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さて、カズマがルイズたちについて廊下を歩いている時まで時間をちょっぴり戻そう。
カズマは歩きながら考える。
ルイズに【反逆】するのは簡単だ。このまま飛び出しちまえばいい。
【使い魔】とか【契約】など知ったこっちゃねぇ。どんなところででも生きていく自信はある。
ついでに言えばコイツは貴族とか言うものらしい。
ロストグラウンドではアルター使いが爪弾きにされていたのとは反対で『魔法が使える方が偉い』とかいう
ふざけた世界だ。生きていくだけで【反逆】に違(ちげ)ぇねぇ。
だがまぁ、俺は『コイツの反逆を背負う』と決めちまった。
「決めちまったからには突き通すしかないよなぁ」
「?」
「なんでもねぇ。ところで、お前洗濯はどうしてるんだ?」
何気なく聞いたつもりだったがいきなり不審なモノを見る目をされてしまった。
チョイチョイと『耳を貸せ』のゼスチャーで
ヒソヒソ「ルイズのヤツに洗濯しろとか言われたんだがお前はどうしてるのかと思ってな」
ヒソヒソ「寮の使用人」
ヒソヒソ「なにーッ!じゃぁそもそも俺にやらせる理由なんかねーじぇねぇか」
本当に召使いか奴隷扱いしかしていないらしいことがわかって、
ちょっぴり『反逆しちゃおうか』とか思うカズマなのであった。
さて、まさかルイズがカズマを朝食で躾けようなどと考えているとは露知らず、
洗濯を頼みに行った使用人に「貴族の世話なんてまた厄介なことを押し付けられたもんだな」とか
「貴族の方のお世話をするのでしたら我々と変わりませんから、賄いでよければ食事していきませんか?」
とか言われて、たらふく朝食をいただいちゃったりしたわけであるが、
そういえばその後どうするのか聞いてなかった。
なにしろルイズはキュルケとの言い争いに忙しかったので、
講義についてくるように伝えるのを忘れていたのだ。
もっとも、普通の獣や幻獣の使い魔であればキュルケのフレイムのようにそれほど遠くに行かないか、
または放っておいても呼べば現れただろう。
ある意味、ルイズが失念するのも致し方ないと言えるかもしれない。
結局、することもなく、そもそも建物の配置が良くわかっていないせいでブラブラしていたカズマを
ルイズがひっ捕まえて教室に入った時には、すっかり遅刻確定となっていた。
「ミス・ヴァリエール、あまり珍しい使い魔だからと言って甘やかしてはいけませんよ?」
練金の担当教官『赤土』のシュヴルーズである。
「本当に使い魔なのかよ、ゼロのルイズ」
「そこら辺歩いてたのを連れてきたんじゃないのか?」
一斉にヤジが飛ぶのを黙って耐えるルイズに、カズマはここでもはじめと同じ不満を感じていた。
いっそ飛びかかって全員ぶちのめしたいと思うぐらいだ。
だが、連れてこられたときから自分の袖をずっと握りっぱなしのルイズの手が、
真っ白になるほどにきつく握りこまれているのを感じて踏みとどまっている。
不意にシュヴルーズが杖をふるうとヤジを飛ばしていた者たちがおとなしくなる。
見れば、口に粘土が張り付いていた。
「お友達やその使い魔をそんな風に言うものではありません。あなた方はそのまま授業を受けてもらいます」
しかしカズマにとってはこの教師はただうさんくさいだけにしか思えない。
『最初に煽ったのはお前だ』
ルイズがいなければ間違いなくそう言って胸倉をつかんでいただろう。
「さて、ミス・ヴァリエール。あなたは大変学業優秀と聞いております。
遅れてきた罰として前へ来て練金を行っていただけますね」
今度は別の意味で教室が騒がしくなった。
「先生?」
「なんです? ミス・ツェルプストー」
