フランドールが楽しそうに笑う
「 出来たわ、お姉さま! 私と咲夜が一生懸命作った特性カレーよ! 」
「 そう……とても美味しそうだわ。ありがとう、フラン。 で、咲夜。ちょっと 」
「 はい 」
「 そう……とても美味しそうだわ。ありがとう、フラン。 で、咲夜。ちょっと 」
「 はい 」
おずおずと近寄ってきた、瀟洒な従者の胸倉を掴みながら声を潜めて訴える。これはどういう事だ。
「 どういう事なの咲夜……! 貴女が付いていながら……カレーが紫色になってるわ 」
「 申し訳ありません……私も何をどうしたらああなっていたのか理解できませんわ 」
「 いや、できませんわじゃないよ お前 」
「 申し訳ありません……私も何をどうしたらああなっていたのか理解できませんわ 」
「 いや、できませんわじゃないよ お前 」
事の発端は、久しぶりに地下室から出たフランが私に料理を作ってやると言ってきた事だった。
閉じ込めていた事への申し訳無さもあり、恨まれていると思っていた私は、妹のその言葉に涙した。
もちろんフランに料理の経験が無い事は知っている。
その為私は咲夜に、フランの料理の完成度を食べられる程度に面倒を見ろと指示を出した。
咲夜に任せれば安心だ……そう考えていた私は、どうやら甘かったらしい。
閉じ込めていた事への申し訳無さもあり、恨まれていると思っていた私は、妹のその言葉に涙した。
もちろんフランに料理の経験が無い事は知っている。
その為私は咲夜に、フランの料理の完成度を食べられる程度に面倒を見ろと指示を出した。
咲夜に任せれば安心だ……そう考えていた私は、どうやら甘かったらしい。
「 姉として、このカレーを残すワケにはいかないだろう……あの毒々しいカレーを何とかしろ咲夜 」
「 咲夜は お嬢様の愛を信じております 」
「 貴様……! 」
「 咲夜は お嬢様の愛を信じております 」
「 貴様……! 」
私に食えという冷淡な態度。咲夜の服を掴む手に力が篭る。
「 ねぇーおねーさまー、カレーが冷めちゃうよー 」
早く食えとせがむフラン。邪気の無い無垢な笑顔。
その顔を見た私は、しばらく悩んだ末に覚悟を決めた。
フランが姉として何もしてやる事の出来なかった私に対し、好意を持って返してくれた。
普段小食な私だが、今日は何が何でも完食してみせると決めていた。
それが今私に出来る、せめてもの罪滅ぼしだと思ったからだ……
その顔を見た私は、しばらく悩んだ末に覚悟を決めた。
フランが姉として何もしてやる事の出来なかった私に対し、好意を持って返してくれた。
普段小食な私だが、今日は何が何でも完食してみせると決めていた。
それが今私に出来る、せめてもの罪滅ぼしだと思ったからだ……
まさか、ここまでの物が出てくるとは予想していなかったが。
「 あぁ、本当に美味しそう……初めて作ったんでしょう? 」
「 うん! 」
「 うん! 」
スプーンを持つ手が震える。スカーレットデビルと謳われた私が、恐れを感じている……
毒々しい紫のカレーにスプーンを突っ込むと、私は一気にそれを口に放り込んだ。
毒々しい紫のカレーにスプーンを突っ込むと、私は一気にそれを口に放り込んだ。
「 ……がふッ 」
「 お嬢様! 」
「 お嬢様! 」
駆け寄ってくるメイド達を手で止める。
震えだす背筋、襲ってくる激しい嘔吐感。視界がブレはじめた私に、一つの運命のヴィジョンが見えた。
震えだす背筋、襲ってくる激しい嘔吐感。視界がブレはじめた私に、一つの運命のヴィジョンが見えた。
私は今日、死ぬのだと。
「 おいしい? おいしい? 」
机にヒジを付き、アゴに手の平を置きながらフランは期待を込めて私に問う。
ああ……フラン……私の為に笑ってくれるのか……
こんな私の為に……
こんな私の為に……
「 ……おいしい、わ……本当に…… 」
「 お姉さま……泣いてるの? 」
「 お姉さま……泣いてるの? 」
紫色の嘔吐物を口から若干垂れ流しながら、気が付けば私は涙を流していた。
妹の優しさからか、もうすぐ会えなくなる皆への悲しみか、それとも料理の味のせいか。
自分でも何を考えているのかよくわからなくなってきた。
ニコニコと微笑み、私が口に運ぶ様を楽しそうに見つめるフラン。
咲夜に指示を出し、時間を止めて破棄させる事もこの状態では出来ないだろう。
フランの笑顔を見つめる内に、そんな事をする気にはならなくなっていたが。
妹の優しさからか、もうすぐ会えなくなる皆への悲しみか、それとも料理の味のせいか。
自分でも何を考えているのかよくわからなくなってきた。
ニコニコと微笑み、私が口に運ぶ様を楽しそうに見つめるフラン。
咲夜に指示を出し、時間を止めて破棄させる事もこの状態では出来ないだろう。
フランの笑顔を見つめる内に、そんな事をする気にはならなくなっていたが。
紅魔館の主として、そして何より可愛い妹の為に
私は命を懸けてカレーを食べ続けた。
私は命を懸けてカレーを食べ続けた。
「 あがッ……ごぶぐ…… 」
満腹感と吐き気、眩暈が同時に迫ってくる状況。
喉を掻き、必死に吐き出すのを堪える。
咲夜や他のメイド達が 「もうやめてください 」と泣きながら訴えるが
私に恥をかかせる気か と気迫を込め睨みつけると、涙を拭きながら部屋から去っていった。
すまない……お前達……
喉を掻き、必死に吐き出すのを堪える。
咲夜や他のメイド達が 「もうやめてください 」と泣きながら訴えるが
私に恥をかかせる気か と気迫を込め睨みつけると、涙を拭きながら部屋から去っていった。
すまない……お前達……
最後に咲夜を呼び止めると、私は遺言を継げた。
フランを頼んだ と。
