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「オールド・オスマン?」
「なんじゃね、ミス・ロングビル」
「お尻を触るのは(以下略)」
さて、本筋ではこの頃に才人に刻まれたルーンが伝説の使い魔“ガンダールヴ”のものらしいと
判明するわけだが、カズマに刻まれたそれは“s・CRY・ed”すなわち【進化の言葉】である。
しかもアルファベットに近い文字こそ有るものの、この言葉を知るものは元の世界にすらほとんどいない。
当然コルベールの努力は今のところ全くの徒労に終わっている。
ということは、オールド・オスマンがこの後セクハラ三昧の末にミス・ロングビルに折檻されまくったところで、
誰も割り込んではくれないというわけだ。
合掌。
ところ変わって、こちらは先ほどルイズが教卓を吹き飛ばした教室。
気絶したミセス・シュヴルーズに代わって解散を命じた教師は、
爆発のせいでとっ散らかった教室の片づけを魔法を使わずに行うようルイズに命じた。
もっとも、魔法を使えば爆発するのだから使ってよいと言われても同じである。
「カズマ、アンタもっとしっかりやりなさいよ」
「断る。自分の始末は自分でつけろ」
「アンタ私の使い魔でしょ。ご主人様がやれと言ったらやるの」
「【反逆】を背負ってやるとは言ったが、使い魔をしてやるとは言ってねぇ」
とまぁ、こんな調子で二人はずっと言い争いをしており、片づけはロクにはかどっていなかった。
まぁ、ありがたいことに基本的には【錬金】による石造りの教室である。さすがにそこまでの被害ではなかった。
もちろん、カズマにしても全く手伝っていないわけではない。明らかにルイズには重そうな木片などは
カズマが拾ってやっている。なんだかんだ言っても基本的に女子供には優しいのだ。
子供扱いしているとも言うが。
「アンタがここで生活するのにかかる費用は全部私の家から出ることになるのよ。
だからその分は従いな…って、そういえば朝ごはんどうしたのよ?」
「洗濯頼みに行ったらもらえたぜ? いつでも来ていいとかなんとか」
完全にルイズの手が止まる、と思うと真っ赤になって怒り出した。
「やめなさい。『ヴァリエールはロクに使い魔に食事もさせられない』なんて笑われるのは私なんだからね。
由緒ある公爵家の名前に傷がつくわ。今後一切禁止」
『知ったこっちゃねぇ』
そう言う代わりにでかいゴミをまとめて肩に担ぎ教室を出て行くことにする。
「ちょっと、こら! カズマ! 聞いてるの!?」
「こいつを捨ててくる」
それだけ言って話を打ち切る。教室からはギャーギャー聞こえる気がするが無視を決め込んだ。
「しっかし、ルイズのヤツ褒めてやったのになんで怒ったんだ?」
実は、解散を命じられて最初にルイズの着替えに戻ったのだが、
その際爆発の威力を褒めていたりする。そりゃ怒るのも当たり前なのだがカズマはいまだにわかってない。
残されたルイズはといえば、なんだかんだ言って片付けのかなりの部分を自分でやったわけだが、
反逆がどうのこうの言ってちっとも言うことを聞きやしない使い魔に、
『自分は魔法はおろか使い魔を御すことすらできないダメメイジなのか』
とちょっとへこみかかっていた。
幸いなことに、逃げ出そうとする様子はとりあえず無い。そうなっては笑いものどころではないだろう。
家名を取り上げられて放逐、などという最悪の予想をしてしまい、わずかにゾッとする。
「代わりの教卓持ってきてやったぜ」
空気を読まずに戻ってきたカズマに救われたような気がした。
のだが、当然素直に礼を言えるような性格をルイズがしているわけもないのである。
なんとか昼食の時間までに教室を片づけたルイズは、カズマを伴って食堂に向かいながら悩んでいた。
大見得切ったからにはカズマの食事をなんとかしなければならない。
