内分泌・代謝1

更新日時 2012-06-06 16:13:53 (Wed)

問題1
亜鉛の過剰摂取による症状を2つ
+ ...
解答
①同じミネラルである銅の吸収を阻害して銅欠乏性貧血など過剰症がある。
②しびれ感、HDLコレステロールの低下など。
解説
亜鉛過剰摂取のリスク
亜鉛は毒性が極めて低いとされているため、通常の食生活では
亜鉛の過剰症が問題となることは、あまりありませんが
急性亜鉛中毒では胃障害、めまい、吐き気がみられます。
継続的に過剰摂取すると、銅や鉄の吸収阻害による銅欠乏や鉄欠乏が
問題となり、それに伴う貧血、免疫障害、神経症状、
下痢、HDLコレステロールの低下などが起こるおそれがあります。

問題2
高カリウム血症の患者に対して行って良いのは?
1.下剤を投与
2.1+嘔吐誘発
3.グルコースとインスリン投与
4.利尿薬
5.生理食塩液を一杯入れながらグリチルリチン大量投与
+ ...
解答
3、4
解説
1. 禁忌ではないがやらないこと。
2.医療倫理的にも常識的にもだめ。
4.K排泄促進を期待して用いる。とくにループ利尿薬。
5.副作用ありすぎで人体実験じゃないんだしだめ。

問題3
正誤は?
1.低カリウム血症の患者に対してKClを休息iv
2.Naとかも超速で補正
+ ...
解答
共に×
解説
1.余りにも有名な禁忌。
2.禁忌

問題4
1型DMでDKAになって運ばれてきた患者。
pH 7.01, BS 795, BE=-23, HCO3-=8, 尿ケトン体(3+)
対応で正しいのを2つ選びなさい。
①インスリン持続点滴
②生理食塩水点滴
③重炭酸ナトリウム
④透析
⑤人工呼吸
+ ...
解答
1、2
解説

こないだ1型DMでDKAで運ばれてきた患者には①と②だった。
呼吸してなかったら⑤もあり。
③は×。とりあえず①、②で、ダメっぽかったら④もありかも

アシドーシスに反応して③するようじゃまだまだ。
pH7切ったら考えるかも。だから問題の条件がpH7.01なんだと思う。
現場では言うほど、③は使われないよ。

インスリン入れれば、G-I療法の要領で血中Kを細胞内に入れるだろ?
血中のKが下がれば、細胞内のKは細胞外に出て行こうとするが、その際に陽イオンのバランスを保つために細胞外のHイオンが細胞内に入り、これによってアシドーシスを緩和する方向に働く。
つまり、インスリンの投与によって、アシドーシスの改善が期待できるわけ。
重炭酸Naは、インスリンを入れてもアシドーシスが改善しない場合には適応になりうるがな

この問題の状況では、
③④⑤に関してはもっと他のデータが揃わないとわからないから、
①②が最優先であることさえわかればいい、ということだと思うよ。

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)では、
【病態】 インスリン↓↓⇒ブドウ糖の細胞への取り込み↓⇒脂肪分解の亢進⇒脂肪酸の生成
⇒肝への脂肪酸の取り込み⇒肝でのケトン体産生⇒代謝性アシドーシス(AG↑)
⇒インスリン抵抗性↑⇒血糖↑↑⇒浸透圧利尿⇒細胞内脱水≪血糖値上昇の悪循環≫

治療の順位としては(1)と(2)が緊急使用となっている。
(1)高血糖に対して、速効性インスリンを5単位/時間の速度で静脈内持続点滴(血糖値が250mg/dlになるまで)
(2)脱水に対して、生理食塩水の輸液(1l /時間)
準緊急として、
(3)アシドーシスの補正は原則として不必要(pH7.0以下の重症例のみ)

問題5
糖尿病性ケトアシドーシスではWBC↑だけど、この理由は?

+ ...
解説
脱水による濃縮で~っていう説明もあるけど、それだと高血糖高浸透圧昏睡でWBC↑がはっきりしないことの説明がつかない。

結局、ケトーシス下では何らかのサイトカインが誘導されている「らしい」ということになっているみたい。
発熱を伴うことの説明にもなっている。でも基本的に発熱があったら感染症によるDKAが疑われる。
けど明らかな感染がない例でも認められることがあって、そういう例ではおそらくこのようになっている。
DKA⇒発熱ではない。
これなら「DKAはWBCどうなるっけ?高浸透圧昏睡は…?」と迷っても思い出せる。

という、暗記のために都合の良い理屈の一例。

STEPによれば、WBC上昇にはカテコラミンやコルチゾールの作用亢進が推測されているらしい。
DKAはインスリン枯渇状態で組織に糖が足りてない状態。よって血糖上昇ホルモン(カテコラミンやコルチゾール)は上昇。
コルチゾールには血中の白血球数を増やす作用があった。
一方高浸透圧性非ケトン性昏睡ではインスリン分泌は少しは残っておりコルチゾールの上昇は激しくない。

問題6
DKA疑いの患者が搬送された。検査で必要性が低いのはどれか?
①BUN
②Na
③Cre
④K
⑤HCO3‐

(2)上記患者をインスリン+生食で治療中にモニター心電図(3点誘導心電図)
で最も注意するのは?
①U波
②P波消失
③異常Q波
④テントT
⑤QT短縮

(3)上記に注意していたところ一時改善したが、再度意識消失した。
まず行うのは何か?
①生理食塩水静注
②インスリン静注
③ブドウ糖静注
④エピネフリン気管内注入
⑤エピネフリン皮下注

