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「『使い魔くん千年王国』 幕間・『蛙男』の夢」(2007/11/06 (火) 00:44:28) の最新版変更点
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場面は現代の日本。
東京・渋谷の道玄坂にある、ガウディが設計したかのような奇怪なビル。
そこの20階に、高級マンションのような一室があった…。
煉瓦造りの壁をした薄暗い室内には観葉植物も置かれているが、
さまざまな骸骨や剥製や不気味な置物が飾られ、本棚には無数のオカルト書が並び、
重厚な木製のアンティーク家具の上には、髑髏に乗った蝋燭の火が輝いている。
そこに座っているのは、ローブに身を包み丸眼鏡をかけた、灰色の髪の壮年の男。
だが彼の肌は生臭くぬるぬるしており、顔はあばた面で口が異様に大きく、
腹はぽっこりと不健康に膨らみ、まるでヒキガエルを連想させた…。
彼は午後の居眠りをしているらしい。いや、今彼は異世界に『霊夢』を送り、
長年待ち続けていた人物を探し当てようとしているのだ……。
………………………………………………………………
あれ? ここはどこ?
…ああ、夢の中ね。こんな変な建物見たことないもの。
そうか、私は広場でおぞましい光景を見て精神が耐えられなくなり、失神したのね。
まったくマツシタの奴、あんな大騒動起こすなんて思わなかったわ!
強いのは分かったけど、後でちゃんとお仕置きしてやらなきゃ…。
『ああ、やっとつながった。はじめまして、きみはルイズだね?』
「っキャアア! なっ何よあんた、かかか、蛙みたいな顔して!!」
突然目の前に変な男が現れた。また蛙だ。
こんな悪夢を見るなんて、私のSAN値はどれぐらい残っているのかしら?
『そうだ、私は「蛙男」だからな。今は毛呂山(けろやま)と名乗っている。
魔法使いであり、オカルト作家のはしくれだ』
「こ、こないでよ見るからに変態! 化け物! キモオタ! ハルコンネンの精!」
『ああ…無知な者に説明するのは疲れる。せっかく通信がつながったというのに』
『ケロヤマ』と名乗る怪奇・蛙男は、ため息をつくと一方的にしゃべり出した…。
簡潔に説明しよう。ミス・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
私はきみの召喚した子供、松下一郎こと『悪魔くん』の使徒、つまり高等な従僕だ。
体はもともと人間だが、魂は古代の魔法使い『蛙男』のものでね、
『悪魔くん』が朽ち果てた古い肉体の代わりに、新しい肉体を授けてくれたのだ。
彼は悪徳と不浄に満ちた現代の世界を粉砕し、偉大なる革命を起こすためこの世に生まれた。
差別も偏見も、貧乏も退屈も、戦争も国境もない幸福な世界、
『千年王国』を地上に築くべき『メシア(救世主)』なのだ。
そして私たち『使徒』は彼に仕え、共に戦うよう定められていた。
やがて彼は予言にあるとおり、信じていた味方に裏切られ、凶弾に斃れた。
『こちら側』の暦でいうと、前回のメシア『ナザレのイエス』が誕生してから
およそ1964年目のことだった……。
だがメシアは死後『七年』経つと甦り、再び地上に降臨して権威を増し、
ついに『千年王国』を樹立するとも予言されていた…。
そこで私は七年待った。だが彼は来なかった。
『1+6』は『7』だから十六年後かと思い直したが、やはり来なかった。
二十五年、三十四年と待ったが復活の気配はなく、世界の混迷は深まるばかりだった。
生き残っていた『使徒』の残党も死んで行き、私一人になってしまった…。
『こちら側』での今年(2007年)は、彼が亡くなってからほぼ四十三年目に当たる。
そこで私は持てる魔力を振り絞り、築き上げた情報網を最大限に活用して、
遂にメシアが『ハルケギニア』という異世界にいるという情報を掴んだのだ!!
そして、霊的にもっとも異次元とつながり易いように魔法の眠りにつき、
『霊夢』の中できみに語りかけているというわけだよ。
少しきみの記憶も覗かせてもらっているがね。
そういうわけで、きみがメシアをそちらに召喚してしまったため、
『こちら側』の世界――『地球』というのだが―――は、未だに悪魔の支配する、
不浄で、猥雑で、暴力的で、金銭至上主義で、貧富の差が大きく、
階層制度が厳しい軍事国家ばかりが乱立する『地上の地獄』のままだ。
世紀末から何年も経つというのにな……。
まあ、今年がだめなら五十二年目、六十一年目、七十年目、
一百六年目…といつまでも待つさ。
『ファウスト博士』などは、メシアの出現を四百年も待ち続けていたのだしな。
彼が『そちら』の世界で力を蓄えておられるようで、私も嬉しい。
ことによると、そちらで『千年王国』を建設されてから、こちらに戻ってこられるのかもな。
これから私は『悪魔くん』の夢の中にも行き、彼と再会することにしよう。
ああ、なんと懐かしいことだろうか……。
では、また会おう。ミス・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
追伸:時代は今、ツンデレよりもヤンデレだ。
『ヤンデレ大全』近日発売!
