「GTA-0_3」(2007/10/13 (土) 12:30:21) の最新版変更点
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「き、君!?」
「勝手に喋るな」
突きつけたナイフに力を入れ、警告する。
「うっ…」
「あ、アンタ!今すぐコルベール先生を放しなさい!!」
ピンクが棒切れをこっちに向けて怒鳴っている。……威嚇なのか?
周りを見渡すと、他の連中も棒らしき物をこちらに向け敵意を露にしている。魔法使いにでもなったつもりか。
……ついでに見たくない物まで見ちまった。俺の車の屋根が爆発でめくられた様になってやがる。
やはり連中は宗教団体か何からしい。それも武装集団だ。加えてこの人数。はっきり言ってヤバイ。
しかも構成員が恐らくはガキばかりだとは……世も末と言ったところか。
こんなイカれた連中の相手などゴメンだが、車で逃げようにも動かせるかどうか疑問だ。
防弾、防爆仕様の車体に、認めたくはないが穴を開けるような威力だ。色々イカれちまってるかもしれない。
……よく考えてみれば、そんな爆発を食らって体が無事ですむ筈がないな。悪運の強さは相変わらず、か。
とにかく、この場で唯一の大人、それも自分から教師などと言ってるから指導的立場であろうこいつを
人質…というよりは盾にしたまでは良かったが、下手をすると一緒に吹き飛ばされるかもしれないな。
そうでなくとも、既に俺の頭をライフルのレンズ越しに見ている奴が居るかもしれない。状況は最悪だ。
どちらにせよ、行動を起こさねば死あるのみ。とりあえずお決まりの『 アレ 』をやるか。
「おい、お前ら」
周りの連中に聞こえるよう、でかい声で言う。
「妙な真似はするなよ。すればこの男を殺す」
単純、かつ分かりやすい脅迫。大概の奴はこれで抵抗するのを止める。
連中の間に動揺が広がっていくのが分かる。この感じだと実戦経験はあまり無いらしいな。
これなら脚で逃げ切れるかもしれない。もちろん盾を引き連れてだが。
逃げるにしても、ここが何処なのか知る必要がある。情報を得るため、コルベールへの質問を開始する。
「ここはどこだ?」
「ここはトリステイン魔法…」
「おい」
コルベールの言葉を中断させる。魔法だと?この状況でまだ冗談が言えるらしい。
「質問には『 正直 』に答えろ」
「で、ですから私は『 正直 』に…」
どうやら真面目に答える気が無いらしい。なら答えたくなる様にするだけだ。
「ぐっ…!」
「っ! 先生!!」
奴の首下の皮膚に、ナイフを更に密着させる。
「まだ死にたくないだろう?真面目に答えてくれよ」
本当に真面目に答えて欲しいもんだ。
「ここはどの州で、どの郡で、何と言う名前の町か答えろ」
黙り込むコルベール。現実と妄想の間で頭が混乱しているのか?厄介だな。
「もしや君は…」
「あん?」
「いや、君に聞きたい事ががあるんだ」
ようやく口を開いたかと思えば、逆に質問か。
「何だ…」
「君は魔法を知っているかね?」
脱力しそうになった。よりにもよってそれか。 もうこの男にまともな返答は期待しない方が良いな。
「おとぎ話でなら知っている」
ひとまず無難に答えておく。何か使える情報が得られると良いのだが。
「そうか……。では君に頼みがあるんだ」
今度は命乞いか? 適当に聞き流すつもりで黙っていると、コルベールはそれを肯定と受け取ったらしく口を開く。
「魔法を見てくれないか?」
……どうやら完璧にイカれているらしい。
まあいい、そこまで魔法に拘るなら見せてもらおうじゃないか。
「やってみろよ。それでどんな魔法を見せてくれるんだ」
「人を浮かす魔法をお見せしよう」
人を浮かす、ねえ。
「ミス、ヴァリエール」
「は、はい!?」
「今から君に『フライ』の魔法をかけるが宜しいかね?」
「わ、分かりました!」
Fly(フライ)…捻りもクソも無い名前だな。
コルベールが呪文のような物を唱え始めた。まあ、お約束だな。
呪文を唱え終えたらしいコルベールはピンク頭に向かって杖を向ける。
……本当に浮きやがった。
最初は細い糸か何かで浮かせているのかと思ったが、外で、何の装置も無いのにどうやって浮かせるんだ?