(4)治療方針を決めるために最も有用な検査はどれか?
①12誘導心電図
②心エコー
③脳脊髄液
④頭部単純CT
⑤ハンドドロップテスト
+ ...
解答
(1)③、(2)①、(3)③、(4)④
解説
(1)(101D-47改変問題)
糖尿病の高血糖性昏睡では、どのような病態になっているかを知り、
そしてそれをすぐさま治療につなげる必要があるので必要な検査を迅速に行わなければなりません。

まず、DKA疑いとありますので低血糖昏睡ではなく、高血糖性昏睡であると考えます。
高血糖性昏睡にはDKAとNKHC=HHCがあり、これらは両極端の病態とされがちですが、
実際はDKAでも浸透圧が高くなることがありますし(脱水が強ければなりえます)、NKHCでも軽度であるがアシドーシスになります。
どちらにしても、浸透圧の程度とアシドーシスの程度が病態と治療法を決める上で重要ということです。

浸透圧の程度によって輸液の種類が変わります。
脱水が激しい=つまり高浸透圧高浸透圧(350mOsm/kg≦)であれば1/2生食
それ以下であれば生食になりますので、浸透圧を知る必要があります。
浸透圧の計算式は、2*Na+BUN/2.8+BS/18となりますので①BUNと②Naの値は測定する必要があります。

またアシドーシスでは高K血症になり、高K血症は致死的不整脈を引き起こしますので、
場合によってはメイロンの使用やグルコン酸カルシウム、緊急透析を考えなくてはなりません。
よって④Kや⑤HCO3-も必要です。

③Creも腎障害の程度や脱水の程度を知る上で必要になりますがBUNや浸透圧である程度予測できますので、
必ずしも必要とは言えませんし上記の4つに比べれば必要性は低いといえます。

(2)(100C-21改変問題) 
高血糖性昏睡の治療中に最も注意することは、脳浮腫、低K血症、低血糖です。
急激に補正することで脳浮腫になりますし、インスリンによって糖が細胞内に入る際に
Kも一緒に入っていきますので、低K血症になります。またインスリン過剰投与で
逆に低血糖にもなります。BS<300となればKの補充や糖の補充を考えます。

以上のことを考え、ここでは低K血症のモニターをしていると考えます。
低K血症の心電図はU波、QT延長が見られますので、①が解答となります。
②と④と⑤は高K血症で見られます。治療前にはアシドーシスにより見られることがあります。
③はここでは関係性がありません。

(3)(91D-30改変問題) 正答率53%
上述したように治療中に注意するのは、脳浮腫、低K血症、低血糖です。
ここでは、この3つの可能性が考えられますが分からなければ、まず低血糖と考えブドウ糖静注することが望ましいとされます。
脳浮腫であっても浸透圧利尿効果により増悪させる可能性は低くブドウ糖静注により浸透圧をあげれば改善方向に向かうことが考えられます。
脳浮腫にマンニトールやグリセオールを使うことと糖尿病昏睡の治療の原則を知って欲しいという問題です。
①は既に行っているので、必要性は低い②は禁忌選択肢。
④⑤は行うにしてもまずは静注です。ここでは必要性は低いと考えられます。

(4)(101D-48改変問題:採点除外問題)
何度も繰り返しますが、高血糖性昏睡の治療中に注意することは脳浮腫、低K血症、低血糖です。
低血糖については(3)でブドウ糖静注していますが血糖値は測る必要があります(選択肢にはありませんが)。

①:(2)(3)の問題でモニター心電図をつけて注意して観察していたとあるので低K血症の可能性は低いと考えられます。
  もちろん行う必要もありますが、最も有用とは言えません。
②:DMの人がAMIを引き起こした可能性や不整脈の可能性があるかもしれませんが
  ①の解説と同じようにモニター心電図をつけているので最も有用とは言えません。
③:禁忌選択肢。脳浮腫による脳圧亢進の可能性がある段階では禁忌となります。
  まず頭部CTや眼底検査、cushing徴候の有無を調べてから行います。
④:そこで脳浮腫の程度をみるために頭部CTが解答となります。
⑤:もちろん精神疾患の可能性もありますが、最も有用とは言えませんし、これにより治療方針が決まるわけではありません。

これは101回の問題だな。100回にDKAにインスリン中に意識障害がきたら頭部CTを行うを選ぶ問題が出ている。
前年度の問題の中に翌年度の答えが書いてあるから、前年度の回数別は何回も見直して問題文も暗記しよう。
問題7
エストロゲン製材でPRL産生が亢進するらしいんだけど、なぜでしょうか??
+ ...
解答
通常プロラクチンは、ドパミンにより抑制されているため、
ドパミン受容体を遮断する抗精神病薬、
胃潰瘍治療薬(主にドグマチール。胃薬・抗鬱薬)、
降圧剤、エストロゲンを含む経口避妊薬/等の常用によって
高プロラクチン血症が起こることがあります。

これを、薬剤性高プロラクチン血症といいます。

解説
医学大辞典によると
薬剤性高プロラクチン血症
疾患の治療のために薬剤の投与を受け,その副作用のために高プロラクチン血症を呈することをいう。
プロラクチンは視床下部のドパミンにより抑制的にコントロールされているので,
ドパミン産生抑制薬(レセルピン,αメチルドパなど),抗ドパミン作動薬(抗精神病薬,
ヒスタミンH2受容体拮抗薬などの中枢性抗潰瘍薬,一部の抗うつ薬など),
下垂体に直接作用するエストロゲン製剤(ピルなど)の投与により
高プロラクチン血症となることが多い。高プロラクチン血症の原因の多くを占めるので,
薬歴の聴取が重要となる。

