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「ゼロを狩るモノたち」(2007/08/27 (月) 23:54:38) の最新版変更点
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「宇宙の果てのどこかにいる、わたしの下僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!
わたしは心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
呪文と共に杖を振り下ろすと爆発が起こった。
そして爆発により巻き起こった濃い爆煙を切り裂き一条の光が上空に飛び出した。
40数回目にしてようやく現れた光の塊を見て
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは思わず呟いた。
「……何、あれ」
光の塊、としかいいようのない何かが中空でふわふわと浮かんでいたのだ。
もしかしたらそういう生物なのかも、と期待したルイズは教師に尋ねてみた。
「ミスタ・コルベール! もしかして、あれがわたしの使い魔ですか?」
「……いや、あれには意思を感じない。使い魔ではなさそうだ」
否定の言葉にルイズは挫けそうになった。
(だが、あれは一体? もしかして魔法なのか?)
コルベールは内心、首を傾げる。彼女が召喚したものがなんなのか見当も付かなかったからだ。
だが彼の思考は爆煙の中から響いてきた声によって中断させられた。
「グハッ! なんだこの煙は!」
「淳平! リッちゃん! 愛理! 大丈夫!?」
「ええ、大丈夫」
「セルシアさん、何だったんですかあの鏡は?」
煙の中から咳き込みながら更に4人の人間が現れた。
それを見てルイズの周囲の生徒がざわめいた。
「に、人間? しかも4人も」
「それにあの格好は平民だ! ゼロのルイズが平民を―――ってあれ?」
揶揄しようとした生徒の言葉がそこで止まった。
何故なら煙から出てきたソレを見てしまったからだ。
ツンツン頭の男――これは問題なかった。
ポニーテールの少女――これも問題なかった。
スラリとした美女――美人という以外は問題なかった。
問題は――
「おい、あの耳ってまさか」
「間違いないよ……あれは!」
ゆっくりとだがざわめきが生徒達の間に広まる。
ゆったりとしたローブを着た金髪の女性――そこまではいい。問題は彼女のその耳が長かった事。
ルイズだけではなくその場の一同全てが沈黙した。そして一瞬後、誰かが叫んだ。
「え、エルフだーーー!!」
そう、女性はどこからどう見てもエルフだったのだ。
その叫び声ではっとした生徒達のうち何人かが叫びながら逃げ出す。
すると連鎖的に他の生徒も恐慌状態に陥り、必死の形相で逃げ出した。
「ゼロのルイズがよりによってエルフを召喚したぞー!!」
「喰われるぞ! 逃げろーーー!」
その様子はさながら阿鼻叫喚だった。
「ちょ、ちょっと何よその反応! コモンエルフ族の長にして
この美しきセルシア様を見てなんで悲鳴をあげんのよ!? ってゆーか食べないわよ!」
あまりの反応にエルフの女性――セルシアは地団太を踏んだ。
彼女のいた世界ではエルフと人間の関係は極めて良好で
このように恐れられるなんて体験は彼女にとって初めてだったのだ――素の状態ではだけど。
そばに居たツンツン頭の男――淳平は呆れたように肩をすくめ言い放つ。
「はっ、何が美しきだ。おまえなんか『うっかりエルフ』で十分だ」
「な、なによー! バカ淳平に言われたくないわよ!」
「やるかコラ!!」
「そっちこそ!!」
「ちょっと2人とも、今はそんな事やってる場合じゃないでしょ!」
こんな状況でもケンカを始める2人に呆れながら、ポニーテールの少女――律子は慌てて止めに入った。
「なんかセルシアさん怖がられてるみたいだし……大体、ここって何処?」
きょろきょろと辺りを見回す律子。
それに賛同するようにスラリとした美女――愛理もケンカを止めに入った。
「2人とも、リッちゃんの言う通りよ。今はそんな事をしている場合じゃないわ」
そして空を指差しながら口を添える。
「それにそっちも気になるけど、もっと気になるものがあるわ……みんな、あれを見て」
その言葉に淳平は即座にケンカを止めて空を見上げた。
「はいっ! どこですか愛理さん……って!!」
「え、あれって」
「「「送元呪文!?」」」
「な、なんであんな所に!?」
「セルシアさん、とにかく呪文の回収を」
「そ、そうね――彷徨える汝……」
愛理の言葉にセルシアが慌てて呪文を唱えるがその行動は少し遅かった。
パン!!
