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「使い魔のカービィ 04」(2007/08/21 (火) 13:18:14) の最新版変更点
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「あなたの使い魔って、これ?」
「ぽよ?」
燃えるような赤い髪、そして抜群のスタイルを誇示するような服装の少女ーーキュルケは、ルイズが抱きかかえているカービィを指さした。
カービィを『これ』扱いされ少しむっとするルイズだったが、相手をするのが面倒なのでこらえた。
「そうよ」
「へぇー」
キュルケがルイズに近付き、カービィをまじまじと見つめる。
そして何か考えた後、ルイズからカービィを取り上げた。
「あっ、ちょっと!」
使い魔を取られ、更に嫌悪感が募るルイズ。
それもそのはず、ルイズのヴァリエール家はキュルケのツェルプストー家に色々なものを奪われているのだ。
それは恋人だったり、婚約者だったり、更には配偶者までも……
とどのつまり、ヴァリエール家は恋愛においてツェルプストー家に猫ばばをくらい続けているのだ。
そして今度は使い魔まで取るつもりかと、ルイズがキュルケを怒鳴りつけようとした時だった。
「ぷっ、あっはっは! 本当にぬいぐるみを召喚したのね! 凄いじゃない! 『サモン・サーヴァント』でぬいぐるみを喚び出すなんて、あなたらしいわ。流石はゼロのルイズ」
「あんた……ぬいぐるみってそれ、わざと言ってない?」
「何のことかしら?」
この顔は絶対わざとだ。
ルイズは拳を握りしめ、つくづく癪に触るこの女をどうしてくれようかと考えていた。
しかしキュルケの攻撃は終わらない。
「それよりこの子触り心地良いわね。抱き枕に丁度良いかも」
「ぽよぉ……」
そう言うとカービィをギュッと抱きしめ、自慢の胸に埋めるキュルケ。
胸に圧迫され、カービィは少し苦しそうに手足をじたばたさせた。
しかし、抱きしめるという行為が最高の愛情表現(友情として)だと知っているからか、あまり悪い気はしていないようだ。
「ちょっと! あんたの邪魔な胸でカービィを窒息死させる気!?」
ルイズはカービィの手をむんずと掴み、キュルケから強引に奪い返した。
「第一カービィを抱き枕にしていいのはご主人様の私だけなのよ!」
カービィをキュルケから離し、ガルルと喉を鳴らして威嚇するルイズ。
ルイズの方が強くカービィを抱き締めているので、こちらの方が今にも窒息死しそうだ。
「ふぅん、随分ご執心ね……まあ、いいけど。私はもっと凄いのを喚んだから。しかもどこぞの誰かさんと違って1回で! 使い魔にするならこういうのがいいわよねぇ、フレイムー」
キュルケがそう言うと、彼女の部屋から大きくて真っ赤なトカゲがのっそのっそと歩いてきた。
尻尾は炎で出来ており、美しく燃えている。
「ぽよっ!」
「あっ、カービィ!」
カービィはルイズの手から離れ、フレイムを見つめる目を新しいおもちゃを貰った子供のように輝かせた。
「あら、この子にはフレイムの良さが分かるみたいね。それはそうよね、フレイムは火竜山脈のサラマンダーなんだから。評論家に見せたら値段もつけられないわよ」
「あっそ……」
「何よ、つれないわね。じゃあ、私は先に食堂に行ってるから。行くわよ、フレイム」
足元を見るキュルケだが、そこにフレイムはいなかった。
「あら?」
「あんたの使い魔なら後ろよ、後ろ」
「えっ?」
ルイズがキュルケの後ろを指さす。
それをキュルケは目で追っていき……
「ぽよぽよー♪」
「きゅるるるるー」
フレイムに乗り上機嫌なカービィと、カービィを乗せてクルクル回るフレイムを見つけた。
「カービィ……ツェルプストーなんかの使い魔と仲良くするなんて……」
「もう、フレイム……」
2人は主人同士が言い争っているにも関わらず、仲良く遊ぶ2匹を見てガックリと肩を落とした。
そんな2匹に興がそがれたのか、キュルケはカービィをフレイムから降ろすと食堂の方へ歩いていった。
去り際にカービィの頭を撫でていたことから、彼女もカービィが気に入ったようだ。
ルイズはそれが気に入らない。
「まったく……朝から余計なエネルギー使っちゃったわね……」
