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叱咤、激励、罵声そして銃弾の飛び交うド真ん中を、一人の少女が歩いていた。
その場には訓練された兵が何人もいたが、場違いな少女に気が付く者は一人もいない。
ふと少女が歩みを止めた。どこか遠くで、誰かが彼女を呼んでいる。
「……行っていい?」少女は頭の中で、自らに問いかける。
「あのね、見て分からないかしら? 今忙しいの。」すぐさま否定の声がしたが、最初の声も引かない。
「それはこの一世紀ずうっとじゃない。ねえいいでしょう? 私にも気晴らしする権利はあるわ。」
「弟もまだ見つからないのに、慰安旅行でもするつもり?」
「行った先で見つかるかも。」
ふうっとため息をついて、とうとう否定の声が折れた。
「止めてもムダね、分かったわ。いってらっしゃい。でも、代償は……。」
「分かってるわよ。じゃあ行ってきます。」
すうっと何かが少女から抜け出したかと思うと、それは光を放ちながらどこかへ消え去った。
それが現われた時、ざわざわと教室に波紋が広がった。
だが、その中でも最も困惑していたのはそれを召喚したルイズ本人である。
黒髪、黒いシャツ、黒いズボン。それらと対照的な真っ白な肌。首から提げた不思議なシンボルのペンダント。
年は自分より一回り上といった、人間の女の子。
人間。
使い魔を召喚したはずなのに。
現われたのは人間。
ハンマーで殴りつけられたかのように頭痛がする。頭が働かない。アーアー悪グチも聞こえない。
「あなたが私を呼んだの? おめでとう! 大成功よ! ……で此処はどこ? その格好からするとホグワーツ魔法学校かしら?」
向こうから話しかけられて、ようやくルイズの頭が動き出す。
「なっ何が大成功よ! ここはトリステイン魔法学院! で? あんたは?」
ジョークだったのに、本当に魔法使いの学校のようだ、などと思いつつ少女は答えた。
「あら、知ってて呼んだと思ったのに。私の事はディディでいいわ。
それで、私を呼び出した偉大なる魔法使い様の御名前はなんと仰るの?」
「あなたのご主人様はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールという名前よ。」
大仰な言い合いをしていると、何か悲しくなっていた。
しかし、ディディと名乗った少女は妙だ。
やや芝居がかかっているとは言え、その所作は気品あるものだし、見たこともない服装やペンダントをしている。
さらに突然召喚されたというのに、まるで物怖じしていない。むしろこの状況を楽しんでいるかのようだ。
これはひょっとすると……。
「ディディ、あなたやけに自信があるようだけど、どこかの貴族なの?」
こちらの可能性はないだろうと思ったけど、一応聞いてみた。
「それとも前にも使い魔をやっていたとか?」
「貴族でもないし、使い魔なんてやった事も無いわ。
けど、最高の大魔法使いと呼ばれている人達は、何とか私を捕らえようとやっきになってる。
フフフ、成功したのは今まであなただけよ、ルイズ。」
最高の大魔法使い! 成功したのは今までで私だけ!?
期待にない胸を膨らませながら、一番肝心なことを聞く。
「それで……ディディ、あなたは何が出来るの?」
ルイズだけでなく、級友たち全員が固唾を呑んで、異国の少女ディディに注目する。
ディディは胸を張って―こちらはルイズよりはある―答えた。
「何も。」
ドタドタと生徒が崩れ落ちる音。
一呼吸おいて爆笑が起きた。
#navi(High cost of zero)
叱咤、激励、罵声そして銃弾の飛び交うド真ん中を、一人の少女が歩いていた。
その場には訓練された兵が何人もいたが、場違いな少女に気が付く者は一人もいない。
ふと少女が歩みを止めた。どこか遠くで、誰かが彼女を呼んでいる。
「……行っていい?」少女は頭の中で、自らに問いかける。
「あのね、見て分からないかしら? 今忙しいの。」すぐさま否定の声がしたが、最初の声も引かない。
「それはこの一世紀ずうっとじゃない。ねえいいでしょう? 私にも気晴らしする権利はあるわ。」
「弟もまだ見つからないのに、慰安旅行でもするつもり?」
「行った先で見つかるかも。」
ふうっとため息をついて、とうとう否定の声が折れた。
「止めてもムダね、分かったわ。いってらっしゃい。でも、代償は……。」
「分かってるわよ。じゃあ行ってきます。」
すうっと何かが少女から抜け出したかと思うと、それは光を放ちながらどこかへ消え去った。
それが現われた時、ざわざわと教室に波紋が広がった。
だが、その中でも最も困惑していたのはそれを召喚したルイズ本人である。
黒髪、黒いシャツ、黒いズボン。それらと対照的な真っ白な肌。首から提げた不思議なシンボルのペンダント。
年は自分より一回り上といった、人間の女の子。
人間。
使い魔を召喚したはずなのに。
現われたのは人間。
ハンマーで殴りつけられたかのように頭痛がする。頭が働かない。アーアー悪グチも聞こえない。
「あなたが私を呼んだの? おめでとう! 大成功よ! ……で此処はどこ? その格好からするとホグワーツ魔法学校かしら?」
向こうから話しかけられて、ようやくルイズの頭が動き出す。
「なっ何が大成功よ! ここはトリステイン魔法学院! で? あんたは?」
ジョークだったのに、本当に魔法使いの学校のようだ、などと思いつつ少女は答えた。
「あら、知ってて呼んだと思ったのに。私の事はディディでいいわ。
それで、私を呼び出した偉大なる魔法使い様の御名前はなんと仰るの?」
「あなたのご主人様はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールという名前よ。」
大仰な言い合いをしていると、何か悲しくなっていた。
しかし、ディディと名乗った少女は妙だ。
やや芝居がかかっているとは言え、その所作は気品あるものだし、見たこともない服装やペンダントをしている。
さらに突然召喚されたというのに、まるで物怖じしていない。むしろこの状況を楽しんでいるかのようだ。
これはひょっとすると……。
「ディディ、あなたやけに自信があるようだけど、どこかの貴族なの?」
こちらの可能性はないだろうと思ったけど、一応聞いてみた。
「それとも前にも使い魔をやっていたとか?」
「貴族でもないし、使い魔なんてやった事も無いわ。
けど、最高の大魔法使いと呼ばれている人達は、何とか私を捕らえようとやっきになってる。
フフフ、成功したのは今まであなただけよ、ルイズ。」
最高の大魔法使い! 成功したのは今までで私だけ!?
期待にない胸を膨らませながら、一番肝心なことを聞く。
「それで……ディディ、あなたは何が出来るの?」
ルイズだけでなく、級友たち全員が固唾を呑んで、異国の少女ディディに注目する。
ディディは胸を張って―こちらはルイズよりはある―答えた。
「何も。」
ドタドタと生徒が崩れ落ちる音。
一呼吸おいて爆笑が起きた。
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