そんな音を響かせ中空に浮かんだ光の塊は4つに別れ、流星のように空を切り裂いた。
そして何故かそのうち一つはルイズに命中していた。
「くっ……間に合わなかった!」
「あの子に当たった? でも、あの子人間ですよね? なんで人間に?」
「セルシアさん、こういう事ってありえるのかしら?」
「おい、セルシア何とか言えよ!」
「そ、そんな事いったって……わ、私にも判らないわよ!!」
―――――――
わいわいと騒いでいる4人を横目にルイズは必死に訴えた。
「ミスタ・コルベール! 契約をさせてください!」
「それは出来ない。ミス・ヴァリエール」
「でも、エルフを使い魔に出来るチャンスなんです!」
「いけません。エルフを相手に契約など認められません。即刻儀式を中断し、避難しなさい」
コルベールの額から嫌な汗が流れ落ちる。今はいいが、もしエルフがこちらを攻撃してきたら?
それを思うと彼の肝は冷えた。まだこの場には数人の生徒が残っている。
エルフが本気で攻撃してきたら、例え二度と使わぬと誓った炎を持ってしても彼らを守る事は難しいだろう。
一方、教師の思惑とは裏腹にルイズは舞い上がっていた。
「せっかくのエルフなのに……」
確かにエルフに対する恐怖心はあったがそれよりも歓喜の方が大きかった。
召喚魔法に成功したばかりか、呼び出せたのはなんとエルフ(3人ほど平民もいたが)。
強大な先住の魔法を使える彼らを使い魔に出来れば、もう誰も彼女をゼロなんていわなくなるだろう。
ルイズにとって今の状況はピンチと同時にチャンスでもあった。
「先ほどの光も何らかの攻撃かもしれない、早く避難したまえ」
だが、ルイズはその言葉に逆らった。
「待ちたまえ! ミス・ヴァリエール!」
彼女はコルベールの制止を振り切り、騒いでる4人の前に飛び出した。
「ん……何だ?」
「平民に用は無いわ。わ、わたしはそっちのエルフに用があるの!」
淳平の問いに、緊張しながらもルイズはそう言った。
「あー? セルシアに? おいセルシア、この偉そうなのはお前の知り合いか?」
「え、知らない顔だけど……あなたは?」
セルシアの問いに答える余裕はルイズにはなかった。
とにかく契約しなければ……彼女の頭の中はその思いで一杯だった。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
「使い魔ですって!?」
一息で呪文を唱え、ルイズはセルシアの唇に顔を近づけるが、ルイズの呪文を聞いたセルシアは慌てて避ける。
スカっ!
「ちょ、ちょっと! なんで避けるのよ!」
「冗談じゃないわよ! このコモンエルフの頂点に立つセルシア様が使い魔なんかに――」
そういいながらセルシアが後ろに下がろうとした時だった。
ズルリ。
地面のぬかるみに足を取られてセルシアはよろけた。そして――
ベシャ!
