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「もう……本当に何なのよ。」
自室に戻ってからからルイズはずっと頭を抱えていた。
あの後コントラクト・サーヴァントの儀式でも一悶着あったのだ。
コルベール先生がディディの左手に現われたルーン文字とあのペンダントに興味を示したのだ。
そしてディディ自身にも、見覚えがあるような気がするが、どこかでお会いしましたか? とも。
それで……ディディはなんて答えたと思う?
「あら先生、その口説き文句は少し古いわ。」
ああ、思い出しても鬱になる。ギーシュじゃあるまいし、言葉の意味を曲解しすぎだ。
いつもなら怒り出すところだったが、あの場ではその気力もなかった。
「悪夢だわ……。」
「それはお気の毒に。でも安心して。弟の名にかけて、どんなに恐ろしい夢でもいつかは覚めるわ。」
「なら覚めるぶん悪夢の方がマシよ!そもそも誰のせいだと思ってるの!」
やっと怒れる程度には元気が出てきた。
そのまま質問に入る。
そうよ、まず事態を正確に把握するべき。考えてみれば聞きたいことは山ほどある。
「で、先生も言ってたけど、どこから来たの? 今度は真面目に答えなさい。」
「遠い所よ。たぶん全く違う世界ね。
私もトリステイン魔法学院なんて聞いた事も無いし、モチロン、先生とも初めて会ったわ。」
「そのペンダントは何よ?」
「アンクって言うの。生命のシンボルよ。生きてるって素晴らしいことだと思わない? ホント最高よ!」
変なことを言う、しかし嘘をついてるとも思えない。
……相手が真面目なうちに、重要な議題に移ろう。
「ディディ、アンタは私の使い魔になったのよ。使い魔ってのは、ご主人様の役に立つの。
さっきは何も出来ないなんて言ってたけど、何かないの?」
「たとえば、どんな事をするわけ?」
「そうね、主と感覚を共有して、私の目となり耳となり…。」
「できないわね。それに私の見るもの聞くものは、ルイズにはちょっと刺激が強いと思うわ。」
「ちょっと、年上だからって子ども扱いしないで! 平民のクセに!」
「他には秘薬の材料を集めたり…。」
「あなた、私が医者にでも見えるの?」
「見えない…じゃなくてッ私の事はご主人様!」
護衛、と言いかけたがやめた。
腕力は多少ディディが上かもしれないが、その程度で魔法の使えない平民に護衛なんか期待しても無駄だ。
溜息をつく。結局これしかないか。
「じゃあ雑用ね。私の身の回りの世話をお願い。」
言い終わってから自分の間違いに気がついた。
『お願い』?
貴族が平民、しかも使い魔にお願い? 一体何を言ってるんだ。
さっさとこの生意気な平民に、自らの分というものを思い知らせよう。
そう思いたって、服を脱いで着替え始める。
「ディディ……」
「ん、何?」
何ぼさっとしてるのよ、さっさとそれ洗っときなさい。
あと朝の着替えも用意しときなさいよ。
ああ、それとアンタは使い魔で平民なんだから寝床はその藁で十分ね。
が、口から言葉が出てこない。
それを言おうとした瞬間、おかしな考えが浮かんだ。
よく分からないけど、ディディに貴族だの主人だのという権威を振りかざすのは酷く滑稽。
それらはディディにとって全く意味のないこと、という考えが。
「……その服、洗っといてね。あと毛布はそこにあるわ。」
辛うじて、洗濯だけは命じられた。けど毛布なんて与えるつもりなかったのに。
まあいい、時間はたっぷりあるわ。明日から見てなさいよ。
ディディの分かったわ、ではいい夢を! という声を聞くと、ルイズの意識は眠りに落ちていった。
#navi(High cost of zero)
「もう……本当に何なのよ。」
自室に戻ってからからルイズはずっと頭を抱えていた。
あの後コントラクト・サーヴァントの儀式でも一悶着あったのだ。
コルベール先生がディディの左手に現われたルーン文字とあのペンダントに興味を示したのだ。
そしてディディ自身にも、見覚えがあるような気がするが、どこかでお会いしましたか? とも。
それで……ディディはなんて答えたと思う?
「あら先生、その口説き文句は少し古いわ。」
ああ、思い出しても鬱になる。ギーシュじゃあるまいし、言葉の意味を曲解しすぎだ。
いつもなら怒り出すところだったが、あの場ではその気力もなかった。
「悪夢だわ……。」
「それはお気の毒に。でも安心して。弟の名にかけて、どんなに恐ろしい夢でもいつかは覚めるわ。」
「なら覚めるぶん悪夢の方がマシよ!そもそも誰のせいだと思ってるの!」
やっと怒れる程度には元気が出てきた。
そのまま質問に入る。
そうよ、まず事態を正確に把握するべき。考えてみれば聞きたいことは山ほどある。
「で、先生も言ってたけど、どこから来たの? 今度は真面目に答えなさい。」
「遠い所よ。たぶん全く違う世界ね。
私もトリステイン魔法学院なんて聞いた事も無いし、モチロン、先生とも初めて会ったわ。」
「そのペンダントは何よ?」
「アンクって言うの。生命のシンボルよ。生きてるって素晴らしいことだと思わない? ホント最高よ!」
変なことを言う、しかし嘘をついてるとも思えない。
……相手が真面目なうちに、重要な議題に移ろう。
「ディディ、アンタは私の使い魔になったのよ。使い魔ってのは、ご主人様の役に立つの。
さっきは何も出来ないなんて言ってたけど、何かないの?」
「たとえば、どんな事をするわけ?」
「そうね、主と感覚を共有して、私の目となり耳となり…。」
「できないわね。それに私の見るもの聞くものは、ルイズにはちょっと刺激が強いと思うわ。」
「ちょっと、年上だからって子ども扱いしないで! 平民のクセに!」
「他には秘薬の材料を集めたり…。」
「あなた、私が医者にでも見えるの?」
「見えない…じゃなくてッ私の事はご主人様!」
護衛、と言いかけたがやめた。
腕力は多少ディディが上かもしれないが、その程度で魔法の使えない平民に護衛なんか期待しても無駄だ。
溜息をつく。結局これしかないか。
「じゃあ雑用ね。私の身の回りの世話をお願い。」
言い終わってから自分の間違いに気がついた。
『お願い』?
貴族が平民、しかも使い魔にお願い? 一体何を言ってるんだ。
さっさとこの生意気な平民に、自らの分というものを思い知らせよう。
そう思いたって、服を脱いで着替え始める。
「ディディ……」
「ん、何?」
何ぼさっとしてるのよ、さっさとそれ洗っときなさい。
あと朝の着替えも用意しときなさいよ。
ああ、それとアンタは使い魔で平民なんだから寝床はその藁で十分ね。
が、口から言葉が出てこない。
それを言おうとした瞬間、おかしな考えが浮かんだ。
よく分からないけど、ディディに貴族だの主人だのという権威を振りかざすのは酷く滑稽。
それらはディディにとって全く意味のないこと、という考えが。
「……その服、洗っといてね。あと毛布はそこにあるわ。」
辛うじて、洗濯だけは命じられた。けど毛布なんて与えるつもりなかったのに。
まあいい、時間はたっぷりあるわ。明日から見てなさいよ。
ディディの分かったわ、ではいい夢を! という声を聞くと、ルイズの意識は眠りに落ちていった。
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#navi(High cost of zero)
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