問題8
Basedow病ではコレステロール↓なのに、褐色細胞腫では↑になる。
他はみんな同じような症状なのに、不思議じゃないか?
遊離脂肪酸はどちらも↑だし、覚えにくいことこの上ない。
なぜか?
+ ...
解説
基本的に、どちらも異化が亢進してコレステロール産生は増加するが、Basedow病では胆汁分泌が著しく亢進する「らしい」。
結果として、胆汁に排泄されるコレステロールが著しく増加するので、Basedow病では血中コレステロールは↓になる。
(排泄機構のない遊離脂肪酸は、低下しない)

このように甲状腺ホルモンは消化活動全体を亢進させる。
ところが、カテコラミンはむしろ逆に、消化を著しく抑制する。
だから、褐色細胞腫では便秘になる。Basedow病の下痢とは逆に、褐色細胞腫でコレステロール↑が目立つのも、胆汁排泄が抑制されるから。

こうすれば、
  • Basedow病 - Cho↓、FFA↑、下痢
  • 褐色細胞腫 - Cho↑、FFA↑、便秘
  • カテコラミンは消化管運動を抑制する
という一連の知識は忘れなくて済むんじゃないかな?
本当に全例で胆汁への排泄がそんなに亢進するのかわからないらしいけれどね。

問題9
ミトコンドリア遺伝子異常で正しいものを3つ選べ。
①肥満
②難聴
③母系遺伝
④インスリン抵抗性
⑤低身長
+ ...
解答
2、3、5
解説
×①比較的若年(平均30歳代)に発症し、肥満を伴わない。
○②難聴を高頻度に合併する。
○③母系遺伝する。姉妹、母親、母方祖母も糖尿病など
×④インスリン分泌低下のため、治療法はインスリン療法が適応となる。
○⑤低身長、四肢近位筋の筋力低下、知能低下などがある。

その他の特徴
  • 乳酸アシドーシスをきたしやすい
  • 病型がいくつかある。(6病型)病型毎に責任遺伝子が異なる。

やせ型で低身長の比較的若年発症のDMをみたら
ミトコンドリア遺伝子異常を疑う。

問題10
次の文を読み,65~67の問いに答えよ.  
42歳の女性.口渇,多飲および多尿を主訴に来院した.
現病歴:1年前から義母の介護が始まり生活が不規則になった.
1ヵ月前から症状が出現している.
既往歴:25歳時,アルコール性肝障害を指摘された.
生活歴:飲酒は日本酒2合/日を22年間.喫煙歴はない.
家族歴:姉,母親および母方祖母が糖尿病である.
現 症:意識は清明.身長152cm,体重42kg.脈拍80/分,整.血圧154/92mmHg.
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖4十,ケトン体1十.
血液所見:赤血球420万, Hb 10.8g/d/,血小板10万.
血液生化学所見:随時血糖406mg/dl, HbAic 10.5%, AST 881U/l, ALT 641U/l,
LD〈LDH〉4291U/l (基準176~353),クレアチニン0.6mg/dl.

E65 病態として考えられるのはどれか.2つ選べ.(正答率31.7%)
a 腎性糖尿     b アシドーシス     c インスリン分泌光進
d 肝からの糖放出光進  e エリスロポエチン分泌低下            

E66 この患者にみられるのはどれか.(正答率6.4%)
a 難 聴        b 無月経         c 色素沈着
d 手指伸展障害     e 平衡機能障害                  

E67 治療の組合せで正しいのはどれか.(正答率43.4%)
            摂取エネルギー量  塩分量    薬物治療
……………………………………………………………………………………………………
       a     l,300kcal/日    5g/日   経口血糖降下薬
       b     l,300kcal/日    5g/日    インスリン
       c     l,300kcal/日    8g/日   経口血糖降下薬
       d     l,300kcal/日    8g/日    インスリン
       e     l,700kcal/日    5g/日   経口血糖降下薬
       f     l,700kcal/日    5g/日    インスリン
       g     l,700kcal/日    8g/日   経口血糖降下薬
       h     l,700kcal/日    8g/日    インスリン

出典:103回E65~67
+ ...
解答
65 b、d
66 a
67 b
解説
主要所見:
  口渇,多飲,多尿
キーワード: ①口渇・多飲・多尿(→糖尿病,尿崩症の存在を疑う)
       ②不規則な生活(→過食・ストレスにより増悪する疾患を疑う)
       ③母方の糖尿病(→母系遺伝から,ミトコンドリア関連疾患を疑う)
       ④随時血糖高値・尿糖陽性(→糖尿病の存在を疑う)
       ⑤尿ケトン体陽性(→ケトーシスをきたす病態を疑う)
12要点:  著明な高血糖・尿糖陽性の所見から糖尿病の存在を疑う.
      その上で,母系遺伝,ケトン体陽性などの情報からミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病を思いつく。

○b ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病では乳酸アシドーシスを合併しやすい。
× c ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病ではインスリン分泌は低下する.
○d インスリン欠乏時には肝臓からの糖放出は充進する.
×e 本例は尿蛋白陰性,腎機能正常より顕性の糖尿病性腎症は否定的である.
  したがって腎不全時に認められるエリスロポエチン分泌低下の存在は考えにくい.
a 11.3% b 92.2% c 52.2% d 36.5% e 6.7%

