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ゼロの蝶々-4 - (2007/08/04 (土) 14:37:26) のソース
パピヨンが召喚されてからもう数日がたった。 その数日の間にギーシュが彼をぱk・・・リスペクトしたスーツを着るようになったり、 タバサが「女王様なのにロリっ子!このミスマッチ感がたまらんですたい!」という集団にストーキングされるようになったり、 ルイズとパピヨンの戦闘演習に巻き込まれて多数の被害者が出たりと数々の事件が起こった。 そんなどたばたした日々と共に徐々にパピヨンのいる風景が当たり前のものとなっていく。 しかしそれを受け入れられない人間も少数ながら存在するのだ。 「決闘だ、コンチクショー!お前の正体を暴いて学園から放り出してやる!!」 パピヨンに杖をつきつけながらそう宣言したのはマリコルヌだった。 ゼロの蝶々 ~決闘(実験)編~ マリコルヌがパピヨンに決闘を挑んだ理由は彼が落とした香水の小瓶をパピヨンが拾ったから、では勿論ない。 彼はパピヨンを見た時、彼を変態だと認識した。 しかし他の殆どの貴族はパピヨンを蝶々の妖精さんだと断じ、マリコルヌを糾弾した。 その後も事あるごとにマリコルヌはパピヨンは変態だと主張したが、その度ごとに彼はマジ泣きするはめになった。 普通ならばそこまでくれば諦めて内心はどうあれパピヨンを蝶々の妖精さんだと認めるだろう。 しかし彼は諦めなかった。 何度も、何度でも彼はパピヨンは変態だといい続けた。 その姿は某戦士長が見れば 「そうか、アイツは諦めが悪かったか。最後まで強き意志で戦い抜いたか!ブラボーだ!!」 と褒め称えること間違いなしであった。 そしてマリコルヌはついに実力行使に出たのだ。 もしパピヨンが本当に蝶々の妖精さんなら先住魔法の使い手、ドットの自分など相手にもならない筈、 つまり決闘して彼を叩き伏せれば学院のみんなの目を覚ますことが出来る、と考えたのだ。 そしてパピヨンはその挑戦をあっさりと受けた。 決闘場のヴェストリ広場はちょっとしたお祭り騒ぎだった。 生徒だけでなく教師、はてはメイドまで見物にきている。 そんな中、ルイズは人垣を抜けてパピヨンの側に駆け寄る。 「ちょっとパピヨン!何勝手に決闘なんて受けてるのよ!」 「そろそろご主人様の爆発以外の魔法を体験してみたいと思ってね。 文献からの知識も大事だがやはり実験は重要だ」 「そんな悠長なことを言ってる場合じゃないわ。 あんたを殺すのはわたし自らの手でと決めているから教えてあげる。 いい?平民はメイジには絶対に勝てないの。このままじゃあんたマリコルヌに殺されるわよ?」 「平民?俺は超人・パピヨンだ」 ルイズは額に青筋を浮かべてパピヨンの顔を見つめたあと深いため息をつき言った。 「もう勝手にしなさい、マリコルヌに譲るのは癪だけどもういいわ。 ご主人様としての最後の命令よ。降参は許さない、死ぬまで続けなさい」 「ふむ、了解した。ご主人様。最後の命令くらいは素直に聞いてやろう」 やっぱり妙にくねくねした動きで広場の中央に向かうパピヨン。 そこには既にマリコルヌが待っていた。 「逃げずによく来たな、変態」 「いや、実は来るかどうか少々迷っていた。 向かってくるものは叩き潰すに限るが弱いものいじめは趣味じゃないんでね。 でも折角こうして観客が集まったんだ、その期待を裏切るのも悪い」 『おおおおぉぉ!』という歓声の後、怒涛の「パピヨン」コール。 それに対しパピヨンは何時ものように、 「パピ(はあと)!ヨン(はあと)!もっと愛を込めて!!」 と叫んで応えた。 「どこまでもふざけた奴だ、今化けの皮をはいでやるぞ!」 杖を構えると同時にエアハンマーの呪文を唱え始める。 マリコルヌの実力ではたいした威力はないがそれでも平民を一人殺傷するには十分な魔法である。 対するパピヨンは何処か楽しそうな笑顔を浮かべたまま動こうともしない。 「くらえ!エアハンマー!!」 それは今まで聞いたことのない奇妙な音だった。 