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第1話.類は使い魔になるの巻
メガネをかけた小柄で物静かな少女――タバサは思う。
最近の学院はどうも妙だ。
思い返せば、春の使い魔召喚の儀……いや、その儀式で"ゼロ"とあだ名される
女生徒―ルイズ・フランワーズ・ド・ラ・ヴァリエールが、奇妙な使い魔を呼び出した
ときから、異変は始まっているように思う。
そう、確かにあの召喚の儀は奇妙なことだらけだった。
儀式に立ち合うはずのコルベール師がなぜか席を外していたり、代りに魔法学院の先輩―卒業生だというワルド子爵が立ち合っていたり。
(ワルド子爵は親が決めたルイズの婚約者らしいが、何かにつけて学院に顔を出している。一応グリフォン隊の隊長のはずなのだが……もしかして暇なのだろうか?)
あのとき、結局、ルイズは、召喚した平民らしき少年と契約しようとした。
したのだが……。
「平民だ! ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
「さすがはゼロだ!」
お約束のこのセリフを叫びながら、同級生たちが盛り上がる中、召喚された当の本人が、それを否定する。
「――平民じゃないよ」
その言葉に息を呑む一同。
まさか、どこかのメイジ? いや、一見人間に見えるけど、もしかしたら亜人……!?
周囲の大多数は緊張に、召喚したルイズは期待に固唾を呑む。
「”へいみん”じゃないよ、アンドロイドだよ」
「何なのよ、それは!!」
スパーーーン!
ルイズが手に持った白いモノを使って、黒衣の少年?をはり倒す。
丈夫な紙でできた扇のようなものだが……いったいいつの間に手にしたのだろう?
(あとでその少年に聞いたところ、それは彼の世界で”ハリセン”と呼ばれている道具らしい。ボケた人に突っ込むのが主要な用途だそうだが、ルイズは少年にツッコミを入れたときの感触が気に入ったようで、以後愛用しているようだ)
「お、怒ると胃に悪いんだな」
「余計なお世話よ!」
「胃が悪くなるとごはんが食べられないじゃないか。
ごはんが食べられないとお腹がすくじゃないか。
お腹がすくと怒りっぽくなるじゃないか。
怒ると胃が悪くなるじゃないか……」
怒髪天をつくルイズを尻目にマイペースな論理を循環させる少年。
「何が言いたいのよ、アンタ!?」
「お……」
そのまま無限ループに入りそうな少年に、怒りを中断させて問いかけるルイズ。
「お腹が空いたよぅ……」
(な、なんなんだこいつは……!?)
その時居合わせた人間の心はひとつになった。
(おもしろいヤツだ……!)
――訂正。約1名、違うことを考えていた人間がいる模様。
その1名がワルドだと言う時点で、トリステイン魔法衛士隊は「もうダメぽ」かもしれない。
あのあと、あまりに少年の姿が哀れだったため、彼が懐から取り出した弁当(白い穀物を焚いて固めたもの?)を食べるのを待って、改めて尋問しようとしたのだが……。
「僕はもう行かなくてはなりません!」
弁当を食べ終わると、少年は本人比5パーセント増しでキリリとした目つきになり、スックと立ち上がる。
「ちょっ、ちょっと待った! アンタ、私の使い魔として召喚されたのよ! 勝手にいなくなるって……」
慌ててルイズが止めようとするものの、時すでに遅し。
少年は奇妙な二輪車に乗って風のように去ったあとだった。
「―追って、シルフィード」
別にルイズと特別親しいわけではないが、さすがに少々気の毒に思ったタバサは、自らが召喚した風竜に乗って少年のあとを追跡しようとしたのだが……。
「……見失った」
驚くべきことに、風竜の速度をもってしても追いつけぬ速さで、少年は裏山の中へと消えていったのだ。
結局ルイズは、サモンサーヴァントには成功したものの、コントラクトサーヴァントにはまだ未成功ということで、とりあえず仮進級という扱いになった。
”仮”を取るためには、2年生のあいだにあの少年を見つけだして契約しなければならないとあって、
ルイズはあれ以来裏山に捜索に行くことが多いのだが、帰ってくるたびに体中にすり傷や打ち身、痣などをこさえて来る。
心配する(無論、表立って口には出さないが)キュルケが冗談混じりに聞いてみたところ、どうやらあの裏山には、”山の主”とでも言うべき狂暴な獣の類いが住み着いているらしい。
そいつに行く手を阻まれ、よせばいいのにキレやすいルイズが殴りかかったことから、取っ組み合いになったようだ。ちなみに現在のところルイズの勝率は全戦全敗。
彼女の証言によれば、”片目が潰れ、全身至る所に傷がある精悍な野兎”だと言うが、さすがにこれは眉唾物だろう。たしかにルイズはタバサほどではないが小柄な少女だが、曲がりなりにも人間が兎ごときに遅れをとるとは思えない。
そんなとりとめもないことを考えながら、教室に入り、キュルケの隣に着席したところで、コルベール師が入って来た。
「え~、今日はみなさんに転校生を紹介します」
ガヤガヤガヤ……。
基本的に貴族の師弟が通うこの学院に学期の途中から転入生がいるということは、皆無ではないにせよ、非常に稀だ。
ざわめく生徒たちを尻目に、コルベール師は教室の外に呼びかけた。
「さ、入って来てください」
扉を開けて入って来たのは……。
「やあ。R・田中一郎くんだよ」
~「第2話.使い魔の正体の巻」 につづく~
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