それを聞いた咲夜は涙を堪えつつ頷いた。
フランを頼んだ と。
それを聞いた咲夜は涙を堪えつつ頷いた。
「 救いは、あのカレーに おかわりが無い事です 」
部屋を出て行く前、咲夜が私に告げた言葉がカレーを口に運ぶ私の手を動かしていた。
フランの満足気な笑顔に見守られながら、私はついに最後の一口を口に運び、それを喉の奥へと流し込んだ。
フランの満足気な笑顔に見守られながら、私はついに最後の一口を口に運び、それを喉の奥へと流し込んだ。
「 え? 」
気が付くと私は河にいた。
どこだ、ここは。私は館でヘドロを食べ終えた筈だが。
どこだ、ここは。私は館でヘドロを食べ終えた筈だが。
「 見事だったよ。レミリア・スカーレット 」
突然背後から声をかけられ、私が構えつつ後ろを向くと
赤い髪のツインテールに大きな鎌を持った女が、どこか哀れむような顔をしながら私を見ていた。
赤い髪のツインテールに大きな鎌を持った女が、どこか哀れむような顔をしながら私を見ていた。
「 アンタはよく頑張ったんだ……メイドや妹に誇っていいくらい、立派にね 」
顔を背け、私を労うように言った。
大鎌の女は私に背を向け、近くにあった船に乗り込むと力強く言った。
大鎌の女は私に背を向け、近くにあった船に乗り込むと力強く言った。
「 乗んな 」
どこかは解らないが、送り届けてやるという意志が感じられる。
私はその女に導かれるように船に足を下ろすと、自分の運命を悟った。
そう、夕食を前に見たヴィジョン。
私はその女に導かれるように船に足を下ろすと、自分の運命を悟った。
そう、夕食を前に見たヴィジョン。
もう自分が紅魔館に戻る事はないのだろう と。
レミリア・スカーレットの葬儀が行われてから数日。
レミリアが死の直後に残した遺言から、館の権利の全権をフランドールに譲る事が決定された。
フランドールの付き人として生涯サポートをしてやってほしい。 咲夜はレミリアの最期の言葉を忠実に守っていた。
フランドールの付き人として生涯サポートをしてやってほしい。 咲夜はレミリアの最期の言葉を忠実に守っていた。
「 まさか本当に全部アレを食べちゃうなんて……腹痛くらいで済むかなーなんて思ってたら
ポックリ死んじゃうなんて、ギャグじゃない、笑い話じゃないこれ! ぷ、くく あははははは! 」
ポックリ死んじゃうなんて、ギャグじゃない、笑い話じゃないこれ! ぷ、くく あははははは! 」
レミリアのベッドで寝転んでいたフランドール・スカーレットは、一人ゲラゲラと笑い転げていた。
館の全権がフランに渡った時点で、主であるレミリアの部屋はフランドールの部屋となっていた。
館の全権がフランに渡った時点で、主であるレミリアの部屋はフランドールの部屋となっていた。
「 ほんと、馬鹿なお姉さま……恨んでないワケないじゃない 」
紅魔館は健在だった。
紅き月が失われ、狂気に染まった館となって。
紅き月が失われ、狂気に染まった館となって。
- よく食べたよ… -- 名無し (2009-06-01 16:18:13)
- まぁそんなことだろうと思ったが。
だがここはレミリアに乾杯。 -- 名無しさん (2009-06-01 17:17:59) - レミリア閣下に敬礼! -- 名無しさん (2009-06-01 18:46:13)
- バサッ!(ビシッ -- 名無しさん (2009-06-02 00:32:26)
- レミリアは甘い女 -- 名無しさん (2009-06-02 20:50:16)
- 紫を見てババアを連想した俺はスキマ送り -- 名無しさん (2009-06-15 00:19:20)
- そんな!レミリアがいいやつだと!? -- 名無しさん (2009-06-15 17:36:06)
- いくらフラン好きな俺でも無理だ
レミリア閣下に敬礼!(ビシッ! -- 名無しさん (2009-07-22 02:51:34) - 無茶しやがって… -- 名無しさん (2009-07-22 21:02:23)
- ヘドロって言うなwwww -- 名無しさん (2009-07-22 22:02:38)
- レミリアよくやった……!!
このフランは地獄逝き。えーき様、ざっくりやっちまって下さい! -- 名無しさん (2009-09-23 14:08:44) - でも、レミリアはフランに恨まれてもしかたないわけだし・・・ -- 名無しさん (2009-09-24 23:22:46)
- フランちゃんが少しでも後悔してれば最高だった -- 名無しさん (2009-10-11 12:39:45)
- ラストのセリフは、「まさか全部食べてくれるなんて」的な悲しんでるセリフにも取れるぜ。 -- 名無しさん (2009-10-11 17:21:59)
- レミリアぁぁぁぁぁぁっ!!! -- 名無しさん (2009-10-30 18:45:21)
- レミリアの紫もやしならぬ紫カレーへのカリ死マ性に全米が泣いた -- 七7⑦名無し死3 (2009-11-16 20:03:29)
- まぁこのフランちゃんは地獄に落ちていいと思う -- 名無しさん (2009-11-18 00:54:06)
- まあ恨んでる気持ちはわからんでもないけどさw
フランに嫌われまいとしたれみりゃが報われねぇwww -- 名無しさん (2009-11-19 11:08:59) - こまっちゃんの「のんな」に謎の感動が^^; -- J (2010-02-05 12:38:20)
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