小学生の甥っ子がポケモンブラックにはまってる


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「なあ」特に何かをする訳でも無く親友の部屋でだらけていたが、急に声をかける。
「ん?」夢中で読んでいる日本一面白い4コマ漫画『するめいか(著:ルーツ)』の単行本から視線をそらさず面倒臭そうに答える親友。
「小学生の甥っ子がさ、ポケモンブラックにはまってるんだよ。4年なんだけど」何の脈絡も無い話題を切り出す俺。
「そうなのか」やはり面倒臭そうな親友。視線は、微妙に面白い4コマ漫画『するめいか(著:ルーツ)』から離れない。
「凄いよな? 甥っ子が生まれてない時期に俺等がハマッてた『ポケモン』を今、甥っ子の世代がハマってるんだぜ?」と俺はやや興奮気味に問いかける。
「そうだな」やはりけだるそうな親友。
「ガンダムとかドラえもんの位置に着々と上り詰めてるんだよ、ポケモンも。親子二大で楽しんでるって珍しくないらしいぜ」感慨に浸りながらそう言う俺。
「ふむ」だが、興味なさげな親友。
「でさ、まあそれはいいんだよ。何かあったらすぐにネットで調べるらしいぜ? 攻略法とかさ・・・」
「ほう。小学生がネットする時代だもんな」
「それは別にいいんだよ、俺等の頃って広技苑とかあっただろ? ゲームの裏技が掲載されてる、やたら分厚かった本」俺は懐かしみながらそう言う。
「あったなー」やや楽しそうなアクセントになった親友。
「ああいうの立ち読みして、こんな裏技があるのか!? って驚嘆してたじゃん?」こいつとは対照的に俺は熱っぽく語る。
「してたような気もするな」素っ気無い態度ではあるのだが、やはり明らかに楽しそうになっていた。
「でも今はそういう裏技とか、なんでもかんでも全てネットで調べちゃうらしいぜ? なんだかなぁ・・・って思わないか? 生身の友達と情報交換とかしてないらしいぜ?」
「いや・・・別に」
「えっ?」悪い意味で、思いも寄らない反応に戸惑う俺。
「・・・」
「・・・」
「あっ、あのさ」気まずい空気を打ち破るように俺は声を発した。
「ん?」
「電撃ウラワザ大王って本あっただろ? 全ページカラーのゲーム裏技本」
「おお。あったなあ」
「あれに掲載されてるちょっとエッチな画像で、オナニーしてたよな?」
「してたしてた」
「え?」良い意味で、思いも寄らない反応に戸惑う俺。
俺はなんだか照れ臭いその空気を打破するように、
「でさ、今のポケモンって、ブラック・ホワイトらしいぜ? なのにカラーなんだぜ? 白黒なのに。カラー。俺等の頃って赤・緑だったじゃん? なのに白黒だったよな、ヒトカゲもフシギダネも」
「あっ、うん」
「まあそれはいいんだけど、」俺的には会心の出来のネタだったのだがウケなかったので即座に話を変えた。
「しかもさ、ゲームボーイDSって凄いんだぜ? カセットが俺等の頃の白黒ゲームボーイのカセットの半分ぐらいのサイズなのに、画像が凄く鮮やかなんだよ」俺は突っ込んで欲しくてたまらなかった。
「凄いな、ゲームボーイDSって」俺は男の子なので泣かなかった。
「でさー・・・、」俺は負けずにまだまだこの話を引っ張る。
「んっ?」しかし親友の視線はやはり、多少面白い4コマ漫画『するめいか(著:ルーツ)』に釘付けだった。
寧ろコイツを釘付けにして標本にしたいわ。別にコイツに恋するために生まれてないからいいけど。
「ネットオークションにさ、レベルの高いポケモンとかレアポケモンとかが出てるらしいぜ?」これは驚くだろうと思ったが、「そうなの?」と素っ気無い反応だった。だが俺は負けじと、
「ソフトとかグッズが出品されてるって意味じゃないぞ? 『データ』が出品されてるんだぞ? なんか悲しくないか・・・? 自分で捕まえて育てて愛着持つのがポケモンだろ? そんなんで手に入れて楽しいのかな?」と力説した。
「俺等の頃もいただろ? 仲間内でポケモン売ってる奴とかさ、ネットの普及で規模が全世界になっただけだろ」親友は、やはり斜に構えた冷静沈着な態度だった。
「まあそうかも知れないけどさ・・・俺等の頃ってさ、」ふと急に『俺等の頃』という表現が恥ずかしくなって来たが気にせず続ける俺。
「1メートルぐらいの通信ケーブルで交換、対戦してただろ? 今は通信ケーブルが無くても出来るらしいぜ?」
「そうなのか、そりゃ凄いな」言葉とは裏腹に大して驚いてないのは明らかだった。
「なんか可哀想だよな、今のガキどもって。人と繋がってるのか繋がってないのか不明確過ぎるわ、不気味過ぎるわ」俺は何故だかヒートアップし、照れながらも真面目に語っていた。
「まぁな」俺が鬱陶しいテンションになるのは珍しい事ではないので適当に流している親友。
「そういや、お前と金出し合って買ったんだったよな・・・通信ケーブル」哀愁漂いながら発言する俺。
「ああ。そうだったな」
「あの通信ケーブル、なんでなくしちゃったんだっけな・・・」
「・・・」
「ゲームボーイと、母ちゃんに買って貰ったポケモン緑・・・なんでなくしちゃったんだっけ・・・」
「・・・」
「あの頃は毎日楽しかったのに・・・、」
「あのさ」親友が遮った。気付いたら、糞つまらないゴミ4コマ漫画『するめいか(著:ルーツ)』から視線は外れ、俺に向けられている。俺はなんだか嬉しかった。
「なっ、なんだ?」
「今のガキどもって、カセットに息フーフーもしないのか?」
「いや、それはするらしい」俺は速答で力強く断言した。
「なんだ、じゃあ今のガキどもも捨てたものじゃないじゃないか。今のガキも昔のガキも、カセットに息フーフーするんじゃないか」無気力な親友の声のトーンは、若干上がっていた。そして俺は大いに納得していた。 http://20yearsafterlove.blog111.fc2.com/blog-entry-290.html