「へぷ」
「はう!」
ルイズに対して頭突きをする格好でキスをしてしまった。
「う、いたたた―――って、しまった!」
セルシアは体に流れる魔力を感じて思わず叫ぶ。
と同時に右手に激痛を感じて地面を転がった。
「う……くっ……!」
「セルシアさん!? 」
「おい、セルシア!」
慌てて淳平と律子が駆け寄る。
苦しむセルシアを見て、思わず律子はルイズに銃を向けた。
「あなた! いったいセルシアさんに何したの!?」
だがその問いにルイズは答えられなかった。強烈な頭突きを食らって気絶していたからだ。
「……あー、どうしましょう愛理さん?」
困った律子は愛理を見た。愛理はこういう時に頼りになる人だった。
「落ち着いてリッちゃん。事情を知っていそうな人間も居るようだし、まずは説明してもらいましょう。
よろしいかしら、ミスター?」
愛理は静かにコルベールに問うた。
生徒を放置するわけにも行かず、警戒しながらもコルベールはこの怪しげな4人組との接触を決断した。
少なくともこの4人に危険はないと判断したのだ。エルフもなんとなく間抜けそうだし。
「あー、その。君たちは召喚されたのですよ、彼女に」
コルベールはルイズを介抱しながら4人に召喚についての説明を始めた。
―――――――
「なるほどね」
一通り説明を聞いて、セルシアは納得したように頷く。
「それでわかったわ。召喚された影響で送元呪文が変化して
この子と似た波長を持つ魔法使いに呪文のかけらがプリントされたみたいね」
といってルイズを見た。
「……ということは?」
「とりあえず私たちがやる事はそれほど変わらないって事みたいね」
尋ねる淳平に愛理が答えた。
「その使い魔のルーンっていうのはどうなの? この子から離れられなくなるとか?」
「なんとなくこの子の為に何かしたいって気持ちがわいてくるんだけど……これがルーンの効果かしら?
まあ、多分大丈夫よ。とりあえずはあなた達3人を日本に返すのが先決だしね」
心配そうな律子にセルシアがそう言った。
「そうか――じゃあ、さっそく!」
それを聞いて手をわきわきと動かしながら淳平はルイズに近寄る。
「な、な、何? 事情がわかったなら……って何?何する気!?」
今だ痛む頭を押さえながら、その手の動きに不吉な何かを感じたルイズは思わず後退った。
「ごめんなさいね、私たちが日本に帰るためには……」
「あなたの体にプリントされた呪文のかけらを回収しなくちゃいけないの!」
愛理と律子が謝ると同時に退路を塞いだ。そして正面から淳平がルイズに飛び掛った。
「とゆーわけで……メイジは脱がーす!」
ビリビリビリッ!!
「いやああああああああああああああああああ!!!」
―――――――
こうしてルイズは希少な使い魔を手に入れた(?)のだが、
変わりに公衆の面前で全裸にひん剥かれるという屈辱を味わったのであった。
おわり。
「宇宙の果てのどこかにいる、わたしの下僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!
わたしは心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
呪文と共に杖を振り下ろすと爆発が起こった。
そして爆発により巻き起こった濃い爆煙を切り裂き一条の光が上空に飛び出した。
40数回目にしてようやく現れた光の塊を見て
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは思わず呟いた。
「……何、あれ」
光の塊、としかいいようのない何かが中空でふわふわと浮かんでいたのだ。
もしかしたらそういう生物なのかも、と期待したルイズは教師に尋ねてみた。
「ミスタ・コルベール! もしかして、あれがわたしの使い魔ですか?」
「……いや、あれには意思を感じない。使い魔ではなさそうだ」
否定の言葉にルイズは挫けそうになった。
(だが、あれは一体? もしかして魔法なのか?)