○a ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病では難聴を高頻度に合併する.
×b 本疾患の症状とは無関係である.
× c 糖尿病における色素沈着は,高度の高インスリン血症の際に出現する.
×d 筋緊張性ジストロフィーに特異的な症状で,本例とは無関係である.
×e ミトコンドリア遺伝子異常には難聴を合併するが,内耳機能や小脳機能障害は伴わない.
a 6.4% b 14.0% c 19.3% d 22.7% e 37.9%

×a, c, d, e, f. g, h
○b 本例は養母の介護をしている42歳の女性であり,軽労働者にあたるためBMIから算出した標準体重(51kg)〉425~30k:calで計算すると
   1,270~l,524kcal/日が適切である.従って, l,300kcal/日を選ぶ.高血圧もあるので塩分制限は必要であり, 5g/日が適当.
   治療法はインスリン療法が第―選択であり,経口血糖降下薬の適応ではない。
a 28.7% b 43.4% c6.8% d8.3% e 2.9% f 7.9% gO.6% h 1.3%
  •  ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病の特徴
  • ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病は特異な病態を呈する.
 〔特 徴〕
  ①母系遺伝である.
  ②比較的若年(平均30歳代)に発症し,肥満を伴わない.
  ③病態の主体はインスリン抵抗性ではなくインスリン分泌低下である.
  ④難聴を高頻度に合併する.
  ⑤乳酸アシドーシスをきたしやすい(アルコール過剰摂取があれば尚更).
 〔治療薬の選択〕
  ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病治療は,インスリン療法を第一選択とする.
 〔エネルギー摂取量〕
  肥満を伴わないこと,乳酸アシドーシスを予防することを考慮し,厳しいエネルギー摂取制限は行わない.
 〔塩分摂取量〕                    
  高血圧を合併した糖尿病では. 6g/日未満の塩分制限により腎症の進展を阻止する。

問題11
DKA疑いの患者が搬送された。検査で必要性が低いのはどれか?
①BUN ②Na ③Cre ④K ⑤HCO3‐
+ ...
解答
3
解説
KDAや高浸透圧性昏睡を調べるのに、浸透圧を計算する。
BUN(含窒素成分)は検査が必要
浸透圧=2(Na+K)+BS/18+BUN/2.8
anion gap =Na -(Cl +HCO3-)

血漿浸透圧の正常値は、290±5mOsm/l
anion gap (AG)の正常値は12±2mEq/l

問題12
血液検査で食後に増加しないのはどれか?1つ選べ。
①Cre ②βリポ蛋白 ③インスリン ④中性脂肪 ⑤血糖

出典:101C32
+ ...
解答
1(正答率:78.5%)
解説
○①個体差(筋肉量、男>女)があるが、食事の影響は受けない。
×②βリポ蛋白はLDLとされ、カイロミクロンやPreβリポ蛋白(VLDL)と違い
食事の影響は強くは受けない。
×③食事により分泌が刺激される。
×④食後に増加する。
×⑤食後に増加する。

問題13
21歳の男性.強い全身倦怠感と腹痛とがあり,家族の呼びかけに対する反応が悪くなったため救急車で来院した
.生来健康であったが,1ヵ月前から口渇と多尿とに気付くようになった.
また,体がだるく,朝,起きにくくなっていた.意識は軽度混濁.
身長170cm,体重59kg.体温36.1℃。呼吸数32/分.脈拍100/分,整.血圧96/60mmHg.皮膚は乾燥している.
結膜に貧血と黄疸とを 認めない.心雑音はない.腹部は平坦で,圧痛は認めない.
尿所見:蛋白1十,糖4十,ウロビリノゲン1十,ケトン体3十.
血液所見:赤血球560万, Hb 17.0g/dl, Ht 52%.白血球9,200,血小板32万.
血清生化学所見:血糖860mg/dl, HbA1c 11.0% (基準4.3~5.8),総蛋白8.2g/dl,
アルブミン5.6g/dl,尿素窒素32mg/dl,クレアチニン1.8mg/dl,尿酸8.0mg/dl,
AST 32単位. ALT 25単位,Na 132mEq/l、 K5.8mEq/l, Cl 88mEq/l.
動脈血ガス分析(自発呼吸, room air):pH 7.23, PaO2 95Torr. PaC02 19Torr, HCO3- 8mEq/l.   

まず行う輸液はどれか.
a 重炭酸ナトリウム液  b 1/2濃度生理食塩液  c 生理食塩液        
d ブドウ糖液      e ブドウ糖加生理食塩液
+ ...
解答
c
解説
×a 急速なアシドーシスの補正は組織の酸素欠乏の原因となるため,
   pH 7.0までは重炭酸ナトリウム投与は行わない.
×b 高Na血症(Na 155mEq/Z以上)の時はI/2濃度生理食塩水の投与を考慮する.
○c 脱水を伴っており,直ちに生理食塩水(500~1000m//hr)の点滴静注を開始するとともに,
   速効型インスリン(0.2単位/kg体重)の静注および,持続点滴静注(0.1単位/kg体重/hr)を開始する.
×d ブドウ糖液の投与は低血糖昏睡の際に適応となる.
× e 血糖値250mg/d/以下になったら糖含有の補液に変更し,インスリン持続投与に併用する.                          *正 解 c
コメント: ※糖尿病性昏睡,とりわけ高浸透圧性昏睡では血糖よりも脱水を是正することを主眼
      とする.次に大切なことは失われた電解質の補充で,測定値がどうであれNa, Kの
      絶対値はともに不足しているのである。

