■ エンプティカフェ -飯窪春菜- ■



 ■ エンプティカフェ -飯窪春菜- ■

最初は軽く、でも大きな気泡が出来ないように。
やがて、新垣さんの『ここっ』という一声、そのタイミングでノズルを深く。
するとすぐにミルクはどんどん温度が上昇。
ふたたび新垣さん『ほれっ!』、ノズルからジャグを放す。
『ほぃっ!すーぐ拭くっ!』ノズルはいつも清潔に。
細やかで滑らかな気泡、熱いミルク。

熱湯に浸したカップを一つ引き上げる。
すぐに水分は蒸発。
清潔で、熱いカップ。
そこにすーっと、ミルクを注ぐ。
『ぜぇんぶいれちゃだめだよー』と新垣さん。泡の細かいところだけつかう。
さぁ、仕上げに、エスプレッソを注ごう。
良い香りがカウンターに満ちて…。

ハイッ!カフェラテのできあがり。

「そうそう、なっかなかうまいよ飯窪っち」
「あっありがとうございますー新垣さんの説明がとってもわかりやすいからですよー」

「よしじゃあ飲んでみよっ!」
「はいっ!」


……。

「どうですか?」
「うん!飯窪っちも飲んでみて!」
「はい……」

……。

「…おいしーです!」
「ほーこれは有望な新人がはいってきましたなー!」
「いやそんな!いやいや!新垣さんの教えあってのおいしさですー!」

喫茶リゾナント。

今日もお客はゼロ。
でも、そんな、のどかな時間が、たまらなく、愛おしい。



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2013/11/07(木) 00:05:48.58 0
























最終更新:2013年11月08日 14:27