しかし貴族と同じテーブルにつけるわけにはましてや貴族と同じものを食べさせるわけにはいかない。
手っ取り早いのはカズマ用のものを自分の部屋に運ばせることだが今から頼む時間もなければ
そんな特別扱いをしてもらえるかどうかもわからない。
悩むを通り越して途方に暮れそうになって軽く頭を振った。
しかも、ルイズがこんなに悩んでいるというのにカズマはすれ違う給仕係と「今朝はありがとな」とか
にこやかに挨拶してたりするのだから当然面白くない。
まったくこの使い魔ったらご主人様をなんだと思ってるのかしら。
周りに愛想振りまくくらいならちゃんまずちゃんとご主人様の言うこと聞かなきゃだわ。
いえいえそうじゃないわ私。使い魔をしつけるのもご主人様の仕事ですものねきっと、うん。
とかなんとか頭の中をぐるぐるさせている内に食堂に着いてしまったではないか。
『結局どうすればいいか思いつかなかった!』
本気で頭を抱えることになり、で思わず口をついたのは、
「ご主人様の言うことを聞かないアンタは今日のお昼抜き! 外で待ってなさい!」
であった。
実は自分でも苦し紛れのその場しのぎなのはわかっていたりするのだが言ってしまったものはしょうがない。
カズマが従うとはまったく思えなかったりするのだがそれでもやっぱりもう言っちゃった後である。
果たして、おそるおそるカズマの方を見てみると、つまらなそうな顔をして中庭の方へ歩いて行くではないか。
はてどういう風の吹き回しなのかしら。それともダメって言ったのに厨房へでも行って何か食べさせてもらうつもりかも。
従うとは言わなかったし、アイツ。でもちゃんと用意してない私も悪いのかもしれないから今回くらいはしょうがないのかな。
それならいっそ床にでも座らせて私が食べるものから何切れかあげた方がありがたみがあったのかもしれないわ。
あぁなんでそれをさっき思いつかなかったんだろう。
また頭がぐるぐるしてきたルイズですが、でもとりあえず肉体労働後の食欲にはかなわなかったのです、まる。
一方カズマの方は『所詮ガキの癇癪』位にしか思っていないので、
とりあえず従うところを見せてやればおとなしくなる、とか考えていたりする。
『そう言えばかなみはむくれることはあってもこういう癇癪起こすことはなかったな』
食堂にほど近い場所に座り込んで、ルイズより年下なのにずっと大人な同居人のことをぼんやり思い出す。
『まぁ寒いからってオレの寝床に潜り込んできたりはしてたか』
「あら、どうかなさいました?」
そのカズマに声をかけるまごう事なきメイド服。言うまでもなく黒髪とそばかすがチャームポイントの
“脱いだらすごい”シエスタであるが、もちろんカズマは知りゃぁしない。ついでに言うと、
「そう言えば朝厨房にいらした方でしたっけ。なにやってるんですか?」
とシエスタが覚えているのに、カズマはさっぱり覚えてなかったりする。
「ルイズが癇癪起こしたんでな。アイツの飯が終わるのを待ってる」
「だめですよ、自分が仕えるご主人様のことをそんな風に言っちゃ」
「オレにゃぁ関係ねぇ」
「まぁ」
と言ってコロコロと笑うシエスタ。
「でも、…えぇと、そういえばお名前聞いてませんでしたよね? 私シエスタと言います」
「カズマ」
「カズマさんお昼ご飯は?」
「抜きだとさ。あんたらのところでもらうのも禁止だと」
「そんな…。でも大丈夫ですか?」
「放っときゃ収まるさ。子供の相手は慣れてる」
「だから貴族様にそう言う言い方は…」
「いいんだ。それより仕事中じゃねぇのか?」
「あぁ、いけない。じゃ、私行きますね。そうだ、カズマさんおなか空いちゃうでしょうから
後で何か差し入れします」
気にすんな、と言った風情でシエスタを見送ってまたぼんやりするカズマの耳に飛び込んできたのは、
しばしの喧噪に平手打ちの音、そして何かをひっくり返したような音であった。
