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「魔法少女リリカルルイズ10」(2009/03/04 (水) 21:13:09) の最新版変更点
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#navi(魔法少女リリカルルイズ)
その日の午後の授業は使い魔とのコミュニケーションのために休講となっている。
学園の庭では二年生達は使い魔と思い思いに過ごしている。
その中でギーシュは自分の使い魔のジャイアントモールのヴェルダンデがいかに素晴らしいかをテーブルの向かいに座っているモンモランシーに暑く、熱く語っていた。
知的な瞳だとか、官能的なさわり心地といったギーシュにしか解らないようなモグラの魅力を聞かされたモンモランシーはうんざりしていたが、
「君の使い魔もキュートなところが君にそっくりだよ」
などと言われると、悪い気は全くしなかった。
「相変わらずお上手ね」
と、全部わかっているように言うのもギーシュの次のお世辞を引き出すためだ。
「僕は君の瞳には嘘はつけないよ」
定番の麗句を聞いたモンモランシーは気になることを思い出す。
本当だろうか、と思って問いただすことにした。
「でも、最近一年生ともつきあってるって噂を聞いたんだけど」
ぎく。
あからさまにギーシュの体と声が硬くなる。
なんとかごまかさないと。
「バカなことを、君への思いに裏表なんて……」
モンモランシーの脳細胞がその言葉の裏にあるものを察知し目がつり上がる直前、ギーシュとモンモランシーの間にある机が轟音を立て、破片と土煙を周囲にぶちまけた。
ついでにモンモランシーの頭からは自分がなにを察知したか、しようとしたかが吹っ飛んでしまった。
ギーシュとモンモランシーの間にあった机だったものは周囲の生徒と使い魔の注目を集めることとなった。
土煙が立ちこめる中、そこでなにが起こったかを皆が無責任に想像を始める。
隕石が落ちたのか?
いや、地下から怪物出現か?
いやいや、ギーシュに怒ったモンモランシーが香水で破壊したのか?
どんな香水かは不明だが。
だが、煙が晴れるとその場にいた全員が納得することとなる。
「いったーい」
そこにはルイズがいたからだ。
ルイズと言えば爆発。爆発と言えばルイズ。
なので、ここで爆発が起こったのは何ら不思議ではないと言うわけだ。
腰をさすって、ユーノを肩に乗せながらテーブルの残骸を杖に立ち上がったルイズは近くの見知ったメイドであるところのシエスタを見つけた。
「そこのあなた」
「は、はい」
「湿布持ってきて。腰、打っちゃたのよ。いたた」
あわてて走っていくシエスタを見送ったルイズはやっとテーブルだった残骸を手放し、自分の足で立ち上がった。
そこでやっとその場にいる全員がルイズを注目しているのに気づく。
周りを見回したルイズは手を君で少し考え、一言言った。
「ちょっと、失敗しちゃった」
周りの生徒達は一斉に叫んだ。
「どういう失敗だ!!」
ほとんどのものはそれですませたが、ギーシュはそれでは収まらない。
驚いてそばに来ているモンモランシーの肩を抱いて、かっこいいと思っている角度でルイズに顔を向ける。
「だいたい、そこで君はなにをしていたんだね」
「ちょっと魔法の練習をしていたのよ」
モンモランシーが不安げに自分の方を見ている……と思い込んだギーシュはルイズにさらに言葉をぶつける。
「君が魔法の練習を?よしたまえ、爆発を起こすだけじゃないか。見たまえ、モンモランシーもおびえている」
今のセリフはかっこいい……と思ったギーシュが後を続けようとしたができなかった。
ルイズをはさんだ向かい側にバスケットを持ったケティがいたからだ。
「ギーシュ様……その方……一体……せっかく」
「こ、これは……いや、その」
あわてるギーシュにモンモランシーが追い打ちをかける。
「ギーシュ……さっきの噂、やっぱり」
モンモランシーは吹っ飛んだはずのことを思い出していた。
「ギーシュ様酷い……そんな方がおられたなんて……私だけって言ったのに」
それを聞いたモンモランシーはギーシュを睨みつけた。
逃げたくなるような目つきで。