巨大な風船が弾けたような音でありながら鉄がひしゃげた音のような、そんな不思議な音だった。 「・・・あれ?」 「ふむ、やはり精神力が力の源だけあって似たような性質を持つようだな。 普通の傷より治りが遅い。流石に死ぬかどうかは試せないが気をつけるにこしたことはないな。 しかし同時にこの身体は魔法に対する干渉能力が高いという推論も正しかったのだからプラマイゼロか」 唖然とするマリコルヌ、そして自分の少し血が滲む指先を見ながら独り言を呟くパピヨン。 「ん?どうした?まだ実験を始めたばかりだ。 遠慮せずにもっと色々な魔法を俺に見せろ」 「う、うああああぁぁあぁぁ!!!?」 半分パニックに陥りながら自分に唱えられる攻撃魔法を連続で唱え続けるマリコルヌ。 だがパピヨンが腕を振るうと同時に先ほどの奇妙な音が辺りに響くだけだった。 マリコルヌは理解したくなかった、しかしここまで来ればもう認めるしかない。 目の前にいるパピヨンは魔法を弾いて散らせている、それも・・・素手で! マリコルヌはもう完全にパニック状態だ。 (先住魔法?エルフ?蝶々の妖精さん?本物の?) しかも、だ。パピヨンは徐々にマリコルヌに歩み寄っている。 マリコルヌが魔法を唱えるごとに一歩ずつ。 ついにマリコルヌとパピヨンの距離が1メイルを切った。 「次の一歩で腕が届く距離になるな。 さあどうする?魔法を使うか?後ろを向いて逃げ出すか?それとも降参するか?」 「ま、参った!降参だ!!」 「賢明な判断だな・・・だがNON!!」 「え・・・ええええええぇeeeeeee!!?」 「ご主人様からの命令でね、お前が死ぬまで決闘はやめられない」 広場は一瞬の静寂の後、大騒ぎになった。 「な、なんだってー!!」 「それが人間のすることか貴様ぁ!」 「ちょwwwwwおまwwwww」 「まさに外道!」 「ルイズ・・・恐ろしい子!」 ルイズは周囲の鬼を見るような視線に曝されながらパピヨンに向かって叫ぶ。 「わたしが何時そんなことを命じたのよ!勝手に変なことを言わないで!!」 「何を言う、ご主人様。確かにあんたは言ったぞ。 『(マリコルヌの)降参は許さない、(マリコルヌが)死ぬまで続けなさい』ってね。 流石の俺もそこまで残虐な真似はどうかと思うがご主人様の厳命ならば従わざるを得ないからな」 ルイズの半径10メイル内に居た人間が一斉に退く。 「あああああ、あんた分かってて言ってるでしょ!?ぜぜぜ絶対にそうでしょ!! とにかく止めなさい!マリコルヌの降参で決闘は終わりよ! それと魔法を弾いてたの何!?わたしにも出来る!?出来るなら教えて、っていうか教えろ今すぐ」 「『最後の命令』をしたばかりなのにまた命令か?それも複数とは。 全く、我侭かつ忘れっぽいご主人様だな」 「流石は『蝶々の妖精さん』じゃな」 所変わってここは学院長室。 オールド・オスマンとコルベールが決闘の様子を遠見の鏡で見ていたのだ。 「ええ、見事なものです。彼もドットの割には健闘しましたが、やはり勝負は見えていましたな」 「これでマルコメヌは勿論、一部の今まで認めていなかったものどももパピヨンが『蝶々の妖精さん』だと認めるじゃろう。 これで今後のいらぬトラブルは減りそうじゃな。今はとにかく様子を見るべき時期じゃ」 「そうですな、オールド・オスマン。所であの生徒の名はマリコルヌです」 「ミスタ・メリーベルは細かいのぉ」 「メリーベルは明らかに女性の名前でしょうが!」 「おお!それもそうじゃな、ミセス・メリーベル」 「直すのそっちかよ!」 そんな漫才をしている二人をよそに、 遠見の鏡に映る『蝶々の妖精さん』とその主人の口論(といってもパピヨンがからかい、ルイズが激昂しているだけだが)は 何時もの『戦闘演習』に発展し、最近の学院の名物となりつつある光景が繰り広げられているのだった。 ちなみに無傷で決闘を終えられたと思っていたマリコルヌは ルイズの失敗魔法の爆発に巻き込まれて結局医務室送りになった。 「そこまでしてマリコルヌを始末したかったとは本当に恐ろしい奴だな、ご主人様は」 「うるさいうるさいうるさい!!」