神経・精神・運動

更新日時 2012-04-24 22:05:33 (Tue)

問題1
48歳男性。1ヶ月前から上顎の齲歯のため鈍痛が持続していた。
CTで脳膿瘍と診断。この脳病変を最もきたしやすいのはどれか?
1鼻茸 2慢性鼻炎 3略 4略  5急性副鼻腔炎
+ ...
解答5急性副鼻腔炎
出題者コメント1や2はだめかな?
解説
鼻茸もあるけど、経過としては副鼻腔炎→鼻茸って感じだから、まずは副鼻腔炎を選ぶべきだろうね
慢性鼻炎ってのはひっかけかな。あくまで、副鼻腔に炎症がいかないとその先(脳)にも波及しないって考えたほうがいいかも
X2、X3の問題だったら鼻茸とか慢性鼻炎も候補に上がってくるが

問題2
熱けいれん(heat cramps)とは次のうちどれか?
(1)小児などで高熱を発したときに起こる全身性の痙攣のことである。
(2)ふくらはぎ(こむらがえり),大腿,肩,腹筋などに 痛みを伴う発作的な骨格筋の収縮が運動の最中や労作終了後に生ずるものをさす。
+ ...
解答2
解説
熱けいれん(heat cramps)は熱中症の病態の一つである。
(熱中症)Heat Emergencies
A.熱浮腫(heat edema)
B.熱失神(heat syncope)
C.熱けいれん(heat cramps)
D.熱疲労(heat exhaustion)
E.熱射病(heat stroke)に分類される。
熱けいれんは、発汗を伴う労作運動に水分のみを補充したときに起こり、低ナトリウム血症が関与している。
熱けいれんは、大腿二頭筋、上腕筋などの発達した筋肉に繰り返しておこる有痛性痙攣である。
有痛性痙攣のため、転げ回るくらい痛い。
塩分(生理食塩水⇒の経口投与,あるいはミネラル配合の清涼飲料水)を補給するが、嘔吐した場合は点滴する。
点滴していても有痛性痙攣がひどいと点滴が固定できずに、抜けてしまうこともある。
なお、熱けいれんは体温は正常であることが多く、発汗がみられる。

問題3
MSで下顎反射↑はわかるんだけど、角膜反射↓は何故?
+ ...
解答
下顎反射は深部反射
角膜反射は表在反射
解説
表在反射は上位でも下位障害でも低下するやん
深部腱反射は上位障害で亢進やん

感覚器が深部か表在かってことだと勝手に思ってる。
表在反射は主に皮膚感覚で真皮に感覚器がある
深部反射は主に腱でもちろん腱という深い位置にある
嘘かもしれないけど、この解釈で今のところ困ったことはない。

問題4
バビンスキー反射はどれか?2つ選べ
①開扇現象
②母趾の背屈
③趾指の屈曲
+ ...
解答
1、2
解説
バビンスキー反応は、通常は正常成人では出現せず,
錐体路(皮質脊髄路,上位運動ニューロン)が
障害されたときに誘発される反射を総称する。
陽性の場合は
①第1趾が背屈し(母趾の背屈)
②同時に他の趾が扇のように開く(開扇現象)

なお2歳までは、バビンスキー反射は陽性であるのが正常であり、
もし認められなけれ異常である。

問題5
足底の刺激によりバビンスキー反射が陽性となった。
この反応を生じうる病変部位はどれか。2つ選べ。
①内包後脚 ②中脳底部 ③小脳皮質 ④脊髄後索 ⑤末梢知覚神経

出典:第84回A37
+ ...
解答
1、2
解説
Babinski反射(バビンスキー反射)(第84回A37)
足底の刺激による第1趾の背屈は、Babinski反射陽性であり、錐体路の障害時に見られる。
錐体路は、大脳運動領野→内包(主に後脚の後1/3)→脳幹底部(腹側)→延髄→錐体→脊髄側索→脊髄前角に至る経路(皮質脊髄路)であり、
この経路の障害によりBabinski反射陽性となる。
Babinski反射の判定には母趾の動きが他趾の動きより重要である。

病的反射(上位運動ニューロン障害に伴って起こる原始反射)
(1)Babinski反射、Chaddock反射(足の外果の横をこする)
    →錐体路の障害時に見られる。
    →母趾が足背に背屈し(母趾現象)、母趾以外4本の指が開いた状態(開扇現象)となる。

(2)Hoffman反射
    →手の中指末節を強くはじくと母指が屈曲する。
(3)口とがらせ、吸引、把握………前頭葉の障害による。

問題6
60歳男性。2年間から時々、両下肢のところどころに電気の走るような鋭い
痛みが起こるようになり、その都度、鎮痛薬を服用した。昨年から夜道を歩くと
ふらつくようになった。最近痛みが増強し、昼間でも脚がふらつくので来院した。
瞳孔は左右不同・不正円形で、対光反射は消失し、輻輳反応は保たれている。
四肢に麻痺はないが、筋緊張が軽度に低下している。指鼻試験は良好で、踵膝試験
は拙劣であるが、注視下では改善を認める。腱反射は上肢で減弱、下肢で消失し、
バビンスキ-徴候は陰性である。

