならないんですか!?」
「うるさいわね、早く片付けなさいよ」
あんたのせいでしょーが! と、主に不満をぶつけるが、ルイズは黙ったまま机を拭く。
授業が始まり、当麻はやる事がないため話を聞く事にした。
その途中当麻のについての話になった結果、クラス中が笑いに包まれ、ルイズが怒るというトラブルもあったが、他には問題なかった。
しかし、その講義内容に少しでもこの世界についての情報を知ろうと思い、ルイズに質問をぶつけた。
すると、話をしているのをシュヴルーズ先生に気付かれ、ルイズは『錬金』の実演をする事になった。
その結果がこうである。
呪文の対象となった石は机ごと爆発。その爆風によってシュヴァルーズ先生は失神し、辺りは一時騒然とした。
もちろん授業は中断、罰としてルイズは昼ご飯までにこの教室を片付ける事になったのだ。
といってもほとんど当麻が仕事をしているのだが……
(ゼロってそういう意味だったのか)
何かある度によく聞くゼロのルイズ。まさか魔法の成功率がほとんどゼロだから、とは思わなかった。
故に何故馬鹿にされ続けたのか納得できた当麻はルイズに話しかけてみる。
「なぁ?」
ピクッとルイズの肩が震えた。
「……何よ、馬鹿にでもする気?」
ルイズがこちらを向く。僅かばかり泣き顔に変貌していたのに当麻は言葉を詰まらせた。
「あーいや、そういうわけじゃないけど」
「ふん、口ではそう言ってるけどホントは馬鹿にしたいんでしょ?」
「違うって……、……お前の事見直したんだよ」
え? と、予想外の言葉を聞き呆然としてるルイズに当麻は続けた。
「今まではただの生意気少女だと思ってたけどさ、頑張っているんだよな」
当麻は、とある学園都市で無能力者(レベル0)という認定を受けた。
しかし、彼には『幻想殺し』という特別な力を持っていた為、周りからなんと言われても気にしなかった。例えそのような力を持っていなかったとしても、特に変わらなかったであろう。
「周りからゼロのルイズって馬鹿にされ続けて、そいつら見返してやろうと努力し続けたんだろ?」
当麻は土御門という少年を知っている。上からの命令の為に魔術の才能を失い、超能力も無能力(レベル0)扱い、つまるところ全てを失った。
それでも戦場に身を捧げた。死に物狂いで努力し、努力しても辿り着けない領域は法則に反して得た反則技を用いて。
当麻は当夜という父親を知っている。息子である当麻の不幸をなんとかさせようと、必死にお守りやらを集めて努力していた。
「そんなお前をどうして馬鹿に出来るんだ?」
そう、自分がいかに恵まれている事を、ルイズとよく似た境遇の人物を知っているからこそ、彼は他の人とは違う言葉を吐き出す。
突き付けられた現実に抗うその姿を何回も見た当麻だからこそ言える言葉。
本心から出た言葉に、偽りなどなかった。ルイズは返す返事もなく、ただ顔を伏せる。今まで馬鹿にされ続けたが、始めて褒めてくれた人が現れた。
自分の努力を、気付いてくれた人が。
嬉しい。表情に出て来る程嬉しい。故に顔を隠す。そして一言、
「み、見直したなら早く片付けて頂戴! ちょっとペース落ちてるわよ!」
「ってどさくさに紛れてサボってんじゃねえか!? ここは主が前に出ないと使い魔は後に続きませんよ!」
「う、うるさいうるさいうるさい! お、女の子なんだからいいの!」
「男女差別を利用するのはどうかと思います!」
こういった関係なら悪くないな、と当麻は思った。
昼休みには教室の片付けが終わった(大方当麻が行った)ので食事の時間となった。
といっても当麻の昼食は安っぽいスープに固いパン二切れ、当麻にとってはおやつレベルなのがやはり辛い。と、そこに
「さっきの片付けの褒美よ」
肉を渡してくれるルイズがいた。サンキュと言い、朝ごはんへとグレードアップした食事を一瞬で平らげると、暇つぶしにと食堂を探索し始めた。
すると、左手に大きな銀のトレイを持ったメイドの恰好をした女性を見つけた。トレイにはデザートであろうケーキが並んでいる。
右手にははさみを持ち、一人で貴族達に配っていく。ぱっと見大変そうである。なのに手を貸す様子は誰からも感じられない。
当麻はそんな貴族もとい魔法使いの態度に不服に思いながら、メイドの子に声をかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
「え……あ、はい。えっとどなたでしょうか?」
心配される事に驚きを感じている様子である。
「あ、上条当麻です」
「カミジョートウマ……あ、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になっていう」
「えっと、そうですけど有名なんですかね?」
「えぇ。召喚魔法で初めて平民を呼んだということで」
女の子はにっこり笑った。今まで味わった事のない、優しい笑顔に当麻は少しドキッとした。
「それでまぁ、大変そうだから手伝おうかな思って……」
「あ、えと……いぃんでしょうか」
女の子の顔が徐々に赤く染まっていく。
「トレイを代わりに持つぐらいしか出来ませんけどね」
上条の好意に、再び笑みを浮かべる。
「ありがとうございます! あ、私シエスタと言います」
シエスタはトレイを当麻に渡すと、再びケーキを貴族達に配るのであった。
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