「やめといた方がいいと思いますけど・・・」
「どうしてですか?」
「危険です」
キュルケがそう言ったとたん、教室内が「そうだそうだ」などと言うものや取り乱すもの、
はては始祖プリミルに祈り始める者たちでいっぱいになる。
騒ぎの中何かを我慢していたかのようなルイズであったが、意を決して
「やります!」
と声を上げると、教室が一瞬静まり返った。
単に意地をはっただけだが、立ち向かう姿勢を見たことで評価を
“タダの甘ったれたガキ”からちょっぴり上方修正。
「そうでなきゃ背負う価値もねぇ」
少し楽しそうな声でカズマが一人ごちた。
教卓の上におかれた石を前にして、頭の中で呪文を組み立てる。
理論はきっちり頭の中に入っている、大丈夫だ、私。
緊張は必要だ、だけどリラックスして。
きっとできる、召喚も契約も成功したじゃないか。
ルイズの唇が組みあがった呪文を紡ぐ。
魔力の発動とともにただの石が輝き、そして、例によって爆発した。
廊下まで逃げていたタバサや机の下に避難していた生徒たちはいざ知らず、
至近距離で爆発に巻き込まれたミセス・シュヴルーズは気絶。
が、張本人であるはずのルイズと言えば、確かに顔は煤だらけで服もボロボロ、
ちょっと下着が覗いていたりするものの本人は全くの無傷で立っている。
そりゃそれで一種の魔法かもしれない。
どこから取り出したのかわからないハンカチで顔や髪についた煤をぬぐうと
「ちょっと失敗しちゃった」
なんとな~く『てへっ』と言う擬音語が聞こえてきそうなコケティッシュなはにかみ顔でそう言うルイズだが、
さすがにそんなこっちゃみんな誤魔化されてくれないのであった。
ちなみにカズマであるが、ルイズがわざとやったと思いこんでいるので、
少々被弾したものの実にご機嫌であったことをお伝えしておこう。
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さて、カズマがルイズたちについて廊下を歩いている時まで時間をちょっぴり戻そう。
カズマは歩きながら考える。
ルイズに【反逆】するのは簡単だ。このまま飛び出しちまえばいい。
【使い魔】とか【契約】など知ったこっちゃねぇ。どんなところででも生きていく自信はある。
ついでに言えばコイツは貴族とか言うものらしい。
ロストグラウンドではアルター使いが爪弾きにされていたのとは反対で『魔法が使える方が偉い』とかいう
ふざけた世界だ。生きていくだけで【反逆】に違(ちげ)ぇねぇ。
だがまぁ、俺は『コイツの反逆を背負う』と決めちまった。
「決めちまったからには突き通すしかないよなぁ」
「?」
「なんでもねぇ。ところで、お前洗濯はどうしてるんだ?」
何気なく聞いたつもりだったがいきなり不審なモノを見る目をされてしまった。
チョイチョイと『耳を貸せ』のゼスチャーで
ヒソヒソ「ルイズのヤツに洗濯しろとか言われたんだがお前はどうしてるのかと思ってな」
ヒソヒソ「寮の使用人」
ヒソヒソ「なにーッ!じゃぁそもそも俺にやらせる理由なんかねーじぇねぇか」
本当に召使いか奴隷扱いしかしていないらしいことがわかって、
ちょっぴり『反逆しちゃおうか』とか思うカズマなのであった。
さて、まさかルイズがカズマを朝食で躾けようなどと考えているとは露知らず、
洗濯を頼みに行った使用人に「貴族の世話なんてまた厄介なことを押し付けられたもんだな」とか
「貴族の方のお世話をするのでしたら我々と変わりませんから、賄いでよければ食事していきませんか?」
とか言われて、たらふく朝食をいただいちゃったりしたわけであるが、
そういえばその後どうするのか聞いてなかった。
なにしろルイズはキュルケとの言い争いに忙しかったので、