血漿浸透圧の基準値
健常人の血漿浸透圧濃度は290mOsm/lに極めて近い値に保たれている。

浸透圧の計算式
浸透圧=2(Na+K)+BS/18+BUN/2.8

この例では
浸透圧=2(132+5.8)+860/18+32/2.8=334.8mEq/l

糖尿病性ケトアシドーシスでは、
①血糖値の補正:インスリンの少量持続点滴を行う。
②電解質、アシドーシスの補正:
 A)浸透圧>350 または 血清Na>155mEq/lの時は0.45%食塩水を使用。
 B)浸透圧≦350 または 血清Na<155mEq/lの時は0.9%の生食を使用。
    (こちらの場合が多い) 100ml/hrのスピードで点滴する
③重炭酸NaはPHが7.1以上では投与しない。
      PHが7.0以下で、使用する。

DKAのように不揮発酸などが貯留する病態では
浸透圧計算式と実際の値にはギャップがあり、あまり参考にはならん

コメント: ※糖尿病性昏睡,とりわけ高浸透圧性昏睡では血糖よりも脱水を是正することを主眼
      とする.次に大切なことは失われた電解質の補充で,測定値がどうであれNa, Kの
      絶対値はともに不足しているのである。

問題14
65歳の男性.意識混濁のため来院した.3年前に耐糖能異常を指摘されたことがあった.
10日前にかぜをひき,口渇と全身倦怠感とが出現した.
3日前に近医で血糖660mg/dlを指摘され,インスリンによる治療が開始された.
身長160cm.体重50kg.血圧140/85mmHg.尿所見:蛋白(-),糖4十,ケトン体(士).
血清生化学所見:空腹時血糖520mg/dl,尿素窒素65mg/dl,クレアチニン2.2mg/dl.
Na 156mEq/l, K4.5mEq/l.動脈血pH 7.38, HCO3- 22mEq/l.
(1)最も考えられるのはどれか.
a 尿毒症    b 副腎皮質不全 c 乳酸アシドーシス
d 非ケトン性高浸透圧性昏睡 e 糖尿病性ケトアシドーシス       
(2)まず行う点滴はどれか?
a  1/2濃度生理食塩液   b 生理食塩液
+ ...
解答
(1)d (2)a
解説
意識障害
①65歳(→高齢)
②10日前にかぜをひき,口渇と全身倦怠感
③空腹時血糖520mg/dl (→DM)
④Na 156mEq/l ↑(→非ケトン性高浸透圧性昏睡?)
⑤ケトン体(士),動脈血pH 7.38, HCO3-  22mEq/l
(→糖尿病性ケトアシドーシスは否定的)
⑥尿素窒素65mg/d/,クレアチニン2.2mg/dl(→脱水)

糖尿病患者が,意識障害にて人院した場合にはまず血糖の異常,
すなわち低血糖か 高血糖になったのかを鑑別することが重要である.
高血糖の際,糖尿病性ケトアシドーシスなのか,非ケトン性高浸遠圧性昏睡によるものなのか,
乳酸アシドーシスによるものなのかを鑑別することが重要である.
本症例では,血糖520mg/dlと高値である.
尿ケトン体は低値.
  血漿浸透圧=2(Na十K)十BS/18十BUN/2.8
   =2(156十4.5)十520/18十65/2.8≒373mOsm/kgH20
  (正常は285~295)と高値動脈血のpH7.38とほぽ正常より,
非ケトン性高浸透圧性昏睡と考えられる.
Naは150mEq/l以上となる事が多く,
Na,Gluの高値が血漿浸透圧の上昇に多く寄与する.
 非ケトン性高浸透圧性昏睡☆☆☆

×a クレアチニンが2.2mg/dlであり,またアシドーシスもないことより否定的.
×b 腎不仝や副腎皮質機能低下症では,低ナトリウム血症,高K血症がみられる.
×c 乳酸アシドーシスではアシドーシスの存在により,pHは低下するが,本例ではpHは正常である.
○d アシドーシスがないこと,高血糖と高Na血症,それに基づく昏睡があることよりもっとも考えやすい.
×e アシドーシスがない点,尿中ケトン体が(土)と顕著でない点より糖尿病性ケトアシドーシスは否定的である.

●●非ケトン性高浸透圧性昏睡では,糖尿病性ケトアシドーシスと異なり脂質代謝への影響が少ないため,
脂肪醸の増加によるpH低下がみられず,アシドーシスはみられない.
非ケトン性高浸透圧性昏睡のまとめ
①好発:2型DMの高齢者             
②誘因:感染・下痢・ストレスなど         
③皮膚・□腔粘膜乾燥.血圧↓,顛脈,(高度の脱水症状)
  けいれんや童識障害(∵脳細胞内脱水)がみられる. (多彩な精神症状)
④血漿浸透圧高値.著明な高血糖,高Na血症.尿中ケトン(-~土)がみられる。
  →非ケトン性高浸透圧性昏睡を考える.  