最も疑われる疾患はなにか. 一つ選べ.
a. Werdnig-Hoffmann病
b. 慢性硬膜外血腫
c. 髄膜炎
d. 脊髄梅毒
e. 多系統萎縮症

追加問題
本疾患の症状とその時期について正しいのはどれか. 2つえらべ.
1. 感染後2ヶ月 - 軟性下疳
2. 感染後2ヶ月 - 扁平コンジローマ
3. 感染後2年  - ゴム腫
4. 感染後12年  - 大動脈瘤
5. 感染後12年  - 視力障害
+ ...
解答
本問 d *
追加問題 4, 5 ***
解説
解法の要点:
両下肢の電撃痛・対光反射以上と輻輳反射正常(Argyll-Robertson瞳孔)・後索障害・
膝蓋腱反射消失(Westphal徴候)より神経梅毒が疑われる。従ってdが正解になる。梅
毒は減少傾向であるが、性感染症として未だ重要であり、その症状は時期も併せて
知っておく必要がある。[Dr.Mで解けた!](Dr.M1-774)

診断:神経梅毒(脊髄癆)

(本問)
×a 先天性疾患であり、新生児期より発症する。
×b 存在しない疾患名。いい加減な診断は患者に不安を与えるだけである。[Don't]
×c 2年におよぶような慢性的な経過はたどらない。
○d 解法の要点より、これしか考えられない。
×e 慢性的な経過をたどる点では合致するが、症状が合わない。

(追加問題)
×1 硬性下疳は感染後3ヶ月以内に多い症状である。ひっかけに注意。
×2 扁平コンジローマは梅毒の症状であるが、第2期(3ヶ月~3年)に多い。
×3 ゴム腫は梅毒の症状であるが、第3期(3年~10年)に多い。
○4 大動脈瘤は第4期(10年以降)に見られる。
○5 視力障害は第4期にみられる。他にも難聴・進行麻痺などがある。

コメント:
硬性下疳と軟性下疳・扁平コンジローマと尖形コンジローマは引っかけの選択肢
として国試でもよく出題されている。ゴロで知識を確実なものにしておこう。

問題7
抗ドパミン薬投与中に悪性症候群がでたらどうするか
a.抗ドパミン薬減らす
b.ドパミン投与
c.即中止
d.ダントロレン筋注
+ ...
解答
c
解説
一応自分が正解としたのはcです。
薬の量を急に変えたりしたときにも悪性症候群は出現するらしいが、
治療としては、原因と思われる薬物の中止。(この処置がさらに悪性症候群を悪化させるかどうかは謎であるが)
あと、ダントロレンは投与するが、筋注ではないのではないかと思ったんだが・・・
臨床現場を知らんので知ってる人がいたら教えて欲しいのだけど、
悪性症候群で全身の筋が固縮してるわけで個別の筋注は実質不可能なのと
筋注では全身に作用が発現するのに時間がかかるので、静注するんじゃないかと想像してたんだが

ダントロレンは内服or静注。
内服の場合、経口摂取が無理なら鼻腔から注入するらしい。

悪性症候群は、生命に危機が迫った緊急に治療を要する事態であり、
投薬の即時中止,補液とダントロレン静注による積極的治療が必要である。
脇の下、首などの冷却などの管理も大切。

抗精神病薬と抗パーキンソン薬は対応が違うみたいよ

①起因薬剤の処置 投与の中止
抗精神病薬が誘因とみられる場合には、その薬剤を直ちに中止する。
パーキンソン病患者で悪性症候群の誘因となる薬剤が併用されている場合には、
その薬剤は中止し、他の抗パーキンソン病薬は継続する。

②投与再開後、漸減
抗パーキンソン病薬で、減量時や中止時に発現したときは、
いったんもとの投与量に戻した後に漸減していき投与初期のときは投与を中止する。13)

全身管理
(適切な治療が可能な施設への転送も含めて) 1.適切な補液による脱水、電解質バランスの補正
2.クーリング
3.酸素の投与および呼吸循環管理
4.腎機能のモニタリング
5.精神症状にはベンゾジアゼピン(フルニトラゼパムなど)の静脈内投与で対処

問題8
特発性てんかんで正しいのはどれか?1つ選べ。

①環境要因が原因として重要である。
②脳腫瘍が原因となることがある。
③有病率は10%である。
④幼小児期の発症が多い。
⑤女性に多い。
+ ...
解答
4(正答率:49.7%)
解説
×①てんかんの一部には遺伝子異常が同定されている家系もあり、
  遺伝要因が重要である。
×②「特発性」とは原因不明の意味である。脳腫瘍によるてんかんは続発性てんかんである。
×③有病率は小児人口100~200人に1人である。
  特発性てんかんの有病率は3~7/1000人である。
○④生後~2歳までと思春期にピークがあり、特発性てんかんは3歳未満の発症が70%である。
×⑤小児欠神てんかんを除いて男性に多い。

ポイント:「特発性」=原因不明の意味。脳腫瘍など原因の記載があるものは選ばない。

問題9
コルサコフ症候群で正しいのはどれか、3つ選べ。

a. 急性アルコール精神病である
b. 覚醒剤精神病である
c. 側頭葉の萎縮が目立つ
d. 自律神経症状を伴う
e. 作話を伴う
f. 精神症状は原因物質をやめることで改善する
g. ビタミンB6欠乏による
h. 妊娠悪阻の誤治療でなることがある
+ ...
解答
c、e、h