「帰れキモオタ! アキバに帰れ!!」
(つづく)
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場面は現代の日本。
東京・渋谷の道玄坂にある、ガウディが設計したかのような奇怪なビル。
そこの20階に、高級マンションのような一室があった…。
煉瓦造りの壁をした薄暗い室内には観葉植物も置かれているが、
さまざまな骸骨や剥製や不気味な置物が飾られ、本棚には無数のオカルト書が並び、
重厚な木製のアンティーク家具の上には、髑髏に乗った蝋燭の火が輝いている。
そこに座っているのは、ローブに身を包み丸眼鏡をかけた、灰色の髪の壮年の男。
だが彼の肌は生臭くぬるぬるしており、顔はあばた面で口が異様に大きく、
腹はぽっこりと不健康に膨らみ、まるでヒキガエルを連想させた…。
彼は午後の居眠りをしているらしい。いや、今彼は異世界に『霊夢』を送り、
長年待ち続けていた人物を探し当てようとしているのだ……。
………………………………………………………………
あれ? ここはどこ?
…ああ、夢の中ね。こんな変な建物見たことないもの。
そうか、私は広場でおぞましい光景を見て精神が耐えられなくなり、失神したのね。
まったくマツシタの奴、あんな大騒動起こすなんて思わなかったわ!
強いのは分かったけど、後でちゃんとお仕置きしてやらなきゃ…。
『ああ、やっとつながった。はじめまして、きみはルイズだね?』
「っキャアア! なっ何よあんた、かかか、蛙みたいな顔して!!」
突然目の前に変な男が現れた。また蛙だ。
こんな悪夢を見るなんて、私のSAN値はどれぐらい残っているのかしら?
『そうだ、私は「蛙男」だからな。今は毛呂山(けろやま)と名乗っている。
魔法使いであり、オカルト作家のはしくれだ』
「こ、こないでよ見るからに変態! 化け物! キモオタ! ハルコンネンの精!」
『ああ…無知な者に説明するのは疲れる。せっかく通信がつながったというのに』
『ケロヤマ』と名乗る怪奇・蛙男は、ため息をつくと一方的にしゃべり出した…。
簡潔に説明しよう。ミス・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
私はきみの召喚した子供、松下一郎こと『悪魔くん』の使徒、つまり高等な従僕だ。
体はもともと人間だが、魂は古代の魔法使い『蛙男』のものでね、
『悪魔くん』が朽ち果てた古い肉体の代わりに、新しい肉体を授けてくれたのだ。
彼は悪徳と不浄に満ちた現代の世界を粉砕し、偉大なる革命を起こすためこの世に生まれた。
差別も偏見も、貧乏も退屈も、戦争も国境もない幸福な世界、
『千年王国』を地上に築くべき『メシア(救世主)』なのだ。
そして私たち『使徒』は彼に仕え、共に戦うよう定められていた。
やがて彼は予言にあるとおり、信じていた味方に裏切られ、凶弾に斃れた。
『こちら側』の暦でいうと、前回のメシア『ナザレのイエス』が誕生してから
およそ1964年目のことだった……。
だがメシアは死後『七年』経つと甦り、再び地上に降臨して権威を増し、
ついに『千年王国』を樹立するとも予言されていた…。
そこで私は七年待った。だが彼は来なかった。
『1+6』は『7』だから十六年後かと思い直したが、やはり来なかった。
二十五年、三十四年と待ったが復活の気配はなく、世界の混迷は深まるばかりだった。
生き残っていた『使徒』の残党も死んで行き、私一人になってしまった…。
『こちら側』での今年(2007年)は、彼が亡くなってからほぼ四十三年目に当たる。
そこで私は持てる魔力を振り絞り、築き上げた情報網を最大限に活用して、
遂にメシアが『ハルケギニア』という異世界にいるという情報を掴んだのだ!!
そして、霊的にもっとも異次元とつながり易いように魔法の眠りにつき、
『霊夢』の中できみに語りかけているというわけだよ。
少しきみの記憶も覗かせてもらっているがね。
そういうわけで、きみがメシアをそちらに召喚してしまったため、
『こちら側』の世界――『地球』というのだが―――は、未だに悪魔の支配する、
不浄で、猥雑で、暴力的で、金銭至上主義で、貧富の差が大きく、
階層制度が厳しい軍事国家ばかりが乱立する『地上の地獄』のままだ。
世紀末から何年も経つというのにな……。
まあ、今年がだめなら五十二年目、六十一年目、七十年目、
一百六年目…といつまでも待つさ。
『ファウスト博士』などは、メシアの出現を四百年も待ち続けていたのだしな。
彼が『そちら』の世界で力を蓄えておられるようで、私も嬉しい。
ことによると、そちらで『千年王国』を建設されてから、こちらに戻ってこられるのかもな。
これから私は『悪魔くん』の夢の中にも行き、彼と再会することにしよう。
ああ、なんと懐かしいことだろうか……。
では、また会おう。ミス・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
追伸:時代は今、ツンデレよりもヤンデレだ。
『ヤンデレ大全』近日発売!
「帰れキモオタ! アキバに帰れ!!」
(つづく)
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