「あなた、さっき、私に同じようなこと言ってたわね」
「そんな、この方にも?嘘ですよね?ギーシュ様」
ルイズのことなど、すでにもうどうでもよくなった二人がギーシュをさらに追い詰める。
「落ち着いてくれたまえ。二人とも。これにはわけが……」
あるはずがない。
「うそつきっ」「うそつきっ」
二人は同時にギーシュの頬に手のひらを見舞った。
モンモランシーは右に。
ケティは左に。
ギーシュの両頬に微妙に形の違う赤い手形が2つできた。
「ふんっ」「ふんっ」
呆然とするギーシュを置いて、二人は近づきたくない雰囲気を纏いどこかに行ってしまう。
「ま、待ってくれたまえっ」
ようやく気づいたギーシュは青い石を中心に置いた薔薇を着けた杖を振り回しながら二人を追いかけていった。
状況において行かれたルイズは走っていくギーシュを見ていた。
次第に、視線が一点に集まっていく。
ギーシュの振り回している杖の先についた薔薇。
その中心にある青い石に。
「あーーーーーっ」「あーーーーーっ」
ユーノは思わず声を出す。
あわててルイズがユーノの口を押さえて周りの生徒を見る。
どうやら誰も気づいていないようだ。
(ルイズ、今の)
気づかれないように今度は念話を使う。
(わかってるわ。あれって、ジュエルシードよね)
(うん、間違いない)
ルイズは走り出す。
「ちょっと、ギーシュ!待ちなさいよ!!」
ルイズもいなくなってしまった。
そこにいる生徒達は状況が読めていなかったが、その中にはキュルケもいた。
「なによ、あの四人」
とりあえず、状況を整理するが何が何だかよくわからない。
悩むキュルケに話しかける者がいた。
「あの、ミス・ヴァリエールがどこに行かれたか、ご存じありませんか?」
キュルケは名前は知らないがシエスタだ。
「あー、あの娘ならさっきあっちに走っていったわよ」
「ありがとうございます」
シエスタは一礼してルイズを追っていった。
「ふーん」
キュルケは考える。
恋のもつれでどこかに行ったモンモランシーとケティ。
それを追って行ったギーシュ。
さらに、そのギーシュを追って行ったルイズ。
さらにさらに、ルイズを追いかけていったメイド。
なにが起こっているのかさっぱり解らなかったが1つ解ることがあった。
「なにか、面白そうじゃない」
キュルケは一言つぶやいて口の両端をあげると、メイドを追っていった。
他の生徒達も考える。
そしてキュルケと同じように笑うと、キュルケを追って走って行った。
「ギーシュ!ちょっと待ちなさい!」
ギーシュは自分を呼び止めるルイズの声を無視した。
「待ちなさいよ!」
待っていられるはずがない。
角をいくつか曲がっているうちにケティを見失ってしまった。
今、ギーシュが追いかけているのはモンモランシーだ。
走って、追いかけてヴェストリの広場まで来てしまった。
「待ってって言ってるでしょ!聞こえないの?」
ヴェストリの広場は昼間でも人が少なく、今は誰もない。
ルイズの声がよく響く。
「いいかげん止まりなさいよ!ギーシュ・ド・グラモン !!!」
あまりにうるさいのでとうとう振り向くことにした。
「ええい、いったい何のようなんだね。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!」
立ち止まったギーシュにルイズが走って追いつく。
「貴族たるもの、マントを振り乱して大声を出すものじゃない。それに僕は今忙しいんだ。後にしてくれたまえ」
だが、ルイズはそんなことは聞かない。
「あなたの杖の先についているそれ!」
行きが落ち着くと、すかさず話し始める。
「この薔薇かい?」
「ちがうわ。その薔薇の中に入れている青い石。それ返して!」
「この石を?」
「そうよ!早く返して」
「ふむ」
公爵家の娘の持ち物にしてはみすぼらしい気もするが、そんなものをここまで追いかけてくると言うことはルイズの言う通りなのかも知れない。
それに、どうせ拾ったものだ。
気に入ってはいるが無理に自分のものにするほどのものでもない。
「いいだろう。ただし……」
授業では爆発に見舞われた。
さっきはルイズにモンモランシーとの会話をぶちこわされた。
少しくらい、意地の悪いことをしてもいいだろう。
ギーシュは杖を振る。