コルベールは内心、首を傾げる。彼女が召喚したものがなんなのか見当も付かなかったからだ。
だが彼の思考は爆煙の中から響いてきた声によって中断させられた。
「グハッ! なんだこの煙は!」
「淳平! リッちゃん! 愛理! 大丈夫!?」
「ええ、大丈夫」
「セルシアさん、何だったんですかあの鏡は?」
煙の中から咳き込みながら更に4人の人間が現れた。
それを見てルイズの周囲の生徒がざわめいた。
「に、人間? しかも4人も」
「それにあの格好は平民だ! ゼロのルイズが平民を―――ってあれ?」
揶揄しようとした生徒の言葉がそこで止まった。
何故なら煙から出てきたソレを見てしまったからだ。
ツンツン頭の男――これは問題なかった。
ポニーテールの少女――これも問題なかった。
スラリとした美女――美人という以外は問題なかった。
問題は――
「おい、あの耳ってまさか」
「間違いないよ……あれは!」
ゆっくりとだがざわめきが生徒達の間に広まる。
ゆったりとしたローブを着た金髪の女性――そこまではいい。問題は彼女のその耳が長かった事。
ルイズだけではなくその場の一同全てが沈黙した。そして一瞬後、誰かが叫んだ。
「え、エルフだーーー!!」
そう、女性はどこからどう見てもエルフだったのだ。
その叫び声ではっとした生徒達のうち何人かが叫びながら逃げ出す。
すると連鎖的に他の生徒も恐慌状態に陥り、必死の形相で逃げ出した。
「ゼロのルイズがよりによってエルフを召喚したぞー!!」
「喰われるぞ! 逃げろーーー!」
その様子はさながら阿鼻叫喚だった。
「ちょ、ちょっと何よその反応! コモンエルフ族の長にして
この美しきセルシア様を見てなんで悲鳴をあげんのよ!? ってゆーか食べないわよ!」
あまりの反応にエルフの女性――セルシアは地団太を踏んだ。
彼女のいた世界ではエルフと人間の関係は極めて良好で
このように恐れられるなんて体験は彼女にとって初めてだったのだ――素の状態ではだけど。
そばに居たツンツン頭の男――淳平は呆れたように肩をすくめ言い放つ。
「はっ、何が美しきだ。おまえなんか『うっかりエルフ』で十分だ」
「な、なによー! バカ淳平に言われたくないわよ!」
「やるかコラ!!」
「そっちこそ!!」
「ちょっと2人とも、今はそんな事やってる場合じゃないでしょ!」
こんな状況でもケンカを始める2人に呆れながら、ポニーテールの少女――律子は慌てて止めに入った。
「なんかセルシアさん怖がられてるみたいだし……大体、ここって何処?」
きょろきょろと辺りを見回す律子。
それに賛同するようにスラリとした美女――愛理もケンカを止めに入った。
「2人とも、リッちゃんの言う通りよ。今はそんな事をしている場合じゃないわ」
そして空を指差しながら口を添える。
「それにそっちも気になるけど、もっと気になるものがあるわ……みんな、あれを見て」
その言葉に淳平は即座にケンカを止めて空を見上げた。
「はいっ! どこですか愛理さん……って!!」
「え、あれって」
「「「送元呪文!?」」」
「な、なんであんな所に!?」
「セルシアさん、とにかく呪文の回収を」
「そ、そうね――彷徨える汝……」
愛理の言葉にセルシアが慌てて呪文を唱えるがその行動は少し遅かった。
パン!!
そんな音を響かせ中空に浮かんだ光の塊は4つに別れ、流星のように空を切り裂いた。
そして何故かそのうち一つはルイズに命中していた。
「くっ……間に合わなかった!」
「あの子に当たった? でも、あの子人間ですよね? なんで人間に?」
「セルシアさん、こういう事ってありえるのかしら?」
「おい、セルシア何とか言えよ!」
「そ、そんな事いったって……わ、私にも判らないわよ!!」
―――――――
わいわいと騒いでいる4人を横目にルイズは必死に訴えた。
「ミスタ・コルベール! 契約をさせてください!」
「それは出来ない。ミス・ヴァリエール」
「でも、エルフを使い魔に出来るチャンスなんです!」
「いけません。エルフを相手に契約など認められません。即刻儀式を中断し、避難しなさい」
コルベールの額から嫌な汗が流れ落ちる。今はいいが、もしエルフがこちらを攻撃してきたら?
それを思うと彼の肝は冷えた。まだこの場には数人の生徒が残っている。
エルフが本気で攻撃してきたら、例え二度と使わぬと誓った炎を持ってしても彼らを守る事は難しいだろう。
一方、教師の思惑とは裏腹にルイズは舞い上がっていた。
「せっかくのエルフなのに……」
確かにエルフに対する恐怖心はあったがそれよりも歓喜の方が大きかった。
召喚魔法に成功したばかりか、呼び出せたのはなんとエルフ(3人ほど平民もいたが)。
強大な先住の魔法を使える彼らを使い魔に出来れば、もう誰も彼女をゼロなんていわなくなるだろう。
ルイズにとって今の状況はピンチと同時にチャンスでもあった。
「先ほどの光も何らかの攻撃かもしれない、早く避難したまえ」
だが、ルイズはその言葉に逆らった。
「待ちたまえ! ミス・ヴァリエール!」
彼女はコルベールの制止を振り切り、騒いでる4人の前に飛び出した。
「ん……何だ?」
「平民に用は無いわ。わ、わたしはそっちのエルフに用があるの!」
淳平の問いに、緊張しながらもルイズはそう言った。
「あー? セルシアに? おいセルシア、この偉そうなのはお前の知り合いか?」
「え、知らない顔だけど……あなたは?」
セルシアの問いに答える余裕はルイズにはなかった。
とにかく契約しなければ……彼女の頭の中はその思いで一杯だった。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
「使い魔ですって!?」
一息で呪文を唱え、ルイズはセルシアの唇に顔を近づけるが、ルイズの呪文を聞いたセルシアは慌てて避ける。
スカっ!