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「オールド・オスマン?」
「なんじゃね、ミス・ロングビル」
「お尻を触るのは(以下略)」
さて、本筋ではこの頃に才人に刻まれたルーンが伝説の使い魔“ガンダールヴ”のものらしいと
判明するわけだが、カズマに刻まれたそれは“s・CRY・ed”すなわち【進化の言葉】である。
しかもアルファベットに近い文字こそ有るものの、この言葉を知るものは元の世界にすらほとんどいない。
当然コルベールの努力は今のところ全くの徒労に終わっている。
ということは、オールド・オスマンがこの後セクハラ三昧の末にミス・ロングビルに折檻されまくったところで、
誰も割り込んではくれないというわけだ。
合掌。
ところ変わって、こちらは先ほどルイズが教卓を吹き飛ばした教室。
気絶したミセス・シュヴルーズに代わって解散を命じた教師は、
爆発のせいでとっ散らかった教室の片づけを魔法を使わずに行うようルイズに命じた。
もっとも、魔法を使えば爆発するのだから使ってよいと言われても同じである。
「カズマ、アンタもっとしっかりやりなさいよ」
「断る。自分の始末は自分でつけろ」
「アンタ私の使い魔でしょ。ご主人様がやれと言ったらやるの」
「【反逆】を背負ってやるとは言ったが、使い魔をしてやるとは言ってねぇ」
とまぁ、こんな調子で二人はずっと言い争いをしており、片づけはロクにはかどっていなかった。
まぁ、ありがたいことに基本的には【錬金】による石造りの教室である。さすがにそこまでの被害ではなかった。
もちろん、カズマにしても全く手伝っていないわけではない。明らかにルイズには重そうな木片などは
カズマが拾ってやっている。なんだかんだ言っても基本的に女子供には優しいのだ。
子供扱いしているとも言うが。
「アンタがここで生活するのにかかる費用は全部私の家から出ることになるのよ。
だからその分は従いな…って、そういえば朝ごはんどうしたのよ?」
「洗濯頼みに行ったらもらえたぜ? いつでも来ていいとかなんとか」
完全にルイズの手が止まる、と思うと真っ赤になって怒り出した。
「やめなさい。『ヴァリエールはロクに使い魔に食事もさせられない』なんて笑われるのは私なんだからね。
由緒ある公爵家の名前に傷がつくわ。今後一切禁止」
『知ったこっちゃねぇ』
そう言う代わりにでかいゴミをまとめて肩に担ぎ教室を出て行くことにする。
「ちょっと、こら! カズマ! 聞いてるの!?」
「こいつを捨ててくる」
それだけ言って話を打ち切る。教室からはギャーギャー聞こえる気がするが無視を決め込んだ。
「しっかし、ルイズのヤツ褒めてやったのになんで怒ったんだ?」
実は、解散を命じられて最初にルイズの着替えに戻ったのだが、
その際爆発の威力を褒めていたりする。そりゃ怒るのも当たり前なのだがカズマはいまだにわかってない。
残されたルイズはといえば、なんだかんだ言って片付けのかなりの部分を自分でやったわけだが、
反逆がどうのこうの言ってちっとも言うことを聞きやしない使い魔に、
『自分は魔法はおろか使い魔を御すことすらできないダメメイジなのか』
とちょっとへこみかかっていた。
幸いなことに、逃げ出そうとする様子はとりあえず無い。そうなっては笑いものどころではないだろう。
家名を取り上げられて放逐、などという最悪の予想をしてしまい、わずかにゾッとする。
「代わりの教卓持ってきてやったぜ」
空気を読まずに戻ってきたカズマに救われたような気がした。
のだが、当然素直に礼を言えるような性格をルイズがしているわけもないのである。
なんとか昼食の時間までに教室を片づけたルイズは、カズマを伴って食堂に向かいながら悩んでいた。
大見得切ったからにはカズマの食事をなんとかしなければならない。
しかし貴族と同じテーブルにつけるわけにはましてや貴族と同じものを食べさせるわけにはいかない。