問題9
次の文を読み,22~24の問いに答えよ.
 61歳の男性.複視と歩行障害とを主訴に来院した.
現病歴:今日の午前10時頃,会議中に突然物が二重に見え,右上下肢が動かしづらいことに気付いた.
様子をみていたが改善しないため午後5時に来院した.
既往歴:10年前から糖尿病で,5年前からインスリンで加療中である.6年前から高血圧で加療中である.
2年前に突然,右上下肢が動かしづらくなり,歩く時ふらつく症状があったため入院したことがある.
それらの症状は数日で消失し,1週間で退院した.
家族歴:兄と姉が高血圧で加療中である.
現 症:意識レペルはJCS I -1. 顔の表情は正常.身長165cm,体重52kg.体温36.2℃.臥位で脈拍84/分,整.
血圧156/80mmHg.眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.心音と呼吸音とに異常を認めない.
腹部は平坦で,圧痛と抵抗とを認めない.肝・牌を触知しない.右側方視で左眼は内転できず,
右眼に水平眼振を認める.左側方視では両眼とも正常に動く.幅輸と垂直方向の眼球運動とは正常である.
右上下肢の筋力低下と深部腱反射充進とを認める.起立・歩行障害を認める.
四肢に不随意運動はなく,頭痛,失語・失行・失認,項部硬直,顔面筋麻疹および聴力障害を認めない.
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖1十.血液所見:赤血球495万, Hb 16.0g/dl, Ht 44%,白血球6,500,血小板25万.
血清生化学所見:空腹時血糖240mg/c!/, HbA1C8.2% (基準4.3~5.8),総蛋白6.9g/dl.
アルブミン4.8g/dl,尿素窒素9.2mg/dl,クレアチニン0.9mg/dl, AST 181U/l, ALT 141U/l.
心電図と頭部単純CTとに異常を認めない.
E22 病変の部位はどこか.
a 内 包 b 視 床 c 中 脳 d 小 脳   e 橋                      
E23 診断に最も有用なのはどれか.
  a 髄液検査        b 脳 波        c 頭部単純MRI
  d 頚動脈超音波検査    e SPECT                      
E24 治療薬として適切なのはどれか.
  a 抗血小板薬                 b 抗ウイルス薬
  c 免疫グロブリン製剤             d 副腎皮質ステロイド薬
  e 組織プラスミノゲン・アクチベーター〈tPA〉           
+ ...
解答
22 e
23 c
24 a
(正答率:E22 20.7%、E23 79.6% 、E24 72.3%)
解説
主要所見:複視,右上下肢麻庫,右側方視で左眼は内転できず,右眼に水平眼振
     左側方視,垂直方向の眼球運動正常
意 図: 病歴と理学所見,神経学的所見から病巣の部位を推定し,適切な検査方法および治療
     を問うている.
キーワード:①物が二重に見える(-複視)
      ②右上下肢麻疹(一右片麻疹)
      ③糖尿病,高血圧の既往(一血管性病変の危険因子)
      ④右側方視で左眼は内転できず,右眼に水平眼振(→MLF症候群)
      ⑤左側方視,垂直方向の眼球運動正常     (→MLF症候群)
      ⑥右上下肢の筋力低下と深部腱反射充進(→右錐体路障害と右片麻疹)
      ⑦失語・失行・失認は認めない(→大脳皮質の障害はない)
      ⑧心電図と頭部CTには異常なし(→心房細動は否定的,脳出血はない)

1.臨床症状,神経所見をまとめると左内側縦束(MLF)症候群と錐体路徴候を伴う
 右上下肢麻疹である.また,大脳皮質の障害を示唆する失語・失行・失認は認めて
 いない.以上から脳幹部,特に左橋レベルの障害が疑われる.原因としては,比較
 的突然発症であり,動脈硬化性病変の危険因子である高血圧,糖尿病を伴っている
 ことから脳血管障害を第一に疑う.
2.さらに頭部CTは正常なので,出血は否定的であり脳梗塞をより強く疑う(頭部
 CTでは発症早期の脳梗塞や脳幹部の小梗塞を検出することは困難である).
3.このほか,外眼筋運動障害という観点からはGuillain-Barre症候群の亜型である
 Fisher症候群も鑑別に挙がるが,先行感染がないこと,深部腱反射が消失していな
 いこと,失調症状が明らかではないことから否定的である.
診 断:左橋梗塞

E22
× a 内包の障害では片麻疹や錐体路徴候は認められるが,眼球運動障害は伴わない.
×b 視床の障害では感覚障害をきたす.
× c 外眼筋運動障害の原因のうち,動眼神経麻疹なら中脳の病変と考えられるが,
  本例の外眼筋運動障害は動眼神経麻疹ではなく, MLF症候群である.
×d 小脳障害では片麻疹も錐体路徴候も認められない.眼振は出現するが,外眼筋
  運動障害は認めない.
○e 左MLF症候群と右片麻癖を示すので,左橋の障害と考えられる.
E23
× a Fisher症候群では細胞蛋白解離を認めるが,本例ではFisher症候群は否定的で
  あり,髄液検査が診断に有用とは考えにくい.
×b てんかん発作や意識障害もなく,鑑別には役立だない.
○c 脳幹部などの小梗塞はCTでは検出できないことが多く, MRIが最も有用である.
×d 動脈硬化の程度の判定など危険因子の検討には必要であるが,直ちに脳梗塞の
  病巣診断には役立だない.
×e 脳血流を検討する検査としては重要であるが,直接の部位診断には役立だない.
  また,解像度の問題から脳幹病変は検出しにくい.
E24
○a 脳梗塞急性期には抗血小板薬は第一選択となる.本例では心房細動を伴ってお
  らず,塞栓症は否定的であるので,慢性期予防においてもワーファリンよりもア
  スピリン,チクロピジン,クロピドグレルなどの抗血小板薬を用いる.
×b 単純ヘルペス脳炎などウイルス感染を示唆する所見はない.
× c Guillain-Barre症候群やその亜型であるFisher症候群では第一選択であるが,
  脳梗塞には用いない.
×d 多発性硬化症の急性期には大量静注療法(パルス療法)を行うが,脳梗塞には
  用いない.
× e tPAは2005年10月から保険適用が認められ,脳梗塞(虚血性脳血管障害)に用
  いられるようになった血栓溶解薬である.劇的に症状を改善する効果がある一方,
  出皿性梗塞などの致死的副作用を生じることもあり,その適応ぱ厳格に定められ
  ている.特に時間的制約については厳密に定められており,発症3時間以内に投
  与しなければならない.本例では来院時,すでに7時間経過しており適応外である.