「ちょ、ちょっと! なんで避けるのよ!」
「冗談じゃないわよ! このコモンエルフの頂点に立つセルシア様が使い魔なんかに――」
そういいながらセルシアが後ろに下がろうとした時だった。
ズルリ。
地面のぬかるみに足を取られてセルシアはよろけた。そして――
ベシャ!
「へぷ」
「はう!」
ルイズに対して頭突きをする格好でキスをしてしまった。
「う、いたたた―――って、しまった!」
セルシアは体に流れる魔力を感じて思わず叫ぶ。
と同時に右手に激痛を感じて地面を転がった。
「う……くっ……!」
「セルシアさん!? 」
「おい、セルシア!」
慌てて淳平と律子が駆け寄る。
苦しむセルシアを見て、思わず律子はルイズに銃を向けた。
「あなた! いったいセルシアさんに何したの!?」
だがその問いにルイズは答えられなかった。強烈な頭突きを食らって気絶していたからだ。
「……あー、どうしましょう愛理さん?」
困った律子は愛理を見た。愛理はこういう時に頼りになる人だった。
「落ち着いてリッちゃん。事情を知っていそうな人間も居るようだし、まずは説明してもらいましょう。
よろしいかしら、ミスター?」
愛理は静かにコルベールに問うた。
生徒を放置するわけにも行かず、警戒しながらもコルベールはこの怪しげな4人組との接触を決断した。
少なくともこの4人に危険はないと判断したのだ。エルフもなんとなく間抜けそうだし。
「あー、その。君たちは召喚されたのですよ、彼女に」
コルベールはルイズを介抱しながら4人に召喚についての説明を始めた。
―――――――
「なるほどね」
一通り説明を聞いて、セルシアは納得したように頷く。
「それでわかったわ。召喚された影響で送元呪文が変化して
この子と似た波長を持つ魔法使いに呪文のかけらがプリントされたみたいね」
といってルイズを見た。
「……ということは?」
「とりあえず私たちがやる事はそれほど変わらないって事みたいね」
尋ねる淳平に愛理が答えた。
「その使い魔のルーンっていうのはどうなの? この子から離れられなくなるとか?」
「なんとなくこの子の為に何かしたいって気持ちがわいてくるんだけど……これがルーンの効果かしら?
まあ、多分大丈夫よ。とりあえずはあなた達3人を日本に返すのが先決だしね」
心配そうな律子にセルシアがそう言った。
「そうか――じゃあ、さっそく!」
それを聞いて手をわきわきと動かしながら淳平はルイズに近寄る。
「な、な、何? 事情がわかったなら……って何?何する気!?」
今だ痛む頭を押さえながら、その手の動きに不吉な何かを感じたルイズは思わず後退った。
「ごめんなさいね、私たちが日本に帰るためには……」
「あなたの体にプリントされた呪文のかけらを回収しなくちゃいけないの!」
愛理と律子が謝ると同時に退路を塞いだ。そして正面から淳平がルイズに飛び掛った。
「とゆーわけで……メイジは脱がーす!」
ビリビリビリッ!!
「いやああああああああああああああああああ!!!」
―――――――
こうしてルイズは希少な使い魔を手に入れた(?)のだが、
変わりに公衆の面前で全裸にひん剥かれるという屈辱を味わったのであった。
おわり。
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