「ぽよ?」
再びルイズの腕の中に収まったカービィは、そんな彼女のグッタリした顔を不思議そうにのぞき込んだ。
「カービィいい? あんまりキュルケと仲良くしちゃいけないわよ?」
「ぽよっ! キュルケ!」
「……ホントに分かってるのかしら」
多分分かっていない。
ルイズは溜め息ついてカービィを降ろすと、中途半端だった着替えを再開した。
『アルヴィーズの食堂』には、今日も沢山の生徒と豪華な料理が所狭しと並んでいた。
食堂内は嗅ぐだけで腹が鳴りそうないい匂いが立ちこめており、今し方入ってきたルイズとカービィの食欲を刺激する。
何人かルイズ達を見て笑ったり指を指す生徒もいたが、ルイズは全力でそれを無視した。
カービィにいたっては料理しか見えていない。
「ぽよぉーー!」
「カービィ、待って!」
「………ぽよ?」
いざ料理にありつこうと突撃したカービィを、ルイズが一旦制した。
カービィはルイズに手招きされるまま、彼女の下へと近付く。
「いい、カービィ? 本当はここは貴族しか入っちゃいけないの。だけど、あなたは私の使い魔だから特別に入れてあげてるのよ?」
「ぽぉよ?」
「だから、ここではしゃいだり遊んだりしちゃダメだからね。分かった?」
「ぽよっ!」
先程同様分かっているかどうか不安ではあったが、取りあえずルイズはその返事に満足した。
「それじゃあ、食べましょうか」
「ぽよぉ!」
但しあなたの食事はあっちに……とルイズが言おうとした瞬間、カービィが大きく口を開けた。
「へっ?」
次の瞬間、トライアングルクラスのメイジが起こしたような風がテーブルを襲った。
次々に浮かび上がり、風に巻き込まれてゆく食べ物。
食べ物だけではない、皿も、フォークも、ナイフも、花も、燭台も、全て風に巻き込まれた。
そしてそれらは風の出所へ、つまりはカービィの口の中へと吸い込まれた。
目の前の事象に言葉を失うルイズ。
後に残されたのはテーブルクロスと呆然とする生徒達のみだった。
いや、カービィはご丁寧に食べられない物を吐き出し始めた。
吐き出すと言うと汚い表現に聞こえてしまうので、ここでは単に口の中から出したと言った方がいいかもしれない。
カービィの口の中から出て来た皿やフォークはテーブルの上に転がり、カチャンと虚しい音を響かせた。
「ぷぃー」
満足げにお腹をさするカービィ。
「か、かかか……」
「ぽよ?」
口の周りを舌で舐めていると、ルイズがプルプルと震えているのに気が付いた。
その時カービィの頭が急速に働き、こういう食べ方をした後の記憶が鮮明に蘇ってきた。
「ぽょ……………」
怒鳴られ、ハンマーで叩かれ、車で追っかけられ……禄な思い出がない。
しかも目の前のルイズは今にも何かが爆発しそうに震えている。
カービィは来る爆撃に備え、頭を抱えて怯えた。
「カアアアァァァァァビイイィィィィィィ!!!」
「ぽよぉーーー!」
たまらず逃げ出すカービィだが、すぐにルイズに捕まる。
ルイズが手をカービィに伸ばす。
カービィは鉄拳制裁に耐えるため目を瞑った。
「凄い、凄いわ! あんな事が出来るのね!!」「ぽょ……?」
しかし、意外にもカービィに浴びせられたのは、罵倒ではなく賞賛だった。
目を開けるとルイズが心底嬉しそう微笑み、カービィを抱きしめている。
正直、カービィには何がなんだか。
「風のトライアングルメイジクラスの突風を起こして物を吸い込める使い魔なんて聞いたことないわ! やっぱりあなたは大当たりよ、カービィ!!」
カービィに頬摺りして喜びを表現するルイズ。
これはカービィの十八番、『吸い込み』で、彼の真価はまた別のところにあるのだが、今のルイズにはどうでもいいことだった。
とにかく、カービィが少しでも役に立つ可能性を見出したのだから。
そして、カービィは最後まで何故誉められたか理解しなかったが、それもルイズにはどうでもいいことだった。
数秒後、朝食を奪われた生徒達から罵詈雑言を雨霰のように降らされたのは別の話。
「あの食べっぷり……できる」
「へぇ、ただのぬいぐるみじゃないみたいね…………おめでと、ルイズ」
「あ、あの使い魔さん……あんなに凄かったの……」
「おおっ! あの真ん丸いい食いっぷりだな! 料理人名利に尽きるってもんだぜ!」