問題10
58歳の男性。身長162㎝、体重86㎏。不眠症があり、睡眠薬を2種類服用している。
前日までは異常がなかったが、起床時に左手首が下がったままで、上げることができないのに
気づいて受診した。
現症:意識は正常。左手関節の背屈と左指筋の伸展とがいずれも麻痺のためにできないが、
左手関節の掌屈と左手指筋の屈曲との筋力は正常である。表在感覚は左前腕、左手背で低下している。
右上肢には神経学的異常を認めなかった。膀胱直腸障害はない。
左上肢の運動麻痺の原因部位はどれか。
①橋
②延髄
③頸髄
④胸髄
⑤末梢神経
+ ...
解答

解説
○⑤左上肢の運動麻痺症状は、橈骨神経麻痺に典型的である。(下垂手)
橈骨神経の支配領域に手の背側の感覚低下がある。

松葉杖による腋窩部での圧迫のほか,より下部で上腕骨周囲を回って肘部へと下行する部分での
睡眠中の圧迫,上腕骨骨折,上腕への不注意な注射による障害が多い。
土曜日の夜麻痺Saturday-night palsyとも言う。
酒に酔ったり,熟睡して一側上肢を伸ばして横になり,その上肢を枕にして長時間寝ていると
頭の重みで橈骨神経が圧迫され,上腕三頭筋や下垂手,垂れ手などの運動麻痺と
橈骨神経知覚固有野の障害などが起こる。
土曜日の夜に起こることが多いのでこのように命名された。

問題11
68歳の女性。10ケ月前から計算力低下と記憶力低下とを認める。3ケ月前から歩行が不安定となり、
ときに尿失禁をきたすようになった。頭部X線単純CT写真を次に示す。
なお、脳槽シンチグラフィは24時間後も脳室への取り込みを示した。
(CT像:両側側脳室が左右対称性拡大と前角後角を中心とした脳室周囲に透亮像(PVL)がみられる)
適切な治療はどれか?1つ選べ。
①副腎皮質ステロイド薬
②脳循環代謝改善薬
③高圧酸素療法
④脳室-腹腔シャント
⑤減圧開頭術

出典:85E40
+ ...
解答

解説
診断:正常圧水頭症(NPH:Normal Pressure Hydrocephalus)
正常圧水頭症のトリアス(記銘力障害、歩行力障害、尿失禁)が認められる。
頭部CT像の所見とあわせて、水頭症、それも正常圧水頭症と診断される。
正常圧水頭症に対する有効な治療法はシャント手術である。
NPHは、しばしばくも膜下出血後や髄膜炎に続発して1~6ケ月後くらいから生じる。
TVで、アルツハイマー型認知症と誤診されて、30万人の患者に対して、1000人しか治療が
行われていないと。

問題12
54歳の女性。右手指のしびれを主訴に来院した。
5ケ月前から右拇指、示指および中指にビリビリした感じがあり、
特に朝、目を覚ました時に強かった。1年前から縫製の内職をしているが、
3ケ月前から針を持つ時に指に力が入らない。
(1)みられるのはどれか?2つ選べ。
①母指球筋の萎縮
②示指伸展筋力の低下
③拇指背側の感覚障害
④肘管部でのTinel徴候
⑤手関節掌屈による感覚異常の増強

(2)最も考えられるのはどれか?
①頚髄腫瘍
②橈骨神経麻痺
③肘部管症候群
④手根管症候群
⑤多発性神経炎


出典:103I56 (2)スレ6 576氏
+ ...
解答
(1)①⑤(正答率:68.3%)
(2)④
解説
右拇指、示指および中指にビリビリした感じ(→正中神経領域の症状)
3ケ月前から針を持つ時に指に力が入らない(→母指球筋の萎縮)
朝、目を覚ました時、明け方に強い(→手根管症候群に特徴的)
中年女性で、明け方に強い拇指、示指(手の橈骨側)のしびれ・痛みがあれば、
絞扼性正中神経障害の手根管症候群を考える。
(手の橈骨側だが、橈骨神経麻痺と間違えてはいけない。
橈骨神経麻痺は下垂手で手首を上に上げることができない)

(1)
○①正中神経障害で母指球筋の萎縮が生じる。
×②示指伸展筋力の低下は橈骨神経障害。
×③生じない。
×④手根管症候群では、手首(手関節の手掌側)で叩打痛を認める。(Tinel徴候)
○⑤Phalen testのことで、手関節を1分以上掌屈すると感覚異常が増強する。

(2)
×①頚髄腫瘍では、主に両側性、上肢全体に症状を認めることが多い。
×②橈骨神経麻痺では、下垂手を生じる。
×③肘部管症候群では、肘で尺骨神経障害が生じたもの。
小指・薬指尺側半分の感覚障害を認める。
○④症状が当てはまる。
×⑤複数の末梢神経が障害されて、多彩な症状を呈する。