手っ取り早いのはカズマ用のものを自分の部屋に運ばせることだが今から頼む時間もなければ
そんな特別扱いをしてもらえるかどうかもわからない。
悩むを通り越して途方に暮れそうになって軽く頭を振った。
しかも、ルイズがこんなに悩んでいるというのにカズマはすれ違う給仕係と「今朝はありがとな」とか
にこやかに挨拶してたりするのだから当然面白くない。
まったくこの使い魔ったらご主人様をなんだと思ってるのかしら。
周りに愛想振りまくくらいならちゃんまずちゃんとご主人様の言うこと聞かなきゃだわ。
いえいえそうじゃないわ私。使い魔をしつけるのもご主人様の仕事ですものねきっと、うん。
とかなんとか頭の中をぐるぐるさせている内に食堂に着いてしまったではないか。
『結局どうすればいいか思いつかなかった!』
本気で頭を抱えることになり、で思わず口をついたのは、
「ご主人様の言うことを聞かないアンタは今日のお昼抜き! 外で待ってなさい!」
であった。
実は自分でも苦し紛れのその場しのぎなのはわかっていたりするのだが言ってしまったものはしょうがない。
カズマが従うとはまったく思えなかったりするのだがそれでもやっぱりもう言っちゃった後である。
果たして、おそるおそるカズマの方を見てみると、つまらなそうな顔をして中庭の方へ歩いて行くではないか。
はてどういう風の吹き回しなのかしら。それともダメって言ったのに厨房へでも行って何か食べさせてもらうつもりかも。
従うとは言わなかったし、アイツ。でもちゃんと用意してない私も悪いのかもしれないから今回くらいはしょうがないのかな。
それならいっそ床にでも座らせて私が食べるものから何切れかあげた方がありがたみがあったのかもしれないわ。
あぁなんでそれをさっき思いつかなかったんだろう。
また頭がぐるぐるしてきたルイズですが、でもとりあえず肉体労働後の食欲にはかなわなかったのです、まる。
一方カズマの方は『所詮ガキの癇癪』位にしか思っていないので、
とりあえず従うところを見せてやればおとなしくなる、とか考えていたりする。
『そう言えばかなみはむくれることはあってもこういう癇癪起こすことはなかったな』
食堂にほど近い場所に座り込んで、ルイズより年下なのにずっと大人な同居人のことをぼんやり思い出す。
『まぁ寒いからってオレの寝床に潜り込んできたりはしてたか』
「あら、どうかなさいました?」
そのカズマに声をかけるまごう事なきメイド服。言うまでもなく黒髪とそばかすがチャームポイントの
“脱いだらすごい”シエスタであるが、もちろんカズマは知りゃぁしない。ついでに言うと、
「そう言えば朝厨房にいらした方でしたっけ。なにやってるんですか?」
とシエスタが覚えているのに、カズマはさっぱり覚えてなかったりする。
「ルイズが癇癪起こしたんでな。アイツの飯が終わるのを待ってる」
「だめですよ、自分が仕えるご主人様のことをそんな風に言っちゃ」
「オレにゃぁ関係ねぇ」
「まぁ」
と言ってコロコロと笑うシエスタ。
「でも、…えぇと、そういえばお名前聞いてませんでしたよね? 私シエスタと言います」
「カズマ」
「カズマさんお昼ご飯は?」
「抜きだとさ。あんたらのところでもらうのも禁止だと」
「そんな…。でも大丈夫ですか?」
「放っときゃ収まるさ。子供の相手は慣れてる」
「だから貴族様にそう言う言い方は…」
「いいんだ。それより仕事中じゃねぇのか?」
「あぁ、いけない。じゃ、私行きますね。そうだ、カズマさんおなか空いちゃうでしょうから
後で何か差し入れします」
気にすんな、と言った風情でシエスタを見送ってまたぼんやりするカズマの耳に飛び込んできたのは、
しばしの喧噪に平手打ちの音、そして何かをひっくり返したような音であった。
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