「僕のワルキューレと話し合ってからにするといい」
一枚の花びらと青い石が宙を舞った。
#navi(魔法少女リリカルルイズ)
#navi(魔法少女リリカルルイズ)
その日の午後の授業は使い魔とのコミュニケーションのために休講となっている。
学園の庭では二年生達は使い魔と思い思いに過ごしている。
その中でギーシュは自分の使い魔のジャイアントモールのヴェルダンデがいかに素晴らしいかをテーブルの向かいに座っているモンモランシーに熱く、そして暑苦しく語っていた。
知的な瞳だとか、官能的なさわり心地といったギーシュにしか解らないようなモグラの魅力を聞かされたモンモランシーはうんざりしていたが、
「君の使い魔もキュートなところが君にそっくりだよ」
などと言われると悪い気は全くしなかった。
「相変わらずお上手ね」
と、全部わかっているように言うのもギーシュの次のお世辞を引き出すためだ。
「僕は君の瞳には嘘はつけないよ」
定番の麗句を聞いたモンモランシーは気になることを思い出す。
本当だろうか、と思って問いただすことにした。
「でも、最近一年生ともつきあってるって噂を聞いたんだけど」
ぎく。
あからさまにギーシュの体と声が硬くなる。
「バカなことを、君への思いに裏表なんて……」
モンモランシーの脳細胞がその言葉の裏にあるものを察知し目がつり上がる直前、ギーシュとモンモランシーの間にある机が轟音を立て、破片と土煙を周囲にぶちまけた。
ついでにモンモランシーの頭からは自分がなにを察知したかが吹っ飛んでしまった。
ギーシュとモンモランシーの間にあった机だったものは周囲の生徒と使い魔の注目を集めることとなった。
土煙が立ちこめる中、皆が無責任にそこでなにが起こったか想像を始める。
隕石が落ちたのか?
いや、地下から怪物出現か?
いやいや、ギーシュに怒ったモンモランシーが香水で破壊したのか?
どんな香水かは不明だが。
だが煙が晴れるとその場にいた全員が納得することとなった。
「いったーい」
そこにはルイズがいたからだ。
ルイズと言えば爆発。爆発と言えばルイズ。
なので、ここで爆発が起こったのは何ら不思議ではないと言うわけだ。
ユーノを肩に乗せながらテーブルの残骸を杖に腰をさすって立ち上がったルイズは、近くの見知ったメイドであるところのシエスタを見つけた。
「そこのあなた」
「は、はい」
「湿布持ってきて。腰、打っちゃたのよ。いたた」
あわてて走っていくシエスタを見送ったルイズはやっとテーブルだった残骸を手放し、自分の足で立ち上がった。
そこでやっとその場にいる全員がルイズを注目しているのに気づく。
周りを見回したルイズは手を組んで少し考え、一言言った。
「ちょっと失敗しちゃった」
周りの生徒達は一斉に叫んだ。
「どういう失敗だ!!」
ほとんどのものはそれですませたが、ギーシュはそれでは収まらない。
驚いてそばに来ているモンモランシーの肩を抱いて、かっこいいと思っている角度でルイズに顔を向ける。
「だいたい、そこで君はなにをしていたんだね」
「ちょっと魔法の練習をしていたのよ」
モンモランシーが不安げに自分の方を見ている……と思い込んだギーシュはルイズに次の言葉をぶつける。
「君が魔法の練習を?よしたまえ。爆発を起こすだけじゃないか。見たまえ。モンモランシーもおびえている」
今のセリフはかっこいい……と思ったギーシュが後を続けようとしたができなかった。
ルイズをはさんだ向かい側にバスケットを持ったケティがいたからだ。
「ギーシュ様……その方……一体……せっかく」
「こ、これは……いや、その」
あわてるギーシュにモンモランシーが追い打ちをかける。
「ギーシュ……さっきの噂、やっぱり」
モンモランシーは頭から吹っ飛んだはずのことを思い出していた。
「ギーシュ様酷い……そんな方がおられたなんて……私だけって言ったのに」
それを聞いたモンモランシーはギーシュを睨みつけた。逃げたくなるような目つきで。
「あなた、さっき、私に同じようなこと言ってたわね」
「そんな、この方にも?嘘ですよね?ギーシュ様」
ルイズのことなど、すでにもうどうでもよくなった二人がギーシュをさらに追い詰める。
「落ち着いてくれたまえ。二人とも。これにはわけが……」
あるはずがない。