治療:ケトアシドーシスの治療に準じるのが第一原則!
   直ちに生食の点滴静注を行う.(Na≧155mEq/lなら1/2生食)

問題15
ケトン性低血糖症で正しいのはどれか。2つ選べ。
①小児期の低血糖症の中で最も多い。
②血中乳酸が増加する。
③ロイシン負荷試験で低血糖が誘発される。
④カテコラミンの皮下注射が有効である。
⑤10歳ころまでに自然軽快する。
+ ...
解答
1、5(正答率:28.8%)
解説
①低血糖の頻度としては新生児低血糖が最も多いが、新生児を除いた小児期では
ケトン性低血糖症が最も頻度が高い。
②血中ケトン体は上昇するが、乳酸、ピルビン酸は正常である。
乳酸が上昇する低血糖症を診た場合は、糖原病などの先天代謝異常を考慮すべきである。
③ロイシン負荷試験で低血糖が誘発されるのは、膵β細胞過形成が原因である
ロイシン過敏性低血糖症である。
④本症の治療はできるだけ空腹を避けることである。低血糖症状を呈したときは、
ブドウ糖を含んだ輸液が有効である。
⑤本症は年齢が進み、年長児になると自然軽快する予後良好の疾患である。

低血糖症の定義
状態 血糖値
………………………………………
低出生体重児 20mg/dl以下
成熟児 30mg/dl以下
生後72時間以後 40mg/dl以下
乳児以後 50mg/dl以下

ケトン性低血糖症 ketotic hypoglycemia
小児の低血糖症の中で最も多く認められ,全体の50%を占める。
1歳半以降の幼児に認められ,意識障害・痙攣などの低血糖発作が突然起こり,
発作間欠時はまったく正常で,発作間欠時の空腹時血糖も正常である。
発作は絶食の後に起こりやすくケトン尿が先行する。
夕食を十分とらなかった翌朝に起きることが多い。
身体的には未熟児,SFD児,身体発育不良児に認めやすく,
男女比は2:1で男児に多い。加齢とともに発作頻度は減少する。
ケトン食で低血糖発作が再現され,低血糖発作時にグルカゴンを負荷しても
血糖の十分な上昇がみられない。
本態は不明であるが,糖新生の基質不足や糖新生系代謝の未熟性が関与していると考えられる。
ケトン性低血糖症の診断として,ケトン食負荷試験が行われる

問題16
32歳の女性。口渇、多飲、多尿および体重減少を主訴に来院した。
意識は清明。身長160㎝、体重46㎏。脈拍80/分、整。血圧104/72mmHg。
甲状腺の腫大は認めない。
尿所見:蛋白(-)、糖4+、ケトン体2+。
血清生化学所見:空腹時血糖324mg/dl、HbA1c9.8%(基準4.3~5.8)
治療方針決定に有用な検査はどれか。2つ選べ。
①動脈血ガス分析
②尿中Cペプチドの測定
③尿中アルブミンの定量
④インスリン負荷試験
⑤75g経口ブドウ糖負荷試験
+ ...
解答
1、2(正答率:55.4%)
解説
糖尿病性ケトアシドーシス
○①動脈血ガス分析でアシドーシスの程度を把握し緊急性を判断する。
○②尿中Cペプチドは1型糖尿病と2型糖尿病の鑑別に必要。
ケトアシドーシス急性期脱出後の自己注射継続の要否の判定に必要で、
抗GAD抗体測定と同時に行われる。
×③糖尿病性腎症の評価に必要だが、本症例の治療方針決定には重要とはならない。
×④インスリン負荷試験は視床下部下垂体系の負荷試験として行われるものである。
×⑤糖尿病か否か不明の患者に対して行うもので、悪化をきたすので不要である。

糖尿病が1型か2型かを鑑別するためには、内因性インスリン分泌能の評価が必要である。
方法として、1)グルカゴン負荷試験:グルカゴン1mg静注6分後のCPR(Cペプチド)を測定
→(通常1.0g/ml以上なら内因性インスリン分泌能あり)
2)尿中CPR測定(40~80μg/日が正常。10~20以下はインスリン依存状態)

問題17
15歳の男子.2ヵ月前から全身倦怠感があり,1ヵ月前から多飲と多尿とが出現した.2週前から悪心と嘔吐とを繰り返し,
今朝から意識混濁を来し救急車で搬送されてきた.脈拍96/分,呼吸数28/分,整.血糖736mg/dl、尿ケトン体3十.
この患者で予想される動脈血の所見はどれか.
    pH   PaCO2(Torr) HCO3-(mEq/l) Na(mEq/l) Cl(mEq/l〉
  a 7.00      43       11       137     102
  b 7.18      23        9       136     96
  C 7.21      36       14       136     108
  d 7.40      40       24       141     107
  e 7.46      32       32       145     98    
+ ...
解答
b
解説
呼吸数28/分,血糖736mg/d/,尿ケトン体3十(→糖尿病性ケトアシドーシス)
したがって,アシドーシスを示しているa~cが鑑別の対象となる.
糖尿病性ケトアシドーシスではanion gapは増大する.
また, Kussmaul呼吸により過換気となり, PaC02↓も認めることが多い.

× a anion gap は24と増大しているが, DKAでは通常PaCO2↓傾向を示すため,否定的。
anion gap =Na -(Cl +HCO3-)=137-(102+11)=24
○b anion gap = 136 - (96 + 9) =31と著明に増大しており, PaC02↓も認め糖尿病性ケトアシドーシスの所見に一致する.
× c anion gap は14と正常範囲であり,否定的である.
× d, e 糖尿病性ケトアシドーシスでは,アシドーシスにより,pHは通常7.3以下

※anion gap (AG)は CI一とHCO3- 以外の陰イオンが異常に増加しているか否かをみる検査。
糖尿病性ケトアシドーシスではケト酸の増加によりanion gap ↑を示す.

<血液ガス分析の基準値>
Pao2:80~100Torr、Paco2:40±5Torr、pH:7.4±0.05
HCO3-:24±2mEq/l、 BE:0±2mEq/l、酸素飽和度:95%以上

anion gap (AG)の正常値は12±2mEq/lである.