少なくとも、それ以外のトリックは知らないし分からない。
だが、これを「魔法です」と言われて「はい、そうですか」と答えるほど俺はバカではない。
「如何かな、これが魔法だよ」 などと言ってきたコルベールに
「この程度で信じろと?」 と答えておいた。
「そうか、まだ信じてはもらえないか……」
心底残念そうに言いながら、コルベールはピンク頭を地面に下ろすような動作をする。
それっぽく見せる為の演技か…ご苦労な事だ。
「ミスタ・コルベール」
初めて聞く声にそちらを向くと、周りの連中より数歩前に出ているガキが居た。青髪のメガネで、ピンク頭と同じくチビだ。
「私の使い魔を呼ぶ許可を」
使い魔? ……ああ、ピンク頭がそんな事を言ってたな。
「ミス・タバサ?いったい…」
「彼に私の使い魔を見せれば全て納得する」
納得、だと?
「なるほど…!ミス・タバサ、宜しく頼むよ!」
おいおい、何勝手に話を進めてやがる。だがそう言おうとする前に青髪が口笛を吹く。何の真似だ?
…ん、何だこの音は。しかもだんだん大きくなっている。この音…鳥の羽ばたきか?にしては大き…。
俺の思考はそこで中断した。
馬鹿でかい鳥、いや、ドラゴンが頭上に現れたのだ。
これをトリックなどと片付ける事はできなかった。舞い上がる風、圧倒的な存在感。どうみても『 本物 』だ。
呆気にとられ、コルベールに突きつけていたナイフが下がるが最早どうでもいいことだ。突きつける理由が無くなったからな。
開放されたコルベールは咳払いをする。それに反応して顔を向けると、コルベールは笑顔でこう言った。
「今度こそ信用してくれたかね?」
「き、君!?」
「勝手に喋るな」
突きつけたナイフに力を入れ、警告する。
「うっ…」
「あ、アンタ!今すぐコルベール先生を放しなさい!!」
ピンクが棒切れをこっちに向けて怒鳴っている。……威嚇なのか?
周りを見渡すと、他の連中も棒らしき物をこちらに向け敵意を露にしている。魔法使いにでもなったつもりか。
……ついでに見たくない物まで見ちまった。俺の車の屋根が爆発でめくられた様になってやがる。
やはり連中は宗教団体か何からしい。それも武装集団だ。加えてこの人数。はっきり言ってヤバイ。
しかも構成員が恐らくはガキばかりだとは……世も末と言ったところか。
こんなイカれた連中の相手などゴメンだが、車で逃げようにも動かせるかどうか疑問だ。
防弾、防爆仕様の車体に、認めたくはないが穴を開けるような威力だ。色々イカれちまってるかもしれない。
……よく考えてみれば、そんな爆発を食らって体が無事ですむ筈がないな。悪運の強さは相変わらず、か。
とにかく、この場で唯一の大人、それも自分から教師などと言ってるから指導的立場であろうこいつを
人質…というよりは盾にしたまでは良かったが、下手をすると一緒に吹き飛ばされるかもしれないな。
そうでなくとも、既に俺の頭をライフルのレンズ越しに見ている奴が居るかもしれない。状況は最悪だ。
どちらにせよ、行動を起こさねば死あるのみ。とりあえずお決まりの『 アレ 』をやるか。
「おい、お前ら」
周りの連中に聞こえるよう、でかい声で言う。
「妙な真似はするなよ。すればこの男を殺す」
単純、かつ分かりやすい脅迫。大概の奴はこれで抵抗するのを止める。
連中の間に動揺が広がっていくのが分かる。この感じだと実戦経験はあまり無いらしいな。
これなら脚で逃げ切れるかもしれない。もちろん盾を引き連れてだが。
逃げるにしても、ここが何処なのか知る必要がある。情報を得るため、コルベールへの質問を開始する。
「ここはどこだ?」
「ここはトリステイン魔法…」
「おい」
コルベールの言葉を中断させる。魔法だと?この状況でまだ冗談が言えるらしい。