講義についてくるように伝えるのを忘れていたのだ。
もっとも、普通の獣や幻獣の使い魔であればキュルケのフレイムのようにそれほど遠くに行かないか、
または放っておいても呼べば現れただろう。
ある意味、ルイズが失念するのも致し方ないと言えるかもしれない。
結局、することもなく、そもそも建物の配置が良くわかっていないせいでブラブラしていたカズマを
ルイズがひっ捕まえて教室に入った時には、すっかり遅刻確定となっていた。
「ミス・ヴァリエール、あまり珍しい使い魔だからと言って甘やかしてはいけませんよ?」
練金の担当教官『赤土』のシュヴルーズである。
「本当に使い魔なのかよ、ゼロのルイズ」
「そこら辺歩いてたのを連れてきたんじゃないのか?」
一斉にヤジが飛ぶのを黙って耐えるルイズに、カズマはここでもはじめと同じ不満を感じていた。
いっそ飛びかかって全員ぶちのめしたいと思うぐらいだ。
だが、連れてこられたときから自分の袖をずっと握りっぱなしのルイズの手が、
真っ白になるほどにきつく握りこまれているのを感じて踏みとどまっている。
不意にシュヴルーズが杖をふるうとヤジを飛ばしていた者たちがおとなしくなる。
見れば、口に粘土が張り付いていた。
「お友達やその使い魔をそんな風に言うものではありません。あなた方はそのまま授業を受けてもらいます」
しかしカズマにとってはこの教師はただうさんくさいだけにしか思えない。
『最初に煽ったのはお前だ』
ルイズがいなければ間違いなくそう言って胸倉をつかんでいただろう。
「さて、ミス・ヴァリエール。あなたは大変学業優秀と聞いております。
遅れてきた罰として前へ来て練金を行っていただけますね」
今度は別の意味で教室が騒がしくなった。
「先生?」
「なんです? ミス・ツェルプストー」
「やめといた方がいいと思いますけど・・・」
「どうしてですか?」
「危険です」
キュルケがそう言ったとたん、教室内が「そうだそうだ」などと言うものや取り乱すもの、
はては始祖ブリミルに祈り始める者たちでいっぱいになる。
騒ぎの中何かを我慢していたかのようなルイズであったが、意を決して
「やります!」
と声を上げると、教室が一瞬静まり返った。
単に意地をはっただけだが、立ち向かう姿勢を見たことで評価を
“タダの甘ったれたガキ”からちょっぴり上方修正。
「そうでなきゃ背負う価値もねぇ」
少し楽しそうな声でカズマが一人ごちた。
教卓の上におかれた石を前にして、頭の中で呪文を組み立てる。
理論はきっちり頭の中に入っている、大丈夫だ、私。
緊張は必要だ、だけどリラックスして。
きっとできる、召喚も契約も成功したじゃないか。
ルイズの唇が組みあがった呪文を紡ぐ。
魔力の発動とともにただの石が輝き、そして、例によって爆発した。
廊下まで逃げていたタバサや机の下に避難していた生徒たちはいざ知らず、
至近距離で爆発に巻き込まれたミセス・シュヴルーズは気絶。
が、張本人であるはずのルイズと言えば、確かに顔は煤だらけで服もボロボロ、
ちょっと下着が覗いていたりするものの本人は全くの無傷で立っている。
そりゃそれで一種の魔法かもしれない。
どこから取り出したのかわからないハンカチで顔や髪についた煤をぬぐうと
「ちょっと失敗しちゃった」
なんとな~く『てへっ』と言う擬音語が聞こえてきそうなコケティッシュなはにかみ顔でそう言うルイズだが、
さすがにそんなこっちゃみんな誤魔化されてくれないのであった。
ちなみにカズマであるが、ルイズがわざとやったと思いこんでいるので、
少々被弾したものの実にご機嫌であったことをお伝えしておこう。
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