問題18
糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡と非ケトン性高浸透圧性昏睡の鑑別に有用な所見はどれか.
 a 幻 覚       b 過呼吸       c 頻 脈
 d 低血圧       e 皮膚乾燥 

出典:87A72 89A69
+ ...
解答
b
解説
糖尿病性昏睡がみられた場合には,糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡か非ケトン性高浸透圧性昏睡かの鑑別が重要である.
尿中ケトン体,動脈血pH, HCO3-で鑑別する。
臨床症状でもおおまかな見当はつけることは可能である.

× a, c~e 高血糖,高度脱水,昏睡による共通症状である.
○b 糖尿病性アシドーシスでは, Kussmaul大呼吸と呼ばれる過呼吸を呈する.
 これは代謝性アシドーシスを過呼吸によって代償しようとしている状態である,
また、血圧については、糖尿病性ケトアシドーシスでは「脱水により血圧の低下がみられる」と。
非ケトン性高浸透圧性昏睡では「高度の脱水により、時に血圧低下を伴う」と。

問題19 
24歳の女性。下痢と体重減少を主訴に来院。半年前から1日2,3回の下痢が始まり、
体重が減少してきた。階段を上るときに動悸を感じるようになった。
身長162㎝、体重48㎏。体温37.2℃。脈拍112/分、整。血圧128/58。皮膚は湿潤。
血液所見:赤血球410万、白血球3.500。血液生化学所見:空腹時血糖98mg/dl.
総コレステロール128mg/dl。ALP 410IU/l(基準115~359)
内服治療開始後の臨床視標で重要なのはどれか?
①体重
②血圧
③便性状
④白血球数
⑤血清総コレステロール

出典:104D42
+ ...
解答
④(正答率:58.5%)
解説
6ケ月前からの下痢、体重減少、動悸(頻脈)、皮膚湿潤からBasedow病による甲状腺中毒症状を疑う。
初期治療としての抗甲状腺薬内服による副作用への注意点を問うている。
抗甲状腺薬内服による重大な副作用として、無顆粒球症があるので白血球数減少には注意。

24歳、女性(→女性に多い疾患)
下痢(→甲状腺中毒症状)
体重減少(→代謝亢進による症状)
動悸、頻脈、皮膚湿潤(→交感神経優位の症状)
総コレステロール128(→脂質代謝亢進による低コレステロール血症)
ALP410(→骨代謝亢進によるALP高値)

×①治療によって体重は増加するが、副作用ではない。
×②治療によって変化することはない。
×③治療によって下痢は改善する。
○④抗甲状腺薬内服による副作用として、白血球数減少(無顆粒球症)に注意する必要がある。
×⑤治療によって脂質代謝が改善すると上昇するが、副作用ではない。

抗甲状腺薬内服による副作用
(1)2~3週間後:薬疹
(2)3~12週後に:白血球数減少(無顆粒球症)
白血球数と好中球をチェックする必要がある。
無顆粒球症(好中球:500/μl未満)と診断した場合、直ちに抗甲状腺薬の使用を中止する。


問題21
アレルギー反応の分類と疾患の組み合わせで正しいのはどれか。
a Ⅰ型アレルギー:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
b Ⅱ型アレルギー:混合性結合組織病
c Ⅲ型アレルギー:クリオグロブリン血症
d Ⅳ型アレリギー:Goodpasture症候群
e Ⅴ型アレルギー:慢性甲状腺炎(橋本病)

出典:104B-17
+ ...
解答
c
解説
まあBasedowと橋本の引っかけだわな。(BasedowがⅤ型)
(ITPはⅡ型)(シェーンライヒヘノッホ紫斑病SHPはⅢ型)
Ⅲ型はDr.Kの語呂にクリオグロブリン血症を加えて
「シェー 散々 楽 すれば カビ生えた クリと ケツから 糸が たくさん」
Ⅲ型 SHP RA SLE  過敏性肺炎 クリオ 血清病  AGN 多発性動脈炎
と憶えよう。

問題22
ケトン性低血糖症について正しいのはどれか?1つ選べ。

①学童期に多い。
②朝に発症しやすい。
③糖尿病に合併しやすい。
④高脂肪食で予防する。
⑤グルカゴンで治療する。
+ ...
解答
②(正答率:35.2%)
解説
×①小児期に多く、主に18ヶ月~5歳の幼児に好発する。遅くとも10歳までには自然軽快する。
○②夕食をあまり取らなかった翌朝に発作が起こりやすい。
×③関係ない。
×④ケトン性低血糖は、ケトン食(高脂肪)や低血糖で誘発される。
×⑤発作予防には、高蛋白、高炭水化物食を頻繁に与える。
発作時には、ブドウ糖(オレンジジュースなど)を投与する。
(経口できなければブドウ糖の静注)

問題23
インスリン治療していたが熱発して、インスリン注射を自己中止したあと、
意識障害を起こしDKA疑いで受診した。
(正答率:82.2%) 
検査で最も必要性が低いのはどれか?1つ選べ。
①血球
②血糖
③含窒素成分
④脂質
⑤電解質

出典:101D47改変 スレ6 441氏
+ ...
解答

解説
○①感染症の存在を疑い、WBCや白血球分画を知りたい。
○②DKA疑いで当然血糖値は知りたい。
○③脱水度の評価に必要。
×④必要性は低い。
○⑤KDAなのか高浸透圧性昏睡の鑑別や治療法を決定するのに血清Na、K濃度が参考になる。

④の脂質を選んだ人は、深読みしてインスリン↓↓⇒脂肪分解の亢進⇒脂肪酸の生成⇒
ケトン体産生⇒代謝性アシドーシス(AG↑)を考えてしまい脂質検査の価値が高いと
考えてしまったのかな?