続きの問題は神経・精神・運動3の問題103で治療の出題あり
http://www35.atwiki.jp/105kokushi/pages/64.html
問題13
52 歳の男性。意識障害で搬入された。2年前に離婚し、一人暮らし。離婚後、
飲酒量が増え、毎晩日本酒8合を飲んでいた。久しぶりに妹が訪ねていくと、意識が混濁していたため、
救急車を要請した。体温36.2℃。脈拍104/分、整。血圧130/70mmHg。
両下腿に浮腫を認める。意識レベルはJCSⅠ-3。項部硬直を認めない。
両眼の外転障害と注視方向性の水平眼振とを認める。歩行は失調性、腱反射は両下肢で低下している。
(1)治療として適切なのはどれか。1つ選べ。
① 血漿交換
② ブドウ糖液静注
③ ビタミンB1静注
④ 免疫グロブリン大量静注療法
⑤ 副腎皮質ステロイドのパルス療法

(2)JCSⅠ-3は次のうちどれか?1つ選べ。(追加問題)
①大体意識清明だが、今ひとつはっきりしない。
②見当識障害(時間、場所、人)がある。
③自分の名前、生年月日が言えない。
④普通の呼びかけで容易に覚醒する。
⑤大声または身体をゆさぶることにより開眼する。

出典:104A50
+ ...
解答
(1)③(正答率:99.0%)
(2)③
解説
診断:Wernicke脳症
(1)
×①血漿交換はGuillain-Barre症候群に対する治療である。本症例では進行性運動麻痺が存在せず、診断基準にあてはまらない。
×②ブドウ糖液のみを投与すると、Wernicke脳症が悪化してしまう。
○③Wernicke脳症に対しては、ビタミンB1(チアミン)静注を行う。
×④免疫グロブリン大量静注療法は、血漿交換と同様、Guillain-Barre症候群に対する治療である。
×⑤副腎皮質ステロイドのパルス療法は、多発性硬化症に対する治療である。
  多発性硬化症なら、錐体路症状が高頻度に認められるはず。

ビタミンB1欠乏では、末梢神経障害(脚気),心不全(脚気心),Wernicke脳症などをきたす。
アルコール多飲や、不適切な輸液が原因となることが多い。
Wernicke脳症のTrias①意識障害、②失調性歩行、③外眼筋麻痺

(2)③
JCSⅠは刺激しないでも開眼している状態。
JCSⅡは刺激すると覚醒する。刺激をやめると眠り込む状態。
JCSⅢは刺激をしても開眼しない。

×①Ⅰ-1 ×②Ⅰ-2 ○③Ⅰ-3 ×④Ⅱ-1 ×⑤Ⅱ-2

○③JCSⅠ-3は、開眼しているが、自分の名前、生年月日が言えない状態である。

104回の問題の中に、105回の問題がひそんでいるケースである。

問題14
羽ばたき振戦が認められるのはどれか?3つ選べ。
①肝不全 ②腎不全 ③呼吸不全(CO2ナルコーシス) ④心不全 ⑤免疫不全

出典:スレ7 437氏
+ ...
解答
①②③
解説
羽ばたき振戦は肝不全、腎不全、呼吸不全(CO2ナルコーシス)などでみられる。
アステリクシス、アステレキシス、asterixis =「固定姿勢不能症」=「羽ばたき振戦」関連問題

問題15
羽ばたき振戦が認められるのはどれか?2つ選べ。
①Parkinson病 ②糖尿病性昏睡 ③アルコール離脱症候群 ④尿毒症 ⑤Wilson病
アステリクシス、アステレキシス、asterixis =「固定姿勢不能症」=「羽ばたき振戦」
出典:85A31(65A37)
+ ...
解答
④⑤
解説
羽ばたき振戦は肝不全、腎不全、呼吸不全(CO2ナルコーシス)などでみられる。
×①Parkinson病は安静時振戦が認められる。
×②糖尿病性昏睡では特徴的な不随意運動はない。
×③アルコール離脱症候群では、アルコール振戦がある。
○④尿毒症では、腎不全を起こし羽ばたき振戦がみられる。
○⑤Wilson病では肝不全にまで至れば、羽ばたき振戦がみられる。
関連問題

問題16
24歳の女性。1年前に重症筋無力症と診断された。
ネオスチグミンによる治療を受け、経過は順調であった。
3日前から激しい咳嗽が出現し、2日前には脱力と呼吸困難を訴えるようになった。
今朝になり不穏状態となったため、来院した。
呼吸数は30/分で、1回換気量は4ml/kgであった。
血液所見:赤沈 26mm/1時間,赤血球 510万,Hb 13.4g/dl,白血球 8900,血小板 22万。
動脈血ガス分析(自発呼吸,room air)pH 7.31, PaO2 60Torr, PaCO2 50Torr, HCO3- 25mEq/l。
直ちに気管挿管し、テンシロンテストを行うと7ml/kgに改善した。
 次に行うべき治療はどれか。2つ選べ。
①アトロピン静注
②ネオスチグミン静注
③副腎皮質ステロイド薬静注
④抗菌薬の投与
⑤テンシロン投与