知らない所で青髪、赤髪、メイド、料理長の好感度を上げているカービィだが、それもまた別の話なのだ。
#navi(使い魔のカービィ)
「あなたの使い魔って、これ?」
「ぽよ?」
燃えるような赤い髪、そして抜群のスタイルを誇示するような服装の少女ーーキュルケは、ルイズが抱きかかえているカービィを指さした。
カービィを『これ』扱いされ少しむっとするルイズだったが、相手をするのが面倒なのでこらえた。
「そうよ」
「へぇー」
キュルケがルイズに近付き、カービィをまじまじと見つめる。
そして何か考えた後、ルイズからカービィを取り上げた。
「あっ、ちょっと!」
使い魔を取られ、更に嫌悪感が募るルイズ。
それもそのはず、ルイズのヴァリエール家はキュルケのツェルプストー家に色々なものを奪われているのだ。
それは恋人だったり、婚約者だったり、更には配偶者までも……
とどのつまり、ヴァリエール家は恋愛においてツェルプストー家に猫ばばをくらい続けているのだ。
そして今度は使い魔まで取るつもりかと、ルイズがキュルケを怒鳴りつけようとした時だった。
「ぷっ、あっはっは! 本当にぬいぐるみを召喚したのね! 凄いじゃない! 『サモン・サーヴァント』でぬいぐるみを喚び出すなんて、あなたらしいわ。流石はゼロのルイズ」
「あんた……ぬいぐるみってそれ、わざと言ってない?」
「何のことかしら?」
この顔は絶対わざとだ。
ルイズは拳を握りしめ、つくづく癪に触るこの女をどうしてくれようかと考えていた。
しかしキュルケの攻撃は終わらない。
「それよりこの子触り心地良いわね。抱き枕に丁度良いかも」
「ぽよぉ……」
そう言うとカービィをギュッと抱きしめ、自慢の胸に埋めるキュルケ。
胸に圧迫され、カービィは少し苦しそうに手足をじたばたさせた。
しかし、抱きしめるという行為が最高の愛情表現(友情として)だと知っているからか、あまり悪い気はしていないようだ。
「ちょっと! あんたの邪魔な胸でカービィを窒息死させる気!?」
ルイズはカービィの手をむんずと掴み、キュルケから強引に奪い返した。
「第一カービィを抱き枕にしていいのはご主人様の私だけなのよ!」
カービィをキュルケから離し、ガルルと喉を鳴らして威嚇するルイズ。
ルイズの方が強くカービィを抱き締めているので、こちらの方が今にも窒息死しそうだ。
「ふぅん、随分ご執心ね……まあ、いいけど。私はもっと凄いのを喚んだから。しかもどこぞの誰かさんと違って1回で! 使い魔にするならこういうのがいいわよねぇ、フレイムー」
キュルケがそう言うと、彼女の部屋から大きくて真っ赤なトカゲがのっそのっそと歩いてきた。
尻尾は炎で出来ており、美しく燃えている。
「ぽよっ!」
「あっ、カービィ!」
カービィはルイズの手から離れ、フレイムを見つめる目を新しいおもちゃを貰った子供のように輝かせた。
「あら、この子にはフレイムの良さが分かるみたいね。それはそうよね、フレイムは火竜山脈のサラマンダーなんだから。評論家に見せたら値段もつけられないわよ」
「あっそ……」
「何よ、つれないわね。じゃあ、私は先に食堂に行ってるから。行くわよ、フレイム」
足元を見るキュルケだが、そこにフレイムはいなかった。
「あら?」
「あんたの使い魔なら後ろよ、後ろ」
「えっ?」
ルイズがキュルケの後ろを指さす。
それをキュルケは目で追っていき……
「ぽよぽよー♪」
「きゅるるるるー」
フレイムに乗り上機嫌なカービィと、カービィを乗せてクルクル回るフレイムを見つけた。
「カービィ……ツェルプストーなんかの使い魔と仲良くするなんて……」
「もう、フレイム……」
2人は主人同士が言い争っているにも関わらず、仲良く遊ぶ2匹を見てガックリと肩を落とした。
そんな2匹に興がそがれたのか、キュルケはカービィをフレイムから降ろすと食堂の方へ歩いていった。
去り際にカービィの頭を撫でていたことから、彼女もカービィが気に入ったようだ。
ルイズはそれが気に入らない。
「まったく……朝から余計なエネルギー使っちゃったわね……」
「ぽよ?」
再びルイズの腕の中に収まったカービィは、そんな彼女のグッタリした顔を不思議そうにのぞき込んだ。
「カービィいい? あんまりキュルケと仲良くしちゃいけないわよ?」
