子供の頃描いた向日葵が、部屋の隅で埃を被っている。
青空の下で太陽に照らされる向日葵が、部屋の隅で埃を被っている。
咲き誇ったまま枯れることなく、部屋の隅で埃を被っている。
建ち並ぶビルの底、絵画の向日葵のように無邪気な俺が埃を被っている。
光も届かぬビルの底、絵画の向日葵のように一輪だけでいる俺が埃を被っている。
まるで幾千光年も先にあるようなビルのてっぺん。
その更に幾千光年も先にあるような太陽。
人類が平等だとか。愛してるとか。
平等ならば、埃を被っていただけ思い通りにさせろ。
愛してるなんて感情は、いつのことか忘れてしまった。
憂鬱を叫べ。何処で何をしてやろうか。
孤独を叫べ。誰に何をしてやろうか。
部屋の隅で鈍く光を放つ箱。
キーボードを叩く音だけが響く。
この世界では俺が光に照らされる。
絵画の向日葵のように光に照らされる。
この世界では俺は無敵だ。
絵画の向日葵を描いた幼稚な頃のように無敵だ。
ビルの底のモノクロームの世界から、ある時それは見えた。
埃を被ったモノクロームの世界から、ある時それは見えた。
温かい光に包まれたカフェ。
温かい声が洩れ聞こえるカフェ。
人類が平等だとか。愛してるとか。
俺は無敵だ。
憂鬱を叫べ。此処で何をしてやろうか。
孤独を叫べ。誰に何をしてやろうか。
最終更新:2013年02月12日 00:05