出典:スレ7 802氏【91F37の改変問題】(参考:血液所見のみ101A56を参考にしました)
+ ...
解答
②④
解説
診断…重症筋無力症(MG)の、筋無力性クリーゼ
本症例はMG患者に急速に呼吸困難が見られているので、MGクリーゼを疑う。
MGクリーゼには、以下の二つの原因がある。
①筋無力性クリーゼ…未治療、薬剤感受性低下、感染(肺炎)、ストレス、妊娠などによって神経筋伝導の阻害が増悪した状態。
②コリン作動性クリーゼ…MGに対して抗ChE薬を過剰投与することで脱分極が続き、Naチャネルが不活性化した状態。
その鑑別は、テンシロンを静注し、症状が改善すれば筋無力性、改善しなければコリン作動性となる。
治療はいずれも呼吸管理(気管内挿管、人工呼吸)を最優先に行う。
その後、筋無力性クリーゼは誘因の除去、抗ChE薬の投与を行い、コリン作動性クリーゼは抗ChE薬の投与量を漸減し、
硫酸アトロピンの投与を行う。
本症例はテンシロン静注によって症状の改善が見られているため、筋無力性と考えられる。
また、その誘因は3日前からの激しい咳嗽から、肺炎が疑われる(若年者の肺炎であり、白血球正常赤沈亢進からマイコプラズマ肺炎が疑わしい)。
そのため、治療は抗ChE薬(ネオスチグミン)の投与と、原疾患である肺炎の治療のため抗菌薬の投与が必要となる。

101A56では、その他に
1週間前から発熱と強い咳嗽とを主訴に来院。体温39.0℃、左背部に軽度のcoarse crecklesを聴取する。
1週前から出現した症状が近医での投薬にもかかわらず持続している。
CRP6.8。胸部レントゲン写真で左中肺野に淡い陰影像。
胸部単純CTで気管支壁の肥厚及びその周辺の粒状影。
→マイコプラズマ肺炎と診断させ、抗菌薬を2つ選べ が原本になっている。

重症筋無力症のガイドラインによると
P41のⅩⅢ. クリーゼの治療方針
クリーゼの治療においてエビデンスを持つ治療法はないが、
(3) 抗コリンエステラーゼ薬のwash out:クリーゼ下では抗コリンエステラーゼ薬は分泌過
多などの副作用のため全身管理を困難にする一方、治療効果を得にくいため中止する。
となっているようです。
重症筋無力症 ガイドライン

MGクリーゼの治療
原則として、ICUまたはそれに準ずる施設に収容して治療することが必要である。
呼吸困難を呈するケースでは、ただちに気管内挿管を行い、必要に応じてレスピレーターによる呼吸管理を開始する。
気道感染を合併することが多いので、気道の吸引は十分に行う。気道分泌物を細菌学的検査に提出後、化学療法を開始するが、
神経筋接合部の伝達を障害する可能性のある抗生物質(表1[表](アミノグリコシド系))は避ける。
挿管した状態で、原則としてすべての抗コリンエステラーゼ薬を中止し、十分な補液とともに、数日~1週間対症療法を行う。
可及的速やかに血漿交換療法/免疫吸着療法を開始する。最近は、IM-TR350カラムを用いた免疫吸着療法を、
連日ないし週2~3回ずつ計7~8回程度行うことが多い。

出題者コメント
重症筋無力症の筋無力性クリーゼは91F37で出題され、QBにも収録されているのですが、その次のページの重症筋無力症のまとめには入っていません。
YNでは、【補足事項】に入っており、見逃している人もいるのではないかなと(というより自分も見逃していました)思って、作成しました。
また、91F37ではコリン作動性クリーゼの症例でしたが、せっかくだからマイコプラズマの勉強にもなるように、肺炎による筋無力性クリーゼとして問題を作り替えてみました。
学習の一助になりましたら幸いです。
何かおかしなところがありましたらご指摘よろしくお願いいたします。

問題17
82歳の男性。3週前から歩行が不安定となり、記銘力が低下してきた。
5日前から右半身の運動麻痺が進行し、夜間に尿失禁を認めるようになった。
考えられる疾患はどれか?2つ選べ。
①Alzheimer病 ②慢性硬膜下血腫 ③転移性脳腫瘍 ④高血圧性脳内出血 ⑤正常圧水頭症

出典:83B36
+ ...
解答
②③
解説
×①Alzheimer病では、片麻痺にはならない。
○②慢性硬膜下血腫では、精神症状が目立つことがあり、注意を要する。
○③転移性脳腫瘍では、脳転移病巣の急速拡大、脳浮腫などにより多彩な症状を呈する。
肺癌の転移が多く、テント上の大脳皮質(中大脳動脈流域)に多い。
×④高血圧性脳内出血では、急激に症状が完成する。
×⑤正常圧水頭症では、多くの場合、過去に脳梗塞などの既往があり、
(Trias:記銘力障害、歩行障害、尿失禁)を示すが、片麻痺は見られない。

正常圧水頭症では、歩行障害,痴呆,尿失禁などの精神神経症状の1つ以上を呈し,髄液圧が正常で,脳室拡大を認め,
髄液短絡術によって症状改善を示すものを正常圧水頭症(NPH)とよぶ」と定義されていますが、
「持続的に髄液圧を測定する(持続髄液圧測定)と圧波(間欠的圧上昇)を認めることが多い」と書いてありました。

正常圧水頭症の検査欄
「脳脊髄液の検査で,髄液圧は正常であるが,頭蓋内圧の持続測定では,基本圧の上昇,
間欠的圧波の出現をみる」とも記載あり。

正常圧水頭症で脳圧は上がってるのにルンバールやっていいってどういう理論なんだろうな。
脳圧は殆ど正常~間欠的に少し上昇なんじゃない?
炎症所見もないし。
TVでルンバールで20CC抜くだけでも数日で記銘力障害がとれてくると。