KDAや高浸透圧性昏睡を調べるのに、浸透圧を計算する。
浸透圧=2(Na+K)+BS/18+BUN/2.8

③含窒素成分 (BUN)は当然検査が必要。
脱水が急速にくるとCreの変動は殆どないが、BUNは上昇する。

問題24
SIADH不適合分泌症候群に合致する血液検査所見はどれか?2つ選べ。
①Ht55% ②空腹時血糖 45mg/dl ③Cre 1.8mg/dl ④尿酸 2.5mg/dl ⑤Na 128mEq/l
+ ...
解答
④⑤(正答率:91.4%)
解説
×①血液は希釈されてHtは上昇しない。
×②血糖値は変化しない。
×③クレアチニンは正常。腎不全は認めないため。
○④尿酸値は低下する。
○⑤低ナトリウム血症が、SIADHの最も基本的な異常所見である。

SIADHは血漿浸透圧が低下しているのにADHの分泌↑、or腎臓のADHに対する感受性↑で起こる。
別の疾患の合併症orは部分症状として発症する。

原因:
①肺疾患(肺癌、特に小細胞癌など) ②中枢神経疾患(代表的には髄膜炎)
③ADH産生性腫瘍 ④薬剤性のものなど

☆SIADHの診断基準の要約
①血漿浸透圧低下:270mOsm/l (mOsm/kgのどちらでも良い)以下
(正常値は、290±5mOsm/l) 血漿浸透圧=2(Na+K)+BS/18+BUN/2.8
②低ナトリウム血症:血清Na<135mEq/l
③尿中ナトリウム濃度>20mEq/l
④尿浸透圧>300mOsm/l
⑤腎機能、副腎機能正常(血清Cre<1.2mg/dl、血清コルチゾル>6μg/dl)
⑥血漿バソプレシンが測定される
⑦脱水所見は認められない。
⑧尿酸値は5mg/dl以下が多い(参考所見)

問題25 
32歳の女性。3日前から高熱と咽頭痛とを主訴に来院した。甲状腺機能亢進症のため、1ケ月前から抗甲状腺薬を服用している。
体温38.9℃、脈拍120/分、整。血圧120/80mmHg。咽頭と口蓋扁桃とに偽膜を認める。
胸部打聴診で異常所見はない。腹部は平坦で肝・脾は触知しない。
血液所見:赤血球450万、Hb14.0g/dl。Ht42%、白血球1200(桿状核好中球2%、分葉核好中球2%、単球9%、リンパ球87%)、血小板22万。
血清生化学所見:AST35単位、ALT30単位、LDH200単位(基準176~353)
まず投与するのはどれか?2つ選べ。

①抗菌薬 ②抗腫瘍薬 ③甲状腺ホルモン ④副腎皮質ステロイド薬 ⑤顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)

出典:98A33
+ ...
解答
①⑤
解説
診断:(薬剤性)無顆粒球症、敗血症

無顆粒球症:好中球が500/μl未満のこと。100/μl未満は重症無顆粒球症。
白血球1200/μlのうち、好中球数=1200×(2+2)%=48/μlと著明な好中球減少を認める。

発熱は、咽頭痛・扁桃を感染巣とした細菌感染→高熱、脈拍数増加から敗血症と思われる。

○①細菌感染症の治療として、血液検査結果を待たずに最も早急に行う必要がある。
×②LDHが正常範囲内で白血病などは考えにくい。
薬剤性無顆粒球症の診断の際には白血病の可能性を否定するため、骨髄穿刺を行う場合が多い。
×③甲状腺機能低下を示唆する所見はない。
×④感染症には好ましくない。
○⑤保険適応外であるが、好中球の増加を期待してしばしば用いられる。


問題26
水溶性ビタミンは次のうちどれか?1つ選べ。
①ビタミンA ②ビタミンC ③ビタミンD ④ビタミンE ⑤ビタミンK
+ ...
解答
②ビタミンC
解説
×①ビタミンAは脂溶性。不足すると夜盲症になる。
○②ビタミンCは水溶性。不足すると壊血病。鉄欠乏性貧血にVitCを加えると鉄剤の吸収を促進する。
×③ビタミンDは脂溶性であり、不足するとくる病、骨軟化症の原因となる。
 先天性胆道閉鎖症では、胆汁分泌不全により早期からVitDなどの脂溶性ビタミンの欠乏が起こる。
×④ビタミンEは脂溶性。ビタミンEが不足すると溶血性貧血や小脳失調、深部感覚障害などの神経症状が起きることがある。
×⑤ビタミンKは脂溶性。ビタミンKが不足すると正常な凝固因子Ⅱ(プロトロンビン)が生成されず新生児ビタミンK欠乏症により、
頭蓋内出血が起きたり、新生児メレナで消化管出血などを引き起こす。

脂溶性ビタミン
DAKE(だけ)
(105B34)(106回出題)
食物中の鉄分は三価鉄(Fe3+)であり、十二指腸上皮細胞表面の鉄還元酵素(Dcytb)とビタミンC(アスコルビン酸)は三価鉄(Fe3+)を二価鉄(Fe2+)に還元することで十二指腸からの吸収効率を上げる効果がある。
最終更新:2012年06月06日 16:13
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