「質問には『 正直 』に答えろ」
「で、ですから私は『 正直 』に…」
どうやら真面目に答える気が無いらしい。なら答えたくなる様にするだけだ。
「ぐっ…!」
「っ! 先生!!」
奴の首下の皮膚に、ナイフを更に密着させる。
「まだ死にたくないだろう?真面目に答えてくれよ」
本当に真面目に答えて欲しいもんだ。
「ここはどの州で、どの郡で、何と言う名前の町か答えろ」
黙り込むコルベール。現実と妄想の間で頭が混乱しているのか?厄介だな。
「もしや君は…」
「あん?」
「いや、君に聞きたい事ががあるんだ」
ようやく口を開いたかと思えば、逆に質問か。
「何だ…」
「君は魔法を知っているかね?」
脱力しそうになった。よりにもよってそれか。 もうこの男にまともな返答は期待しない方が良いな。
「おとぎ話でなら知っている」
ひとまず無難に答えておく。何か使える情報が得られると良いが。
「そうか……。では君に頼みがあるんだ」
今度は命乞いか? 適当に聞き流すつもりで黙っていると、コルベールはそれを肯定と受け取ったらしく口を開く。
「魔法を見てくれないか?」
……どうやら完璧にイカれているらしい。
まあいい、そこまで魔法に拘るなら見せてもらおうじゃないか。
「やってみろよ。一体どんな魔法を見せてくれるんだ」
「人を浮かす魔法をお見せしよう」
人を浮かす、か。サーカスの真似事でも始める気か?
「ミス、ヴァリエール」
「は、はい!?」
「今から君に『フライ』の魔法をかけるが宜しいかね?」
「わ、分かりました!」
Fly(フライ)…捻りもクソも無い名前だな。
コルベールが呪文のような物を唱え始めた。まあ、お約束だな。
呪文を唱え終えたらしいコルベールはピンク頭に向かって杖を向ける。
……本当に浮きやがった。
最初は細い糸か何かで浮かせているのかと思ったが、外で、何の装置も無いのにどうやって浮かせるんだ?
少なくとも、それ以外のトリックは知らないし分からない。
だが、これを「魔法です」と言われて「はい、そうですか」と答えるほど俺はバカではない。
「如何かな、これが魔法だよ」 などと言ってきたコルベールに
「この程度で信じろと?」 と答えておいた。
「そうか、まだ信じてはもらえないか……」
心底残念そうに言いながら、コルベールはピンク頭を地面に下ろすような動作をする。
それっぽく見せる為の演技か…ご苦労な事だ。
「ミスタ・コルベール」
初めて聞く声にそちらを向くと、周りの連中より数歩前に出ているガキが居た。青髪のメガネで、ピンク頭と同じくチビだ。
「私の使い魔を呼ぶ許可を」
使い魔? ……ああ、ピンク頭がそんな事を言ってたな。
「ミス・タバサ?いったい…」
「彼に私の使い魔を見せれば全て納得する」
納得、だと?
「なるほど…!ミス・タバサ、宜しく頼むよ!」
おいおい、何勝手に話を進めてやがる。だがそう言おうとする前に青髪が口笛を吹く。何の真似だ?
…ん、何だこの音は。しかもだんだん大きくなっている。この音…鳥の羽ばたきか?にしては大き…。
俺の思考はそこで中断した。
馬鹿でかい鳥、いや、ドラゴンが頭上に現れたのだ。
これをトリックなどと片付ける事はできなかった。舞い上がる風、圧倒的な存在感。どうみても『 本物 』だ。
呆気にとられ、コルベールに突きつけていたナイフが下がるが最早どうでもいいことだ。突きつける理由が無くなったからな。
開放されたコルベールは咳払いをする。それに反応して顔を向けると、コルベールは笑顔でこう言った。
「今度こそ信用してくれたかね?」
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