問題18
46歳。男性。白内障で3年前に手術歴がある。
1年前に検診で脂質異常症が見つかり、抗高脂血症薬を投与したが、効果が乏しいため、
ある疾患が疑われて詳しい血液検査を施行したところCK上昇があり、神経内科に紹介された。
一見すると、普通の中年男性にしかみえないが、顔が大きく痩せてはいないが違和感を感じる。
観察すると、瞳孔の中央付近まで眼瞼下垂があり、瞬目が少なく、眼球運動が少ない。
額がとても広く感じられるのは前頭髪脱毛があるためで、年齢の割にふけて見え、違和感を感じたのはこれらの特徴のためと分かった。
質問をしたところ、一番困っているのは、職場で物をつかんで離す作業が遅くなり、「遅い」と言われることだという。
自分ではさほど困らないと言う。
検査すると、素早く両手を握ることはできるが、全力でも開くのに5秒くらいかかる。
最も考えられる疾患はどれか?1つ選べ。
①筋強直性ジストロフィー ②ALS ③小児麻痺 ④重症筋無力症 ⑤多発性筋炎
+ ...
解答

解説
○①筋強直性ジストロフィーは、前頭部禿げ、白内障、斧様顔貌、ミオトニー、舌の叩打反応、胸鎖乳突筋萎縮、
インポテンツ、糖尿病、難聴、心筋障害などの典型症状の他に、初期にはやせは目立たないが頭蓋骨肥厚があり、
脂質異常症、ミオトニーがひどくても自覚的には強く感じず他覚症状と自覚症状に乖離があり、
性格変化で頑固な性格になるなどの症状がある。
症状が進行すると眼瞼下垂、眼球運動の過少、悪性腫瘍も認められることがある。

参照
コメント
斧様顔貌って、どの辺が斧なのか、全然納得いかないよな。。。
↑あれは日本語ではしゃもじ様顔貌でいいと思う
↑ポリクリで診たケースでは、痩せ顔ではなかったが、前頭部禿げがあるため
実際の顔より細長く感じた。
じゃもじ様顔貌、当たっている。

問題19
筋強直性ジストロフィーに、特徴的でない所見はどれか?1つ選べ。
①self-limiting ②脂質異常症 ③白内障 ④性格変化 ⑤眼瞼下垂
+ ...
解答

解説
×①self-limiting(自然治癒)は、筋強直性ジストロフィーでは認められることはなく、進行性である。
○②脂質異常症は良く認められる。糖尿病の合併も多い。
○③白内障は比較的若い年齢から認められることが多い。
○④性格変化は、病状が進むにつれて認められやすくなり、性格が頑固になる傾向がある。
○⑤眼瞼下垂は、病状が進行してくると認められることが多い。瞬目の減少や外眼筋麻痺も出現することが多い。
self-limitingを入れて作って見ました。当初はアトピー性皮膚炎のつもりでした。
※アトピー性皮膚炎は、筋強直性ジストロフィーでは、特徴的に認められる所見ではない。

問題20
18歳の男子。両下腿部が細くなったことを主訴に来院した。12歳ころから
つまづきやすかった。四肢遠位部に筋萎縮、前脛骨筋に高度の筋力低下、下腿三頭筋と
手指筋とに軽度の筋力低下がある。足部に軽度の感覚障害を認める。正中神経の運
動神経伝導速度は35 m/秒(基準50~60)。なお、父親にも同様の症状を認める。
適切な対応はどれか。2つ選べ。
①アキレス腱の持続的伸張
②レクリエーション療法
③前脛骨筋の筋力強化
④作業療法
⑤短下肢装具の処方

出典:97A45
+ ...
解答
①⑤
解説
診断:Charcot-Marie-Tooth病
診断のポイント
【1】若年から中年に発症し,運動神経・感覚神経を主体に障害する遺伝性ニューロパチーである.
【2】下肢遠位筋に左右対称性に発症し,緩徐進行性の経過を示す.
【3】筋力低下・筋萎縮と深部感覚障害がみられる.
【4】多くは常染色体優性遺伝を呈し,脱髄型と軸索障害型に分けられる.
【5】末梢ミエリン・軸索関連蛋白の遺伝子異常が認められ,多くはCMT1Aである。
常染色体優性遺伝が多い.
若年発症.(10~30歳代)
下肢遠位部に強い筋萎縮(左右対称性)と筋力低下,
大腿の下1/3以下の筋萎縮に加えて(逆シャンパンボトル型),
特に前脛骨筋に高度の筋萎縮,その拮抗筋の下腿三頭筋の筋力低下は軽度である.
足の変形が見られ(凹足)(内反尖足)(槌状足指)
歩くときに膝を高く上げ,足をつま先から着地(steppage gait)(CMT病に特徴的)
四肢の感覚障害はないか,軽度であり
深部反射↓(特にアキレス腱反射↓)
筋電図で神経原性変化が認められるとき,Charcot-Marie-Tooth病を考える.

