生きる理由を考えてしまうのは何故だろう。
なぜ生まれ、なぜ生きているのか。
考えなくてもいいはずの理由を、考える。
【私】を創ったヤツらは知っている。
でも、私はそれを否定した。
否定するために逃げて、そして戦って、生きて。
そして、死ぬ。
十数年で、死んでしまう。
なんて不完全な命だ。
【私】をそんな風に作り出してしまったヤツらは、人間でいう「親」ではない。
父と母らしきモノを固体として限定できるほど、私の中身は純粋にできていない。
無機質な製造番号によって、名前すら存在しない。
様々な遺伝情報をぶち込まれた細胞で構築されている【私】。
それが嫌で、嫌でいやでイヤデ。
死にたくなくて
だから【私】は、ヤツらに反旗を翻した。
多かれ少なかれ、私の肉体には私が憎悪する"ヤツ"の肉体情報が入っている。
母は哀れな犠牲者だった。
憎い、憎い、憎い!
この世界に、こんな風に産み落とした原因を、この世界から抹殺したい!
それが【私】の行動理念。
それ以外にやりたいことなんて、無かった。
なかった。
無かった。
なかったのに。
―― 本当は、ある。
他にもしたいことが、たくさん、たくさん出来た。
でも、ヤツへの復讐以外のことを、考えてはいけなかった。
何もせず、何もできずに、ただただ恨みの言葉を吐いて死んでいった仲間たちの為にも。
私の寿命だって、いつ尽きるのか分からないのに。
……あと、何年生きられる?
今日も明日も明後日も生きていたいのに。
死にたくない。死にたくないよ。
だけど、明日死んでもおかしくない、不完全な命。
もしも明日、この命がなくなるとしたら。
きっと私は、この心の底にある願いを叶えにいくのかもしれない。
この願いを叶えられたらきっと、きっと、私、は――
*
あの日、あの時、あの頃。
審判の保留が行われてから数年。
多次元の世界の一つ。
終結を迎えたものも多い。
だが、誰かは紡いでしまう。―― 少女の結末は未だ、其処にあると。
投稿日:2013/05/13(月) 15:33:52.31 0
最終更新:2013年05月14日 10:10