「ぽよっ! キュルケ!」
「……ホントに分かってるのかしら」
多分分かっていない。
ルイズは溜め息ついてカービィを降ろすと、中途半端だった着替えを再開した。
『アルヴィーズの食堂』には、今日も沢山の生徒と豪華な料理が所狭しと並んでいた。
食堂内は嗅ぐだけで腹が鳴りそうないい匂いが立ちこめており、今し方入ってきたルイズとカービィの食欲を刺激する。
何人かルイズ達を見て笑ったり指を指す生徒もいたが、ルイズは全力でそれを無視した。
カービィにいたっては料理しか見えていない。
「ぽよぉーー!」
「カービィ、待って!」
「………ぽよ?」
いざ料理にありつこうと突撃したカービィを、ルイズが一旦制した。
カービィはルイズに手招きされるまま、彼女の下へと近付く。
「いい、カービィ? 本当はここは貴族しか入っちゃいけないの。だけど、あなたは私の使い魔だから特別に入れてあげてるのよ?」
「ぽぉよ?」
「だから、ここではしゃいだり遊んだりしちゃダメだからね。分かった?」
「ぽよっ!」
先程同様分かっているかどうか不安ではあったが、取りあえずルイズはその返事に満足した。
「それじゃあ、食べましょうか」
「ぽよぉ!」
但しあなたの食事はあっちに……とルイズが言おうとした瞬間、カービィが大きく口を開けた。
「へっ?」
次の瞬間、トライアングルクラスのメイジが起こしたような風がテーブルを襲った。
次々に浮かび上がり、風に巻き込まれてゆく食べ物。
食べ物だけではない、皿も、フォークも、ナイフも、花も、燭台も、全て風に巻き込まれた。
そしてそれらは風の出所へ、つまりはカービィの口の中へと吸い込まれた。
目の前の事象に言葉を失うルイズ。
後に残されたのはテーブルクロスと呆然とする生徒達のみだった。
いや、カービィはご丁寧に食べられない物を吐き出し始めた。
吐き出すと言うと汚い表現に聞こえてしまうので、ここでは単に口の中から出したと言った方がいいかもしれない。
カービィの口の中から出て来た皿やフォークはテーブルの上に転がり、カチャンと虚しい音を響かせた。
「ぷぃー」
満足げにお腹をさするカービィ。
「か、かかか……」
「ぽよ?」
口の周りを舌で舐めていると、ルイズがプルプルと震えているのに気が付いた。
その時カービィの頭が急速に働き、こういう食べ方をした後の記憶が鮮明に蘇ってきた。
「ぽょ……………」
怒鳴られ、ハンマーで叩かれ、車で追っかけられ……禄な思い出がない。
しかも目の前のルイズは今にも何かが爆発しそうに震えている。
カービィは来る爆撃に備え、頭を抱えて怯えた。
「カアアアァァァァァビイイィィィィィィ!!!」
「ぽよぉーーー!」
たまらず逃げ出すカービィだが、すぐにルイズに捕まる。
ルイズが手をカービィに伸ばす。
カービィは鉄拳制裁に耐えるため目を瞑った。
「凄い、凄いわ! あんな事が出来るのね!!」「ぽょ……?」
しかし、意外にもカービィに浴びせられたのは、罵倒ではなく賞賛だった。
目を開けるとルイズが心底嬉しそう微笑み、カービィを抱きしめている。
正直、カービィには何がなんだか。
「風のトライアングルメイジクラスの突風を起こして物を吸い込める使い魔なんて聞いたことないわ! やっぱりあなたは大当たりよ、カービィ!!」
カービィに頬摺りして喜びを表現するルイズ。
これはカービィの十八番、『吸い込み』で、彼の真価はまた別のところにあるのだが、今のルイズにはどうでもいいことだった。
とにかく、カービィが少しでも役に立つ可能性を見出したのだから。
そして、カービィは最後まで何故誉められたか理解しなかったが、それもルイズにはどうでもいいことだった。
数秒後、朝食を奪われた生徒達から罵詈雑言を雨霰のように降らされたのは別の話。
「あの食べっぷり……できる」
「へぇ、ただのぬいぐるみじゃないみたいね…………おめでと、ルイズ」
「あ、あの使い魔さん……あんなに凄かったの……」
「おおっ! あの真ん丸いい食いっぷりだな! 料理人名利に尽きるってもんだぜ!」
知らない所で青髪、赤髪、メイド、料理長の好感度を上げているカービィだが、それもまた別の話なのだ。
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