正中神経伝導速度:35m/秒などと低下:CMT病Ⅰ型(伝導速度遅延型,脱髄型)
         38~40m/秒以上でCMT病Ⅱ型(伝導速度軽度遅延型ないし正常型)
         (基準は50~60m/秒)

治療:有効な治療法はない.進行は極めて緩徐であるため,生命予後は悪くない.
   ①アキレス腱の持続的伸張,②短下肢装具の処方 ←←(国試問題2つ選択させる)

問題21
68歳の男性。軽自動車を運転中に電柱に衝突し救急車で搬入された。意識は清明。激しい頚部痛を訴えている。
上腕三頭筋から両下肢にかけて高度の麻痺を認める。
障害部位はどれか?1つ選べ。
①第1頸髄 ②第3頸髄 ③第5頸髄 ④第7頸髄 ⑤第1胸髄

出典:100H32
+ ...
解答
④(正答率:82%)
解説
×①第1~3頸髄では呼吸停止となる。
×②第3頸髄では、横隔膜麻痺による呼吸停止となり、人工呼吸器が必要となる。
×③第5頸髄では、上腕二頭筋以下の麻痺となる。
○④第7頸髄では、上腕三頭筋以下の麻痺となる。
×⑤第1胸髄では、手の屈筋以下の麻痺となる。

覚え方:×たり+たりして10を作る。
第5頸髄:5×2=10より 上腕二頭筋以下の麻痺(2)
第7頸髄:7+3=10より 上腕三頭筋以下の麻痺(3)
第1胸髄:1+9=10より (手の)屈筋以下の麻痺(9)

問題22
40歳の男性。1年前から徐々に歩きにくくなり、1ケ月前から両手のしびれがあり来院した。
深部反射は、下顎反射正常、上腕二頭筋反射消失、上腕三頭筋反射亢進、膝蓋腱反射亢進およびアキレス腱反射亢進が見られた。
最も考えられる障害部位はどれか?1つ選べ。
①橋 ②第3,4頸髄 ③第5、6頸髄 ④第7,8頸髄 ⑤第1,2胸髄

出典:93E15
+ ...
解答

解説
二頭筋→C5(2×5=10より)
三頭筋→C7(3+7=10より)

上腕二頭筋反射:C5,6
上腕三頭筋反射:C6,7,8
膝蓋腱反射:L2~4
アキレス腱反射:L5、S1、2
バビンスキー反射:L4~L5、L5~S1

問題23
61歳の女性。10日前発熱と下痢を発症し、3日前に下肢の脱力を訴え来院した。
起立、歩行ができず、四肢に中度から高度の筋力低下が認められる。
深部腱反射は認めない。病的反射なし。
責任病変部位はどれか?1つ選べ。

①大脳 ②脳幹 ③脊髄 ④末梢神経 ⑤筋肉
+ ...
解答

解説
診断:Guillain-Barre症候群
発熱・下痢の後、四肢の脱力をきたす疾患はGuillain-Barre症候群をまず疑う。
深部腱反射消失は末梢神経障害を示唆する所見である。
×①~③中枢神経系では腱反射は亢進することが多い。
④末梢神経障害では、腱反射消失、筋力低下をきたす。
⑤筋疾患では腱反射は低下するが、消失することはない。
Guillain-Barre症候群では、先行する細菌・ウイルス感染症状が見られ、1~3週間後に発症する。
下肢から乗降する弛緩性運動麻痺、脱力、四肢麻痺を特徴とする。

問題24
25歳の女性。最近、右手の使いにくさと両上肢のしびれ感があり来院した。数年前から後頚部の痛みを自覚していた。
頸椎MRIのT1強調矢状断像あり。(頚椎MRI像:脊髄に空洞を認める)
この患者でみられないのはどれか。

①上肢の痛覚低下 ②手指骨間筋の萎縮 ③下肢の振動覚低下 ④膝蓋腱反射の亢進 ⑤上腕二頭筋反射の低下

出典:99H4
+ ...
解答

解説
○①感覚障害はほぼ必発である。
○②前角に病変が及ぶと髄節性の筋萎縮を呈する。
×③触覚と振動覚障害はみられないか、あるとしても軽微である。
○④錐体路に病変が及べば生じうる。
○⑤高率に認める。

脊髄空洞症syringomyelia
20~30歳代に、小指筋萎縮、筋力低下で初発し、
次いで肩胛骨と上胸部にも筋萎縮を認めるようになる。(前角細胞の障害)
歩行困難となり(痙性歩行)、膝蓋腱反射亢進、バビンスキー反射陽性(Babinski反射陽性)(錐体路症状)
頚部、肩、上腕、前腕、手の温痛覚消失、(体節性の解離性知覚障害)
深部覚は正常が見られるとき、脊髄空洞症を考える。
症状:宙づり型の感覚障害(体節性の解離性知覚障害)
確定診断は、MRIによって病巣を証明する。

問題25
星状神経節ブロックで正しいのはどれか?全て選べ。
①ブロック部位はC6又はC7横突起付近で行う。
②適応は、偏頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛、上肢カウザルキーなどがある。
③ブロックの合併症として、気胸がある。
④ブロックにより、上肢の温度上昇が見られる。
⑤ブロックは、両側同時に行ってはならない。
+ ...
解答
①②③④⑤
解説
○①星状神経節は下部頚部交感神経節と第一胸部交感神経節とが融合したもの。ブロック部位はC6又はC7横突起付近で行う。
○②適応は、頭部・顔面の痛み(偏頭痛、筋緊張性頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛など)や頚部・上肢・肩関節の痛み、
血流障害(Raynaud病)、上肢カウザルキー(自律神経症状を伴った灼熱性疼痛)である。
○③ブロックの合併症として反回神経麻痺、上肢の運動障害、気胸などがある。
○④ブロックの特徴として肢の温度上昇が見られる。上肢の血管が拡張する。他に結膜充血、鼻粘膜血管が拡張するため、鼻閉が見られる。
○⑤ホルネル症候群は、星状神経節ブロックの効果判定の1つになる。両側同時にブロックしてはならない。(呼吸困難に陥ることがあるため)
最終更新:2012年04月24日 22:05
ツールボックス

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