「うそつきっ」「うそつきっ」
二人は同時にギーシュの頬に手のひらを見舞った。
モンモランシーは右に。
ケティは左に。
ギーシュの両頬に微妙に形の違う赤い手形が2つできた。
「ふんっ」「ふんっ」
呆然とするギーシュを置いて、二人は近づきたくない雰囲気を纏いどこかに行ってしまう。
「ま、待ってくれたまえっ」
ようやく気づいたギーシュは青い石を中心に置いた薔薇を着けた杖を振り回しながら二人を追いかけていった。
状況において行かれたルイズは走っていくギーシュを見ていた。
次第に視線が一点に集まっていく。
ギーシュの振り回している杖の先についた薔薇。
その中心にある青い石に。
「あーーーーーっ」「あーーーーーっ」
ユーノは思わず声を出す。
あわててルイズがユーノの口を押さえて周りの生徒を見る。
どうやら誰も気づいていないようだ。
(ルイズ、今の)
気づかれないように今度は念話を使う。
(わかってるわ。あれって、ジュエルシードよね)
(うん、間違いない)
ルイズは走り出す。
「ちょっと、ギーシュ!待ちなさいよ!!」
ルイズもいなくなってしまった。
そこにいる生徒達は状況が読めていなかった。
そして、その中にはキュルケもいた。
「なによ、あの四人」
とりあえず状況を整理するが何が何だかよくわからない。
悩むキュルケに話しかける者がいた。
「あの、ミス・ヴァリエールがどこに行かれたか、ご存じありませんか?」
キュルケは名前は知らないがシエスタだ。
「あー、あの娘ならさっきあっちに走っていったわよ」
「ありがとうございます」
シエスタは一礼してルイズを追っていった。
「ふーん」
キュルケは考える。
恋のもつれでどこかに行ったモンモランシーとケティ。
それを追って行ったギーシュ。
さらに、そのギーシュを追って行ったルイズ。
さらにさらに、ルイズを追いかけていったメイド。
なにが起こっているのかさっぱり解らなかったが1つ解ることがあった。
「なにか面白そうじゃない」
キュルケは一言つぶやいて口の両端をあげると、メイドを追っていった。
他の生徒達も考える。
そしてキュルケと同じように笑うと、キュルケを追って走って行った。
「ギーシュ!ちょっと待ちなさい!」
ギーシュは自分を呼び止めるルイズの声を無視した。
「待ちなさいよ!」
待っていられるはずがない。
角をいくつか曲がっているうちにケティを見失ってしまった。
今、ギーシュが追いかけているのはモンモランシーだ。
走って追いかけてヴェストリの広場まで来てしまった。
「待ってって言ってるでしょ!聞こえないの?」
ヴェストリの広場は昼間でも人が少なく、今は誰もない。
おかげでルイズの声がよく響く。
「いいかげん止まりなさいよ!ギーシュ・ド・グラモン !!!」
あまりにうるさいのでとうとう振り向くことにした。
「ええい、いったい何のようなんだね。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!」
立ち止まったギーシュにルイズが走って追いつく。
「貴族たるもの、マントを振り乱して大声を出すものじゃない。それに僕は今忙しいんだ。後にしてくれたまえ」
だがルイズはそんなことは聞かない。
「あなたの杖の先についているそれ!」
呼吸を落ち着かせてすかさず話し始める。
「この薔薇かい?」
「ちがうわ。その薔薇の中に入れている青い石。それ返して!」
「この石を?」
「そうよ!早く返して」
「ふむ」
公爵家の娘の持ち物にしてはみすぼらしい気もするが、そんなものをここまで追いかけてくると言うことはルイズの持ち物なのかも知れない。
それに、どうせ拾ったものだ。
気に入ってはいるが無理に自分のものにするほどの物でもない。
「いいだろう。ただし……」
授業では爆発に見舞われた。
さっきはルイズにモンモランシーとの会話をぶちこわされた。
少しくらい意地の悪いことをしてもいいだろう。
そう考えたギーシュは杖を振る。
「僕のワルキューレと話し合ってからにするといい」
一枚の花びらと青い石が宙を舞った。
#navi(魔法少女リリカルルイズ)
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